Jazz

最近、新しい音楽に出会いたいなあ、と思い、Apple Musicで提供されているさまざまなプレイリストを聴いています。ざーっと聴いて、これは、と思う曲を見つける喜びは、なにか、大都会の雑踏なかですれ違う人の中に一人はいるであろう、話も合い、気もあう友人候補を見つけるのに似ています。

必ず、満員電車にのる1000人の中に、一人はそういう人がいるはずですが、絶対に会うこともありませんし、言葉を交わすこともなく、自分の手持ちのカードを見せることもなく、過ぎ去っていくわけです。私の懐にしまわれたカードは、おそらくは51枚を超えるはずで、隣にいつも座る白髪のサラリーマンは、おそらくは100枚以上のカードを持っているはず。

そんなことを思いながら、多くの音楽を聴いていました。

今日は、昼休みに近所の書店に行きました。最近は、新書本を眺めるのが好きなのです。集英社新書で、三島由紀夫と永井荷風に関する新刊が出ているなあ、とおもったその時に、耳に入ってきたのが、何か、ポリリズムのようなリズムと、アカペラのグルーヴ。それは聴いたことのないもの。

なにか普通の音楽とは思えませんでした。このミュージシャンがスナーキ・パピーと共演していたことを知って、あ、そういえば、スナーキ・パピーのようでもある、ということは、あとから思ったことです。

プレイリストは「ジャズでチルアウト」というもの。ですので、一応はジャズミュージシャンが演奏していることになっていますが、ジャズを当然逸脱しています。いや、ジャズというのは逸脱する歴史ですので、この逸脱は妥当であるのですが。

とっさに、ミュージシャンを確認枝葉としたところ、手が滑ってしまい、別の曲を再生してしまったのです。iPhoneのミュージックアプリは、アルバム単位、プレイリスト単位では、履歴は見られるのですが、アルバムやプレイリストの中でどの曲を聴いたのかはわかりません(私はしらないのです)。あわてて、プレイリストの曲を一曲一曲確認するのですが、なかなか見つかりません。

時が過ぎること十数分、やっとみつけたのがこちら。ジェイコブ・コリアーの「Djeese」からAll Night Long。

アフリカ的リズムから始まりますが、リズムは何度も何度もその色彩を変えます。まるで、色彩の海を高速航海しているような気分。通底するテーマはあるのですが、その色彩は、幾重にも幾重にも花開き、万華鏡のようにその世界を自己増殖させていきます。ボーカルはどうやらコリアー本人。多重録音で世に出た方なので、どこまでコリアー本人の演奏かは分かりませんが、どうもベースは本人ではないか、と。実に巧い。

こちらにその記事が。

https://www.cdjournal.com/main/news/jacob-collier/81280

いやあ、すばらしいです。

アルバム全体も帰宅しながら聴きましたが、クラシック音楽的な要素も含みつつ、なにかプログレロックのような物語性を感じる曲ばかり。しばらくは何度聴いても飽きないぐらい濃密な世界に満ちあふれています。天才というのはこういうものなんだ、と改めて思います。天才には天才の苦悩があるとは思いますが、ここまで自在に音楽を操れるというのは本当にすごいですし、きっと楽しくもあるんだろうなあ、と思いました。2011年からYoutubeで有名になり、2016年にクインシー・ジョーンズに見いだされデビュー。2017年にグラミー賞。やれやれ、無知を深く恥じます。

リンク先にすごい写真がありました。

http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/10280

ハービー・ハンコック、クインシー・ジョーンズ、チック・コリアと、このジェイコブ・コリアーが並んで写っている写真。おそらくは、彼らに並び立つミュージシャンになっていくんだろうなあ、と考えざるを得ません。

今日は、実質的な仕事始めと言うことで、朝から極めてブルー。ディープ・ブルーな一日でしたが、この音楽を聴いたことと、一昨日紹介した「グッド・フライト、グッド・ナイト」をずいぶんと読んだと言うことで、夜になって気分が良くなりました。まあ、明日になるとまた深い深いマリアナ海溝ほどのブルーな気分に苛まれることいなるんですが。

と言うわけで、みなさまも寒い日々をどうかご自愛ください。おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

休みに入って1週間近く経っています。幸い、扁桃炎の再発も抑えつつ過ごしています。大掃除をまあまあやりましたので、今日は少し養生。明日は予定があるので、今日が休息も最後かな、と。

たまっていた仕事もなかなか片付きません。結局スプレッドシートを使った仕事をしようとすると、どうしてもExcelを使いたくなりますが、我が家ではMac中心の設定になっていますので、Excelをつかうにも、仮想マシンを立ち上げてどうこうしなければならず、かなり作業効率が落ちていました。

