Opera,Richard Wagner

ニーベルングの指環の予習を最近行っているのは、昨日の通りだけれど、あらすじやリブレットを読んだり、DVDを見たりして思ったのが、登場人物のうち誰に感情移入できるかなあ、ということ。

全体を通しての主人公は、緒論はあると思うけれど、ラインの黄金ではヴォータンで、ヴァルキューレでは、ジークムントとブリュンヒルデだろうか。ジークフリートでは、もちろんジークフリートで、あるいはブリュンヒルデもそうかもしれない。ラインの黄金では、主人公はジークフリートとブリュンヒルデとなるだろう。

じゃあ、誰に最も感情移入できるだろうか、と考えてみると、今のところジークムントなのである。味方を失い、父、つまりはヴォータンともはぐれてしまい、フリッカの諫言でヴォータンに見放され、ブリュンヒルデの同情を得てフンディングを倒せるも、命を落としてしまうとは。あまりに可哀想なキャラクタ。しかし、それでも男らしく振る舞う姿には涙がこぼれてしまう。ジークリンデとの禁じられた恋愛もあまりに切なすぎて、という感じ。こういう可哀想なキャラにどうしても惹かれてしまう。

しかし、本来はジークフリートが全体の主役級で、ジークフリートの英雄性に惹かれなければならないのかもしれないけれど、どうしてもジークフリートには感情移入が出来ない。

理由は二つ。一つ目はサヴァリッシュ盤のDVDの演出の先入観が強すぎること。ジークフリートはルネ・コロが演じていたのだが、なんだか図体の大きいわがまま息子みたいな演出がつけられていて、あまりに純朴で複雑な心の機微など持たないようなジークフリートだったのである。

もう一つなのだが、まだ指環ビギナーなので、この時点でこういった断定をしてしまうのが危険なことは分かっているけれど、ジークフリートは浅薄な図体だけ大きなわがまま力持ち、といった感じを受けてしまっている。魔法の薬を飲まされて、ブリュンヒルデを忘れてしまうとか、易々と背中を攻撃されて死んでしまうとか、あまりに失策が多いよなあ。

まあ、これからいろいろ演奏を聴いたり、演出を見たりしていくことになると思うのだけれど、こうした先入観が消えて、ジークフリートを正当に評価できるようになりたいものである。

でも、今はジークムントだなあ。頑張って欲しい、ジークムントには。