Opera,Richard Wagner

Tristan Und Isolde

Tristan Und Isolde

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なんか、急に重い《トリスタンとイゾルデ》を聴きたくなりました。重くて甘いのはバーンスタイン盤ですが、あいにくApple music で聴くことができないので、別の思い演奏を、と思い、バレンボイム盤を。

そういえば、私、バレンボイムの来日公演で《トリスタン》を聴いているんですが、あまり記憶がないわけでして、覚えているのは、ルネ・パぺの素晴らしいマルケ王のことばかりでした。ひたすらに、NHKホールのSprawl な会場のシートに身を沈め、聴いたのですが、それはそれは体調が悪かったなあ、と…。

ワーグナーは聴く人の体調を要求するなあ、と。誰しもが思うことですが、あれは修行に他ならないです。

でこの演奏もやはり、重い。フルボトルの重く濃密なワイン。酒石の結晶を含んだ濃厚なワインのような。この演奏、多分、聴きすぎると二日酔いするほどのもの。その場は甘美だか、少しずつ少しずつ、高揚と引き換えに理性を奪われ身体を明け渡していく。そんな感じ。危険。それが、人間の本性だとしたら、極めて危険。だが、そうだからこそ、この曲は、後世を二日酔いにして、まだ、そこから醒さない。酔った男は数多。

そんな演奏に思います。

ただ、こうした音楽に対する感想というものは、どうしても主観的で、必ずしもわかりあうことができないものなのではないか、という疑いを感じずに入られません。定量化のできない、まさに個々人に取っても主観的な判断であり、その時々の体調によっても左右されるような、そんなゆらぎはかない判断を書くことに何の意味があるのでか。確かに、反省的に考えると、バレンボイムが重い、というのはもしかすると私の臆見かもしれません。バレンボイムの弟子であるエティンガーの降った《こうもり》の重さの記憶があるからです。

ですが、それにしても、さらに演奏に耳をすますと、このテンポの緩め方は本当に重厚なものです。ひどく重い感覚を呼び起こすのです。まるで、足かせをはめて歩くような。ですがこの重みこそ、何か重いものを持ち上げたり、あるいは重いものの上に横たわったりするときに感じる安心感のようなものをさえ感じるわけです。それは恍惚としたもののような高揚で、繰り返すのも憚られるものの、それでも繰り返すとすれば、それは、明らかに静かで深く重い酩酊でしょう。深く重い酩酊。そのまま眠りにつけば、そこで命を奪われるような。

なんか変な感じになってしまいましたが、つまるところすごい演奏でした、ということです。しばらく《トリスタン》を色々聴き比べてみたいなあ、と思いました。

酔って書いているわけではありませんが、長々とすいません。おやすみなさい。グーテナハトです。

Fauré, Gabriel Urbain

まだ、辻邦生がご存命だった頃。本屋に出かけて、思いがけず辻邦生の新著を見つけた時に幸福感と言ったら筆舌に尽くしがたいものがありました。

1999年に亡くなられてからしばらくはご遺稿が何冊も出版されましたが、それも終わり、続いて、奥様の辻佐保子さんの著書が二冊出ました。それがこちらです。

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「たえず書く人」辻邦生と暮らして (中公文庫)
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いずれも、Kindleで読むことができるようになっています。

「辻邦生のために」の方は、Kindle版を買っていなかったので、今朝、電車の中で購入しました。もちろん紙の本は読んでいますけれど、いつでもどこでも読めるようになったのはなかなか感慨深いものがあります。

いろいろと興味深いことが目白押しなのですが、今の天皇皇后両陛下が、どうやら何度か辻邦生の軽井沢の別荘に訪れていた、と思しき記述を見つけました。

皇太子時代の夏休みに毎年のようにご一家で山荘におでかけ下さったことを記念して

No. 708

なるほど。だから、軽井沢高原文庫で開催された辻邦生の展覧会に、両陛下がお越しになったというわけなんですね。特に皇后陛下は辻邦生がお好きだった、という記事をどこかで読んだことがあります。

しかし、人間というもには、日々新たな決心をするのですが、それを実現することができる人は限られているということなんでしょうね。ともかく、性急な改革は必ず失敗しますから、粘り強く、じわりとことを進めていきたいものです。

