テクノラティで検索したりして、いろいろなブログを見て回ると、31日の蝶々夫人、あまり良い評価を受けていない向きもあるみたいですね。おかしいなあ、あんなに感動したのに……、と言う感じ。
そこで、僕の聴き方、見方が悪かったんじゃないか、という不安に苛まれるのがいつものこと。
それで、ちょっと、足掻いてみる。
リズムがバラバラとか、ジャコミーニさんが走っていたとか、そういう評価があるのですが、バラバラなのは分からなかった僕が悪いかな、と。ただ、ジャコミーニさんが走っていたのは、わざと走っていたはず。オケと同じテンポで歌うと歌詞がきこえなくなるから、オケより少し早めに歌うのが良い、と言うのを聴いたことがある。他の歌手もオケとオンタイムで歌っていないことが多いと思うんだけれど……。(ドミンゴとか、サバティーニとか……。具体的じゃないからといって炎上させないで欲しいのですが)。
若杉さんも、序奏ではアンサンブルを掌握していなかったけれど、その後は大丈夫だったんじゃないかな、と。もっとも、そのころ僕は忘我の境地にいたので、細かいところが聴けていなかったのかもしれない。
いつも思うんだけれど、ジャズでもクラシックでも、聞き込み始めると、批判する方が簡単になってきて、評価することを忘れてしまう。もちろん、批判するのは大事だけれど、それは一人の聴き手としては二の次なんじゃないかな、と(批評家的な聴き方をする場合は大事ですが)。評価できる点を見つけるのが、良い聴き手なんじゃないかな、と。
ともかく生理現象を伴った、かつてないほどの感動を覚えたのは事実なのだから、それを大事にしよう。そればっかりは、個人的な体験で事実なんだから、誰から批判されても揺るがないものだし。それに、感動しただけ、あのパフォーマンスから受けたリターンが大きかったと言うことなのだから、感謝しよう。
蝶々夫人のその後
SAKURA 2007
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天気が良かったので、近所の桜名所系に行ってきました。今年はもう満開を越えて葉桜になっている木もありました。明日からは天気が悪くなるようですので、今日が最後のチャンスかもしれませんね。
幸せな悲劇/新国立劇場/プッチーニ「蝶々夫人」
行ってきました、蝶々夫人。箇条書き形式でレポート。
- ジャコミーニさん、偉大すぎる。本当はお年を召していると思うのだが、白い米国海軍の軍服を着て、背筋を伸ばして登場する。歳を感じさせない演技とスタイル。かっこよすぎる。若々しい所作が素晴らしい。
- そして、歌も素晴らしすぎて感歎。柔らかいのだが、剛気があって、張りがある。ドラマティックで甘く雄々しい。低音域の豊かな倍音が、高音域でも持続している。ドミンゴの甘さやパヴァロッティの華やかさとは全く違う魅力。
- ジャコミーニさんの中に、イタリアオペラの歴史を感じる。きっと本場でもこうやって演技したり歌ったりしているんだなあ、と。それを東京で見られることの幸福といったら、贅沢過ぎる話だ。
- ジャコミーニさんは、2004年の新公立劇場「道化師」でカニオを歌われたのですが、そのとき以上の感動です。他のブログでは賛否両論あるようですが、私は間違いなく賛の方です。
- 蝶々夫人の岡崎さんも良かったですよ。国際級の声ですね。声も通っていたし落ち着いた演技も良かったです。
- 若杉さんの指揮、タメを巧く使って、オケを感動領域までぐいっともちあげる感じ。巧くコントロールしていたと思います。
- オペラを聴き始めて四年半、内外の劇場で39回見たけれど、今回のパフォーマンスに最大級の感激。僕のクラシック視聴歴最大のパフォーマンスだったと思います。これ以上のパフォーマンスを次に観られるのはいつになるんだろう。
- というか、私、第一幕ずっと泣いてました。涙が止まらないのですよ。ジャコミーニさんの姿をみてなぜか涙、声を聴いても涙、弦の対旋律に涙、岡崎さん(蝶々さん)が登場するところで涙。そして、ジャコミーニさんと岡崎さんの二重唱で最高潮に涙が滂沱と溢れました。歳のせいかもしれませんが、音楽にここまで泣いたのは、クラシック聴きはじめて25年ぐらいになるけれど、初めて。
- しかし、誰か一人が若杉さんとオケにブーイング掛けたんだよねえ……。なぜなのか分からない。確かに序奏は、若杉さんとオケのコミュニケーションがとれていなかったのだが、それ以降は、そういう善し悪しを越えた素晴らしい演奏だと思ったのに。人それぞれ受け取り方は違うと思いますので、仕方がないですが。
- まあ、他の日の公演の様子をブログで見てみると、いろいろと違った意見があるようなので、仕方がないですかね。
- しかし、プッチーニは偉大だなあ。オーケストレーションも神業だし、メロディ・メーカーと来ている。自分がどれほどプッチーニが好きなのか、よく分かりました。
劇は悲劇に終りますが、時を忘れた幸せな二時間半でした。プッチーニ様、若杉さん、ジャコミーニさん、岡崎さん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました、と言う感じですね。
- 指揮
- 若杉弘
- オーケストラ
- 東京交響楽団
- ピンカートン
- ジュゼッペ・ジャコミーニ
- 蝶々夫人
- 岡崎也加子
- シャープレス
- クリストファー・ロバートソン
- スズキ
- 大林智子
- ゴロー
- 内山信悟
写真は、終演後の新国立劇場玄関です。
森麻季さんのCDを買いたい!
