European Literature,Literature

ふう。3日で読了。
これも、実に読み応えがありました。
「第三の男」を書いた手練れのグレアム・グリーンのスパイ小説は、単なるスパイ小説ではない。
だいたい、主人公のモーリスの妻が、南アフリカで知り合った元工作員の黒人女性であるということが、完全に定石を外した独創性。関係のないエピソードと思ったものが、最後に一カ所に集まって、ぱっと弾け散る様は実に見事でした。
これぐらい骨のある小説だと本当に唸ってしまいます。
スリリングな場面などないのですが、この方がよっぽどリアリティがあります。グリーンは、第二次大戦中に実際に情報機関に所属していたとのこと。官僚的、組織的、スノッブ……。そういうイギリス情報機関の雰囲気が濃厚に漂っていました。
次は高橋克彦氏。私はこの方も大好きなんですねえ。
最近は、アラベラ漬けです。あ、来週、新国のオペラトーク「アラベッラ」を聴いてきます。

Classical

あづい。。。
だが、午後からは暗雲が犇めいている。夜には一雨来るようです。涼しいなら、何でも良いです。
今日はPromsな一日でした。Last Nightは、昨日だったようですが、おそらくはNHKで放送されると思いますので、それ以外の演奏を。

ジャナンドレア・ノセダ

まずは、ジャナンドレア・ノセダがBBCフィルハーモニックを振った演奏会。BBCフィルハーモニックはマンチェスターのオケで、まずはシューベルト「未完成」、シューマンのピアノ協奏曲第一番第一楽章を。
っつうか、シューマンを弾いたFinghin Collins、1977年生まれの33歳なんですが、もたる感じがジャズに聴こえてならないのです。さすがに若いだけあって、やること違うなあ。
それから、面白かったのが、シューマンの「女王メアリー・ステュアートの詩」のオケ編曲版。編曲はRobin Holloway。これ、シューマンっぽくなく、ものすごく現代的にアレンジされているので、聴き始めは違和感を覚えたのですが、いやいや、これはこれでなかなか面白い。
あとは、モツ40。スマートな演奏で、あれ、ここってスラーでやるんだ、みたいな新鮮な部分が何カ所かありました。
Promsの観客は、楽章ごとに拍手しますねえ。あとは、実況中継がワイドショー的で面白い。

ステファヌ・ドヌーヴ

ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルオーケストラをステファヌ・ドヌーヴの指揮にて。ジェイムス・マクミランの「サクリファイス」から「Three Interludes」。
偉くカッコイイですねえ。幼き頃、ただひたすらカッコイイクラシック音楽を求めていましたが、あの頃聴けば卒倒するぐらい感動したんだろうな。今も大好きですが。
「サクリファイス」は2007年に発表されたオペラで、ウェールズ神話を元にしたオペラらしい。マクミランはスコットランドの作曲家で、スコットランド議会の292年ぶりの再開がなった1999年の議会開会式の女王入場ファンファーレを作曲しているらしい。それをフランス人のドヌーヴが選ぶというのもなんだか歴史的背景も相まって興味深いです。
次は大好きな「ローマの松」ですねえ。いやあ、快速テンポが実に気持ちがよい。レスピーギ・ラヴ。ローマに行ったときに、レスピーギの名前が刻まれた聖堂に入ったけれど、あまりに多くの聖堂を訪れたこともあって記憶が定かではないのですが、ちゃんといわれを調べておくんだった。また行きたいが、しばらく無理だろうなあ。やっぱり、「アッピア街道の松」が大好き。観衆があまりに熱狂的で驚きます。きっと、いつもは音楽を聴かない方も来ているんじゃないかなあ。だって、悲鳴にも似た歓声ですから。

