辻邦生「西行花伝」にみる「捨てしをりの心」
西行の味わい深い歌を。
捨てしをりの 心をさらに 改めて 見る世の人に 別れ果てなん
「世」、をどうとるか、によって、さまざまにとることのできる味わい深い歌です。
その心境を「昂ぶった、晴れやかな、勇気に凛々と満ちた心」と西行花伝には書かれています。「世を捨てる」とは、浮世を捨てて、浮世から外に出ようと決心した瞬間で、身体がみるみる大きくなり、巨人のようになり、小さな浮島のような現世をじっと見つめているのだ、と。
なにか、新しいことに取り掛かろうとする気持ちが漲っている感じ。
(辻邦生の和歌の解釈はいつも素敵です)
所詮、浮世は浮島のようなもの、という比喩が「西行花伝」の中で語られます。あるいは、沢山の浮世があって、人々は小さな浮島の中で、喧々諤々としているだけなのかもしれない、と思います。
今日も浮世でいくばくか
果ても知らずに
思うこと多々
明日も浮世でひとつの山を迎えます。山越えは厳しい。
みなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。
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