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椿姫のこと、ブログに書きそびれていましたが、ヴェルディが幾分か苦手な私でさえ、めちゃめちゃ感動しました。思いがけずに目が涙に浮かぶところまでいったので、相当なものでした。というのも、それはヴィオレッタを歌ったチョーフィーとジェルモンを歌ったガッロによるところが大きいのです。
第二幕前半でヴィオレッタとジェルモンが対峙したところ、あの緊張感は一生忘れないと思います。ガッロがマジ顔で顎を引いて低音を歌い出した瞬間の恍惚といったらありませんでした。ちょうどその場面をガッロの顔を双眼鏡見ていたのですが、あまりの気迫に鳥肌がたちました。チョーフィーのほうはといえば、冒頭ではピッチに乱れがあったように思いましたが、ぐんぐん調子をあげていきました。第二幕も素晴らしかったけれど、第三幕で瀕死のヴィオレッタを歌ったところ、あの神がかった死の場面は、本物のヴィオレッタが乗り移ったかのようでした。最後、死ぬ寸前に「痛みが消えたわ! 私生きるのね!」と歌うところ、あれは、たまらない。鬼気迫る歌と演技に痺れました。
しかし、第一幕で愛を高らかに歌われてもあまり共感出来なかったのですが、第二幕から俄然面白くなりました。経済問題、世間体、もつれあった愛憎、嫉妬、やっかみ、勘違い、悟り、後悔、赦し……。ヴェルディのオペラの過酷な現実ドラマは極めて素晴らしいです。
広上さんもよく振っておられたと思います。粘りのある情感ある音つくり。だが広上さんが舞台に上がるとブーイングが。対抗するブラヴォ。これは最近の新国でよくある構図です。しかし、あれは誰に向けられたブーイングなのか、は語るまい。
僕は、もともとはシュトラウスの中期以降の洒落たオペラが大好きですが、やっとヴェルディへの道が開けてきた気がします。ちょっとうれしいです。
次はマノン・レスコーに行く予定。