Roma2008

10時間も眠り続けて、起き上がるとまだ6時。食事の時間まであと1時間。シャワーを浴びて身づくろいをして食事に。

Hotel Giorgiの朝食はいいよ、とネットに書いてあったので、どれどれ、といってみると、おー、これは素晴らしい。クロワッサンにヨーグルト、キュウリとトマトのスライス、ブラッドオレンジのジュース。ビュッフェスタイルなので、ちょっと油断をすると食べ過ぎてしまうぐらい。

食事を済ませて、外に飛び出すと、今日もいい天気。タバッキ(キオスク、タバコ屋?)で地下鉄・バスの一週間チケットを買おうと思うのだけれど、できればクレジットカードで買いたいなあ、とおもって色々回ってみるが、クレジットカードでは買えないことが判明。それだったら、最初のタバッキの感じの良いおじさんのところで買えばよかったなあ。

一週間チケットをゲットして、急行バス40番でヴァチカンへ。この40番バスはテルミニ駅からサンピエトロ広場近くまでを途中の停留所をいくつも飛ばしながら走っていく。バスは混でいるのだが、だれもが観光客らしく、なれない手つきでチケットをバリデイト(タイムスタンプを押す機械に差し込むこと)している。

バスが走り始めると、めまぐるしく変わる窓の外の眺めと地図を交互に見ては、バスがどのあたりを走っているのか確認していくのだが、これはなかなか難しい。地図には停留所(フェルマータ)の位置など書いていない。道の交差の具合とか、建物の雰囲気を推し量りながら、地図をトラッキングしていく。

気づくとテヴェレ河を渡る橋に到達し、程なくしてサンピエトロ寺院を正面に見る通りに到着。ここが終点と見えて乗客たちがぞろぞろと飛び出していく。 道に降り立つと正面にサンピエトロ大聖堂が見える。アイボリーの石造りの巨大建築。クーポラの向こう側は真っ青な空。雲ひとつないではないか。まだ朝早いと見えて、人通りは思ったより多くはない。サンピエトロ広場もがらんとしていて、人気がない。いや、そうではない。サンピエトロ大聖堂もサンピエトロ広場もあまりに巨大で、人が目立たないのだ。よくよくみると少ないながらも人が三々五々歩いているのが見える。

サンピエトロ広場に入ると、国際法上は別の国に入国したことになる。境界をまたいで意味もなく満悦。

Miscellaneous,Roma2008

昨年の、フィレンツェ、ヴェネツィア旅行では、パスタを何度か食べて、まあそれなりに美味しかったのですが、日本で食べるパスタと余り違いはないな、と思ったりもしました。思い上がりすぎでしょうか。

ところが、ローマで食事を摂った4軒のレストランのうち、2軒はものすごく美味いパスタを出してくれました。ゆで具合も味付けも段違い。うーむ、負けてはいられないと言うことで、自宅でローマのパスタを再現しようと作ってみました。作るのはペペロンチーノですが、私は納豆を入れるのが好きですので(これが絶妙に美味い)、納豆ペペロンチーノが練習台になります。

 

まずは、オリーブオイルを超弱火で暖めながら、スライスしたニンニクを投入。パスタをゆではじめる直前に、唐辛子と納豆を投入。

パスタゆではじめ。煮立った水に塩をいれるのだが、ここで塩をけちると美味しくないので、思いっきり入れてみる(とはいえ、いつも結局少なくて後悔するのですが)。パスタの袋には「7分でアルデンテ」の記載があったけれど、タイマーは5分にセット。5分経ったら、パスタを少しあげて硬さを見る。歯ごたえあるなあ、と思うぐらいで上げてみる。

一番大好きな乳化の瞬間。フライパンを強火にしてオリーブオイルが強く泡立ちはじめたら、パスタのゆで汁を少しずつ注ぐ。すると、油とゆで汁がいい具合に絡まり合う。すかさずパスタを投入。強火でパスタの表皮を柔らかくし、オーリブオイルや塩味をパスタにしみこませる。

できあがり。お皿に盛ってみる。もう少し色合いがあるといいのだけれど。

食後の感想としては、パスタはもう30秒ほどゆでた方が良かったかもしれない。でも、食べられない硬さじゃないのでOK。かなり美味い。いけてます。でも、ローマのパスタの美味さには到底及ばないなあ。まだまだ修業は続く。

今週末は久々にゆっくりと過ごせる休み。今週は仕事が忙しいこともあって、ちょっと疲れているなあ。本当なら辻邦生さんの文学紹介と行きたかったのですが、ちょっと無理かな。色々とやりたいことはあるのですが、なかなか手がつけられませんが、午後は、ちょっと頑張って見ようと思います。

