同曲異演の醍醐味とその深み。あるいは同曲異演沼
今日も「私を構成する9枚」から。
クラシックは、同曲異演こそが醍醐味で、というのは若い頃から知っていました。が、またCDしかない時代、学生には無理難題ですよね…。例えばご両親がマニアで、すでに家にたくさん音源がある、という事案であれば別ですが、そうそううまくいくわけもなく。
中学生の若い頃、当時流行っていたトム・クランシー「レッド・オクトーバーを終え」のなかでの話。
ソナー員がバッハの愛好家という設定になっていたのですが、彼が敵潜水艦のスクリュー音をバッハが録音されているなけなしのカセットテープに上書き録音せざるをえなくなり、艦長が申し訳なさそうにするのを聞いて、「いやいや、もっと良い演奏を持っているのでいいんです」みたいな話をするシーンがありました。
このシーンを読んで、若いなりに、演奏の違いというものとか、演奏の良し悪しのようなものを早く聞き分けられるようになりたいものだ、と思ったものです。
ですが、先に触れたように、さすがにそんなに同曲異演をたくさん聞けるわけもなくという日々が続いたわけですが、ある日、タワーレコードで、同曲異演のCDを買ったのですね。あの時は、本当にドキドキしました。こんな贅沢をしていいものか、と悩んで悩んで悩み抜いて、やっとの思いで買ったのでした。
で、それ以降、深みにずるずるとはまっていくのですが、このCDを聴いた時は、本当にたまげたものです。
Polygram Records (1995-07-18)
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私は、このブル8の第一楽章の後半部分の強烈な高揚に時を忘れ、当時音楽を勉強していた友人と二人で感嘆したものでした。
同曲異演の深みはさらにふかく、底なし沼です。同曲異演沼。
(似た言葉にレンズ沼、というのがあります。カメラのレンズを買っても買っても満足しない状況の異だそうです)
私を構成する9枚のシリーズ、まだしばらく続くかも。
今日でウィークデーは終わり。週末も1日は「仕事」の予定。まあ、ありがたいことなのかも。
それではみなさまは良い週末をお過ごしください。グーテナハトです。
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