Classical,Richard Strauss

夜勤明けの始発電車に乗っています。窓の向こう、薄暮って、こういうのを言うんだろうなあ、という感じです。
東の空が水平線の方からじわりと淡い光を帯び始めていて、薄墨色から桜色へと変化していきます。
この数日ですっかり変身しましたよ。
まず夜行性になりました。さらに、ダイエットにも成功しました。
素晴らしい効果です。結構満足。

さて、マゼール指揮の「ツァラトゥストラはかく語りき」を聞いています。

いやー、ほんとシュトラウスっていいですわ。

この絶妙な不協和音の波に溺れてしまいそうです。つうか、溺れたい。

リズムも結構複雑なんですよねえ。ちゃんと読みたい。

マゼールは雄大でいながら鋭いです。キリッとした味わい。

あとは録音が秀逸です。エッジが聞いた音質が素晴らしいです。

さて、そろそろ社会復帰と夜行性からの脱皮をしたいところですね。明日からは昼間へ戦場を移します。

Classical,Concert

東京フィル 特別演奏会「グレの歌」を聞いてきました。

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「グレの歌」の初演は1913年2月23日なんだそうです。つまり、ちょうど今日で100年に当たります。

音響

難しい曲です。編成が大きすぎて、実演での音響が難しいのでしょう。

オペラであればピットの中にオケを入れますので、オケと歌手のバランスが取れるのですが、舞台にオケをあげるとバランスを取るのが極めて難しくなります。

ワーグナーなどのオペラの場合、ピットの床をさげて音響のバランスを取ります。またバイロイトでは、そもそもピットの上に蓋がしてあって、音のバランスを取ります。

なので、これだけの大編成と歌手を一度に舞台に上げること自体がむずかしいと言うことなのです。歌手の方の声量という議論もありますが、それだけではないと感じます。

強力なはずの新国立劇場合唱団も曇った音になってしまいました。舞台の一番奥からなので私の席まで届かなかったのでしょうか。

これはオーチャードホールならではの問題でもあると考えました。

音が回っていて芯がなくなっているのです。

私が座ったのは、一階の少し後ろの方でした。今日の座席配置でいうと前から20列目ぐらいです。ちょうど二階の張り出しの下にかかるかかからないか、というところです。席特有の問題なのでしょうか。

これがPA通しているなら、PA卓でグリグリボリュームを動かしたい、と心底感じました。

やはり一番前にしておくべきでした。席をとったのが昨日でしたので、座席をほとんど選べなかったのです。悔いが残ります。

演奏について

演奏の方ですが、こうした事情もあるので私に評価できるかどうか。あえて書くのは控えます。

そんな中ですが、山鳩を歌った加納さんが素晴らしかったのがとても印象的です。音響の問題をくぐり抜けて私のところまで芯のある声が届きました。感動です。

オケも良く鳴っていて圧巻でした。ハープ四本とか、クラリネット七本とか、普通にはあり得ない編成でしたので、オケの多機能性にあらためて驚きました。

楽曲について

「グレの歌」を実演で聞くのはもちろん初めてです。予習は小澤盤、インバル盤で行いました。レコーディングのバランスに慣れてしまい、前述の通り音響に違和感を覚えたのでしょう。

楽曲的には、所々で「神々の黄昏」が聞こえました。マーラーから土俗民謡性を差し引いて、さらに無調を推し進めたようにも聞こえました。

あとは。。。

どうでもいいのですが、第一部演奏中に一階後方客席でトラブルがあったらしく、休憩中は慌ただしい感じでした。そうした出来事も気分に影響したみたいです。

珍しくエラソーですいません。ですが、これは誰のせいでもありませんので、書いて見ることにしました。

大入り袋

今日は、大入りだったようで、大入り袋に入った切手を頂きました。ありがとうございます!

