Classical,Gustav Mahler

6月も気がつけば半ばに迫っています。東京地方は6月7日に梅雨に入ったそうですが、雨が降っているという印象はあまりありません。

昨日も30度を超える真夏日で、熱中症気味でしたし、今日もどんより曇るだけで、雨が降ることはありません。これから梅雨前線が北上し、梅雨らしい天気になるのだと思います。

もっとも、この季節の晴天は宝のようなものです。爽やかな晴天の下で、散歩をしたり、自転車で走ったりするのは、幸せです。
さて、今日はこちら。マゼールのマーラー交響曲第5番。マゼールのマーラー交響曲全集のボックス盤から取り出して聞いてみました。

Mahler:Symphonies 1-10

Mahler:Symphonies 1-10

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この音源、25年ほど前に初めて聞いた時にはまったく受け付けませんでした。以下のジャケットでした。

マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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私にとっては、このジャケットは、何か苦手な音源を聞いた、という気分を想起させるのです。そもそもこの曲の理解が定まっていないとか、マゼールの音楽というものを体感として理解していなかった、ということもあるのだと思います。

この濃厚な音楽の作りは、おそらくは普通の小学生や中学生に理解せよ、と言っても難しいのかも。幼い頃は何か「かっこいい」というプリミティブなキーワードを元に音楽を聞いていた記憶があります。

その文脈でマーラーを捉えることはできませんでした。

マーラーの音楽に含まれる様々な要素、ある時はスタイリッシュな音楽であり、ある時は土着の民謡であり、ある時はユダヤ音楽であり、ある時はワーグナーであり、と言った複雑に織り混ざったものを、一言で捉えたり、一言で語ったりする、一言で理解することはできないということなのだと思います。

長い間音楽を聴いて、あるいはこの曲をCDやライブで何度か聴いたことで、あるいは、実際にウイーンの空気を吸ったり、世界史をかじったり、現代の政治をみたり、そう言った経験があって、体感として理解が深められた、ということではないか、と思うわけです。

昨年も同じようなことを書いてました。

https://museum.projectmnh.com/2016/07/06235912.php

https://museum.projectmnh.com/2016/07/07235924.php

今日聞いたマゼールのマーラーも何か得心しながら聞けたのは、おそらくは、マーラーというものをかつてよりはよく聞いていたし、交響曲第5番もかつてよりはよく聞いていたし、マゼールもかつてよりはよく聞いていたから、ということなんだと思います。

主体の成長とともに認識も徐々に変容するということ。主体だけでもなく、客体だけでもなく双方によって整理するものであるということなのだと思います。おそらくは、音楽だけではなく、文学や絵画だけでもなく、あらゆるものがそういうことなんだとも思います。

さて、最近、もうなんだか放心したような毎日が続いていたんですが、なんとかここから脱却しないと、と思う今日この頃です。本も全然読んでいないし…。

それでは、みなさま残りの週末を楽しくお過ごしください。

Wolfgang Amadeus Mozart

Photo

新緑の季節のようですが、なんだか天気は今ひとつ。週末はぐずつくようです。写真は、先だっていった近くの河原から。Instagramのフィルタで浮き世離れした色になってしまいました。

さて、ありがたい機会を頂き、モーツァルトの本が読めるかもしれません。ということで、こちら。ジェフリー・テイトが指揮するモーツァルトの交響曲全集。第1番から全部聞いてみようかな、ということに。

Mozart Complete Symphonies

Mozart Complete Symphonies

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CDでも持っているのですが、CDを入れ替えながら第番から聴くことはしてませんでした。iTunes に取り込んだのは32番以降だった記憶も。

でも、AppleMusic に収録されていたので、1番からシームレスに聴けます。なんだが初めて聴いた7番が思いのほかよかったです。ジャズでいうII V 進行が素敵でした。いまさらですが、モーツァルトはいいです。初期交響曲はあまり聴く機会がありませんでしたので、本当に新鮮です。Apple Musicのおかげです。ありがたい世の中です。