午前中は、ドン・ジョヴァンニを聞いたり、ばらの騎士を聞いたり、ワルキューレを聞いたり。少々散漫な聴き方ですが、たまにはこういうのもいいでしょう。

 

Roma2008

レオナルド・ダ・ヴィンチ空港へは、ルフトハンザのエアバス320で90分ほどのフライト。食事をとって、本を読もうとしたら睡魔に襲われいつの間にやら寝込んでしまう。日本ではもう夜中の1時ごろですから。

気がつくと、最終アプローチで、主翼からフラップが引き出されて着陸態勢かと思うとあっという間に着陸。

空港はフィウミチーノというところにあるため、ダ・ヴィンチ空港よりもフィウミチーノ空港と呼ばれることが多いようだ。ちなみに空港をあらわすスリーレターはFCO。羽田は HND、成田はNRTなので、FCOがフィウミチーノ由来であることは間違いなさそう。

ボーディングブリッジをわたって、バゲージクレームへ。ところが、なかなか荷物が出てこない。20分ぐらい足ってようやく荷物がそろい、イタリア鉄道の駅へ向かう。クレジットカードが使える券売機がガイドブックに写真入で載っていたのだが、当の券売機は壊れていて使えず。かわりに、新型のカラー液晶画面を備えた券売機ではクレジットカードで乗車券の購入ができる。

フィウミチーノ空港からローマ中心部のテルミニ駅までは、全席一等車のレオナルド・エクスプレスが走っている。一等車というからどんなものだろう、と思ってみるのだが、そうそうきれいな車両でもないし、座席がすばらしいというわけでもない。ただ、空港からテルミニ駅までがノンストップである、ということぐらい。しかし、疲れている身にとっては早くホテルに着きたいので、ありがたいことこの上ない。

車窓は畑風景から郊外住宅へと変わっていく。マンションがいくつもたっているのだが、決まって窓には遮光シートが張ってある。もう夕方も遅い時間だというのに西日が厳しく赤い光が客席にも差し込んでくる。

テルミニ駅の24番線に到着した列車を降りると緊張感に包まれる。テルミニ駅の治安の悪さは十年前からうわさに聞いていたし、ガイドブックにもそれなりの注意喚起がされているから。だが、夏の盛りのテルミニ駅はまだまだ日差しの下にあって、光があふれている。行き交う人々も、ビジネスマンや若い旅行者達ばかりで、怪しげな雰囲気を持つ男や女を見つけることができないぐらい。少々拍子抜けしながらも、周囲に目配りをしながらあらかじめ地図に穴が開くほど確認したホテルへと急ぐ。

ホテルはテルミニ駅近く、ちょうど北東方面にある共和国広場の近くにあるHotel Giorgiという小さなホテル。中に入ると子供をあやす女と、黒いシャツにネクタイを締めた若い男がにっこり笑う。年配でもう髪の毛が真っ白になっている小太りの男が独り言を言いながら宿帳をめくってくれるのだが、われわれの名前がないようで、別の中国人旅客と間違えたりする。予約が入っていないのか、と少々詰め寄るのだが、子供をあやす女が、「問題ないのよNo problem! 」と言ってくれる。どうやら、予約が入っていなくても泊まれるだけの空き室があったようだ。 黒いシャツの男は、子供をあやす女と夫婦のようなのだが、明るいイタリア人である反面、心のそこでは何を思っているのか分からないようなひんやりとした空気もあわせ持つ男で、われわれを部屋まで案内してくれる。

ロビー階から3階(日本で言えば4階)まで外見が古びたエレベータで昇っていくのだが、実際に動いている機械はあたらしいもののようだ。こうした丸階段の中央部にしつらえられたエレベータはドアを自分達で開け閉めしなければならないのだ。欧州のホテルにはこういった丸階段に設えられたエレベータを良く見かけるが、日本ではついぞ見かけることはない。というのも、欧州の建物は石造であるから、そうそうすぐに立て直されることはなく、内装工事などで建物の快適さを向上させていく。日本の場合は、どんどん建物ごと立て替えていくから、古いエレベータなどぶっ壊されてしまうというところだろう。

3階の客室階に入ると、なにやら新築住宅に入ったときのような甘い匂いが立ち込めている。ボンドの匂いや新しい木材の匂いが入り交ざった匂い。連れが男に「リフォームしたばかり?」とたずねると、男は陽気に首を縦に振る。 二つの部屋を選ばせてくれたのだが、ベッドが少し奥まったところに置かれている316号室をリクエスト。作ったばかりの新しい部屋だ。ベッドも広く快適さはこの上ない。これで机がもう少し広ければいいのだけれど。