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終演後

終演後、懐かしい渋谷タワーレコードに行ってみました。多分五年ぶりぐらいです。七階のクラシック売り場は模様替えしていましたね。

この売り場の優れているのは、書籍売り場かも。音楽書や楽譜を見比べられるのは快感でした。

明日は、骨休めの予定。

BelinerPhilharmoniker

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若かりし頃のアバド。

1996年のジルヴェスターコンサートです。

ベルリン・フィル・デジタル・コンサートホールにて。

FBで勧められていたので、夏休みで時間があるのでついつい見入ってしまいました。

 

ハンガリー舞曲、なんか、漆黒のサラブレットが駆けているような。脈打つ筋肉の波動が見える気がします。あとは洒脱さ。微妙にテンポを動かして

 

それで、めちゃ若いシュテファン・ドール。いやー巧い。

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コンマスは安永さん。オーボエにはシェレンベルガーが入っています。こんなかんじで吹いておられたのですね。

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その後のラ・ヴァルスもすごい。この官能の波。19世紀への惜別。

アバドの指揮は、テンポを微妙に動かして、ためとか遊びを作り出しています。指揮棒も流れるように、なめらかな弧線を描いています。弦のポルタメントもなんか享楽的で泡沫的な風情をよく表しています。

 

なんだか、この曲を聞くと、来るべきオーストリア帝国の没落なんて夢にも見ないで芸術をめでた世紀末ウィーンの儚さに思いいたってしまいます。これってなんだか今の日本に似ているのかも。

この映像、感動したんですが、逆に落ち込んだ気もします。。これを映像でしか見られないなんて。。これって、日のささない地下室で南国の太陽を夢見るのと似ているので。。

Anton Bruckner,Concert,Symphony

行ってきました、下野竜也指揮読売日響でブルックナー交響曲第5番。

みんな大好きブルックナー。

私も大好きです。でも、さすがにみんなに聞こえるぐらい大きな音で、ブル5第二楽章を鼻歌を歌う方がいるのには驚きました。

 

アウフヘーベン

それにしても、今回はこの曲のことをよりいっそう理解できた気がします。

第四楽章の冒頭で、第一楽章と第二楽章のテーマが出ますが、それをクラリネットが否定するんですね。

一語、「否」、みたいな。

で、クラリネットの否定に屈して、弦楽器がフーガを奏で始める、という構造。

ほんと、弁証法的です。

確か、ベートーヴェン第九の四楽章もそんな感じで、止揚していくんですよね。

本当にドイツ的だと思います。

 

論理的

そんな、論理的なドイツ音楽を下野竜也さんは、論理的緻密さで構築しきっていたように思います。もう本当に隙のない論理性で、マチュピチュの石垣のようにナイフが隙間に入らないぐらいぴったりと組まれた石組みの構造でした。

あとは一つ一つの石組みをきちんと見せてくれました。たとえば、ゲネラルパウゼの長さが残響を意識して取られているなど。

そのため、くっきりと鮮やかに個々の構造が見て取れたと思います。

ただ、私の勉強不足なんですが、そうすると全体の流れを捉えるのが難しくなったなあ、と思いました。自分が何処にいるのかはわかりますが、その場所がどういう意味を持つのか、認識するのが難しかったように思います。

テンポはかなり緩く、インテンポ。もちろん、加速するところは加速しますが、過度なテンポチェンジはありませんでした。こういう淡々としたところも論理的に思えた所以と思います。

でも、さすがに最終楽章最終部はみんな熱くなっていて、ビオラの方が凄くうれしそうに弾いていたのが印象的です。

ホールの音

全体の音量、音圧が小さく思えたのは、ホールと私の席のせいでしょう。今日もいつものように一番前で聴いたので、金管の音が頭上を抜けていったように思いました。以下のウェブでもそうしたことが指摘してあります。もうすこし後ろの席にすれば良かったのですね。

http://www.zankyo.com/hall/tokyo_detail.html

ステージから離れる程、両サイドの壁が遠くなって行くため、1・2階の中央席で聴くと音が頭の上を通過するようで落ち着かない。比較的高い壁のある2階の両サイドの席が、音が鮮明で落ち着いて聞こえる。

 

恐怖のエスカレータ

さて、先ほどの記事でも触れたように東京芸術劇場に来るのは久しぶりでした。恐怖の直線エスカレーターは以下のように作り替えられていました。

 

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上から見るとこんな感じでした。やっぱり怖いかも。。

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明日は縁あって上野に出張るかも。。

それではまた。

Classical

さしあたり、今日から夏休み。小旅行を幾つか予定中。やりたいことがたくさんあるが、どれだけできるかな?

