今日は少し短め──ブーレーズのマーラー9番

今日は少し短めです。


マーラー:交響曲第9番


マーラー:交響曲第9番
posted with amazlet on 07.07.02


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ブーレーズのマーラー9番を聴きました。これは、もうほとんどベルクの「ルル組曲」にきこえてしまいます。冒頭2分45秒過ぎあたりからの、弦楽合奏にトランペットがかぶってくるあたりからの音作り、これは、もう「ルル組曲」の世界です。マーラーの音楽の中には、過去と未来の作曲家がかいま見えると言いますが、ブーレーズはまさにマーラーの音楽の中にベルクを見せてくれたと行っても良いと思います。

ブーレーズは、テンポは動かしているのですが、アバドのようにドラスティックに歌わせるためにテンポをいじることはしていないようです。よく言われるようにとても冷静な音楽作りです。やはり大陸合理論の故郷、フランス生まれですね。きちんとリズムを刻んでいて、テンポを粘っこく動かしません。素っ気ないと言えば素っ気ないのですが、思った以上にこういう音作りが好きなことに気づきました。

イメージで聴いてはならないな、と言い聞かせながら聴きました。後でも書きますが、ブーレーズといって連想されるイメージをできるだけ排除して、先入観なく聴こうとしました。ところが、やはりどうしても冷徹な現代の都会のようなイメージが浮かんでくるのです。スタイリッシュで、洒脱で、メカニカルで、冷静で、人気のない感じ、です。僕の中のブーレーズの先入観を肯うしかない、と言う感じでした。

ちなみに、ブーレーズのルル組曲はこちらを愛聴しております。ルルの悲鳴がめちゃくちゃ怖いです。一人で夜聴くと、下手なホラー映画よりもこっちの方が怖いです。まあ、「ルル」自体、ホラー映画のようなものなのですが。









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吉田秀和さんの特集番組を見ました。日曜日の22時からNHK教育テレビで放映されていたのを録画したのです。今日は最初の30分弱ぐらいを見たところでストップ。続きは明日以降になりそうです。

音楽を言葉に置き換えるということのすばらしさを語っておられました。並大抵の難しさではないのだ、とおっしゃっています。ですが、ぴったり当てはまる言葉や文章が見つかるときの快感と言ったら並大抵のものではないともおっしゃっていました。

僕もこうしてブログで音楽感想を書いておりますが、ぴったりとした言葉をきちんとかけているのかどうか、とても不安になることがあります。それから、たとえばブーレーズの指揮は都会的、メカニカル、といったような先入観に囚われたまま聴いているのではないか、カラヤンと言えば流麗な美しさ、という風に語られることが多いですが、そうした事前の知識の色眼鏡をかけて音楽を聴いていないか、あるいは、色眼鏡をかけたまま文章を書いていないか、ということがとても気になります。

「主題と変奏」、僕も読んだことがあるはずですが、ほとんど忘れてしまった感がありますね。また読まなければならなそうです。ああ、読む本がたくさんあります。ありがたいことです。でもいつ読むんやろか……。寸暇を惜しんで読まねばなりません。
今日の往路は、辻邦生師の「春の戴冠」の再読を始めました。これも再読せねばせねば、とずっと思い続けていたのですが、ようやく手に取ることができたという感じです。30頁ほど読んだだけでもうお腹一杯です。あまりにも素晴らしすぎて、何から離したらいいのか分からないぐらいなのです。とにかく、なかなか進みません。一つ一つの描写が美しくて、ゆっくり味わいたいと思うと言うことと、思想的な背景や、辻邦生師がどうやら悩んでいた「現実と芸術の結節」という問題が最初から取り上げられていて、自分自身の問題と重なり合うような気がして、思いを巡らせたりしていると、あっという間に電車が駅に着いてしまうと言う感じでした。

春の戴冠、本当に長い作品で、僕の感覚だと「背教者ユリアヌス」よりも長いのではないか、と言う感じを持っています。さらに、この作品を難しくしているのは、フィチーノなどのルネサンス期の哲学思想が多く盛り込まれていると言うことです。この点については、先日哲学科の先輩から話を聞いて参考書を教えて貰いました。佐藤三夫さんという方の著作と、クリステラーという方の著作の二冊です。おそらくは、辻先生もこの参考書を読んでいたのではないか、と先輩はおっしゃっていました。

でも、ほんとうにこの作品を日本人が書いたというのは、俄には信じがたいものがありますね。イタリアルネサンスをここまで流麗に美しく描かれるとは世界レベルの偉業だと思うのです。辻邦生師を初めて読んだときのことを思い出しました。日本人でもこういうふうに西欧での出来事を書いてもいいんだ、書くことができるんだ、という驚きでした。辻邦生師の文学が好きになった理由の一つがここにあります。

春の戴冠については、残念ながら文庫本は出ていません。僕は、最初に出版された版で読んでいます。これから読まれる方は全集を買うことになるのかな、と思います。
今日は短い、と言いながらこんなに書いてしまいました。ちょっと時計が気になる時間になってきました。今日はこのあたりで失礼しようと思います。また書いていきますので、よろしければおたちよりください。
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週末にかけてまた10位以内に戻ることができました。どうもありがとうございます。

今日は少し短め──ブーレーズのマーラー9番” への3件のコメント

  1. SECRET: 0
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    Shushiさま お早うございます
    ブーレーズさんのマーラー、私はまだ聴いたことがありません。シカゴ響との演奏ですか、興味がありますね。ブーレーズさんの私の印象は、きわめて、幾何学的な指揮(わけの分からないことを書いていますが)ではないかな、って思ったりします。非常に美しい比率(ロゴス)、ハルモニア(音の調和)が数学的な感じがするんですよ。どうでしょうか?
    辻邦生さんの著作は、『背教者ユリアヌス』は、昔読んで、また再読をしたいと思ったりしているんですが。確か、著作集は何巻か持っているんですが〜
    ミ(`w´彡)

  2. SECRET: 0
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    rudolf2006さん、コメントありがとうございます。
    ブーレーズさんの指揮が幾何学的というのは、まさにそうだと思います。ロゴスとハルモニア、本当にそうだと思います。さすがrudolf2006さん! 素晴らしいおっしゃり方だと思います。
    また今日も図書館でブーレーズさんの指揮を借りてきてしまいました。はまる予感です。

  3. NHK交響楽団NHK交響楽団は、日本にある世界的オーケストラの一つ。伝統的にドイツ・オーストリア系音楽を主なレパートリーとするが、近年、フランス系音楽の演奏レベルもアップしてきている。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia

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