Jazz

昨日の続き。

Nearness of youはマイケル・ブレッカーのアルバム。2000年にリリースされた。もう18年にもなるのか、という驚きとともに、この文章を書いている。

Nearness of youは全曲バラードのアルバム。2007年に白血病でこの世を去ったマイケル・ブレッカーが、どういう思いでこのアルバムを作ったのかはよく分からない。

そして、このアルバムにジェームス・テイラーがThe Nearness of you、そして、Don’t Let Me Be Lonely Tonightの両曲にボーカルとして参加している。

このDon’t Let Me Be Lonely Tonightが、あのジェームス・テイラーのOne man dogに収められているのだ。One man dog は1972年のアルバム。若かりしマイケル・ブレッカーが参加しジェームス・テイラーと共演。そして、2000年のNearness of youでも、もちろんマイケル・ブレッカーと共演している。

ジェームス・テイラーの歌声は、歌い上げたり、こぶしを入れたりしない。ビブラートも抑制気味。静かで淡い歌声。恋人に別れを告げられ、それでもなお、嘘でもいいからそばにいて欲しいと願う、哀切な歌詞。それを、なにか冷めた感覚で眺めるように、歌っている。

これがいつか覚める夢であるかのように。恋人が去ったのが夢であるかのように。だが、おそらくは、それは夢ではなく、過ぎた時間は決して戻ることはない。そういう諦念を感じる歌声だ。

このNearness of youに収められたDon’t Let Me Be Lonely Tonightを聴いて、改めて、1972年のOne Man Dogに収められたDon’t Let Me Be Lonely Tonightを聴き直した。古い録音。マイケル・ブレッカーの音も違う。アレンジもなにか少し明るみを帯びたものだ。だが、そのインプロヴァイズは、リリック=叙情的でもある。跳躍する音階はなにかスリリングでもある。

四半世紀たってようやく先輩の思いを理解した気がする。

このDon’t Let Me Be Lonely Tonight、さまざまなアーテイストにカバーされている。エリック・クラプトン、アイズレー・ブラザーズ、ダイアン・シュア。

Don’t Let Me Be Lonely Tonight、名曲だ。

Jazz

ジェームス・テイラー。この歌手をなぜ聴くのか、というと、マイケル・ブレッカーとの繋がりがあるから

このOne man dogというアルバム。

大学1年の時に、マイケル・ブレッカーが好きだった私にこのアルバムを貸してくれたのだが、全く理解できなかった。当時は、またボーカルの入った楽曲を聴くことができなかった。そして、ロックというジャンルへの理解もなかった。当時聴いていたのは、フュージョンと呼ばれるジャズ、アート・ペッパー、そしてクラシックを作曲家と楽曲別に聴いているだけだった。

だから、One man dogもカセットテープにダビングをして先輩に返し、その後聴くことはなかった。

その後、時は流れ、マイケル・ブレッカーは一枚のアルバムを出した。Nearness of you、だ。

つづく

Jazz

キース。キースといえば、キース・エマーソンかキース・ジャレットか。私にとっては、キース・ジャレット。代表的なアルバム「星影のステラ」を。

当時、みんな夢中になってなっていたアルバムだった記憶があります。

星影のステラ

星影のステラ

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キース・ジャレット・トリオ
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学生時代は、一枚一枚買ったり借りたりしなくてはならず、大変で、優先度的に、このアルバムを聴くところまでは至らなかった記憶が。おそらく、大学を出てからはCDを購入し、なんどか聞いた記憶はあるけれど。

最近は、AppleMusicがあるから、お金がなくて聞けない、時間がなくて聞けない、という言い訳は難しくなりました。以前も書いた記憶がありますけれど。

結局、お金があるかないか、とか、レコード屋に行けるか行けないか、見つけられるか、見つけられないか、ではなく、好きか嫌いか、意識を向けたか向かないか、ということに尽きるようになっています。これが良いのか悪いのかわかりません。中古レコード屋に行って、掘り出し物を探し当てたときの喜びは今はないのでしょう。

あるいは、当時もやはり、優先度をあげなかった、という点では、今とあまり変わってないのかもしれないです。私の最優先はキース・ジャレットではなく、マイケル・ブレッカーでした。