最近、音楽を聴けない感じでしたが、また聴かないと、と思いました。

というわけで、みなさまもよい週末をお過ごしください。

Wolfgang Amadeus Mozart

モーツァルト:交響曲全集
ピノック(トレヴァー)
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ひさびさに、早めに帰宅。で、近所のプールでいつもより長めに泳ぎました。といってもいつも10分ほどしか泳ぐ時間がないのでそんなにたくさん泳いだわけでもないですけれど。
帰宅して食事。iPadでApple Musicを聞きながら食べることが多いのですが今日はなぜかモーツァルト。帰りの電車で急にモーツァルトが聞きたくなりました。なんというか、いやなことは音楽で忘れるに限ります。

モーツァルトの交響曲全集は、ジェフリー・テイトの録音をよく聞いていました。EMIのボックス・セットを入手していたので。で、その他の音源はあまり聞いていないのですが、Aoople Musicで探してみたら、トレヴァー・ピノックの音源があったので、大好きな35番「ハフナー」を聴いたりしました。ピリオド楽器らしいスッキリとさっそうとした音作りでした。

さて、来年度から仕事が少しだけ変わるのですが、変わるための準備が終わらないという問題。まずい状況…。

それではみなさま、おやすみなさい。

Anton Bruckner

いやあ、しかし、世の中色々あるものです。思うように行きません。そんな時、自棄になっても意味がありません。自棄は、自分を消耗させますので、生きる上では全く無駄なコストです。

そんな時がもしあったとしたら、お気に入りの音楽でもきたほうがよいです。私がもしそうなったとしたら、として、こちらをきいてみました。

ブルックナー:交響曲第7番
シノーポリ(ジュゼッペ)
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ブルックナーの7番。シノポリが振る7番は初めて聞きました。もう歌わせています。第二楽章など、本当に静謐。勝手な想像ですが、夜明けの蒼い光に照らされるイタリアの古都のようです。青い光に石造りの家や壁や道路が照らされて薄く静かに輝いている感じ。ドレスデン国立歌劇場のオケの美しさは特筆すべきものです。弦のたおやかな繊細さ。素晴らしい。オペラ的なドラマティックな感じもあって、第四楽章を聞いて、あれ、アイーダみたい、とか思ったり。完全に、シノポリを聞いている、という先入観によるものなのですけれど。

明日もまた戦いへ。どうなることか。

それではみなさま、おやすみなさい。

Richard Strauss

「騎士団長殺し」を読み終わり、忘れられないのは、作中に《ばらの騎士》が登場したこと。題名の騎士団長が、モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》から取られたものであるということもあり、何かオペラとの関連を強く感じつつ、ショルティの振る《ばらの騎士》が何度か登場するということもあり、先週来、なんども《ばらの騎士》を聞いています。
Photo
《ばらの騎士》を3バージョン。

左は、カルロス・クライバーがウィーンで振ったもの。フェリシテ・ロット、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、バーバラ・ボニー。伝説なんですかね。私はこれをNHK-BSの放送で初めてみて、卒倒しました。当時はビデオで撮ったんですが、もうみられなくなってしまいました。そこでDVDを買った次第。映像でいうとこれが一番すきかも。

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右上は、私が最近一番好きな《ばらの騎士》。ハイティンクの鮮やかでスタイリッシュな音作りが聞けます。ハイティンクは本当に素敵です。

Der Rosenkavalier

Der Rosenkavalier

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右下は、「騎士団長殺し」に登場するショルティの《ばらの騎士》。これは、これまではあまり得意とする音源ではなかったので、もう少し聞いてみないと。

Der Rosenkavalier

Der Rosenkavalier

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ちなみに、実演で最も感動したのは、新国立劇場2007年のパフォーマンス。ペーター・シュナイダーの溶けるようなたゆたう美しい指揮に、カミッラ・ニールント、エレナ・ツィトコーワのコンビで、ジョナサン・ミラーの心の底から美しく思えるフェルメールのような淡い色彩の演出に、3時間ほど泣きっぱなしでした。あれから10年。早いものです。

夜更かしをして、現実を忘れました。明日も頑張らないと。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Richard Strauss

