中学生のころは、ショスタコーヴィチが大好きで、良く聞いていました。当時はたしか「マーラーブームの後はショスタコーヴィチブームがやってくる」みたいなことが言われていたのですが、それは当たらなかったようですね。とはいえ、当時は何も分らずただただショスタコーヴィチの交響曲をNHK-FMでエアチェックしてせっせと聞いておりましたし、お小遣いを貯めて、ハイティンクが振る「バビ・ヤール」のCDを買って毎日のように聞いていましたね。
高校の半ばから、ジャズに浮気をしまして、大学時代はほとんどジャズ・フュージョンしか聴いておりませんでした。あの時もクラシックをもっと聴いていれば、クラヲタになれたと思うのですが、とても残念です。まあ、ジャズの曲をその分聴けましたのでいいと言えばいいのですが。
8番は、たしかムラヴィンスキーの演奏をエアチェックして聴いていましたが、あのテープはどこに消えてしまったのでしょう。しかし、あの鮮烈な演奏は未だに覚えていて、今日もロジェストヴェンスキー盤を聴いて少しずつ思い出すものがあります。
さて、この曲の白眉は、第三楽章のトランペットのソロとティンパニーのソロだと思うのですが、強烈ですね。トランペット、どうしてあんな音が出るのでしょうか? エッジの効いた鋭い音で、中学生の頃は、これこそソヴィエトのオケのトランペットの独特な音色なのだ、と勝手に思っていましたが、本当にそうなのでしょうか? マウスピースでコントロールしているんでしょうか。ただ、僕にとってはショスタコーヴィチといえば、このCDに収められたトランペットの音のイメージなのです。
第三楽章から第四楽章は切れ目なく突入するのですが、冒頭の爆発的音響はなりを潜め、沈思的な風情に。ショスタコーヴィチのこの楽章のこういう弦楽合奏がとても好きですね。聴いているだけでいろいろな物語が想像出来るんですよ。雪の降りしきるクレムリンを毛皮の帽子を被って灰色のコートを着た陸軍士官が軍靴の音を響かせながら歩いている、みたいな。途中から管楽器群が入ってくるあたり、あまりに格好が良くてゾクゾクしますね。第一楽章でも美しい弦楽合奏聴けますし、たしか交響曲第10番にも似たような楽章があったと思います。
第一楽章で言えば、中盤部に出てくる小太鼓の連打が聞こえてくるあたり、本当に時代を感じさせますね。第一楽章の起伏に満ちた楽想は何枚も何枚も鮮烈な絵巻物を見せられ続けるような感があります。よくぞここまで展開するか、という感じです。ロジェストヴェンスキーの破壊的パワーも相俟って、というところですね。
それから、録音場所の音響が好みなのですよ。ドレスデンルカ教会よりも残響時間がすこし長めで、気持の良いリバーブがかかっています。この音も、一連のロジェストヴェンスキーの録音で気に入っていることの一つです。
メロディアレーベルは廃盤になってしまい手に入れるのが難しいようです。たしか、廃盤の噂を聞いて、ロジェストヴェンスキーのショスタコーヴィチを買いあさったのが懐かしいです。
今日は午前中までオーバーワーク気味だったのですが、そうしたときに聴くショスタコーヴィチも意外に良いものですね。
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