偽りの書、読了。
これも、やはり「ダヴィンチコード」や「天使と悪魔」、「ロストシンボル」などのダン・ブラウンものとよく似た構造です。
この本でテーマとなるのは、フリーメイソンの失われた秘密の言葉でもなく、シェイクスピアの未発見原稿でもなく、カインがアベルを殺した時に使った凶器を捜すというもの。
コミック版スーパーマンの原作者の父親が、ロシア兵だった頃に、スウェーデンで手に入れたカインから伝わる神から授けられた秘密の奥義を手に入れたという設定です。主人公のカルヴァンは、長い間生き別れていた父親と再会を果たすのですが、父親は秘宝を運ぶトレーラの運転手でした。その秘宝を手にいれんとする「預言者」や「判事」と、元警察官のエリス。巻き込まれてしまったカルヴァンは、否応なく秘宝の探求に巻き込まれてしまう……。
話はあれよと進んで行きますが、作者のペースが読者を置いて行くぐらいハイスピードなので、少し戸惑いもありますが、アイディアはなかなか面白いものでした。スーパーマンと、カインとアベルの話を結びつけるなんて、なかなか出来ることじゃありません。
それにしても、小説とは言え、学術的でないにしてもきちんとしたリサーチは必要ですね。この小説もやはりオカルト系ですが、日本人作家で言うと、高橋克彦さんなどを真っ先に思い出します。高校時代にはどっぷりと高橋克彦さんにつかっていた時期もありました。懐かしい。と言うわけで、現在、高橋克彦さんの本を取り寄せ中。楽しみ。
ブラッド・メルツァー「偽りの書」