行ってきました、下野竜也指揮読売日響でブルックナー交響曲第5番。
みんな大好きブルックナー。
私も大好きです。でも、さすがにみんなに聞こえるぐらい大きな音で、ブル5第二楽章を鼻歌を歌う方がいるのには驚きました。
アウフヘーベン
それにしても、今回はこの曲のことをよりいっそう理解できた気がします。
第四楽章の冒頭で、第一楽章と第二楽章のテーマが出ますが、それをクラリネットが否定するんですね。
一語、「否」、みたいな。
で、クラリネットの否定に屈して、弦楽器がフーガを奏で始める、という構造。
ほんと、弁証法的です。
確か、ベートーヴェン第九の四楽章もそんな感じで、止揚していくんですよね。
本当にドイツ的だと思います。
論理的
そんな、論理的なドイツ音楽を下野竜也さんは、論理的緻密さで構築しきっていたように思います。もう本当に隙のない論理性で、マチュピチュの石垣のようにナイフが隙間に入らないぐらいぴったりと組まれた石組みの構造でした。
あとは一つ一つの石組みをきちんと見せてくれました。たとえば、ゲネラルパウゼの長さが残響を意識して取られているなど。
そのため、くっきりと鮮やかに個々の構造が見て取れたと思います。
ただ、私の勉強不足なんですが、そうすると全体の流れを捉えるのが難しくなったなあ、と思いました。自分が何処にいるのかはわかりますが、その場所がどういう意味を持つのか、認識するのが難しかったように思います。
テンポはかなり緩く、インテンポ。もちろん、加速するところは加速しますが、過度なテンポチェンジはありませんでした。こういう淡々としたところも論理的に思えた所以と思います。
でも、さすがに最終楽章最終部はみんな熱くなっていて、ビオラの方が凄くうれしそうに弾いていたのが印象的です。
ホールの音
全体の音量、音圧が小さく思えたのは、ホールと私の席のせいでしょう。今日もいつものように一番前で聴いたので、金管の音が頭上を抜けていったように思いました。以下のウェブでもそうしたことが指摘してあります。もうすこし後ろの席にすれば良かったのですね。
http://www.zankyo.com/hall/tokyo_detail.html
ステージから離れる程、両サイドの壁が遠くなって行くため、1・2階の中央席で聴くと音が頭の上を通過するようで落ち着かない。比較的高い壁のある2階の両サイドの席が、音が鮮明で落ち着いて聞こえる。
恐怖のエスカレータ
さて、先ほどの記事でも触れたように東京芸術劇場に来るのは久しぶりでした。恐怖の直線エスカレーターは以下のように作り替えられていました。
上から見るとこんな感じでした。やっぱり怖いかも。。
明日は縁あって上野に出張るかも。。
それではまた。