いつも読ませて頂いている「葉っぱに埃がついたので水をかけて払ってやったでちブログ」のrudolf2006さんが、森麻季さんの記事を書いていらしたので、触発されてまとめてみました。
森麻季さんのことは、このブログの前身「Museum::Shushi」で何度か取り上げました。
○ 森麻季さんのリサイタル
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2005/11/09-224156.php
○森麻季さんのムゼッタ
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2005/05/25-155655.php
○森麻季さんのハイドン「四季」
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2005/05/08-235047.php
○森麻季さんのCDと、マーラー「一千人の交響曲」の思い出
http://shushi.s39.xrea.com/mt/2004/04/15-231642.php
その森麻季さんが、今年の11月のザクセン州立歌劇場日本公演で、ばらの騎士でゾフィーを歌います。
○ドレスデン国立歌劇場来日公演買っちゃった。
http://museumshushi.blog77.fc2.com/blog-entry-202.html
ご自身名義のCDは二枚出ています。
あなたがそばにいたら~Bist du bei mir~(CCCD) 森麻季 (2004/02/18) エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ |
愛しい友よ~イタリア・オペラ・アリア集 森麻季 (2006/10/25) エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ |
それで、二枚目のCDが未聴なので、聴きたいなあ、と思った次第。伴奏がオケですからね。もう発売されてから、かなり経っていますが……。買わないでごめんなさい。ラインナップは以下の通り。
1. 私の心の光(ドニゼッティ:シャモニーのリンダ) |
2. ようこそ皆さん・・・今日という日は(ベッリーニ:夢遊病の女) |
3. 彼の優しい声が(ドニゼッティ:ランメルモールのルチア) |
4. あなたの優しい声が(ベッリーニ:清教徒) |
5. 今の歌声は(ロッシーニ:セビリャの理髪師) |
6. 不思議だわ・・・花から花へ(ヴェルディ:椿姫) |
7. 私が街を行けば(プッチーニ:ラ・ボエーム) |
8. 私のお父さん(プッチーニ:ジャンニ・スキッキ) |
というわけで、思い立ったが吉日。今日注文します。ロッシーニと、プッチーニに激しく期待しています。ボエームのムゼッタのワルツは、森麻季さんの十八番なのでしょうか、2004年だったかのNHKニューイヤーオペラコンサートでも、2004年のサントリーホールオペラ「ボエーム」でも、2005年のリサイタルでも、やはり素晴らしいムゼッタを聴かせてくれました。森麻季さんは本当に巧いです。声質は高く華やかで透明です。またリサイタルに行こうっと。
森麻季さん、NHKのトップランナーにも出ていました。
http://www.nhk.or.jp/tr/2006album/060917.html
イタリア留学時の苦労、ドミンゴとの出会いなどに加えて、同時多発テロ直後のワシントンナショナルオペラで歌ったとき、全米がテロの恐怖にうちふるえる中にあっても、オペラに多くの観客が入って、とても感動した、といったお話。
3月22日は、ゼンパーオーパーで、ばらの騎士のゾフィーを歌っています。指揮は準・メルクルさん。2007年11月の来日公演と同じですね。
森麻季さんの公式サイトはこちら。綺麗ですね。
http://www.makimori.com/
それにしても、どうして新国立劇場には出演されないのだろうか? そろそろ新国で聴いてみたいです。
カラヤン/プッチーニ「蝶々夫人」
Puccini: Madama Butterfly Giacomo Puccini、 他 (1990/10/25) London この商品の詳細を見る |
明日は、新国立劇場(昨日からは、「オペラパレス」という愛称がついたようですが……)で、蝶々夫人です。