では、おやすみなさい。グーテナハトです。

Johannes Brahms,Movie

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先日、風の強い日に噴水が強風に煽られ波立っていたので撮ってみました。石で固められた都会にあって、こういう池や噴水の水にはホッとします。

今日は一日中フルスピードで頭を動かして、仕事場を出てからも、とあるインターネットプロバイダーに苦情を言いながら契約を更新するなどしたもので、なかなかヘビーでありました。

帰宅の電車では、こちらを観ているところです。前から見たいと思っていましたが、Amazonプライムビデオに入っていたということで、通勤電車でも見られるようになったという感じ。

まだ見ている途中ですが、設定としては、ビーチャムハウス、という、おいた音楽家のための老人ホームが舞台です。これ、ヴェルディの作った老人ホームにインスパイアされているんだろうなあ。

老オペラ歌手が、オペラについての講義を学生たちにしている場面があるのですが、本当にいいことを言っているなあ、と。曰く、かつてはオペラはぶっ飛んだ若者がやっていたものだが、いつしか、上流階級のものとなり魂を奪われた。それは、まさにラップと同じく、言葉に乗せて人生の痛みを語るものなのである、みたいな感じだったか、と。ちょっと翻意が入っていますけれど。

老オペラ歌手が、黒人の若い男性にラップを歌わせるシーンは、ちょっとジーンときます。

カルテット!人生のオペラハウス [DVD]
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映画は、90分から120分の間に、プロットをギュッと詰めますので、とても勉強になりますね。人生勉強にも文学の勉強にも。

今日はこちら。今日、感銘を受けたのは、第一楽章最後のティンパニーの打撃。あの加速度的な破壊力は本当に何かがほとばしっています。それから、第四楽章。これも、鋭さを持ちながら、厚みのある音作りで、何か民族的なものを思わせる悲しみに満ちたテーマが、絶妙なテンポ感で料理されていくさまは本当に圧巻です。クライバーは本当にすごい指揮者です。

ブラームス:交響曲第4番
ブラームス:交響曲第4番

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まあ、こう考えると、先日書いた、以下の引用が身にしみていて、それを今更やっているんだと思います。

たくさんの本を読め 、できるだけたくさんの映画を見よ 、せいいっぱい音楽を聴け 、たくさんの人に会え 、多くの経験を積め 、そして空想の羽ばたきに身をゆだねよ !自由を楽しめ !

で、若さは相対的概念である、という点も含めて。頑張らないと。

ではおやすみなさい。グーテナハトです。

Fauré, Gabriel Urbain

Photo

きっと今年最後の紅葉です。他の木々はずいぶん葉を落としました。いよいよ冬も本番でしょうかね。

フォーレ:レクイエム/ペレアスとメリザンド
モントリオール交響楽団 デュトワ(シャルル) モントリオール交響合唱団 ミルンズ(シェリル) テ・カナワ(キリ)
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家族が寝静まったあとの一人の時間に、蒸留酒を飲みながら、フォーレ《レクエイム》と《ペレアスとメリザンド》を、デュトワ&モントリオール交響楽団の演奏で。

《レクイエム》よりも後半の《ペレアスとメリザンド》の方が本当に印象的。伸びやかで、ゆったりとした演奏。大きくて優しく柔らかい演奏。それでいて切迫する感情の迫力のようなものも感じます。私はもっと先鋭的な演奏を想像していたのですが、この演奏の素晴らしさにとても驚きました。

私のデフォルト音源はミシェル・プラッソンの盤なんですが、デュトワのねっとりとした、官能的とも言える演奏は、この劇の持つ、幻想的な妖しさのようなものを一層引き立てる気がします。

===

ところで、将来記憶を呼び起こすためには、日記を書いたり写真を撮ったりします。今日は先だって親から送られてきた若い頃のアルバムをざっと見直してみました。ほとんど覚えているような気がしますが、一部覚えていない記憶もあり、少し驚きました。

今から見返すと、様々なことを反芻して思い出すわけで、まるで牛が反芻して記憶を消化しているようなものなのかもしれず、ある意味においては、催眠療法のような効果があると考えています。先だって見たテレビで、中井貴一が真剣な顔つきで、「自分の演技は、10年ぐらい経たないと、見返せない」みたいなことを言っていた気がします。こう言う反芻もやっぱり10年ぐらいスパンでやらないと逆効果なのかもしれない、などと思ったり。

