ばらの騎士について書こうと思っていましたが、下書きが手の届かないところに言ってしまいました。元帥夫人を歌ったベーンケについて書こうと思いましたがそちらは明日に致します。
今日は、岡田暁生氏が書かれた「音楽の聴き方」という本について。中央公論社新書ですので、私のように音楽の専門教育を受けていないものでも楽しめるように、そしてなによりとても勉強できるような作り方になっています。
この一週間ほど、通勤時間で集中的に読んだり、気づいたところを拾い読みするなどして、楽しんでいます。通勤時間は会社勤めに残された最後のリゾートですので、十分に楽しめています。
詳しくは本日は書きませんが、最後に出てくる岡田氏がまとめた虎の巻的音楽の聴き方のなかから一つだけ。岡田氏曰く、良いものばかりを見るのではなく、あまり良くないと思われる演奏や作品と触れることも大切なのだとか。よく、「良いものばかり聴いていれば、善し悪しは自然とわかる」というようなことが言われますけれど、やっぱり何かしらできの良くない演奏を聴くことも重要だと思います(もちろん自由な範囲内で)。私はこれを大学時代に体得していたようです。
あとは、アドルノのトスカニーニ批判の話が出てきたり、岡田氏自身の希有な体験を読めたり、と本当に読んでいて楽しいです。
年度始めは本当に忙しいです。普通なら決算で山を超えるのでしょうけれど、私の現状から言うと。地震対応や、みずほ銀行対応などに従事した結果、仕事が降り積もっていて大変です。まあ、仕事があるうちが良いのでしょう。
音楽の聴き方がわかる本
やはり感動した新国立劇場「ばらの騎士」 その2
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今回の公演で、私がもっとも楽しみにしていたのが、フランツ・ハヴラタ氏。
氏については、先日もブログに書きましたが、私がシュトラウス最後のオペラ「カプリッチョ」にはまるきっかけとなった映像にラ・ローシュ役で出ておられたのですね。この映像、2004年にパリのオペラ座で収録されており、指揮はウルフ・シルマー、伯爵夫人はルネ・フレミングという豪華さ。ロバート・カーセンの演出も言うことがないものでした。
フランツ・ハヴラタ氏、ラ・ローシュの遠大なモノローグを朗々と歌い上げ、すごく格好がいいんですが、その方がオックス男爵をうたうとどういうことになるのか? とても楽しみにしていたのです。
結果ですが、前回2007年のばらの騎士でオックス男爵を歌ったペーター・ローゼは、上品過ぎたのだ、ということが分かりました。
ハヴラタの演技は、それはもうすさまじいほどの田舎者っぷりで、抱腹絶倒。部屋の奥のほうでベッドに倒れこんだとき、足をハの字に広げてベッドに倒れこむのが見えるんですから。まあ、演出演技なんだろうけれど、あそこまで自然体で巧くやられてしまうと、こちらも、ためらいなく笑ってしまう。
それから、彼の目つきがまたすごい。なにかどんよりと曇っていて、覇気がないながらも、油断なく辺りを見回す抜け目のない男、という感じのオックス像を描き出していました。
歌もいいですなあ。カプリッチョの映像で聞いたハヴラタの声より、実際の声のほうがエッジが聞いていて、それに加えてつややかさもあるのですから、ちょっともうこんな声を聞いてしまうと、普通の声が聞けなくなってしまう。発声法が故なのか、体格が故なのか。
ハヴラタ、カーテンコールではもうすさまじい拍手とブラボーの嵐でした。私もちゃんとブラボーと叫びました。また大好きな歌手を見つけてしまいました。
また、会社休んで行きたいぐらいです。無理だけど。