それで、正月休みにしかできないぐらい作業負荷が高いと思っていた、かつてのWindowsデスクトップマシンを2年ぶりぐらいに起動してみました。それで、なんとか動きまして、やれやれ、と言った感じです。Excelも快適に使えそう。さらに、とても助かったのは、あやまって削除してしまったと思っていたファイルが見つかったことです。こうしたファイルをクラウドにあげておいたほうがよい、と考えているのですが、クラウドはクラウドでコストがかかりますので、どうしたものかなあ、と思っているところです。

今日はこちら。大掃除をしながらApple Musicのジャズのプレイリストを聴いていて見つけたアルバム。パオロ・フレスのTempo di Chet。おそらくはチェット・ベイカーに捧げられたアルバム。フレスはイタリアのトランペット奏者。サルジニア生まれだそうです。何というか、欧州のジャズは、アメリカのジャズとはひと味違う洒脱さがあるように思います。疲れた心には実に合う感じ。なにか、冷えた白ワインを飲むような感覚。一緒にブルーチーズを食べて、太陽に灼かれている感じがします。プレイリストに入っていたEverything happens to meが実に鮮やか。

明日で休みはおしまい。また頑張らないと。何を頑張るのか、というのが問題ではありますが。

それではみなさま、お休みなさい。グーテナハトです。

Jazz

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寒い一日。

体調を戻すため、昨日も今日も家で過ごしました。

夕方、少し時間が出来たので、聞いたのは、キース・ジャレットのパリコンサート。

1988年10月17日の録音。30年前の録音ですか……。キース・ジャレットのソロコンサートと言えば、ケルンコンサートが一番有名だと思いますが、私はパリが一番好きです。ウィーンもケルンもスカラも好きですけれど。

何か、儚い美しさを感じる演奏、と思います。パリはパリでも、雨に濡れるパリという感じ。パリに行ったことはありますが、パリは雨だったかどうだか。マレ地区の安いホテルに泊まって、夜道をバスティーユオペラに向かったことを覚えています。

今日の東京の日の入りは16時半。17時になると藍色の水の中に沈んでいる感じがします。きっと雨のパリも、藍色の水に浸っていて、街路を行く車のテールランプの赤い光が、まるで魚の群れのように見えるのでは、と思います。

さて、明日からまたウィークデー。みなさまもお気をつけてお過ごしください。

おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

あまり、くたびれた、とか、疲れた、とか、書かないようにしています。

ただ、今日は、特にくたびれた、という感じがします。細かいことは書きませんが、まあ、くたびれた、という感覚。この、感覚は、肉体的というよりは、むしろ精神的なもので、今日がとりわけ、というものではなく、10年以上溜め込んだくたびれが浮き出してきたような、そんな感じ。

で、いつものようにプールで10分ほどクロールで泳ぎ、帰宅。夜半前の暗い道で、Apple Musicのプレイリストを聞いていたら出てきたのが、ウォルト・ワイスコフでした。

昔、Apple Musicで聴いていたのでレコメンドされたのだと思います。ピアノはブラッド・メルドー。聞いた瞬間に、あ、こっちが本物の世界だ、と思いました。サックスのノンビブラートのロングトーンも素晴らしい。しばらく聞き惚れてしまいました。くたびれた中で、ふと、なにか柔らかい羽毛のようなものに触れた気がしました。

私の中では、あらゆる美こそが、本当の世界で、美と美はあちら側の本当の世界でつながっている、ということになっています。おそらくこのアルバムを聞いた瞬間、あちら側の世界に心が触れたのだと思います。芸術とはそういうものなのかもなあ、と最近思っています。

明日も引き続きくたびれる予定。しかしながら、もしかすると今日のような美と触れられるかもしれないです。楽しみです。

それでは、みなさまおやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

今朝、とある女性ピアニストのアルバムを聞きました。確かにとても上手いのですか、ピアノとかくぐもったような感じで少し違和感を書きました。

この感覚、昔、感じたことがあります。確か十代の女性ピアニストが弾いていたピアノコンチェルト。実演で聴いたのですか、どうも音が悪いのです。幼い音だなあ、と表現したのを覚えています。

それで、強いタッチのピアノが聴きたいなあ、と思い選んだのがチック・コリアです。

Summer Night。1987年のライブ。アコースティックバンド名義のトリオのアルバム。ドラムのヴェックルと。ベースのパティトゥッチが加わったアルバム。懐かしのカルテットNo.1など、楽しみました。このカルテットNo.1は、一度バンドでやりましたが、難しかったなあ、とか。チック・コリア、シャープな音がたまらないです。夏ではなく秋ですが、Summer Nightで秋の夜を楽しみました。

