暗く蒼い闇の中で──アバドのマーラー交響曲第5番

冷え込んだ朝でした。とにかく、久方ぶりの冬という感じでした。とはいえ、いつもの冬のおとずれより随分と遅き感じです。

とはいえ、どうやら明日から日の入りの時間は早くなるようです。今日の東京の日の入りは16時27分。明日は16時28分です。代わりに、というわけではないですが、日の出の時間はまだまだこれから遅くなります。

本当に夏が楽しみです。ただ、この秋にかならず身体を壊すというのは、広義の夏バテではないか、と疑ってるもいます。気をつけないと。

で、寒い朝、仕事場に向かう電車て聴いたのが、アバドの降るマーラーの5番。

この曲、さまざま解釈があるのだと思いますが、アバドの演奏から痛烈に感じたのは、官能と死という言葉でした。愛情とはそういうものなんでしょう。結局、最後は、何かしらの死で終わるわけです。最近読んだ辻邦生「黄金の時刻の滴り」を読んで、何か感性の間口が広がってしまったようです。人間の原初的なものを、特に第1楽章と第2楽章に感じた気がします。恐れ、妬み、悩み、苦しみのような感情が、直接心臓に差し込んできたのでした。第3楽章以降は明るい色調に徐々に彩られつつあるのですが、今は、それよりも第1楽章と第2楽章を聴きたいです。

アバドの指揮は、この退廃とも言えるような、暗く蒼い闇の中に冷たく光る石畳と銀色の街灯が連なる街の風景を思い起こさせました。あるいは夢の中に出てくる見知らぬ街の記憶なのかも知らないです。もう一人の自分が住む街とも言えそうです。

明日の夜から東京は雨のようです。冷たい雨になりそうです。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。