そういえば、10年前に書いた文章が先日突然MacのFinderに表示されて、中身を見ると、めちゃいいこと書いてあって、恐ろしくなったりして。でも、今の自分が書いたわけじゃないので、今さらどうこうすることもできず、みたいな。

というか、こう言うことを考えるようになったというのは、齢を重ねた、ということなんですね、みたいな。

それではまた。おやすみなさい。グーテナハトです。

Richard Strauss

リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタは、なかなかの難敵で、まだまだ聞く余地があるのですが、Apple Musicで色々探すと、こんな名盤を見つけました。

Franck/Strauss: Violin Sonatas
Franck/Strauss: Violin Sonatas

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Franck Dumay Lortie
Onyx Classics UK (2013-03-12)
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デュメイとルイ・ロルティによる録音。2012年発売の音源でした。

デュメイの音の甘さと豊かさには、本当に驚かされるばかりでした。弦をこするかすかな音にさえ、甘みが満ちているのには驚くばかりです。

私は、このアルバムにも収められているフランクのヴァイオリンソナタを、デュメイ、ピリスの音源で親しんでしましたので、なんとも言えない懐かしささえ感じました。

フランク:ヴァイオリン・ソナタ
ピリス(マリア・ジョアン) デュメイ(オーギュスタン)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2007-09-05)
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実のところ、ドイツ音楽を、フランスやイタリアの音楽家が演奏するのが好きだったりするので、このアルバムは本当に正解でした。

今週は、この曲ばかり色々な音源で聴いているのですが、オケとは違う楽しみです。

おまけ。

こちらの本、この面白さと興味深さは半端ないです。最近の読書傾向としては、色々な本を並行してゆっくり読む、という感じになってます。もう二週間も前に買ったものですが、まるで連続ドラマを観るような感じで、読んでいる感じ。学生の頃のように、徹夜して読む、なんて頃が懐かしいです。

双生児(上) (ハヤカワ文庫FT)
クリストファー・プリースト
早川書房
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今日のところは、内容には触れません。ネタバレになりそうなので。

それでは、皆様お休みなさい。グーテナハトです。

Johannes Brahms

今日、ふと思ったこと。

ハイティンクの音楽のように生きられればいいなあ、と。抑制的で、均整がとれた美しさを保った音楽のように。

わかりにくい直観ですが、そもそも、人を変えるものは論理ではなくていかに腹に落ちるか、にかかっています。腹に落ちればそれで良いのでは、と思います。科学でも哲学でもなく、それが文学の仕事の意味なんだろうなあ、と思いました。

こちら。ハイティンクのブラームス。当たり前なんだけど、美しい。気づくことのない仕掛けが埋め込まれていて、だけど、何かハイティンクらしい落ち着きを感じさせるような。こういう美しさが理想なんだろうなあ。前へ前へと進む生き方も大事だけれど、進むことを感じさせない生き方みたいな。ただ、それを叶えられる人は限られている、とも思ったり。。

Symphonies 1-4 / Double Concerto
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London Symphony Orchestra
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今日は短く。おやすみなさい。

Richard Strauss

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今日の東京地方は、急に寒くなりました。コートを着込んで、落ち葉を踏みながら散歩をしたり。いよいよ冬の始まりですね。しばらくは天気が悪いようですが、その後は、きっと冬の蒼天が訪れることでしょう。

今日はこちら。

NHK-FMのきらクラを聞いていたところ、シュトラウスのヴァイオリンソナタが紹介されていたので、Apple Musicで早速聞いてみました。

選んだところ、アラベラ・美歩・シュタインバッハーのアルバムが出てきて、ちょうど、今日、北ドイツ放送管弦楽団の演奏会で、シュタインバッハーがメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを弾いているのを見ていたこともあって、様々なシンクロニシティを楽しみました。

きらクラでは、第三楽章を三舩優子さんが絶賛しておられたんですが、いや、本当にいい曲です。

ソナタということで、ヴァイオリンとピアノで演奏されているのですが、音数が多く、ピアノ四重奏かあるいは、ヴァイオリンコンチェルトを聞いているかのような気分になってしまいます。

