時よ止まれ、か。
連休二日目。久々の雨の日に屋内に滞留してしまった一日。
で、ビデオに録っていた紅白歌合戦の復習を。日頃あまりテレビを見ませんし、日本の一般的な音楽の状況をおさえてはいませんので、ほとんど音楽ハイライトを見るような感じで見ています。正直、ピコ太郎とかも、十二月に入って初めて知ったような状況でして。。
でこちら。椎名林檎「青春の瞬き」。
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うーん、なんだか、すごいパフォーマンスだったと、改めて。何度も何度も見返してしまいました。
ベースの亀田誠治さんとか、ギターの浮雲さんとか、巧すぎて卒倒するし、アレンジも抜群で、エンディングに向けてピアノのリフがどんどん転調していくところとか、本当に素晴らしい。途中、「時よ止まれ」の場面でブレイクするところも、ありがちなんだけれど、バックの映像と相まって本当にかっこいい。椎名林檎の声は少し消耗気味なんだけれど(それは本当にそうなのかもしれないしそういう演技をしているかもしれない。椎名林檎のパフォーマスは字義通り受け取ってはならない、と思ってしまう)、その少し病的な声質でさえ、何かこのパフォーマンスを構成する一つの重要な要素であるかのようにも思えてしまう。
繰り返しになりますが、映像美も素晴らしい。都庁で中継しているんですが、かなりの人数のエキストラを動員し、加えて、合成映像で自在に背景の都庁が揺らぎ、煌く。ダンサー二人が都庁の上から降りてくる、という設定もなんだか空恐ろしい。椎名林檎とダンサー、バンドメンバー含めておそらくは喪服と思われる衣装を着ていて、それは何かしらの事案を想起させるもので(ここには書きにくいことなので書きませんが)、あのストーリーをそこに読み取ることで、歌詞の意味が際立ってしまいます。ダンサーはほとんど冥界から蘇ったような風情すら醸し出していて、生と死の間際のような、儚さ、悲しさ、危なさのようなものを感じるわけです。司会は「夢の世界をどうぞ」と言っていましたが、それは夢だとしても、決して初夢のようはものではなくて、悪夢すれすれのものであるとすら言えるのではないか、とも。もちろん、東京オリンピックに向けた映像も流れるのですが、何か断絶のようなものも感じたり。もう勝手な解釈なのですが、それもやはり世間に放たれたパフォーマンスが背負うものなのでしょうから、ここには述べない限りにおいて許されることと思います。
とにかく、紅白歌合戦で見られるパフォーマンスとしては、本当に本当に感動してしまい、今日だけで、6回ほど繰り返し見て、その後もAppleMusicで繰り返し。ただ、AppleMusicの音源では、ギターソロがなく、やはり紅白のバージョンのライブならではの感覚が素晴らしいかと思いました。
久々の雨の夜。寒く静かです。昔見た夢にこんなのがありました。芸術を志した者のうち、選ばれたものが100年間自由な時間を与えられ、再び戻ってくることができる。まるで時を止められるように。神童とか天才とかは、そうやって神童とか天才になるのかも。
それではみなさま、おやすみなさい。
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