指揮は若杉弘さん、ピンカートンはジュゼッペ・ジャコミーニさんです。若杉さんは、リヒャルト・シュトラウスのオペラを振っておられるのを聴いたことはありますが、プッチーニを振られるのを聴くのははじめてです。ジャコミーニさんは、2004年に「道化師」を新国立劇場(もといオペラパレス! あ、オペラパレスって、言うのは少し気恥ずかしいですね)で聴いたのですが、それはそれはすさまじいほどの迫力のある声の持ち主でいらっしゃいます。ピンカートンを情熱的に歌い上げてくれると思います。
そういうわけで、カラヤン盤の「蝶々夫人」で予習中です。
幸福な時間
昨日も書きましたが、昨週、先輩と後輩のジャズライブに行ってきました。
昔は、僕もライブに出たこともあったりしましたが、いまはとんとご無沙汰。実に2,3年ぶりにライブに行ったのでした。後輩には、何度も誘われていたのですが、忙しかったりしてついつい足が遠のいていたのです。
それで、北東京の地下のブラジルレストランに行ったというのは昨日も書いたとおり。
それで、編成はピアノトリオ(ピアノ、ベース、ドラム)に女性ボーカル。このボーカルの方、メゾ・ソプラノで雰囲気が良いのですよ。中低音の倍音が綺麗な声をしてらっしゃいました。
ピアノの若い男性が元気が良くて良い。すこし荒削りなところはあるけれど、オスカー・ピーターソンばりの迫力ある演奏でした。先輩のベーシストは音が良いなあ、と言う感じ。この方とは知り合って14年になるんですが、いつもお世話になりっぱなしでした。何年も一緒にバンドをやったこともありました。先輩は音楽をずっと続けているのですが、私は今は楽器から離れている感じ。もったいないかもしれない、と思いました。
隣に座った見知らぬ女性と少し話をしたのですが、その方のポジティブ・シンキングぶりに脱帽。いろいろあって、ネガティブな方向に認識する癖がついていたところだったので、巧く調整された感じ。僕が「一度で良いから、ヴォーカルバンドで演奏してみたかったんですよね」と言うと、「これからできるじゃないですか」だって。もうサックスなんて吹けやしない、と思っていたところだったので、そうか、まだこれからやろうと思えば出来るんだ、みたいな、目から鱗が落ちた感じ。まあ、本当に出来るかどうかは別として、ですが。
なんだか必要以上に老け込んでいた気がしましたが、ライブに行ったおかげで、すこし若返った気がします。幸福な時間でした。また行きたいですね。
誘ってくれた、後輩Mさん、ありがとう。
イリアーヌ・イリアス「海風とジョビンの午後」
Sings Jobim Eliane Elias (1998/07/28) Parlophone Jazz |
先だって、先輩、後輩が出演するライブを観に行きました。ジャズライブに出かけるのはとても久しぶり。インストナンバーやヴォーカルナンバーを楽しみました。とくに「The Shadow of Your Smile(邦題:いそしぎ)」が印象的。ライブの様子については、また明日に書いてみたいと思います。
それで、ライブは北東京のとあるブラジルレストランであったのですが、ブラジルの国旗が這ってあったり、フィルムケースで作ったシェーカーがおいてあったり、ラテン音楽のビデオが流れていたりと言う感じで、雰囲気も良い感じ。ケールという野菜の炒め物がとてもおいしい。
それで、ライブが始まるまで、ビデオを眺めていたのですが、それにいたく感動したのですよ。
おそらくは大御所の、白いスーツに黒いシャツを決めた男性歌手が自分の子供か孫かを抱いてステージ脇に登場し、付け人かマネージャに子供を託す。そして、彼はステージに昇る。満場の客席から激しい拍手。ステージ上の小さなテーブルには、ブランデーがグラスに入っておいてあって、吸い差しのタバコが細い煙を上げている。おもむろに、数十人規模のビックバンドがイントロを奏し、彼が歌い始める……。結構明るい感じの曲。
でも、ブラジルと言えば、生活も苦しいだろうし、こんな明るい音楽に浸れるのが信じられなかったのですよ、今までは。でも、このビデオを見て思ったのは、生活が辛苦に満ちているからこそ、戦闘的に明るい音楽にのめりこんで行っているのではないか、ということ。辻邦生師がおっしゃる「戦闘的オプティミズム」というものなのじゃないか、ということ。
辛苦を嘗めて、暗いところに蹲るのではなく、あえて明るいところに自分を晒していく、ということがよく分かったのです。だからこそ、カーニバルの陶酔と熱狂がある。あれは、生きていくための手段なのだ、ということも。本当にいまさらですが。
あ、もちろん、ラテン音楽すべてが明るい曲というわけではないですよ。そうじゃないのもたくさんありますから。
それで、積極的に手持ちのラテン音楽をきいてみているわけです。根が単純なもので……。よく言えば素直と言うことですが……。
