ちゃんと書こうとすると、なんだか時間ばかりが過ぎてしまいます。いけませんね。過度な完璧主義は。そうだとすると、一生書けなくなるのでこのあたりで手を打ちます。
今週になって、やっとシュトラウスのオペラを聴くことができるようになりました。なんだかいままでのポッペアづくしから脱却したうれしさとでもいいましょうか。なにも「ポッペアの戴冠」が嫌いだといっているわけではありませんが。
一昨日からベーム盤シュトラウスを聴きまくっていまして、「無口な女」、「サロメ」、「エレクトラ」、「ナクソス島のアリアドネ」とまあ手を広げすぎました。どれを聞いてもうれしくなります。
その中でも印象的だったのが、「サロメ」と「エレクトラ」。両者ともシュトラウスが楽壇においてもっとも先鋭化した時期の二作。その後の「ばらの騎士」では、コンサバティブな方向に反動したとみなされてしまうけれど、個人的にはその後のシュトラウスオペラであってもどれも大好きだったりします。
さて、本題の「サロメ」は、実演に接した機会も二回あります。いずれもNNTT(新国立劇場)にて、2004年と2008年に観ています。2004年の公演では、ヨカナーンをアラン・タイタスさんが歌っておられたのですがこれがすばらしかった。地の底からわき出でる力強い声。ヨカナーンの意志力の強さが強く表現されていました。それから、ヘロデ王はハインツ・ツェドニクさんでした。いわずと知れた名歌手で、ヘロデ王の慢心するところや、弱気な部分なんかを巧く表現しておられて、印象に残っています。
一方2008年2月の公演では、サロメを歌われたウシャコワさんが良かったです。このあたりは過去のブログの記事にて。
それで、ベーム盤なのですが、一番印象的だったのがヘロデ王のリチャード・キャシリーさんです。ここまでりりしいヘロデ王があってもいいんだ、という、私にとっては新たなヘロデ王の印象でした。サロメのギネス・ジョーンズさんも力強くて迫力あり。
なんだか昔も書いた気がしますが、いきなりあれ、これすげー、っていう声が出てきて、クルト・モルさんじゃない?と思ったらやっぱりそうでした。第一の兵士として登場。若いときからいい声です。惚れます。
ベームの指揮は、普通に聞いていると、さらりと流れてしまうのですが、時に粘り気のある「ため」を用いていて、饒舌になります。そこが面白いです。
録音はちとこもり気味でしょうか。iPodで聞いているということもあると思いますが。古い録音ですし、特に不満には思っていません。この盤のCDは、amazonでもHMVでも扱っていないのですね。
明日もベームのシュトラウスのネタを書く予定。と言うか、ベームの振るシュトラウスオペラ、思った以上に持っていて驚いています。まさかアラベラまで持っていたなんて。名盤は我がCDラックに眠る。けだし名言。
- 指揮:カール・ベーム
- 管弦楽:ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
- サロメ:ギネス・ジョーンズ
- ヨカナーン:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
- ヘロデ王:リチャード・キャシリー
- ナラボート:ヴィエスワフ・オフマン
- 第一の兵士:クルト・モル
- 1970年11月4日 ハンブルク国立歌劇場初日ライブ録音