ウィーンで演出を学ぶ女性のこと

昨夜は久しぶりに時間があったので、家人が録画しておいてくれたNHKの番組を観ました。この番組、どうやら世界中で活躍する日本人たちがテーマの番組のようです。私は今回初めてみました。 3月に放送した回の再放送だそうです。

主人公は、ウィーンの音楽大学でオペラ演出を勉強されている女性で、釣さん、とおっしゃる方。今31歳でいらっしゃるのですが、フルートで日本の音楽大学をご卒業されている方です。ドイツ留学を前に、演出の世界に飛び込まれたそうで、ベルリンで学んだ後に、ウィーンへいらっしゃって、勉強しておられる。アルバイトと研鑽をかねて、ウィーン国立歌劇場の裏方スタッフとしても働いておられる。すごいバイタリティーと意志力。経済状況もままならず、粗食で乗り切っておられる。そして、元気を出すために、ベートーヴェンやシューベルトの墓に詣でるという。

私も、このお墓に参るという気持ちは良くわかります。ワイマールに行ったときに、ワイマール王家の廟に行ったのですが、石造りの棺が並ぶ中に、木製の棺が二つあって、そこにはゲーテとシラーの名前が刻んでありまして、ああ、ゲーテもシラーも本当に実在していて、いままさにここで眠っているのだという強い実感を得たことがありまして、何かそこはかとない力を感じたのを覚えています。

番組冒頭に小澤征爾が現れたのもびっくり。お二人はお知り合いなんですねえ。

番組の後半で、卒業制作として、チェネレントラの演出製作を担当されるそうで、結構苦労しておられました。二元論的な意味を演出上表現するために、白と黒を使おうとするのですが、ホッファーとおっしゃる教授に、文化によって色の意味合いが変わるといったことを指摘されてしまったり。この担当教授がおっしゃった「芸術はきれいなだけじゃダメなんだ」という言葉が印象的。そうそう。耳障りの良い音楽が決していい音楽ではない。そこには真実在はないですから。モーツァルトだってあの時代にあって曲の中にとんでもない旋律を出してきたりしますからね。

きっと、研鑽を積まれて日本に帰っていらしたら、僕らもこの方の演出を見ることができるかもしれません。楽しみです。

ウィーンには3日ほど滞在したことがあるのですが、北ドイツとは違う柔らかい音のドイツ語が懐かしくて仕方がなかったです。なんだか、ドイツ語の方が英語より単語がよく聞こえますね。発音的にわかりやすい言葉だと思います。僕は昔ゲーテでドイツ語を習っておりましたが、10年前にやめてしまいました。まあ体力的時間的に無理だったわけですが。残念でした。ちなみに、青山のゲーテって、昔は東ドイツ大使館があったところらしいです。

今回はレポーターのSchauspielerさんにはあえて触れず、ということで……。

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Posted by Shushi