室内楽を極度に拡張したもの、とされていますが、これ以降は、シュトラウスは室内楽を締めくくり、交響詩やオペラへと進んで行くことになります。

作曲されたのは1887年から1888年にかけて。23歳から24歳にかけてです。天才です。

しばらく、繰り返して聞きたい曲だなあ、と。エマニュエル・アックスとイツァーク・パールマンの録音もApple Musicにあるようですし。

明日からまた平日ですね。世界の変化も激しいですが、私の周りも変化がたくさん起きています。まあ、やるべきことを淡々とやるだけです。

それではみなさまおやすみなさい。グーテナハトです。

Johannes Brahms

Photo

秋らしい風情となりました。私は物理はよく知りませんがこの規則的な文様はきっと波と同じ原理で形作られているんですよね、きっと。物理の時間に三角関数を使って波動の力学を習った記憶がありますが、おそらくはそれと原理は同じだったりするのかしら、などと思ったり。高校時代の古典の先生が、理系だからといって子分をやらないのは、理系ではなく怠け者系だ、なんてことを言ってましたが、私もそうかもね。

というわけで、いつもようにウィキで調べてみました。これは、大気波と呼ばれる重力波によって生じるものなのだそうです。

波の波紋と同じ現象が大気で起きるものということで、原理としては重力の作用によって力学的平衡状態にある媒質が、異なる密度の媒質中に変位したとき、重力を復元力として再び元の平衡状態に戻ろうとする過程で、媒質の界面で発生して界面に沿って進む波動ということのようです。

なるほど。。ウィキには数式も出ていますが、どうもそこは歯が立ちません。

さて、お世話になっている方が、今年のハイティンク&LSOの公演が素晴らしかった、とおっしゃっていました。

私も、もしかしたら映像を録画しているかも、と思い、調べてみたら、なんとちゃんと録画してありました。

ハイティンクのブラームス交響曲第1番は、ハイティンクらしい抑制された美しさに満ちていました。この静謐で目立たないようでいて、なおその中にある品性とか高貴さとか、そういう良心を感じるという演奏は。だからと言って、マンネリな演奏というわけではなく、透き通るような演奏の中に、時折強い光が差し込む瞬間があって、ああ、本当によく練られた演奏なんだなあ、と思ったのです。

こちらは、ハイティンクとLSOによるブラ1の参考音源です。

Symphonies 1-4 / Double Concerto
Symphonies 1-4 / Double Concerto

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ハイティンクの演奏がいいなあ、と思い始めたのは、多分2010年に聞いた《ニーベルグングの指環》をバイエルン放送管弦楽団を振った演奏を聴いてからだと思います。

Wagner: the Ring
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この抑制の中にも鋭さを兼ね備えた演奏がじわじわと身にしみいってきて、それ以降ハイティンクをよく聞くようになったのだと思います。

ちなみに、スピード重視でいろいろやってますが、なんだかなかなか癒えないものもあり、明日はゆっくり休んで英気を養わないと、と思います。

それではみなさまおやすみなさい。グーテナハトです。

Miscellaneous,Richard Wagner

image

いや、ほんとうにすいません。夏休みシリーズということで、普段行けないところに行っているのですが、今日は関東某所のIKEAに行ってきました。

2年ほど前にも行ったことがありますので、今日が2回目。

で、建物の中に入ったとたんに妙な感動が。

えーっと、ドイツの空港の匂いがするのですね。これ、なんですかね。ドイツっぽい匂い。むんむんくる、ドイツの匂い。

この匂い、べつにビールの匂いでもなく、ザワークラフトの匂いでもなく、塗料とか接着剤とか、そういう化学的な匂いなのです。

それだけで、もうテンションが最高潮に沸騰してしまいました。

レストランでもハイテンション。なんだか、ドイツの美術館とか、大学のメンザの雰囲気がさく裂していて、無駄にたくさん注文してしまいました。でも2年前に行ったときに比べて、食事の値段は上がったような気が。円安ですから仕方ないのかなあ、と思っています。

売っている品も、なかなかおもしろくて、美術館を見ているようでした。ちなみに、いつものように、家族はどんどん先に行ってしまい、私だけじっくり見る、というパターン。これも、美術館に行った時と同じパターン。

