Tsuji Kunio

今日は午後から雨でした。お昼を回ってすぐの頃、西の空から灰色の渦巻く積乱雲が近づいていきました。途端に遠雷がきこえ始めたのですが、幾ばくかも経たないうちにコンクリートの駐車場に雨模様が現れ始めました。空は光り、雨音は激しく、雷鳴がとどろき渡るさまを、ガラス越しに眺めていたのですが、なんだか気分は晴れ晴れしてきた感じです。雷雨という非日常をガラス越しに見遣るのは気分の良いものです。それは窓の外に出ることがないと保証されているからでしょう。

 モンマルトル日記

昨日から、辻邦生師の「モンマルトル日記」を再読始めました。辻邦生師がパリでどんなに厳しい思いで思索を試みていたのか、と思うたびに、痛切なまでに感歎と畏敬を覚えずにはいられません。

ピアニストがピアノを叩き、レスラーが身体をきたえ、左官屋が壁土をこねること以外、何一つ考えなくてよく、考えないでいるのと同じく、物語作家にとってレアリテはただ一つ「強烈な感情」を自分の中につくるということである。二十四時間このことだけに集中するのである。「強烈な感情をつくること、吐きだすこと──

辻邦生『モンマルトル日記』集英社文庫、1979年、136頁

この石で固められた硬い都会(まち)に、自分をとぎに来たのである。この都会の硬さは、あらゆるにせもの、いんちき、つけ焼刃を、すべて残酷にはぎとってしまうどうしようもない真実さがある。ここでは生と死の境界のような、人生のぎりぎりの本ものがある。一人一人がそうしたもので生きている。労働者は労働者なりに、娼婦は娼婦なりに、この硬さ、この殻の不敵さで生きている。それは打ちやぶることはできない。(中略)いい加減なものは絶対にうけ入れない。甘さなど微塵もない。一流中の一流の才能がやっと残り、そしてそれでさえすぐさま滅び去ってしまう。(中略)うそはだめであり、自己満足はすぐ窒息する。ただ真に「よきもの」に達したものだけが、この硬さと同じ硬さを持って生きはじめる。

辻邦生『モンマルトル日記』集英社文庫、1979年、133頁

本当に厳しい文章です。本当に辻先生は強い方です。このときには、既に「夏の砦」や「廻廊にて」は既に世に送り出されていて、「嵯峨野名月記」で苦しんでいる時分なのですが、こういうことを考えていらしたわけですね。これを読むと、もっと強くなければならない、と思うことしきりです。 もちろんあまり自分を責めるのはよくはないのですけれど。
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Jazz

Cruisin'
Cruisin’
  • アーチスト: Marc Antoine
  • 発売元: Grp Records
  • レーベル: Grp Records
  • スタジオ: Grp Records
  • メーカー: Grp Records
  • 価格: ¥ 2,585
  • 発売日: 2001/06/19
  • 売上ランキング: 193886
  • おすすめ度 5.0

お昼休みは、なぜか11時30分から12時30分までです。普通の会社だと12時からだと思うのですが、部署毎に昼休みの時間をずらして食堂や売店の混雑を防ごうという目的のようです。と言うわけで、11時30分のチャイムがなるとすぐさま外に出ます。僕の会社は山奥にありますので、ビルからでるとそこはもう木々の生い茂る林だったりします。最近は体重を落とすために林の中を15分ほど歩くことにしています。歩き始めたのは3月の半ばぐらいから。おかげさまで体重にして4キログラム程度痩せてきました。目標は12キロ減量したが、もう3割も達成しているのですね。ありがたいことです。これまでは昼休みはオフィスにいたまま食事をしてネットを眺めたり本を読んだりしているぐらいでしたから、それに比べるととても健康的なのではないかと思っています。

林の中を歩いた後は、オフィスに戻って弁当を食べながら音楽を聴くのですが、今日はマーク・アントワン(ギター)のアルバム「クルージン」を聴きいたのです。これがもう大ヒットでした。マーク・アントアワンのことは五年ぐらい前から知っていましたが、ここまで身を入れて聴くことはなかったのです。ところが、これが思った以上に素晴らしいのでした。ここで格言。「名曲は家のCD棚あるいはiTuneの中にある」。その通りでした。

清涼感とともによくビートが聞いているので、サウンドは豊かな響きを持っています。特に、Sierra Bellaは名曲です。サビのメロディーが美しくて、EWIでフレーズを吹きたくなりますね。帰りの電車の中でこの曲ばかり繰り返して聴いてしまいました。思い浮かぶのは暮れ行く空の向こうに見えるエッフェル塔のイメージ。昔パリに行ったときに、ルーブルの窓から夕暮れのエッフェル塔を眺めたのです。そのときのことが頭によぎります。マーク・アントンはロマの血筋をひいたフランス人というこ ともあって、曲の作り方が洒脱で、なおかつ情熱的です。アメリカのフュージョンを東西に分けることができると仮定したとしても、そのどちらにも当てはまらないですね。