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それにしても、いろいろなことが起きるこの頃。まあ、平坦な世の中なので、何が起きても何も変わらないものです。先日も書いたように、大切なのは、その中で現れる燦きのような個人的な感動だけだと思います。そういう感情的なものが確実なもので、大事にしなければいけません。こればかりは、他者によって規定されるものでなさそうです。何か内向きなら考え方にも思えますが、外界との闘いのなかで得た方法論的な処世術なようにも思います。
今日はこちら。エーリッヒ・クライバーの《ばらの騎士》。

R. Strauss: Der Rosenkavalier

R. Strauss: Der Rosenkavalier

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Vienna Philharmonic Orchestra
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「騎士団長殺し」では、第2部でも《ばらの騎士》が登場します。この盤はざっと聴いた印象だと、洒脱と豪華の中にもスタイリッシュな背骨がくっきりと浮き上がるような芯のある演奏です。

それにしても「騎士団長殺し」の世界のように、けだるい午後に、安い白ワインを飲みながら、《ばらの騎士》を聞くというのは贅沢な楽しみだなあ、と思います。いつかそんな日が来る予感がしますが、そればかりだときっとつまらないのかもなあ、と思ったりもします。結局仕事が好きみたいです。

今日も仕事場で数字合わせを丸一日やりました。明日からもまた数字あわせ。加えて、年度末に向けたたくさんの仕事をこなす予定。書類仕事もあれば、そうでない仕事も。

花粉もひどくなってきたようです。皆様もどうかお気をつけて季節、仕事、学業の変わり目をお過ごしください。グーテナハトです。

Murakami Haruki,Richard Strauss

村上春樹「騎士団長殺し」で、ショルティの《ばらの騎士》が取り上げられていました。

リヒアルト・シュトラウスがその絶頂期に到達した至福の世界です。初演当時には懐古趣味、退嬰的という批判も多くあったようですが、実際にはとても革新的で奔放な音楽になっています。ワグナーの影響を受けながらも、彼独自の不思議な音楽世界が繰り広げられます。いったんこの音楽を気にいると、癖になってしまうところがあります。

152ページ

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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おっしゃる通り、どうやら癖になってしまったようで、今日もシュトラウス。しかし、この退嬰的で懐古主義だが、奔放な音楽であることを1枚で味わえるアルバムを聞きました。

Strauss Heroines

Strauss Heroines

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Vienna Philharmonic Orchestra
Decca (1999-09-14)
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アメリカのソプラノ、ルネ・フレミングがシュトラウスを歌った一枚。これを聞けば、《ばらの騎士》のようなシュトラウスのオペラを味わうことができると思います。もちろん、シュトラウスは《ばらの騎士》のようなオペラだけではなく、若い頃はいくつもの長大な交響詩や交響曲を書きましたし、《サロメ》や《エレクトラ》といった当時の前衛オペラも書きました。あるいは、《インテルメッツォ》や《ナクソス島のアリアドネ》のような洒脱なオペラも。ですが、やはり《ばらの騎士》とか《カプリッチョ》のような豊かで甘い音楽がリヒャルト・シュトラウスの魅了を占める部分であることには間違いなく、このアルバムだけ聞けば、それの多くを理解できるのではないか、と思うのです。また、演奏も他の演奏に比べて、一層甘くて豊かで、指揮するエッシェンバッハも、オーケストラをかなり分厚くゆったりと官能的に鳴らしていて、それが何か少しやりすぎのような気もする場面もあるのですが、そうはいっても、これが西欧の甘美な豊かさなのだ、と説得されてしまうような感覚があるのです。

このアルバムを聴いて、仕事場への行き帰りを終始しました。なんだかいい気分でした。

明日は木曜日。気がつけば、木、金、土と、三連続で山が連なっています。なんとか乗り切らないと。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Anton Bruckner

仕事場への通勤時間が唯一の考えられる時間で、スマホがあり、ヘッドホンがあり、文庫本があれば、まあなんでもできてしまうのですが、それでもなお、時間がたくさんあると思うとそれは錯覚で、あっという間に電車は仕事場に着いてしまいます。逆にできることがあり過ぎるから、ですね。