しかし、素晴らしいアルバム。このリバーブに灼かれた方々は多かっただろうなあ。Stella by Starlightのイントロ。アウトしたインプロヴァイズの向こう側に、Stellaのコード進行とテーマが朧げに姿を現し始め、回帰するところ。なにか、灼きれた先にある喜びのように思います。まあ、こうした感想も、きっと、キースを聴き込んだ方には反論されそうです。

Jazz

Photo

いつの間にやら春になっていました。
日が沈む時間は17時半を超え、気温も20度を超えました。またひととき寒くなるのでしょうが、着実に春になり、夏へと向かっています。

今日は、15時過ぎに近所の公園に出かけたのですが、あまりにも日差しが美しく、ここはどこかの観光地か?と思うほどでした。木々も日差しを浴びて輝いていて、おそらくは今日一日で春の準備が進んだことでしょう。もちろん、常日頃、こうした日差しを味わうことができるのでしょうが、仕事をしていると日差しを浴びることさえままなりません。いつもガラス窓の向こうの日差しを浴びたいと渇望するのですが、日差しが入るとブラインドを閉められてしまい、いつも悲しく思っています。ガラスの独房に入っている気分です。

仕事場の方もなかなかすすまず、年度末年度始は慌ただしく、ワクワクしています。はやく夏が来て、日差しを思いっきり浴びられるのが楽しみです。私も日差しを浴びて、いろいろ準備ができたみたいです。

今日はこちら。

マイケル・ブレッカーの1995年のライブ音源が2015年発売されていたということで、先だって遅まきながら入手しました。UMO JAZZ ORCHESTRAとマイケル・ブレッカーの共演。1995年10月20日の録音。これは、素晴らしい音源です。私は80年代後半から90年代にかけてのマイケル・ブレッカーのプレイが好きなので、まさにストライクゾーンでした。音楽へのアンテナが低くなっていて、今更のキャッチで、反省することしきりです。

私も、しばらくぶりにサクソフォーンを吹きたくなりました。なかなか機会がなくて、残念です。今度河原にでも持って行って吹いてみようか、と思いました。

また明日も頑張りましょう。みなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Miscellaneous,Saxophone

週末、久々に時間が取れたので、公園でVENOVAを吹いてみました。ざっと感想など。
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まず、音を出すのが意外に難しかったです。おそらく、リード楽器の初心者が音を出すのは難しそうです。

リコーダーと同じ運指とはいえ、吹き方自体はサクソフォーンと同じです。マウスピースはソプラノサックスのものを使います。ですので、サクソフォーンのアンブシェアができていて、腹式呼吸できちんと呼吸を支えないと真っ当な音はでなさそうです。また、最低音域では、腹部で呼吸を支えないといけないという印象ですし、最高音域ではアンブシェアでのコントロールが結構シビアな印象でした。思えば、この感覚は、(マウスピースが同じなので当然ですが)ソプラノサックスと同じかも。テナーのように、ダラダラっと音が出るわけではなく、アンブシェア、喉、腹部をきちんとコントロールしないと音は出ないです。

逆にいうと、サクソフォーン(あるいはクラリネット?)を吹ける方なら、すぐに楽しめそうです。身もふたもない言い方ですが、そういうことだと思いました。

音色についてですが。あまり良い音は出ない印象です。ただ、これも当たり前で、ブラスで作られたサクソフォーン本体よりも良い音が出るわけはありません。あくまで、Reise Saxophone = 旅行用サクソフォーンというのがふさわしい、どこでも手軽にふけるサクソフォーンとして考えるのが良さそうです。

まだ試していませんが、ソプラノサックスのリードを使うともう少し良い音が出そうです。付属のプラスチックリードには限界があるかも。
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私は、近所の河川敷で吹いてみました。周りに人がいたので、少し気が引けましたがなんとか。

それにしても、この手軽さで、サクソフォーンのような表情をつけられたりするのはなかなか面白い体験でした。また、サクソフォーンよりも音は小さい印象ですので、サクソフォーンより気を使わなくて済むかも。ただ、あくまで、サクソフォーンと比べて、です。リコーダーよりは大きい印象でしょうか。もちろん吹き方にもよります。

日頃サクソフォーンを吹く機会がないけれど、アンブシェアや腹筋などを鍛えておきたい方にとっては、手軽にトレーニングができるツールだと思います。

そういえば、昔の記憶を思い出しました。サックスが欲しくて欲しくて仕方がなかった高校時代、代わりにカシオのデジタルホーンを朝から晩まで吹いていました。当時15万円ほどしたサクソフォーンをさっと買うことなどできなかったわけで、私は、昼食代をケチりながら、お金を貯めて、ようやくと買うことができたという次第です。