Indian Summerは、すこし湿っぽいかな。でもこの湿っぽさもヨーロッパ的なんだろうな。石畳に雨降る町並みを思い浮かべてしまう。 Caribbean Morningは明るい曲。Fuegoは、フラメンコ音階が聞こえてくる。やはりヨーロッパです。アントワンはスペイン音楽にも影響を受けているようですので、あながち間違いでもなさそうです。

フュージョン(という音楽ジャンルの定義自体難しいのですが)のなかでも、マーク・アントワンのようなスムースジャズ的音楽を聴き始めたのは高校に入ってからですから、もう20年弱も聴き続けていることになります。当初は日本の某バンドから入ったのですが、一年後には、リッピントンズなんかを聞き始めていました。

それでそのころから、日本のバンドと欧米のバンドの音作りに明らかな差違があることに気付きはじめていました。何なんだろう? と常々不思議に思っています。大学の先輩は、それは日本人のバンドには技巧的に劣る面があるからなのだ、と言います。たしかに、それはあるかもしれません。でもそれだけでは説明できないものがある気がしています。

やはりそれが民族性なのではないか、と思うのです。演歌や民謡を体内に備えている我々と、クラシックやジャズを体内に備えている欧米の彼らとの間には説明できない違いがあると思うのです。それが、たとえば日本人にはきこえないオーケストラの音を欧米人は聞いている、とか、対位法の響きをドイツ人は日本人とは違うやり方で聞き取っている、とか、そういう点に現れているのです。

日本人のバンドの中でもアメリカのバンドに一瞬近づいたアルバムを一枚知っています。そのことについてはまた今度書いてみたいと思います。

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Tsuji Kunio



右側においてある「辻邦生著作目録」ですが、リンク切れになっていましたので修正しました。原因はMuseum::Shushi Archives Divisionないの著作目録のページのURLが誤って設定されていたためでした。申し訳ありませんでした。
(気がついて良かったです)

Movie

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト スペシャル・エディション
パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト スペシャル・エディション
  • アーチスト: ジョニー・デップ
  • 発売元: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • レーベル: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • スタジオ: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 価格: ¥ 3,120 (22% OFF)
  • 発売日: 2006/12/06
  • 売上ランキング: 93
  • おすすめ度 3.5

結局GWに観た映画は四本でした。五本見るのを目標にしていたのですが、きっと目標を立てなければ見なかったでしょうから、四本も見られて良かったな、と思います。

それで、くだんの「デッドマンズチェスト」ですが、全作同様ストーリーのおもしろさはもちろん、奇々怪々な特殊撮影の技巧に唖然とさせられたりという具合で、2時間半あっという間に見切ってしまいました。 この映画を見ていると、本当に死ぬことが許されないのろいというものがあるのだ、と思ってしまうので不思議なものです。

ですが、最後の場面は、あれですか……、と言う感じ。よく言えば次作への期待を持つことが出来るのですが、悪く言えば、あそこで切ってくれるなよ! と言いたい感じ。というか、次作への期待を抱かせたという点においては作り手側の術中にはまったというわけになりますね。ネット上では辛口な意見もあるようですけれど、合格点には達していると思いますよ。

それにしてもジョニー・デップは演技が巧いよなあ。主役級二人は完全に食われてしまっています。特に島の原住民の神になりおおせているあたりの演技、すさまじいです。

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト – goo 映画

Opera

シェーンベルク:モーゼとアロン 全曲 シェーンベルク:モーゼとアロン 全曲
ブーレーズ(ピエール)、ライヒ(ギュンター) 他 (2001/07/18)
ソニーミュージックエンタテインメント

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バレンボイム率いるベルリン国立歌劇場が今秋来日しますが、演目はドン・ジョヴァンニ、トリスタンとイゾルデ、そしてモーゼとアロンです。どの公演も値段がお高めで行くのを諦めていたのですが、このところ少し引っかかりを感じていました。ドン・ジョヴァンニやトリスタンとイゾルデはメジャー級なのでこれから見られる可能性は高いでしょう。
でもモーゼとアロンは、この機会を逃すと一生見られないのではないか、と思えてならないのです。どうやらかなりアバンギャルドな演出のようでとても興味をそそられます。これを見れば、シェーンベルグについての理解が深まるきっかけにもなるでしょうし、旧約聖書の有名な物語を理解する助けにもなると思うのです。今週中をめどにもうしばらく考えてみることにします。

