行って参りました、ティーレマンのブルックナー。
結論から先に申し上げます。いやあ、凄かった。ティーレマン、渋い、と言われますが、それが分った気がします。
16時に開演までオケのメンバーはステージに出ていない。開演のアナウンスの後、楽団員が入場。軽い拍手のなか入場してくる。チューニングは2回。終わって、舞台のの緊張度が高まったところで、ティーレマンが登場。ティーレマンを観るのは初めてだったのだが、その体格の良さに驚く。スポーツ選手のような体格の良さ。背が高くがっしりしていて、ロボットのようだ。
最初のコントラバスのピッチカートもほんの少しタクトを振るぐらい。本当にゆっくりとしたスピード。それは音符のスピードでもあるし、休符の長さでもある。第一楽章は、本当に丁寧にゆっくりとした演奏。タクトは最小限の動きしかしない。あとはティーレマンが腰をかがめて音量のニュアンスを告げている。そうした遅さに負けることなくオケはきちんと解像度の高い音楽を見せてくれる。ほとんど室内楽的なまとまりといっても言い。
第二楽章、冒頭はオーボエ、次にファゴットが加わり、クラリネットとフルートが加わって、弦楽器にバトンが渡される。この冒頭のオーボエがすばらしい。第三楽章の第一主題はかなり早めなテンポを取るのだが、第二主題はすこし遅めになる。きちんとコントロールされている感じだ。
第四楽章、第一楽章と第二楽章の主題が繰り返される。それから弦楽器のフーガがすばらしい。弦の音がとても綺麗で溶けてしまいそうなぐらい。そしてここに最大の見せ場が用意されていた。テンポは第一楽章のそれより明らかに早くなっているし、音量も徐々に高まっていく。第一楽章から第四楽章まで徐々に音量が大きくなり、テンポも加速していっているのだ。そしてコーダーの荘重な速さへ。第一楽章の主題が戻ってくるのだが、明らかに強い緊張感とともに戻ってきているのが分る。このあたりで初めて意図が分る。ティーレマンは第一楽章から第四楽章へ向かう長い坂道を登っていたのだ。
時間だが、概算で計って以下の通りである。
第一楽章:約28分
第二楽章:約23分
第三楽章:約14分
第四楽章:約27分
他の指揮者と比べてみると、以下のようなグラフになる。
- 青が第一楽章、紫が第二楽章、薄黄色が第三楽章、薄緑色が第四楽章。
- 単位は秒。
- 繰り返しの有無や版の違いなどで時間が変わっていることも考えらえる。
- 今回のティーレマンのライブの長さは、時計を観た概算なので、ブレはあると思う。
- いずれにせよ、遅い部類に入ることは確実。
驚いたのは、チェリビダッケよりも長いんじゃないか、ということ。確かに、第一楽章のあのテンポの遅さは並ではなかった。
また聞きに行きたいな、ティーレマンのブルックナー。