マーラー交響曲第9番をラトルの指揮で聴く

2020-06-19

やれやれ、1週間が終わりました。いろんな意味で終わったという感覚も。

仕事のあとの静かな時間は、マーラーの9番をラトルの指揮で。ベルリンフィルを振った比較的新しい盤。AppleMusicでありがたく。

ラトルの、振幅のある、ある種生々しい躍動が、聴くほうの心の振幅に共鳴して、心臓の周りを音楽の膜にぴったりも覆われている感覚。

第一楽章の後半に、トロンボーンとフルートの二重奏(多分)があるのですが、あの部分、本当に恐ろしい。「復活」を思わせるメロディをフルートが吹いたあとに、悪魔的な執拗さでフルートを追いかけ、揶揄し、遮るトロンボーン。天使を追い回す悪魔ではないか。そんな感覚を覚えるのです。復活を妨げようとする悪魔。それに負けずに、天使は空を舞う、というような。

何かしら悪魔的な要素は、どこにでもあって、戦い続け、そうやって第一楽章最後に到る静謐は、戦いの疲れを癒す牧歌的風景であるかのような気がします。アルカディアの風景。

しかし、そこにはパンがいるのですが、そのパンこそが、キリスト教にあっては悪魔の原型ともなるという相対性があるわけですが。悪魔か天使か。それは価値観と解釈でしかないのでしょうけれど。

ともかく、このマーラーの9番に織り込まれた静謐は、砂漠に染み込む水のように心に入り込んできます。それだけは現時点では唯一の真理です。

というわけで、もう一度聞き直しながら、今日の夜更を楽しもうと思います。

みなさまも良い週末の夜をお楽しみください。

おやすみなさい。グーテナハトです。