さて、今日はチェリビダッケさんが振られた「こうもり序曲」を考えてみたいと思います。

レクイエム ボックス レクイエム ボックス
チェリビダッケ(セルジュ)、ボニー(バーバラ) 他 (2004/10/20)
東芝EMI

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Celibi
三回聴きました。
冒頭は中速ですが、オーボエのソロに入るとやはり他の演奏と比べて遅いかな、と言う気持はあります。しかし、遅いテンポをしっかりとコントロールしているのが分かるのです。そうですね、たとえるならば、飛行機を着陸させようと速度を落としながら下降をしていくのですが、失速寸前まで落としながらも絶対に失速しないぎりぎりの速度で、飛行機を滑走路まで導いている、そんなイメージです。
確かに異論も在るでしょうけれど、本当にチェリビダッケさんらしいこうもり序曲だと思います。この速度で演奏すると、曲の細部が拡大されて見えてくるんですよね。ウィナーワルツのもたり方もゆっくりとした速度なので、とてもよく見えてきます。これで踊るとなると少し大変そうですが。
それから、アッチェレランドしてくるところは鮮やかですね。ゆっくりとしたテンポだからこそ速度の変化を自在に操ることが出来るのではないでしょうか?
テンポは早いほうが良いのか、遅い方が良いのか、と言う議論はあまり生産的ではないと思いますが、少なくともこの演奏はチェリビダッケさんらしい個性的な仕上がりとなっていて、十分楽しむことが出来ます。
このCDには、「モルダウ」や「フィンガルの洞窟」なども収められていますが、こちらもやはり遅いテンポで、カラヤンやクーベリックの演奏に親しんでいる向きには違和感を感じることもあるかもしれません。でもこれも一つの解釈の解答なのだと思います。
それにしても、ミュンヘンフィルって巧いのですね。前にも書きましたが、この速度についてくるのはとても厳しいはず。多少の乱れはあるにしてもおおむねきちんとチェリビダッケさんの棒についてきていると思います。
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Classical

 今朝は少し寝坊気味でした。疲れていたのでいい休息になったと思います。おかげさまで喉の痛みも治まりました。最近はなぜかほとんど風邪を引かなくなりました。
 
 カフェに行こうと思ったのですが、今日は雨なのでお休みすることにしました。その代わり家でインスタントコーヒーを飲みながら音楽を聴いたりしています。
 
 

Richard Strauss: An Alpine Symphony
Richard Strauss: An Alpine Symphony
  • 発売元: Naxos
  • レーベル: Naxos
  • スタジオ: Naxos
  • メーカー: Naxos
  • 価格: ¥ 1,360
  • 発売日: 2006/06/20

 
 iTuneのラジオにつなげてみたら、シュトラウスのアルプス交響曲が流れていたので、聴くことにしました。Antoni Witという方の指揮ですので、このナクソス盤をかけているようです。オーケストラは、ワイマール・シュターツカペレ。ワイマールの歌劇場といえば、若いシュトラウスが音楽監督をしていたところですね。第一作目のオペラ「グントラム」はワイマールでの初演でした。あまりうまくいかなかったようですが。といいながらも、歌手だった奥さんのパウリーネを捕まえたのもここだったようですが。しかしその奥さん結構厳しい人だったらしいですね。「インテルメツォ」では奥さんのパウリーネをモデルにした女性が登場するのですが、気位が高く、勝ち気な性格な女性として描かれていました。初演に立ち会った奥さんはすこしムっとしていたらしいですが。
 
 アルプス交響曲は1915年に作曲されています。この時点で、すでに「ナクソス島のアリアドネ」第一版まで作曲済みです。「サロメ」、「エレクトラ」、「ばらの騎士」を作り終えたシュトラウスの手になる最後の交響曲です。
 
 描写がすばらしい曲です。羊の付けるカウベルの音、頂上での荘厳な迫力、遠くから聞こえる雷鳴、嵐の強烈な音と、嵐が収まった後の美しい夕日。時々現れるシュトラウスらしい旋律を聴くとうれしくなりますね。でも最後はマイナーの和音で終わってしまいます。あれだけ盛り上がったというのに少し寂しいですね。GWが終わってしまう今日にふさわしい感じもします。
 