買ってからは、まあ、運指はなんとかなるのですが、音が出ませんでした。1年ほどかけてようやく人前に出せるような音が出てきた記憶があります。

もし、あの頃、このVENOVAがあったら、多分真っ先に買って、練習できていたはず。音ももっと早い段階で出せるようになったはずです。

なんてことを思いながらも、今後もVENOVAを散歩に持って行って、さらりと吹いて見る、という感じで楽しめそうだなあ、と思いました。

さて、9月に入って、秋が来たという話は昨日書きましたでしょうか。とにかく、冬へとまっしぐら。ということはお正月へまっしぐら。でも、今年のお正月は、波乱のお正月かも。なんて。

それではみなさま、秋の夜長をお楽しみください。おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz


つれづれな日々が続いています。とはいえ、少しずつ物事が動き始めた感覚もあります。なんとかねばり強く攻めの姿勢を保たないと。

で、歳月はどんどん周り、7月に突入となりました。今年も、もう半分終わりました。正月におせちを食べながら、早く来年の正月に実家ならないか、と、思ったものですが、よく感えると、今年の正月はないかも、とも。

歳月といえば、今年でブログを始めてなんと14年になろうとしていることにも気づいてしまい、時の速さに打ち震えています。

当時は先進だったブログも、今やレガシーなメディアになっている感もありますが、どのプラットフォームにも依存しない自由な感覚が好きで、乗り換えたり閉鎖したりする気にはなりません。せめて、ここは自由に過ごしたい場所にしておきたいと思うわけです。もちろん節度ある自由であることは言うまでもありません。

かつての記事は、今の本意とは異なるものになっているものもあるかもしれず、あるいは、書き直したいほどのものもあるのかも知れませんが、それもこれも、一つのプロセスでもあるので、そのままにしておくことしかできないのでしょう。

とにかく、こうして思うと、本当に時の流れに乗って長い長い旅をしてきて、思えばずいぶんと遠くまで来てしまったものだ、と思います。ほれば、まるで、高層ビルから地上を見下ろすような気分になるものです。そして、この先どこへ向かうのやら、と。

そんなことを思いながらこちら。

イリアーヌ・イリアスがビル・エバンスをカバーしたアルバム。土曜日にNHK-FMでかかっていたので、そちらをAppleMusicで聴いています。

Something for You

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Eliane Elias
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ビル・エバンスのベスト盤を繰り返し聞いたのは、高校2年の夏のこと。あれからもう30年。こちらも気が遠くなるような感覚。スコット・ラファロのベースが普通だと思ってしまったのは、少し問題だったかも。

イリアーヌ・イリアスのアルバムにはまったのは2006年のこと。癒しを求めるように、毎日のように聴き続けたのですが、それはたかだか10年前に過ぎない、とも。

この、Somerhing for youというアルバム、イリアーヌらしいタッチが楽しめますし、ボーカルもいつものように素晴らしく、気だるい感じに力を抜いて歌う感覚が、疲れたときに聴くには、その中に倒れこみたくなるような感覚を覚えます。村上春樹なら暖かい泥の中に、とでもいいそうな。

暑熱の迫るこの頃、どうかお身体にお気をつけてお過ごしください。みなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

先日、久々にいい音源を見つけました。Seamus Blake というサックス奏者のSuperconducterというアルバム。

Superconductor

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Seamus Blake
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90年代のエレクトリックフュージョンの感覚で、マイケル・ブレッカーのNow you see it を思い出してしまいます。

Now You See It (Now You Don't)

Now You See It (Now You Don’t)

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Michael Brecker
Grp Records (1990-08-17)
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この数日こればかり。

マイケル・ブレッカーもそうですけれど、ウェザー・リポートのサウンドにも似ているなあ

このSuperconductorの中で、特にKepler-186Fという曲が印象的。スローなテンポの曲なんですが、EWIのソロが素晴らしいですし、サウンドの作り込みが素晴らしいのです。
Kepler-186Fというのは、系外惑星の名前で、はくちょう座ケプラーのハビタブルゾーンにある惑星。つまり、生物が生きることのできる可能性のある惑星。ただし、492光年の距離とのこと。確かに、そういう宇宙的広がりのある楽曲だなあ、と。