今日は、またティントナーによるブルックナー。5番です。あまりに論理的な構築美が繰り広げられる5番ですが、どう聞こえるのか。時に、晦渋に過ぎる演奏もありますが、ティエポロのような美しさはあるのか。

Symphony 5
Symphony 5

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で、聴いてみるのですが、やはり何か繊細な細やかさのようなものを感じて、いいなあ、と心から。丁寧な職人技のようなのですが、職人という言葉から連想される「仕事」という感じではなく、たおやかな「遊び」のようなものを感じました。
ブルックナーをとおしで聴けるぐらいの通勤時間は、良いのか悪いのか。まあ、良し悪しはなくて、あるのは、とおして聴けるというありがたさだけなのかも。通勤時間は、無償の労働と言われますが、まあ、スマホとヘッドホンのおかげで、生産的な時間とも言えそうです。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Anton Bruckner

今朝読んだブルックナーについての記事に触発されてこちらを。

7番は、初めて聞いたブルックナーでした。おそらくは、1988年ごろかな、と。30年も前。大阪フィルを朝比奈隆が降ったFM放送のエアチェックでした。金子建志さんが、いかに朝比奈隆の指揮のテンポが遅いか、というのを、朝比奈さんの演奏とバレンボイムの演奏(だったと思う)の二つのCDを同時にスタートさせて、バレンボイム盤が終わったところで、朝比奈盤に切り替えて、あ、まだここまでしか演奏できてませんね、みたいな比較をして説明していたのを思い出しました。

私は第二楽章が好き。ワーグナーの死に際して作られた、と言いますが、浄福に至る美しさはしばし世の芥を忘れさせます。この曲聞きながら、黄金の太陽が降り注ぐ雲海を眺めたことがあります。あれは人生で最も素晴らしいひとときの一つだったと思います。

今日はティントナー盤を聞いてみました。20年ほど前に評判になったのですが、なかなか聞けずじまいでした。第一印象は柔和なイメージ。

Bruckner: Symphony no 7 / Tintner, Royal Scottish National Orchestra
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ちなみに、昨今、起きていることが、いいことなのか悪いことなのかわからない状況。多分、世界は透明で平坦なのだと思う。そして思った以上に意味がない。失敗も成功もなく。ただ、あるのは、おそらくは、そうした透明や平坦に向けられる自分の解釈だけなんだろうなあ。

なんてことをこの曲を聴きながら考えてしまいました。

明日でウィークデーは終わり。今日、ひとつ山を越えました。あと山は3つ。頑張らないと。

それではみなさま、おやすみなさい。

Richard Strauss

VIER LETZTE LIEDER/ORCHES

VIER LETZTE LIEDER/ORCHES

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これまでにないいろいろなことが起きて、咀嚼するのに苦労している毎日。良いことも悪いことも。でも、咀嚼はできるのです。私の場合、そう言う咀嚼は泳いでいる間にやります。週に3日ほど、仕事帰りに泳いでいます。10分ほど泳ぐだけですが、そこで規則的に呼吸をして、規則的に体を動かしながら、色々と考えると、いろんな事が咀嚼できる感じ。ありがたいことです。

そんな昨今、なんだか、聴きたくなったのが「最後の4つの歌」。リヒャルト・シュトラウスの白眉。オーケストラ付き女性独唱曲。最後のロマン派音楽、なんてことを思ったりします。戦後に作られたのですから。最晩年の深淵は味わい深く静謐です。そういう境地にたどりつくためには、数多の壁を乗り越えなければ。そうでないとそれは無意味です。

ネトレプコ、ハルテロス、ノーマンを聴き比べるのですが、今の気分としては、ノーマンがフィットするかなあ。深みとエッジ。そして、これがゲヴァントハウスの音か、みたいな。

また明日から新しい色々なことをやらないと、と思います。

やっと立春ですが、まだ寒い日が。みなさまもどうかお気をつけてお過ごしください。