 演奏のほうはメリハリがあって、ゆったりと音を鳴らしたり、切迫した感じを巧く表現したりしていい感じだと思います。
  
 僕の場合CDを聴こうとすると、ついつい同じ曲を聴いてしまいがちです。最近ではiPodに入っている曲しか聴いていない気がします。音楽を聴ける時間は通勤時間のみですので仕方がないのですが。しかもiPodは第三世代ですので、15GBしかありませんので、あまり多く入らないのです。曲を入れ替えるのもついついおっくうになってしまいがち。
 その点、インターネットラジオだと普段聴かない音楽を聴くことができるのでいいですね。次の休みにもリラックスしてインターネットラジオを聴いてみようと思いました。
 
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Classical

マーラー:交響曲第8番 マーラー:交響曲第8番
クーベリック(ラファエル)、アーロヨ(マーティナ) 他 (2005/09/21)
ユニバーサルクラシック

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昨日の午後はちょっと出かけたのですが、出先で軽い風邪の症状を自覚しました。身体がだるく、いやな眠気がとれない、のどがチリチリと痛む。せっかくのGWに風邪をひいてはかなわない、と思いまして今日はゆっくりと過すことにしました。

クーベリックが振るマーラーの交響曲第8番を聴いております。「葉っぱに埃がついたので水をかけて払ってやったでちブログ」で紹介されていたので、触発されました。ありがとうございます。

この盤の白眉は、やはりディースカウさんですね。第二部の歌が入ってくるところ、法悦の教父の独唱が良いですね。ディースカウさんの歌は、それとわかるぐらい個性的な歌い回しですね。ベーム盤カプリッチョの伯爵役もそうでしたし、クライバー盤トリスタンとイゾルデのクルヴェナールもそうでした。本当に偉大な音楽家です。
クーベリックの指揮はショルティ盤より早いです。一枚組であることからもその速さをうかがい知ることが出来ます。でもあまり違和感を感じることはありません。とても良い演奏だと思います。

このオペラ的交響曲はとても思い出深いものです。初めて聴いたのは中学生の頃で、ショルティ盤が生まれて初めて買ったCDだったのです。ショルティ盤をすり切れるぐらい(CDなのですり切れませんが……)聴きました。

マーラー:交響曲第8番 マーラー:交響曲第8番
ショルティ(サー・ゲオルグ)、ウィーン国立歌劇場合唱団 他 (1999/06/02)
ユニバーサルクラシック

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何度も書きましたが、僕はショルティ盤でルネ・コロさんのすばらしさを知りました。ルネ・コロさんが歌うマリア崇拝の博士の独唱がとても魅力的です。それからショルティ盤はオルガンの音が良いのですよ。ちょっとリズムが狂っているような感じも受けるのですが、アフレコです。リンツのザンクトフリーリアン教会のオルガンをミキシングしたのです。このオルガンはブルックナーが弾いたオルガンなのだそうです。

8番については今までも何度か取り上げています。

http://shushi.s39.xrea.com/mt/2006/07/31-213953.php
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2006/07/22-225750.php
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2005/02/14-231402.php

僕にとっては、この曲の最高の瞬間は、マリア崇拝の博士の独唱と、神秘の合唱への導入、神秘の合唱だったりします。第一部も好きです。でも歳をとるに連れて、法悦の教父、瞑想の教父の独唱も好きになってきました。それから、少年合唱も好きですね。交響曲第3番の少年合唱も印象的ですが、8番の少年合唱もそれに劣らず魅力的です。

Opera

Richard Strauss: Capriccio / Sawallisch, Philharmonia Orchestra Richard Strauss: Capriccio / Sawallisch, Philharmonia Orchestra
Richard Strauss、 他 (2000/08/15)
Angel

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Capriccio Capriccio
Richard Strauss、 他 (2005/09/13)
Deutsche Grammophon

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 今日も良い天気。早起きをして近所のカフェに行って、本を読んだり文章を書いたりしました。昨日も行きましたので二日連続です。最近よく行っているカフェなのですが、「新豆主義」を謳っておられて、収穫後一年以内の豆を使用したり、山地、農園、品種がわかる品質の高い豆を使用したり、焙煎をお店でやられていたり(焙煎前の豆は傷まない(=生きているから)が、焙煎すると劣化していくのだそうです)、とこだわりのお店です。僕は、珈琲を飲み過ぎて体調を崩すことが多いのですが、この店ではついつい珈琲を飲んでしまいますね。ご夫婦でお店を切り盛りされているのですが、注文を受けてから豆をひいてドリップしているので、とても忙しそうです。応援したいな、と思いますので、休日にはちょくちょく出かけようかな、と思っています。
 