おまけ

どれみふぁ・ワンダーランドをみたんですが、この番組もちゃんと観ると面白いです。ワグネル・ソサイエティーが「宇宙戦艦ヤマト」を演奏してました。

Book,Japanese Literature

今日もつれづれ日記。
暑さの戻った関東。フラフラでした。西日本の方が厳しいと思いますけれど、あの頭痛は熱中症に違いありません。
佐伯泰英「居眠り磐音江戸双紙」、三巻まで読了しました。この本は、極上のエンターティメント小説の王道です。やはり、主人公は常勝の正義の味方ですし、江戸市中庶民の悲喜こもごもは、現代社会が投影されていて、他人事とは思えないぐらい。組織と個人の葛藤も描かれているあたりで、会社勤めにとっては合点のいくことばかりです。それから、構成も王道的です。短篇として完結した物語と、バックグラウンドの大きな物語の混交が、読み手を牽引しています。完成度も極めて高く疵が見あたらないです。もちろん、制作上上の都合で、史的事実と離れていることもあるのでしょうけれど、物語内で完結していれば、全く問題ありません。歴史書を読んでいるわけではありませんから。
えーっと、来週の木曜日(9月16日)に、第34巻が発売なのだそうです。マジですか。どうやったら、こんなに長く書けるのでしょうか。凄い持久力。
公式ホームページもあります。
“http://inemuriiwane.jp/":http://inemuriiwane.jp/
ドラマもちゃんと見たかったです。再放送しないかな。
次に読んでいるのは、グレアム・グリーン「ヒューマン・ファクター」。
今聴いているのは、ハイドンの交響曲第96番。NHK-FM「名曲のたのしみ」にて。100曲以上交響曲を書いたハイドンも凄いけれど、中原中也の友人だったという吉田秀和さんが、未だにパーソナリティを勤めているということも凄いこと。少なくとも私が小学校の頃にはこの番組やっていたからなあ。

EWI,instrument,Saxophone


英語の勉強で、天才たちと趣味の関係について書いた記事を読んでいました。ノーベル賞受賞者のほとんどが、趣味を持っていて、絵を描いたり、楽器を弾いたりしていたらしい。
で、自分が楽器をやめたことと、頭の回り具合を比べてみると、なんだか、楽器をやめた途端に、呆けてきた気がしてならない。
やっぱり、やめちゃいけなかったんだなあ。。。
頭の回転と楽器演奏って、相関関係があるんじゃなかろうか。
昔読んだ本にもあったなあ。ピアノをやってた高校生が、学業に励もうとピアノをやめた途端に成績が落ちたっていう話。
再開したいのですが、アンブシェアを鍛え直さなければならないので、しばらくはEWIでアンブシェアを鍛えることにします。しばらくはスクウェアでも吹きまくろうかなあ。
あるいは、シュトラウスのオペラを吹いて自己満足に耽るとか。なにか新しい発見があるやもしれない。

Japanese Literature

今年の正月に、NHKで佐伯泰英さんのドキュメンタリーを見ました。佐伯さんは今をときめく時代小説作家でいらっしゃいますが、ストイックな執筆姿勢や、挫折を乗り越えた人生に感銘を覚えて、代表作の居眠り磐音シリーズを読まねば、と思ってはや8ヶ月。ようやく一冊読み終えました。
いやあ、面白かった!
佐伯さんは20日で一冊の文庫本を書くほどの職人的プロフェッショナルですが、一冊読み終えても、あまりにも疵がない完成度に驚きました。たまに読む邦人小説では、疵だらけ、ということもあるのですが、そうは思えませんでした。実に素晴らしい。
このシリーズ、ご存じのようにNHKでドラマ化されていましたので、私の中ではもう、磐音は山本耕史であり、おこんは中越典子なわけですが、それが実にしっくり来る。ああ、ドラマも良いできだったなあ、と思い出すことしきり。また再放送しないかな、などと。
そういえば、ドラマ版のキャスティングが妙にサラリーマンNEOとかぶっているのは気のせいでしょうか。。。
この本は、私の父親に借りました。父は、佐伯さんの本にはまっておりまして、実家の文庫本棚は佐伯作品であふれかえっております。また借りて参りたいと思います。
時代小説も良いものですね。そういえば、最近読んでいた辻邦生作品も時代物でした。「嵯峨野明月記」、「天草の雅歌」。あとは、永井路子作品にものめり込んだ時代もありましたし、澤田ふじ子作品の「はんなり菊太郎」も好きでしたねえ。意外と時代物も好きかも。良いものに限りますが。

Opera,Richard Strauss

世の中とはままならぬもの。さりとて、打ち捨てるには惜しいほどの美しさに満ちている。だからこそ、世の背理に耐え、艱難を忍び、その向こう側にある彼岸へのまなざしを保持せねばならぬ。
昨夜、今年のベルリンフィルのヴァルトビューネの映像を見ました。フレミングが登場するということで、シュトラウスを歌ってないかなあ、と期待していたのですが、やっぱり歌っていました。それも私がもっとも愛する曲のひとつである「カプリッチョ」終幕の場面。フレミングの「カプリッチョ」はフレミング名義のオムニバス盤で、エッシェンバッハと組んで歌っているものでしたが、ベルリンフィルをバックにフレミングの、まるで伯爵夫人マドレーヌが乗り移ったかのような気迫にあふれた美しく力強く、それでいて正確無比な歌唱を聞いて、久々にゾクゾクしました。この曲、半年までに聴いていたら、涙があふれて大変なことになっていたはず。それが、失われたのが今年の三月以降だと思いますが、昨夜は調子が少し戻ってきた感触がありました。でもまだもう少し。しかし、ベルリンフィルは巧いですねえ。ホルンのドールもよかったですし。コンマス樫本さんが、コンマス席の左隣に座っていました。時代は変わっているんですね。
なんだか最近呆けているのか、絶望しているのか、よく分かりませんが、なんともいえぬ虚無感や無常感に苛まれている感じです。とはいえ、6月に「鹿鳴館」を聴いてから、オペラの実演はお預けですので、耳がなまってしまっているのかも知れません。私の2010年/2011年シーズンは、10月11日の「アラベラ」で幕を開けます。そうすると、また少し何かが変わってくるかもしれません。努力なしに果汁を飲むことは許されませんので。

