やばい、プティボン。──パトリシア・プティボン 「ロッソ-イタリア・バロック・アリア集」
やばい、プティボン。
昨日アマゾンUKから届いて、早速iTuneに取り込んで聴いております。この方、凄い。平伏いたします。申し訳ありませぬ。
強烈な情感とパワーを持った劇的で激情的でいながら、なお冷静さや優しさを失わない人間味溢れる声です。今聴きながら書いているんですが、一瞬一瞬がいとおしい。やはり、欧米人の体格でないと、この声は出せないのか。
Wikiによると、1970年生まれのアラフォー世代。旦那様は作曲家でお子様がお一人いらっしゃる。
“http://patriciapetibon.artistes.universalmusic.fr/":http://patriciapetibon.artistes.universalmusic.fr/
Wikiに生年が書いてあるのに驚いたのですが(普通の歌手は年齢出しませんので)、40歳でこのパワーと若々しさかあ、と。私も老いさらばえるのはまだ早い。若者には負けぬよう頑張らねば。
森麻季さんと
ちょっと語弊があるかもしれませんが、このCDは、芸域としては森麻季さんと重なっているように思いました。森麻季さんは透徹とした美しさや豊かな表現力や技術力を持っておられますので、大変好きなソプラノのひとりなのですが(変な噂は内容も知らず無視してます。だって、巧いんですから)、唯一の弱点は高音部の倍音成分の少なさにあると思うのです。プティボンの場合はそこをクリアしてしまっている。
先日、偉大な先輩プロ音楽家の方と話したのですが、どうしても体格のせいなのか日本人の声質が欧米人と異なることが多いなあ、と。これ、クラシックだけじゃなくてポップスも同じ。ピッチコントロールはいいんですけれど。
ちょっと気になる曲たち
それから、有名な"Lascia Ch’io Pianga"、森麻季さんの解釈と違っていて新鮮です。静謐に静謐に歌われている。森麻季さんの場合、ちょっとした感情の高ぶりを表現するところも、淡く輝きながら通り抜けてみせる。スマート。[1]
その次の曲、"Volate, Amori" とか、"Se Il Mio Dolor T’offende"の昂揚感も凄い。ここまで劇的な表現をしてしまうとは。この音楽、いわゆるバッハ的なバロックとは思えん。王侯貴族のためだけの音楽とは思えない。これはまさに民衆のほうにも向いている。
後悔と希望
ああ、こんなことだったら、来日公演に行っておくんだった。激しく後悔。そして、この方の「ルル」の録音を逃したという絶望的後悔。ああ、この声と表現力でルル歌ったら凄いはず。頼む、再放送してほしい。CD化してほしい。
こうなることは、先日のバイエルン放送管弦楽団の「カルミナ・ブラーナ」を聴いたときに予想できていた。あの最終部にかけての表現は凄かったからなあ。
“https://museum.projectmnh.com/2010/04/18035722.php":https://museum.projectmnh.com/2010/04/18035722.php
というわけで、また増えてしまいました。ラヴリーなソプラノ。激賛勧奨です。
で、ラフォルジュルネ
というわけで、私も乗り遅れないように、ラフォルジュルネに行って、ヘンデルオペラのアリアというご馳走にありつくことにしました。プティボン効果です。GWの前半は仕事なのですが、一日ぐらいはオフにできそうなので、5月3日の公演に行って参ります。
* マリア・ケオハネ [ソプラノ]
* リチェルカール・コンソート
* フィリップ・ピエルロ [指揮]
ショパンにはあまりなじみがない者でして、ちょっと引き気味だったんですが、もうほとんどチケット売れてるんですね。頭の良いピアニスト達が寄り集う東京フォーラムに幸あれ。良い天気になりますように。
fn1. しかし、この曲、思い出深いなあ。「あこがれ、美しく燃え」。強烈すぎて怖かった。映画も見ないとなあ。。。
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