 そのカフェでカプリッチョを聴きました。昨日はベーム盤、今日はサヴァリッシュ盤と言う具合。第9場で、月光の音楽のモティーフが現れるのですが、そのとき歌われるのはオペラ賛歌とでもいうべき内容。月光の音楽の裏テーマは、詩と音楽の融合としての総合芸術であるオペラを讃えるモティーフなのですね。

 サヴァリッシュ盤はモノラル録音なのですが、古めかしさを感じさせない演奏ですね。録音されたのが1957年から1958年にかけてですので、サヴァリッシュさんは35歳ぐらいですね。その歳でシュヴァルツコプさんやホッターさんと仕事をされている。

 サヴァリッシュ盤の月光の音楽は、ベーム盤よりゆったりとしたテンポ取りで、豊かに歌い上げる感じ。執事は、ベーム盤よりもさらりとした歌い方。実は執事の歌がシュトラウスの全オペラの締めくくりなんですよね。シュトラウスの全オペラのリブレットの最後の最後です。

 シュワルツコップさんは、ヤノヴィッツさんより情感が出ている。伯爵夫人の心境を拡大鏡で見せている感じ。ヤノヴィッツさんはもう少し冷静です。どちらを取るか人それぞれかもしれませんね。私はどちらも好きですが。

 イタリア人が登場するあたりは「ばらの騎士」と似ていますね。

 カプリッチョには様々な引用があるそうなのですが、門外漢の僕にはそれをそれとして認識することはできません。ただ、イタリアオペラ風な旋律が幾つも登場している、ということがわかるぐらい。 名曲ライブラリーによると、グルックやラモーから引用されていると言うこと。その二人のオペラは聴いたことないですし楽譜が読めないのでなかなかわかりにくいのですが。頑張ろうっと。

それから、月光の音楽はシュトラウスの歌曲集「小間物屋の鏡」に似ているそうです。こちらも要チェック。

それではライナーからの写真を(もう50年経っているから良いでしょうか……)

Capriccio

若かりしサヴァリッシュさん。

Capriccio

録音風景。へー、こんな感じでレコーディングしたんだ、と言う感じ。今は歌手の方は防音ブースに入って歌われるのでしょうか? ポピュラー音楽だと、ドラムやサックスなどの生楽器はガラス張りの防音ブースに入ってあとで適宜ミキシングできるようにしますけれど……。

Capriccio

ベームさんとシュトラウス先生のツーショット。このお二人とても仲が良かったようですね。

Movie

踊れトスカーナ! 踊れトスカーナ!
レオナルド・ピエラッチョーニ (2005/09/21)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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踊れトスカーナ!(1998) – goo 映画

あー、面白かったですよ、「踊れトスカーナ!」。気分転換に、と思って午後の気怠い時間に見てみました。1時間半の映画なので、疲れることもなく爽快。イタリアらしいラヴ・コメディ。いろいろと小道具や会話に気を遣っています。「愛は、太陽と同じく、昇り沈む」なんていう言葉も出てきたりする。ブーメランは登場人物の再登場を示唆したり(そのまんまですか……)。余り詳しくは書きませんが、途中のはちゃめちゃなディナーの場面では一人で笑いっぱなしでした。面白かったですよ。
にしても、イタリア人はスペイン語分からないんですね。昔聴いた噂(都市伝説?)では、イタリア人とスペイン人はお互いがお互いの言葉をしゃべっていても、日本で言う方言の違いぐらいなもんなので、何とか理解し合えるのだ、と言うのがあったんですが、そうでもなさそう、というのがわかりました。
時代設定は1996年から1997年にかけてのトスカナ地方。フィレンツェにちかい田舎町です。田舎町だけあって、映像は古く感じられます。70年代と言われても分からない感じ。ですが、ばかでかい携帯が登場したりするので、ああ10年前のことなんだ、と言うのが分かります。

この連休、映画を5本見よう! と目標を立てたのですが、これで2本目です。あと3本。みられるかな?

Jazz

SAX

 昨夜は、会社帰りで少し疲れていたのですが、日曜日に行った近所の文化センターでまたサックスの練習をしました。前回はコード進行をPC上のDAWソフトで動かして練習していましたが、PCが重くて仕方がない(いわゆる重さが重いのです)ので、MIDIファイルをAACに変換して、iPodに載せて持って行きました。iTuneは、MIDIをAACに変換することができるのですね。感動です。
 それにしてもスタンダードナンバーの難しさといったら、という感じです。サックスを初めてもう15年で、そのうち5年ほどは吹いていませんので、実質10年ぐらいのキャリアだったりするのですが。まあ、プロになるわけでもないので、致し方ありません。余り自分を責めるのは疲れるのでやめました。ゆっくりつきあっていくことにしようと思います。