Philharmony

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先週の土曜日、あるかたからチケットをお譲りいただいて横浜みなとみらいホールにて日本フィルの定期演奏会に行ってまいりました。
* ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
* ラヴェル:ピアノ協奏曲
* ドビュッシー:交響詩「海」
* ラヴェル:バレエ音楽《ダフニスとクロエ》第2組曲
指揮:広上淳一
ピアノ:小菅優
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
久々のオーケストラのコンサートでした。席はほとんど最前列で、指揮者の真後ろ。さすがにこの列になると、オケ後方の金管や木管は聞こえにくいですが、最大音量の迫力はもうなんともいえないもの。幸福でした。
フランス音楽に詳しい友人がいることもあって、なんだかフランス音楽を聴いて云々するのは昔から苦手でした。いきおい、自分から聞く機会も少ない。そういう意味では、今回のコンサートはすごく新鮮で楽しかったです。
まあ、良く言われるように、ドビュッシーは印象派的であるというわけですが、そういう御仕着せな連想は当然浮かぶのは仕方がないです。ラヴェルの「ダフニス」は、大好きですので、幸福感絶頂です。冒頭、鳥の鳴き声がたくさん聞こえて楽しいです。田園や巨人とはまた違う鳥のさえずりでした。
ラヴェルのピアノ協奏曲、久々に聴いたのですが、ジャズ的といわれているとおり、ガーシュインと見まがうテンションフレーズで、ニヤリと笑ってしまいました。
指揮は広上さん。予定されていたピエタリ・インキネンが来日できず、急遽登板でした。すこし粘っこさのある音作りではありますが、それは同じく2月の新国立劇場「椿」での広上さんの指揮を聞いたときも少し感じました。しかしながら、それ以外の違和感を感じることはなく、逆に、弦楽器を緩く歌わせるあたりは、実に感動的で、涙を流してしまいました。ダフニスとクロエなんて、もう私自身が溶融してしまった感じ。
岡田暁生氏の「音楽の聴き方」に「音楽は見て分かることもある」という一説がありましたが、あれ、まさにその通りです。舞台がすぐ傍にありましたので、演奏者が何をやっているのかつぶさに見ることができました。そういう意味でもすごく楽しかったです。やはり実演はいいですね。ですが、今後はそうそう行くこともできなさそうで、落ち込んでいる次第。
最後、日本フィルが、被災地で音楽活動をするとのことで協力を促すスピーチがありました。その中で広上さんは「自粛を自粛しよう」とおっしゃっていました。こういうとき、真っ先に切られるのは文化活動ですので、我々も自身でできる範囲で何かしら支えていく努力が必要だ、と思いました。原発問題も経済復興も大切ですが、そうした動きに何かしらの違和感を感じてしまうのも事実ですので。
あとは、あらためて思ったのが、客層の平均年齢が高いということ。これは少し残念。新国立劇場でもそうですが。音楽全体が力を失っていますが、クラシックもその中にあって、ますます力を失っているセクターでしょう。何をすればいいのか。文化全体を考えるだけではなく、社会全体を考えないといけない。コンサートホールやオペラハウスに閉じこもっていてはいけないのだなあ、と思います。