まずは毎日音楽を聞いてブログの更新をしたいと思います。

こちらは、先日広島の友人にいただいたカキ。大粒で大変美味でした。

 

 

今日聞いているのはシベリウス二番をセーゲルスタムの指揮にて。夏に聞くと涼しい曲ですが、冬に聞いても格別です。ドイツ音楽と語法が違います。逆にドイツ音楽の特殊性がわかるのかも。相対主義。

ではまた明日。

Symphony

2013年も二日目。今日も両親に挨拶に参りました。

毎日食べて飲んでの生活ですので、きょうは1時間ほどウォーキングしました。

 

BOSEのクワイエットコンフォートをはめてiPod touchをながめながら歩くのは危険すぎるのですが、プロコフィエフが面白くて面白くて、いろいろ調べてしまいました。

本当に、面白いですね。あんなに苦手な感覚を持っていたんですが、聞いてみると、オネゲル、ストラビンスキー、ショスタコーヴィチが登場するなど、聞けば聞くほど味わい深いです。

 

もっと時間かけて聞かないとわからないのでしょうけれど。

 

交響曲第二番に着目すると、私はここでオネゲルが聞こえて仕方がなかったのです。それもあの交響的断章第一番「パシフィック231」ですよ。

この「パシフィック231」は、御存知の通り、蒸気機関車の名前でして、蒸気機関車に火が入り、汽笛を鳴らし、最初は動輪を空回りさせながらも、徐々に速度をましてひた走る、という鉄道ファン垂涎の音楽(なはず)です。

まあ、銀河鉄道999の冒頭のシーンをクラシックでやっていた人が100年ほど前にすでにいたということです。

プロコフィエフの第二番でも、オネゲルの「パシフィック231」のように、音がバラけて、機関車が停止するシーンを彷彿させる部分があったりしますね。

まあ、音楽的解説を書けないと意味が無いんですが。

オネゲルの「パシフィック231」が1924年、プロコフィエフの交響曲第二番が1925年です。その頃パリに滞在していたプロコフィエフは、絶対に意識したはずです。

小澤征爾のこの交響曲全集が宝の山に見えます。

また明日も聞く予定。

Symphony

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

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今年の初日の出は、雲の影から出てくる感じで、今ひとつ綺麗に写すことができませんでした。

今年も音楽を聞いて音楽を「書ける」ようになるべくがんばりますので、どうぞよろしくおねがいします。

現在、新春にはあまり似合いませんが、プロコフィエフを聞いています。なかなか気が乗らなかった交響曲全集を引っ張りだしてきて聞いています。

ドイツ音楽に慣れた耳には、今のところ全く構造が理解できていない状況で、混沌としたものに聞こえますが、聴きこめば聴きこむほど得られるものが大きいと踏んでいます。

若いころ、あんなに聞けなかった曲なんですが、ようやくわかるかも、というところにはやってこれたようです。

ショスタコーヴィチも聞こえますが、オネゲルが聞こえることもあります。

まだこれからですね。

それでは、

Classical

1月のプレミアムシアターの予定を。オペラはありません。

http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

1月14日(13日深夜)

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団日本公演

ベートーヴェン全曲演奏会 第1弾

<2012年11月26日収録>

  • 交響曲第4番変ロ長調作品60
  • 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」

<2012年11月27日収録>

  • 交響曲第1番ハ長調作品21
  • 交響曲第2番ニ長調作品36
  • 交響曲第5番ハ短調作品67

1月21日(20日深夜)