それにしてもめまぐるしい毎日。今日は会議が朝から9回……。

それではみなさまも秋の夜長をお楽しみください。おやすみなさい。グーテナハトです。

Art,Jazz

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まず、ジャズの話です。

今日、家族で話していたこと。演奏のよしあし、あるいは好みというのはどうやれば分かるのだろう、という問いに対して答えるとすれば、大学の文化祭などのジャズサークルの演奏を一日中あるいは、期間中、ずっと聞いているのがいいですよ、となるなあ、ということ。

これは私の実体験ですが、大学2年生の時だったか、三日間の文化祭の期間中、すべての演奏を朝から夕方まで聞いていました。午前中は、1年生や2年生などまだ経験の浅いバンドが出てきて、午後になると3年生や4年生の上手いバンド、夕方とか、あるいは最終日になると、OBのバンドや時にプロなどが登場します。そうすると、自ずと、経験の浅いバンドと上手いバンドの差というものがよく分かるようになります。で、その演奏について、友人たちと夜にあーだーこーだ話をする、というのが良いのかなあ、と。

よく「とにかく上質な演奏を聴け」というアドバイスがありますが、上質な演奏だけを聴くと、それが当たり前になってしまい、ほかとの差違がわからないように思うのです。経験の浅い演奏と経験のある演奏を聞いて、批評とまでは行かずとも、誰かと語ること、あるいは自分なりに考えをまとめること、というのが、大切で、振り返ってみると、あの三日間で私はなにかジャズがわかった気がしたように思います。実際にどうかはまだ分かりません。ただ、楽しんだり、ほかの方とジャズについて会話が出来るようになった、と思います。

あるいは、これは、どんな芸術についてもおなじ、とも思います。

ヨーロッパに旅行に行って、美術館に入ると、もちろんそこの目玉の絵画というものがあるのですが、それ以外の絵画も想像を超える量が飾られています。このブログのタイトル画像(2018/10/14現在)は、ドレスデンの絵画館です。中央の絵は、ラファエロの「システィナの聖母」。実に有名な絵画。その他の絵画ももちろん有名ですため息がでるものでしたが、いろいろな違いを感じた記憶もあります。ラファエロが一点ある中で、私が知らないだけなのかもしれませんが、日本ではあまり語られない画家の作品がたくさん並んでいるわけです。そうすると、やはりそこにある何かしらの差違というものを感じずにはいられないというときがあるのです。それはもちろん優劣をつけるということではありません。しかし、個人的好みという観点で言うと、なにか違いを感じます。日本で行われる企画展でもたまにそういう差違を感じることがありますが、あのヨーロッパの美術館にある絵画の数と、その数のなかで感じる差違というものは知らなかったものでした。

とにかく、音楽であっても、文学であっても、絵画であっても、有名なものや良いとされているものだけしか相手にしない、という方法ではなく、さまざまなものをたくさん聞いたり、読んだり、見たりして、その差違を感じ言葉にする、ということが、目を養うと言うことなんだなあ、ということをあらためて思い出しました。

Jazz

昨日の続き。

Nearness of youはマイケル・ブレッカーのアルバム。2000年にリリースされた。もう18年にもなるのか、という驚きとともに、この文章を書いている。

Nearness of youは全曲バラードのアルバム。2007年に白血病でこの世を去ったマイケル・ブレッカーが、どういう思いでこのアルバムを作ったのかはよく分からない。

そして、このアルバムにジェームス・テイラーがThe Nearness of you、そして、Don’t Let Me Be Lonely Tonightの両曲にボーカルとして参加している。

このDon’t Let Me Be Lonely Tonightが、あのジェームス・テイラーのOne man dogに収められているのだ。One man dog は1972年のアルバム。若かりしマイケル・ブレッカーが参加しジェームス・テイラーと共演。そして、2000年のNearness of youでも、もちろんマイケル・ブレッカーと共演している。

ジェームス・テイラーの歌声は、歌い上げたり、こぶしを入れたりしない。ビブラートも抑制気味。静かで淡い歌声。恋人に別れを告げられ、それでもなお、嘘でもいいからそばにいて欲しいと願う、哀切な歌詞。それを、なにか冷めた感覚で眺めるように、歌っている。

これがいつか覚める夢であるかのように。恋人が去ったのが夢であるかのように。だが、おそらくは、それは夢ではなく、過ぎた時間は決して戻ることはない。そういう諦念を感じる歌声だ。

このNearness of youに収められたDon’t Let Me Be Lonely Tonightを聴いて、改めて、1972年のOne Man Dogに収められたDon’t Let Me Be Lonely Tonightを聴き直した。古い録音。マイケル・ブレッカーの音も違う。アレンジもなにか少し明るみを帯びたものだ。だが、そのインプロヴァイズは、リリック=叙情的でもある。跳躍する音階はなにかスリリングでもある。

