イタリア紀行2007 その39 サントマ広場での食事と、フラーリ教会
ドゥカーレ宮殿を見終わって、ザッカリアの浮き桟橋へ戻って、大運河グランカナルを遡ってサン・トマへ向かう。グランカナルは、さしずめ街の大通りと言った感じで、ゴンドラはもちろんのこと、ヴァポレット、水上タクシー、宅配業者の輸送ボート、警察のボートなどが行き交っている。
ヴァポレットの後部座席に座ってのんびりとサン・トマへむかい、トラットリア・サン・トーマで昼食。広場にせり出した座席に座ると、太陽の光を浴びられて気持が良い。後ろには英国の奥様方が笑い声を立てて食事をしていて、前の方では若いカップルがミックスフライをつまんでいる。相方はラビオリを、私はイカスミのパスタを。興が乗って、ミックスフライとムール貝を頼んだら値が張ってしまい少ししょんぼり。昼食とはいえやはりヴェネツィアの物価は高い。観光地値段だなあ。でも美味しいので可。
サントマの教会の入り口の前でイベリア半島系の黒い髪の男ギターを弾いているのがみえるのだが、食事を終えた若いカップルが帰り際にギターの男に紙幣を渡している。パフォーマーにお金を渡すことなんて、日本では滅多に見かけることもなかったが、若いカップルの優しさ、あるいは習慣に少し感激する。
腹ごなしに街を歩いていると、突然高い鐘楼を持ったフラーリ教会の前へと出てくる。ここにはティツィアーノの「被昇天の聖母」があるというので、少し高い入場料をはたいて入ってみる。正面祭壇に掲げられた絵に対面。昇天する聖母の躍動感が伝わってくる。美術館にある絵も素晴らしいが、教会に所期の目的と共に掲げられる絵も素晴らしい。特に祭壇画ともなると、絵そのものの美しさに加えて、厳粛な空気が、絵を見る者にさらに大きな感歎を与える。
フラーリ教会前の広場が静かなたたずまいでとても気に入る。小運河にかかる太鼓橋に、揺らめく波間の光が反射している。人通りはすくなく、運河にも船は入ってこないし、他の都市なら聞こえてくるであろう自動車の音などもちろん聞こえないから、本当に静かである。こうした街が未だに残っていることに感動を覚える。ヴェネツィアの美しさは風景だけではなく、静穏な空気にもあるのだ。
ディスカッション
ニョッキさん、コメントありがとうございます。私も生きている内にイタリアには行ったみたくて、やっと願いがかなったという感じでした。のんびりとしたいい旅行になりました。イタリアに何故行きたかったのか、記事に書いてみようと思っています。
こんばんは。
イタリアの風景、いいですね。
私は一度も行ったことがありませんので生きているうちに一度はいきたいと思ってます。
イカ墨のスパゲティーも美味しそうですね。
一番下の写真(橋があるやつ)は私が一時期東京自由が丘に住んでいた頃、近くにこれとそっくりな一角がありました(たぶん真似しているんでしょうね)。