★x4:美声にもほどがある──フォークト「ヘルデン」その1
はじめに
新国立劇場6月のパフォーマンス「ローエングリン」で、ローエングリンを歌うのがクラウス・フローリアン・フォークトです。
https://museum.projectmnh.com/2012/05/21220422.php
先日もご紹介しましたが、この方のアルバムを購入しました。
しかし、すごい方です。フォークト。
めちゃ声がきれいですね。若者若者している声です。
最初聴いたときには少し引いたのですよ。ここまで、きれいだと、なんだか箸にも棒にも、という感じで。
ですが、二回目聴き終えたときに、いや、これがいいのだ、と得心しました。
辻邦生理想論
話は少しそれるのですが、1999年に私が敬愛する辻邦生(小説家)が亡くなったとき、追悼記事が出ました。
趣旨としては、「辻文学は理想を求めすぎているからダメだ、という意見があるが、そうではない。今の日本文学には理想がなさ過ぎるのだ」というものでした。
ついつい世の中を泳ぎ渡ると、濁り水にも慣れてくるものですが、こういう清澄な歌声で癒されるのも良いものだと思います。
あるいは、このアルバムで定期的に洗浄しないと、どんどん汚れてしまう気もします。
歌い方など
やはり、ローエングリンが気になりますね。四曲目に、第三幕から「名乗りの歌」が入っていますが、これは本当に良い予習です。、マイスタージンガーかrの「朝はばら色に輝き」も良いですね。
ワルキューレでジークムントが歌う「冬の嵐が過ぎ去り」は、少し違和感がありました。どうもジークムントは、こんなに純粋な声の持ち主だとは思えない気がするのです。人間的にはドロドロで、終いには、妹であるジークリンデを愛してしまう、という英雄ですので。世の芥を知り尽くし疲れ果てているのがジークムント、みたいな。
これは、私の完全な主観ですけれど。
歌い方、入りのところを少し力を抜くのですが、そのあとスッと力をかけて、巧く離陸する感じの歌い方です。これが、なにか柔らかさとかすがすがしさの厳選の一つだな、と思います。
明日は、指揮のシュナイダーのことを書きます。
それでは、You have.
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