ここまで、EWIでソロを取る方を私はあまり知りませんでした。マイケル・ブレッカー、あとは日本のスクウェアかなあ。

年度替わりはバタバタで、若干飛ばし気味なので気をつけないと。

それではみなさまもよい日曜日の夜を。

Jazz

年度末ともなると、いろいろとお付き合いをしていただいています。週末でやっと一息。

最近、夜にiPadでApple Musicを聴くのがいい感じです。今日はこちら。

Night Dreamer

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Wayne Shorter
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JazzといってもFusionのような音楽からはいりましたが、なぜか、ウェイン・ショーターのジャズは好きでして、こういう気だるいアルバムを昔からよく聞いていました。ショーターはテクニカルという感じではありませんが、共感できるフレーズに出会うことが多く、好きなんだと思います。

はじめてショーターを聴いた(見た)のは、1992年で、ハービー・ハンコックと来日した映像。こちらです。著作権の都合か、音声はでませんけれど。

このとき、ショーターは、前半部分はアウトしたメカニカルなフレーズを吹き続け、最後は、ひたすらのロングトーンでソロを終える、というものでした。まったくの枠から外れたパフォーマンスにかなりの衝撃を受けてしまったのでした。それもゴールドプレートの美しいテナー・サックスでこれをやるのですから。

私は、ジャズのソロというものはこういうものだ、と思い込んでしまい、大学に進んだわけで、そうすると、まあ、何をやっているんだ、という話になります。ショーターがやるのと、素人がやるのとはちがいますので。今日、気がついたのは、おそらくは、この映像のこの演奏が、人生の一つのポイントだったのかも、とおもいます。

明日は春分の日。夏へまっしぐらで嬉しい限りです。

それではみなさま、おやすみなさい。

Jazz

いや、しかし、全く、いろいろなことがあるもので、なんだか「騎士団長殺し」の世界にいるような感じです。長い髭をたくわえたバス運転手を見たその日の夜に、長い髭をたくわえた老人が家の近所を歩いているのを見たり、とか。今となっては、記憶が曖昧になっているので、二人は同一人物ではなかったか、などと思ったりします。そうしたたくさんの不思議な兆しが、何か関係あるのでは、というふうに思ったりしてしまうような。全ては、自分自身の世界の見方の問題であることはわかっていますが、そこに不思議さを見出す、あるいは不思議さを作り出すということ自体が、不思議でもあります。掘り下げれば掘り下げるほど、何かがでてきてしまうかのような。

まあ、本の読みすぎかも。でも、まあ仕事場への通勤時間は何かハリのある時間になっている気はします。

で、夜はこちら。何か、気だるいジャズを聴きたくなって聞いています。あれ、昔はバップが苦手だったはずなのに、みたいな。

Dig

Dig

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Miles Davis
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夜の静寂の中に、マイルスとロリンズ、ですか。気だるくて、力を抜いている感じ。本来的には、緊張感のあるパフォーマンスであるというのに。言えることは、暗い夜の静寂に本当にフィットしているということ。何か、穴の底に潜り込んで、静かに思いを巡らす、そういう感じです。

まだまだウィークデーは続きます。今日はそろそろ眠らないと。みなさまもお気をつけて。おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

久々のエントリー。というのも、仕事場に求められたとある作業が続いていて、目処が立つかわからなかったのですが、やっと目処が立ったので、そろそろ書く時間を作れる、と思った次第。本当はかつてのように毎日書きたいのです。

今日はこちら。

BALLADS

BALLADS

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JOHN COLTRANE
IMPUL (2008-02-19)
売り上げランキング: 3,550

気だるい夜に急に聴きたくなりました。有名すぎるもで、何も言うべきことはないです。

で個人的には、このアルバムと対になるのはこちら。

Ballads: Remembering John Coltrane
Karrin Allyson
Concord Records (2001-05-22)
売り上げランキング: 8,973

おそらくは、20年ほど前に、渋谷のHMVで流れていたのを聞いたはず。いや、発売が2001年とあるので、15年前、というところでしょうか。この深みある歌声はコルトレーンの倦怠にふさわしい。バックバンドのサックスはボブ・バーグ。事故死したテナーサクソフォンで、私が大好きなサックス奏者の一人。

久々に静かな夜。しかし、考えることはたくさん。おそらくは何かしらの決定はなされてて、何かしらの困難はあるけれど、今ここにある倦怠に留まるよりは良いはず。

というわけで、みなさまも、ゆっくりおやすみください。グーテナハト。