ストラヴィンスキーの新古典主義のようだった「世界にひとつのプレイブック」
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まるで、ストラヴィンスキーの《プルチネッラ》のような作品だと思います。つまり、非常にシンプルなストーリーの映画なんですが、何かバランスが悪いところがあって、引っかかりを覚えるのですが、それでもなお、その引っかかりさえも許すことができるぐらいに、面白い、というものです。
引っかかりというのは、ひとつは、主人公たちのエキセントリックな振る舞いに代表されるような、ストーリーの中で意図したと思われる味付けでしょう。さすがに躁鬱病患者の振る舞いは、さすがに、ある種の感情を呼び起こします。
もう一つの引っかかりは、ストーリーの中にある幾つかの恣意的とも思える展開です。ですが、いくら恣意的であろうとも、全体のバランスの中では、一つの味付けとして楽しめるわけで、むしろ、そうした恣意的な要素ですら、包括して、いい映画だ、と思えるものなのです。
おそらくは、ストーリーというのは、よく言われるように旧約聖書で出尽くしたと言われていますので、それ以降は、それでもなお、芸術であるためにはどうすべきか、というのを考えたのが、物語芸術だったと思いますが、この映画を見て思ったのは、まるでストラヴィンスキーが新古典主義においてやった、古い音楽に不協和音をつけて解釈したのと同じように、使い古されたストーリーに様々な不協和音を載せることで新たな解釈を提示した作品だったなあ、ということです。
アカデミー賞にノミネートされまくっていて、その中で主演女優賞をジェリファー・ローレンスが撮っています。それほど、映画界で受け入れられた作品のようですが、私は、なんだか、ストラヴィンスキーを思い出しながら見ていました。
もちろん、最後まで目を離せないことは言うまでもないですし、これもまた定石とも言える終幕部に置いて、俳優の方々の素晴らしい演技、これはまるで《プルチネッラ》を素晴らしく演奏をする演奏者のようだとも言えるのですが、そうした演技も含めて、とてもいい映画だったなあ、というのが私の印象です。
ちなみに、最後のシーンは、素晴らしかったので、4回ほど繰り返し見てしまいました。何度見ても心が打たれます。
今日の一枚。
この映画の最後、Mistyが流れるんですが、古いアレンジでとても良かったのです。Apple Musicで探しましたが、見つからず、雰囲気の似ているシナトラを聞いていました。
しかし、シナトラにも弱点あり、というのを見つけ、驚きましたが、それを超えて余りあるエンタティナーぶりに脱帽しました。
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それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。
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