リサ・ゴールドスタイン「太陽と月のアラベスク」

 1995年に購入した本。14年間書棚に眠っていましたが、週末、富士山の行き帰りの電車やらバスやらで読了しました。一緒に日本最高峰にまで行ったと言うことになります。

舞台はエリザベス女王(一世)統治下のロンドンで、妖精達の戦いが始まるという奇想天外なファンタジー。歴史公証はしっかりしているのに、そこに巧く妖精といったファンタジー要素を組み入れた秀逸な作品でした。妖精話にありがちな取り替え子のモティーフを組み入れたり、錬金術やら拷問やら、古き時代の雰囲気が巧く伝わりました。推理小説的、ミステリ的な要素もあって、プロットの流れは実に良かったですし、場面の切り替えのセンスも良かったです。結構巧い作家だと思います。

こういう歴史とフィクションの融合に眉をひそめるかたもいらっしゃるようですが、私は嫌いではありません。中学生やら高校生の頃は、ファンタジーものを何冊か読んでいましたので、なんだか懐かしい気分でした。あの頃は相当はやってましたねえ。グイン・サーガーとか、ザンスとか。ハヤカワFTの薄黄色の背表紙が懐かしいです。