気づくと靴を脱いでベッドに転がり込んでいた。これからおおよそ11時間ほど眠りについて旅の疲れを癒すことになる。

つづく

Roma2008

本当に暑いですね。昨晩は夕立で涼しかったというのに、朝起きると暑くて暑くて仕方がありませんでした。

先日は、エコをエンコにかけて、失笑を買ってしまいましたので、このあたりで本題に。

ローマのことです。

今年ローマにいこうと考えたのは、

  1. ローマにおけるラファエロの諸作品を見ておきたかった。
  2. なによりラファエロの墓参りをしたかった。
  3. ベルニーニの彫刻群を見てみたかった。
  4. イタリアでオペラを見てみたかった。

という理由により。 諸事情のため、暑い夏に旅程を組まざるを得ませんでした。

行くと決めたのが4月で、その時点で航空券も抑えましたので、燃油サーチャージも今今よりも少し低い値段でいけました。ちなみに、連れ合いの航空券はマイルでゲット。しかしマイルで交換できる特典航空券でも燃油サーチャージがかかるのです。とはいえ、二人分に均すと、この時期としてはリーズナブルな値段になってほっとしました。

塩野七生さんの「神の代理人」や「ローマ人の物語」を読んでいたのもローマ旅行の予習の一環でした。おかげでローマ史をさらうことができました(まだ9巻分しか読んでないですが)。 それから、ベルニーニ。バロック芸術の天才ですが、今は絶版となっている石鍋真澄さんの「ベルニーニ」を図書館から借りて読んでいるうちに、写真だけで感動してしまって、ベルニーニの彫刻を詣でることにしたわけです。今はamazonではとんでもない値段になっています。

 

ベルニーニ―バロック美術の巨星
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今年も、ルフトハンザのボーイング747にてフランクフルトへ。シベリア上空では、ひたすらベルニーニの予習を。ワインを飲んで、食後にコニャックを頼んだのですが、思ったより眠気はきつくなくて、少し休んだぐらいでしょうか。コニャックはおいしいですね。CAさんが"Enjoy!"といって渡してくれたのが印象的。

フランクフルトでエアバス320に乗り換えてローマ・フィウミチーノ空港へ。機内でサンドイッチを食べたのですが、日本時間ではもう夜中。さすがに眠たくて、着陸周りは覚えていません。

全ての道はローマに通ず。いよいよ、ローマ入りです。

Classical,Roma2008

今日も暑い一日です。毎日会社近くの林を散歩するのが日課なのですが、この暑さではかえって体力を消耗します。いつもの半分ぐらいで切り上げて帰ってくるのですが、それでも暑い。席に戻って30分たってもまだ暑い。ありゃ、オフィスも28.9度ですって。いくらエコとはいえ、そのまえにこちらがエンコしてしまいそうです。

さて、今日もいろいろ聞いています。ヴォツェックを朝から聞き始めたのですが、どうにも深みにはまり込んでいくような感じで、いったん中止。コレッリのヴァイオリンソナタ集を聴き始めて少々気分が落ち着きました。

コレッリ(1653-1713)はローマで活躍したバロックの作曲家で、バッハにも影響を及ぼしているのですが、今は何処に眠るのかと申しますと、パンテオンに葬られているのですね。

パンテオンはもともとは紀元前25年にローマ皇帝アウグストゥスの腹心の部下アグリッパによって建てられるのですが、いったん火災で焼失し、紀元128年にハドリアヌス帝にて再建された建物です。どうして破壊を免れたのかというと、そもそもは万神殿というふうに、ローマの神々の為の神殿だったわけですが(アウグストゥスの墓として建てられたという説もあるそうです)、キリスト教がローマの国教となるに及んで、キリスト教の教会として利用されることになったからだそうです。さもなくば、フォロ・ロマーノのような廃墟になるところでした(フォロ・ロマーノについてはまた触れたいと思います)。

中に入ると、天井の採光穴からの光がぼんやりと内部を照らしています。

観光客の群れに身を任せながら、ラファエロの墓を発見。

ひときわ目立つ巨大な棺は、イタリア統一を成し遂げたサルディニア王家のヴィットリオ・エマヌエーレ二世のもの。

ですが、お目当てのコレッリの墓が見つからない。入り口の気のよさそうな髭面の若者にたずねてみると(イタリア語はしゃべれませんのでカタコト英語でですが)、場所を教えてくれましたので、言ってみると、ありましたよ、コレッリの墓碑が。

それにしても、コレッリの音楽は慈愛深くて、聞いていて落ち着きます。帰りの電車もずっとコレッリ。ちょいと仕事でいろいろあったもので、結構慰めてもらいました。演奏は、Monica Huggettのヴァイオリン。透き通ったバロック初期の音楽です。