先週に引き続き新国立劇場へ。今日は《フィガロの結婚》でした。台風が来なくて良かったです。
- 指揮:ウルフ・シルマー
- 演出:アンドレアス・ホモキ
- アルマヴィーヴァ伯爵:レヴェンテ・モルナール
- 伯爵夫人:マンディ・フレドリヒ
- フィガロ:マルコ・ヴィンコ
- スザンナ:九嶋香奈枝
- ケルビーノ:レナ・ベルキナ
- マルチェッリーナ:竹本節子
- バルトロ:松位浩
いや、本当にモーツァルトオペラの楽しさを満喫しました。
ワタシ的には序曲から勝手に盛り上がってしまい、あやうく序曲でブラヴォーと叫ぶところでした。それぐらい、ウルフ・シルマーの指揮は実に素晴らしかったのです。素晴らしく濃密な音でした。序曲から、オケの音が引き締まり、少し早めの速度でグイグイと引っ張られて行くような感じです。
シルマーの指揮棒の動きはかなり複雑です。盛り上がる場面では、私にはちょっと拍節がわからないぐらい複雑な動きをしています。ですが、よく見ると細かい指示をたくさん出していました。左手で頻繁にパートを指さして指示を出しているのがわかりました。ですので、腕がとにかくたくさん動いています。まるで阿修羅のようでした。またテンポの取り方も絶妙です。基本的にはあまりテンポは動かしませんが、微妙な音価の操作が音楽の輪郭を際立たせていたように思います。
歌手の方々も素晴らしかったのです。
伯爵夫人を歌ったのがマンディ・フレドリヒですが、去年ザルツブルグでメジャーデビューしたのですね。若手と言われていますが、ベテランともいえる堂々たる歌唱であり演技でした。少しピッチが気になることがありましたが、それは本当にごくごくわずかです。声も美しく、落ち着いていて、伯爵夫人の苦悩を表現しつつも、上品な挙措が素晴らしいのです。まだレパートリーにはないようですが、当然ながら《ばらの騎士》で元帥夫人を歌える方だと思います。あの第三幕で元帥府人が登場する場面を想像してしまいました。次の新国の《ばらの騎士》はカミラ・ニールントとマンレィ・フレドリヒを希望します。
“http://www.mandyfredrich.de/":http://www.mandyfredrich.de/
スザンナは九嶋香奈枝さんでしたが、今年冬の《愛の妙薬》でジャンネッタを歌ってました。あの時も巧いと思っていましたが、今日も素晴らしかったです。日本人離れした表現力だったと思います。時にわざとらしくなってしまう、西欧人的なジェスチャーですが、私はまったく違和感を感じることがありませんでした。あとは豊かな表情なんでしょうね。あれはなかなかできるものではないのだと思います。もちろん歌の方も倍音が豊かで日本人っぽくない声質でした。
続きはまた明日です。ではグーテナハト。