American Literature

偽りの書、読了。
これも、やはり「ダヴィンチコード」や「天使と悪魔」、「ロストシンボル」などのダン・ブラウンものとよく似た構造です。
この本でテーマとなるのは、フリーメイソンの失われた秘密の言葉でもなく、シェイクスピアの未発見原稿でもなく、カインがアベルを殺した時に使った凶器を捜すというもの。
コミック版スーパーマンの原作者の父親が、ロシア兵だった頃に、スウェーデンで手に入れたカインから伝わる神から授けられた秘密の奥義を手に入れたという設定です。主人公のカルヴァンは、長い間生き別れていた父親と再会を果たすのですが、父親は秘宝を運ぶトレーラの運転手でした。その秘宝を手にいれんとする「預言者」や「判事」と、元警察官のエリス。巻き込まれてしまったカルヴァンは、否応なく秘宝の探求に巻き込まれてしまう……。
話はあれよと進んで行きますが、作者のペースが読者を置いて行くぐらいハイスピードなので、少し戸惑いもありますが、アイディアはなかなか面白いものでした。スーパーマンと、カインとアベルの話を結びつけるなんて、なかなか出来ることじゃありません。
それにしても、小説とは言え、学術的でないにしてもきちんとしたリサーチは必要ですね。この小説もやはりオカルト系ですが、日本人作家で言うと、高橋克彦さんなどを真っ先に思い出します。高校時代にはどっぷりと高橋克彦さんにつかっていた時期もありました。懐かしい。と言うわけで、現在、高橋克彦さんの本を取り寄せ中。楽しみ。

Book

暑いですねえ。私もようやく立ち直ってきました。
気を取り直して、少し遅れましたが、8月に読んだ本一覧です。ミステリーと辻邦生のサンドウィッチ。楽しかったです。

期間 : 2010年08月
読了数 : 6 冊
本・雑誌
辻 邦生 / 新潮社 (1976-07)
読了日:2010年8月30日
シェイクスピア・シークレット (上)
ジェニファー・リー・キャレル / 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009-05-29)
読了日:2010年8月24日
シェイクスピア・シークレット (下)
ジェニファー・リー・キャレル / 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009-05-29)
読了日:2010年8月24日
ロスト・シンボル (上)
ダン・ブラウン / 角川書店 (2010-03-03)
★★★★☆ 読了日:2010年8月3日
ロスト・シンボル (下)
ダン・ブラウン / 角川書店 (2010-03-03)
★★★★★ 読了日:2010年8月4日
嵯峨野明月記 (中公文庫)
辻 邦生 / 中央公論社 (1990-08)
読了日:2010年8月20日

未分類

昨日、やっとプレゼンが終わりました。70枚弱スライド作ってしまい、予定超過してしまいましたが、まあ大過なく終わり。デスクワークとは違った面白さでした。あえて、趣味の話を交えたり、いろいろ工夫しました。ただ、時間が足らない。喋りたいことはたくさんあったので、ついつい早口になってしまいました。まあ、これは仕方がない。
昨日からはマーラーを聞いていました。アバド@ルツェルンの交響曲第六番「悲劇的」を二回、同じくアバドによる交響曲第三番を。昔、うちの奥さんの友人でクラシックが好きな方に、「マーラーを昔聞いていたけれど、最近はリヒャルト・シュトラウスのほうが好きです」といったら「え、普通逆じゃないですか?」といわれたのを思い出しました。この背理に満ち溢れた現世を忘れてシュトラウスの典雅な世界に遊ぶのが大好きでしたので。
でも、いま、僕の中で何かが変わってきているというのも感じているところです。もちろんシュトラウスは大好きで、昨日も「英雄の生涯」を聞いたところですし。何が変わってきているのか、何が原因なのか、を探るのが目下最大のミッションです。