しかしなあ、IKEAは商売がうまいですよ。順路が固定されていて、その順に歩いていくと、購買意欲がどんどんそそられていくのですから。最初に、部屋のコーディネート例をいくつも見せられるのですが、これが本当におしゃれで、狭い空間を本当にうまく使って、しゃれたコーディネートができますよ、というプレゼンテーションになっているわけです。その後、そこに使われていた製品順路上に何度も何度も登場します。フロアもまさに美術館のように順路で構成されていて、IKEAの意図通りの順番で商品を見て回るということになるわけです。

(ちなみに、抜け道がいくつかあるので、それがわかるとなお面白いのですが。)

先ほども言ったように、順路に従って歩いていくと、いろいろな商品が繰り返し登場するのですが、子供向けのぬいぐるみなどは、アクセントのように随所に現れ、子連れ客はその都度その都度対処が大変そうでした。全然関係のない売り場に突然ぬいぐるみが売っているコーナーが出てきますので、サブリミナルのように、何度も何度も子供に刷り込まれるという感じ。食器売り場のぬいぐるみにご執心になってしまった子供に困ったお母さんの独り言がみみにはいってきたのですが、「ここで売っているわけじゃないのかな、あ、でもバーコードついてるから、買っても大丈夫そうだね」なんてことを言ってました。

極めつけは、展示フロアの2階から、倉庫のある1階へ降りたとき。そこにも、なぜか子供向けのおままごと道具がディスプレイされていて、「あれ、買い忘れてません?」というIKEAのメッセージを感じたりしました。

この繰り返し繰り返し現れるというのは、まるでワーグナーのライトモティーフのよう、なんて。いやいや、欧州人はそういう構築美には長けていますから、共通するものがあったりして。

でも、ホスピタリティは十二分だと思います。素晴らしいなあ、とおもいました。やはり、二度来てもらうためには、お客を楽しまさなければなりませんし、失礼があってもよくないわけで、そういう意図はいろいろと感じて、さすが!、と思いました。

というわけで、北欧にちなんだ楽曲を。といっても、ワーグナー。

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スウェーデンの生んだ名歌手、ビルギット・ニルソンによる≪トリスタンとイゾルデ≫。まったく化け物のような楽曲なんですが。今日は、そこから最後の愛の死を聞いています。やっぱり、巧いのですが、なにか醒めた冷静さのようなものも感じたり。ベームもベームらしい雄大なもの。古き良き欧州って感じです。

それではまた。おやすみなさい。グーテナハトです。

Johannes Brahms

一日中ダッシュしてなんとか仕事を終えました。明日からまた5日間の休暇をいただくことになりまして。。

大まかな部分では問題ないんでしょうけれど、多分細かいレベルで色々やり残したことはあるんだろうなあ、と思いながら、そんなこと思うのは、社畜というか家畜というか、という感じでもあり、なかなか複雑な心境です。

ただ言えることは、おそらくは3日経つと仕事を忘れるということです。

今日はこちら。マゼールのブラ1。

ブラームス:交響曲第1番
ブラームス:交響曲第1番

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いや、本当にマゼールはすごい個性です。みなさんご存じのとおり、あれ、そうする? みたいな驚きがあります。

この、テンポの揺らぎ、なぜ、こうするのか、私には全く理解できません。どういう発想なのか。でも、それがなんだかすごくかっこいいわけですね。

私にはこれはもうほとんど現代アートのようにしか思えません。当たり前、と思うものを思いっきり捻じ曲げて見せるような、そういう価値の転倒を感じます。

それにしても、この指揮についてクリーブランド管弦楽団もすごいなあ、と思います。もちろん、慣れているというのもあるでしょうし、リハなどできちんと合わせていたりするのかもしれませんが。プロの恐ろしさを感じます。

先日、オケをやっている方とメールで少し話しましたが、やはりオケを遣っている方は、聞き方が違うなあ、と思います。その彼は「音楽の聴き方は百人百様だからね」と言ってましたが。思わず、村上春樹と小澤征爾の対談の件その1その2を俎上に載せようと思いましたが、思いとどまりました。

多分、彼なら、もっと違う見方で、クリーブランドの偉大さを語れるような気がします。

この問題、最も悩んでいるところかも。

では皆様、御休みなさい。グーテナハト。