
ばらの騎士を聴き続けています。
それにしてもこれは素晴らしいオペラ。そして演奏がとても難しいと言うオペラでもあります。私はこのオペラ何度か実演を聞いています。もう20年も近くの前のことになりますが。新国立劇場で素晴らしい演奏を聞いたのは一生の思い出と思います。華やかなオペラで、貴族社会をコメディーで書いているように思いますが、実際のところは、美と滅びを描いているとも言えるわけで、歳を重ねれば、重なるほど、こうした観点で味わい深さを覚えますし、学びも多いような気がします。
シュトラウスは、自らの思想を音楽に託すことがあるように思います。最後のオペラであるカップリッチにおいては、文章で書けば良いようなオペラ論を、オペラの演奏の中に埋め込んでいます。これはもはや、書籍にも通じるような思想がオペの中に入っていると言うことだと思います。もちろんリブレットをホフマンスタールが書いているわけですが、そのリブレットを選び、音楽をつけたのもシュトラウスで、台本に描かれない心の動きを微細な音楽で描くと言う事は、もはや文字を超えたものですので、それだけで思想書以上の思想でもあると言えると思います。
そんなことを考えながら、ハイティンクのフル録音を聞いていました。
それでは。