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団日本公演

ベートーヴェン全曲演奏会 第2弾

<2012年11月30日収録>

  • 交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
  • 交響曲第7番イ長調作品92

<2012年12月1日収録>

  • 交響曲第8番ヘ長調作品93
  • 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」

1月28日(27日深夜)

  • ベルリンフィルのジルヴェスターコンサート2012
  • ドレスデン国立管弦楽団のジルヴェスターコンサート2012

 

ドレスデン国立管弦楽団っていうのは、シュターツカペレドレスデンのことだと思います。この「国立」という表記がいつも気になります。いまは州立なはずなんですが。ウィキペディアでは、現在もドイツの州の自治が強く国的要素が強いので、州立であっても国立と表記するのである、とありますけれど。細かいことですね。すいません。

Symphony

写真はサントリーホール前。今年ももう終わりですか。

もう時の速さに驚くこともなくなりました。

ですが、四半世紀前のことがまざまざと思い出されるのには驚きました。

先日の日フィルの定期演奏会で聴いたチャイコフスキー交響曲第四番ですが、幼き頃よく聞いていたのですね。確かFMシンフォニーコンサートのエアチェック音源で、山本直純が解説していました。

山本直純は、「この曲は暗い。日本人は暗い曲が好き。だから日本人はこの曲が好きである」と述べておられたと思います。

で、この曲聞くうちに、あの頃の記憶がふつふつと。なんだか昔の自分と対話している気分になりました。

こういうのがいわゆるマドレーヌの挿話なんだろうなあ、と思います。

指揮はマイケル・フランシス。長躯を活かしたダイナミックな指揮は見事。緻密な統率力で日フィルサウンドもいつも以上に引き締まっていました。最終楽章の高速フレーズは圧巻でした。

 

今週末は仕事になりました。まあ、ひと気のないオフィスでの生産性は半端ないので、楽しみです。

すいません。ソンツォーニョの件は日曜日に書きます。

ではまた明日。

Book,Classical,Japanese Literature,Literature,Murakami Haruki

今月の贅沢。Microsoft ナチュラルエルゴノミクスキーボード。

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トスカのことを書くのが久々の長文だったので、肩こりがひどくなってしまいました。せめて家では楽に文章を書きたいので試してみることにしました。

 

この本、以前から気になっていたのですが、図書館で見つけていそいそと借りて読んでいます。

驚きに満ちた本で、久々に感動しています。

小澤征爾の半端ない半生はもちろん、村上春樹の衒学的とも言える造詣の深さ。村上春樹ってジャズ畑のかたで、若い頃はジャズバーを持っていたぐらいなんですが、クラシックのききこみ方、こちらも半端ないです。小澤征爾もたじたじな場面もあったり。。

やはり天才は何をやっても天才なんですね。

それにしても思うのは、小澤征爾の人柄です。回想の中で、いろんなビッグネームに可愛がられたり仲良くなったりする話が出てきます。バーンスタイン、カラヤンはもちろん、クライバー、ルビンシュタインなどなど。フレーニやパヴァロッティとも親しいのですね。

小澤征爾が、「レコード・マニア」を余りよく思っていないということも。曰く、高いお金出してオーディオセットなんて買うけれど、お金を持っているということは忙しいと言うことで、結局音楽を聴く暇がなく、実は音楽について分かっていないのである、とのこと。

申し訳ありません。

私の人生、なんども変わっている気がしますが、この本でも変わったかもしれない。

これからは今まで以上にもっとまじめに音楽を聴いて、言語化していかないと、と決意を新たにしました。

そう思えるぐらい充実した一冊でした。大変おすすめです。

 

※ 本当かどうか分かりませんが、ウィキペディアによれば、小澤征爾の名前のうち「征」は板垣征四郎の「征」、「爾」は石原完爾の「爾」なんだそうです。

それではまた。