四半世紀たってようやく先輩の思いを理解した気がする。

このDon’t Let Me Be Lonely Tonight、さまざまなアーテイストにカバーされている。エリック・クラプトン、アイズレー・ブラザーズ、ダイアン・シュア。

Don’t Let Me Be Lonely Tonight、名曲だ。

Jazz

ジェームス・テイラー。この歌手をなぜ聴くのか、というと、マイケル・ブレッカーとの繋がりがあるから

このOne man dogというアルバム。

大学1年の時に、マイケル・ブレッカーが好きだった私にこのアルバムを貸してくれたのだが、全く理解できなかった。当時は、またボーカルの入った楽曲を聴くことができなかった。そして、ロックというジャンルへの理解もなかった。当時聴いていたのは、フュージョンと呼ばれるジャズ、アート・ペッパー、そしてクラシックを作曲家と楽曲別に聴いているだけだった。

だから、One man dogもカセットテープにダビングをして先輩に返し、その後聴くことはなかった。

その後、時は流れ、マイケル・ブレッカーは一枚のアルバムを出した。Nearness of you、だ。

つづく

Jazz

キース。キースといえば、キース・エマーソンかキース・ジャレットか。私にとっては、キース・ジャレット。代表的なアルバム「星影のステラ」を。

当時、みんな夢中になってなっていたアルバムだった記憶があります。

星影のステラ

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キース・ジャレット・トリオ
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学生時代は、一枚一枚買ったり借りたりしなくてはならず、大変で、優先度的に、このアルバムを聴くところまでは至らなかった記憶が。おそらく、大学を出てからはCDを購入し、なんどか聞いた記憶はあるけれど。

最近は、AppleMusicがあるから、お金がなくて聞けない、時間がなくて聞けない、という言い訳は難しくなりました。以前も書いた記憶がありますけれど。

結局、お金があるかないか、とか、レコード屋に行けるか行けないか、見つけられるか、見つけられないか、ではなく、好きか嫌いか、意識を向けたか向かないか、ということに尽きるようになっています。これが良いのか悪いのかわかりません。中古レコード屋に行って、掘り出し物を探し当てたときの喜びは今はないのでしょう。

あるいは、当時もやはり、優先度をあげなかった、という点では、今とあまり変わってないのかもしれないです。私の最優先はキース・ジャレットではなく、マイケル・ブレッカーでした。

しかし、素晴らしいアルバム。このリバーブに灼かれた方々は多かっただろうなあ。Stella by Starlightのイントロ。アウトしたインプロヴァイズの向こう側に、Stellaのコード進行とテーマが朧げに姿を現し始め、回帰するところ。なにか、灼きれた先にある喜びのように思います。まあ、こうした感想も、きっと、キースを聴き込んだ方には反論されそうです。

Jazz

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いつの間にやら春になっていました。
日が沈む時間は17時半を超え、気温も20度を超えました。またひととき寒くなるのでしょうが、着実に春になり、夏へと向かっています。

今日は、15時過ぎに近所の公園に出かけたのですが、あまりにも日差しが美しく、ここはどこかの観光地か?と思うほどでした。木々も日差しを浴びて輝いていて、おそらくは今日一日で春の準備が進んだことでしょう。もちろん、常日頃、こうした日差しを味わうことができるのでしょうが、仕事をしていると日差しを浴びることさえままなりません。いつもガラス窓の向こうの日差しを浴びたいと渇望するのですが、日差しが入るとブラインドを閉められてしまい、いつも悲しく思っています。ガラスの独房に入っている気分です。

仕事場の方もなかなかすすまず、年度末年度始は慌ただしく、ワクワクしています。はやく夏が来て、日差しを思いっきり浴びられるのが楽しみです。私も日差しを浴びて、いろいろ準備ができたみたいです。

今日はこちら。

マイケル・ブレッカーの1995年のライブ音源が2015年発売されていたということで、先だって遅まきながら入手しました。UMO JAZZ ORCHESTRAとマイケル・ブレッカーの共演。1995年10月20日の録音。これは、素晴らしい音源です。私は80年代後半から90年代にかけてのマイケル・ブレッカーのプレイが好きなので、まさにストライクゾーンでした。音楽へのアンテナが低くなっていて、今更のキャッチで、反省することしきりです。

私も、しばらくぶりにサクソフォーンを吹きたくなりました。なかなか機会がなくて、残念です。今度河原にでも持って行って吹いてみようか、と思いました。

また明日も頑張りましょう。みなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。