今日もベルク。飽きもせず本当に楽しいし刺激的です。どこまで分かっているのか分かりませんが。
ともかく、今日はアシュケナージがベルリン・ドイツ交響楽団を振ったベルク曲集。このCDの白眉は、あの「初期の七つの歌」をオーケストラ伴奏版で聴けると言うこと。「七つの初期の歌」は、オッターさんの以下のアルバムで聴いてはおりました。ピアノ伴奏版ですが。
Alban Berg, Erich Wolfgang Korngold, Richard Strauss, Anne Sofie von Otter, Bengt Forsberg
Deutsche Grammophon ( 1994-03-21 )
Deutsche Grammophon ( 1994-03-21 )
それはそれですばらしいのですが、オケ版だとどうなるのだろう、と思って聴いているわけです。
ところが、これがすばらしい!
シュトラウスの「四つの最後の歌」的な流麗で甘美な音のうねりです。
「七つの初期の歌」はベルクが二十歳の頃に書いた作品で、それだけでもすごいのですが、1928年(四十三歳)の時にオーケストレーションが施されて初演されています。ちなみに、オケ版の出版は死後20年がたった1955年です。そういう意味では、シュトラウスの「四つの最後の歌」(1948年作曲)よりも20年も前にこのオケ版が成立していたことになります。ベルクが進んでいるととらえるか、シュトラウスが保守的だととらえるか。たぶん後者なのだと思うのですが、あとから味わうものにとって、それが何年もののワインであろうとも、旨ければいいわけですので、前後関係を過度に評価しても意味がないのではないでしょうか。
ただ、ピアノ伴奏版においてもシュトラウスの影響を受けていることは確かなようです。私はシュトラウスの歌曲系についてはまだ抑えられていないのですが(また課題が見つかりました! うれしいものですね)、ベルクの歌曲とシュトラウスの歌曲の聴き比べなどをしてみるのも面白いかもしれません。
ともかく、オケ版の「初期の七つの歌」はすばらしい。しばらくは私の癒しの音楽になることは間違いないでしょう。