カズオ・イシグロ「夜想曲集」
久々にいいプロットが読めた気がします。学生時代の記憶がなにか蘇った気分。
カズオ・イシグロ「夜想曲集」
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かつて、辻邦生の「ある生涯の七つの場所」を一年かけて読んだ年がありました。1992年に中公文庫から二ヶ月に一度7冊にわけて刊行されたんですが、学校の行き帰りに一篇ずつ読んだものです。不思議と一篇以上読むことはできなかったわけで、なぜなら、小説世界を瞬断することができなかったから。さすがに濃密なプロットをいくつもいくつも急激に変えることはできないわけで。
ですので、今日もやはり一篇しか読めませんが、なんだかすごかったなあ。冒頭の「老歌手」。
2011年に随分売れたと帯にはあります。たしかにウケるプロットなんですが、まあ、なんというか巧いんですね。
舞台がヴェネツィア。栄光を失い、それを取り戻そうとする老歌手。本当の愛情と方法論の愛情。こういう世界があってもおかしくはない、というリアリティ。愛情の形でいうと映画「髪結いの亭主」における愛情の形にもにた少しうがった愛情の形なんだろう、と思います。
詳しくは是非お読みください。硬派な日本文学がお好きな方には物足らないのかもしれませんが、辻邦生の短篇がお好きな方にはいいかもしれません。
続編は家事をしながら、あるいは昼休みに少しずつ読めそうです。楽しみが増えたなあ。っつうか、楽しみばかり(少しウソですが、それぐらいの気概が大切)。
カズオ・イシグロは「日の名残り」を10年ほど前に読みましたが、あれから読んでなかったです。この本もたまたま入った大型書店で、「新品の本を買う」という贅沢をした結果です。それから1年ほど積ん読だったんですが、昨日家事の合間にたまたま手にとってみたというわけ。この感覚は、図書館の本では味わえないです。
でも、よく考えると高校時代は文庫を買うのが日常茶飯事だったのに。今はなんだかそれも憚れるようになってしまいました。場所がないとか、古本が簡単に変えるようになったとか、Kindleがあるとか、いろいろ理由はあります。でも久々に紙の本を新刊を読むという贅沢を味わいました。そういう意味でもなにか学生時代を思い出した感覚です。
なんだか、読書家失格な発言ですね。。反省します。
ではグーテナハトです。
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