とりあえずきいているのは、イリアーヌ・イリアスのSings Jobim(邦題:海風とジョビンの午後)。ジョビン有名な曲をイリアーヌの婀娜っぽい声で。そして、サックスはマイケル・ブレッカーですからね。良くないわけがない。それにしても、なんとも艶かしいジャケットだこと。
新国立劇場/ヴェルデイ「運命の力」
3月24日、初台の新国立劇場で、ヴェルディの「運命の力」を見てきました。ヴェルディは少々苦手な口なのですが、今回は結構楽しめました。やはり、無理をして観に行くと良いことがありますね。すこしはヴェルディの語法に慣れてきた感じがします。
気がついたことを例によって箇条書きで。
- 席は二階1列36番でした。34番まではS席ですので、「ほぼS席」の見やすい席でした。事前に年間購入していた券でしたので、有利な席をとってくれたのだと思います。NNTに感謝。
- 真っ赤な舞台の幕には、おそらくはスペイン語のなまえが金色で貼り付けられていて、いやが応にも気持は盛り上がってきました。
- 舞台装置は、直方体の枠組を、部屋や祭壇に見立てて使っています。第一幕は、レオノーラの部屋が舞台ですが、舞台手前に直方体の部屋があって、その後ろには、黒いスーツやドレスを着た男女が何人も座って劇を見ているのですよ。それも一幕だけ。できれば、彼らにはずっと見ていてもらって、何らかの解釈上、演出上の役割を彼らに与えて欲しかったです。第二幕の祭壇には、ムリーリョが描くようなマリア像が描かれていて、迫力満点でした(私、ムリーリョ、好きなんですよね)。
- バリトンで、ドン・カルロを歌ったウラディーミル・チェルノフ氏の声、大好きでした。矛盾した形容かもしれませんが、ああいう鋭くて柔らかい声の持ち主にあこがれてしまうな。これも何度も書きましたが、西欧人の骨格じゃないと、ああいう声は出ないんじゃないか、と思ってしまいます。彼にはトスカのスカルピアや、ホフマン物語のリンドルフを歌って欲しい、と思いました。
- インドラ・トーマスさんも迫力あるレオノーラを歌っていました。第一幕の迷えるレオノーラには少し無理があったかもしれませんが、隠棲を望むレオノーラ、隠棲するレオノーラの意志の強さを良く表現していたと思います。
- 日本人キャストで言うと、プレツィオジッラの林美智子さんが良かったです。高いだけではなく、豊かな倍音を含んだ張りのある声だったと思います。
- 指揮はマウリツィオ・バルバチーニ氏。序曲は、緩急を付けてよく歌わせていましたが、オケがついてこられない場面もあって少し残念でしたが、おおむね良かったのではないでしょうか。
ともかく、楽しい3時間でした。
次回は3月31日に蝶々夫人を観に行きます。ジュゼッペ・ジャコミーニさんが出ると言うことで、とても楽しみにしています。
シャットダウンデー完遂
3月24日のシャットダウンデーを完遂することが出来ました。特にPCも立ち上げず、さらに携帯サイトを見ることもなく(もっとも、携帯サイトは普段から全く見ませんが……)、気持の良い一日を送ることが出来ました。
東京地方は、朝若干はれていたものの、すぐに曇り空となってしまいました。所用のため虎ノ門に出向き用事を済ませてカフェで読書など。銀座線、丸ノ内線と乗り換えて新宿へ。新宿から初台までは歩いて新国立劇場へ向かいました。曇り空でしたが、まあ暖かい一日だったのではないでしょうか。
「運命の力」の件は次回まとめようと思います。
Shutdown Day this Saturday, March 24th
明日は、シャットダウンデーです。PCを使わずに一日過すことが出来るか、試してみたいと思います。
常々、PCを使うことに相反する思いを抱いていました。PCを使うには、姿勢を一定にしなければならず、それが原因で肩や背中の痛みが激しいのです。
とはいえ、
- ネットで情報収集(ニュース、交通機関、天気予報)
- 図書館の蔵書検索と貸出予約
- ブログを書く
- ブログをRSSリーダーで読む。
- 写真の保存と加工
- 音楽の保存と管理、iPodのメンテナンス
と言った理由で、家でもPCを使うことを余儀なくされています。本当は、PCなしで過ごせるといいのですがそうも行かないところです。ですので、このイベントに飛びついてみました。幸い、明日は会社が休みですので、PCを使わずに過すことが出来そうなのです。
ちなみに、ウェブサイトによると、現在5万人あまりの方々が参加されるようです。
明日は、午前中から東京に出て、所用をすませたあと、新国立劇場でヴェルディ「運命の力」を観る予定にしています。ですので、昼間は全くPCを使う余地はありません。夜も本を読んで過そうと思っています。明日が良い一日になると良いと思っています。