NNTT:新国立劇場,Opera,Wolfgang Amadeus Mozart

はじめに

いやはや、もう、本当に楽しい3時間半でした。新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」。一緒に行ったカミさんも喜んでいたようです。

コジのストーリーはオリジナルなものからみると、少しく無理があったり、なんだか都合が良すぎて、どうもなあ、と思うこともありましたが、今日の演出での読み替えを見ると、リアルにありそうな話しに思えます。少し軽薄とも言える若者文化の中にあっては、こういうこともあるんじゃないかなあ、と思います。

キャンプ場!

ミキエレットの演出とファンティン美術によって初台に現れたキャンプ場のセットは、周りに首都高やオペラシティがあることをしばし忘れさせ、若い日の何かしらのキャンプやら臨海学校なんかの記憶を思い出させてくれました。

特に第二幕のキャンプファイヤーの場面。曲調がまさにキャンプファイヤー的で、幼き日のことを思い出しました。ああいう場面は、確かに若者にとってはドキドキ感がありますね。あの感覚が良く伝わって来ました。

徴兵される部分も、ヨーロッパならあり得るなあ、と思いました。海軍のフリゲート艦の模型を使うあたり、「オランダ人」の演出みたいでしたが面白かったですし。あの模型、第二幕では、アルフォンソのレセプションの奥の本棚に飾ってありました。

神は細部に宿る

本当に細部まで緻密に練り込まれた舞台美術で、草の生え方とか、階段の隙間から草が生えていたりとか、もう至る所に仕掛けがたくさんで、目がくらむようでした。神は細部に宿る、ってこういうことを言うんでしょうね。

先日も書いたように、コカコーラの缶や、毒薬の設定の食器洗剤、生ビールベンダー、バーベキューセットなど、小道具のほとんどはイタリアから調達したようです。

あとは、テレビではサッカーが放送されてましたね。ポラロイドカメラ、今日は写真が出てこなかったようで、事務所の中から写真を持って来たりしていました。あの写真、結婚証明になっているのです。

やはり、こだわりを持って、細かいところまでしっかりとやるのが芸術的仕事です。割り切りを強いられる現実の仕事とは大違い。私もそういう仕事をしてみたい。

音楽面は明日書きます。

参考 これまでの関連記事

新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その1
新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その2
新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その3
【短信】「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術に行ってきました!
新国立劇場のリハーサル室に潜入!── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その1──
登壇された方々── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その2──
もう一度、コジの演出と舞台について── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その3──
コジの制作の舞台裏── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その4──
大道具小道具そしてQA── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その5──
「コジ・ファン・トゥッテ」のチケットはこちらから。公演は残り二回。まだ間に合いますよ → チケットぴあ
舞台写真 は “こちら":http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000154_frecord.html

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引き続き、5月28日(土)に、東京初台の新国立劇場地下2階リハーサル室Bで催された「「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~」の模様を。今日で終わります。

後半の講演

後半は、大きな液晶画面に写真を表示させて実際の様子が分かる感じでした。やはり写真を見るとイメージが湧いてよく理解できました。写真が載せられないのが残念です。

小道具のこと

今回の演出はイタリアのキャンピング場ですが、小道具はイタリアから持って来ているようです。ケロッグ、食器洗剤、コカコーラなどはイタリアで売られているものを使っているようです。これは白石さんが調達したとのこと。それだけではなく、ジェラート屋のショーウィンドに埋め込まれた冷凍容器なんかも本物を使っているそうです。
小道具というのか分かりませんが、今回の舞台にはジープが登場するようです。車を舞台に上げるときには、エンジンなどを取り除いてから上げるのだそうです。そうしないと舞台上で動かすのが難しいから。中古車を買って中身をくりぬいて使うのですね。まあ冷静に考えれば当然なんですが、舞台はお金がかかります。
それから、面白かったのは、バーベキューセットのこと。舞台に登場する際には、ある程度使い込まれた状況にしなければならないと言うことで、実際に新品のバーベキューセットで肉を焼いて、使い込まれた感じを出したそうです。バーベキューをしている写真がスライドに出てきて「これは仕事中の写真です」と説明されると、みんな受けていました。

舞台の運び出し

できあがった舞台は日本へ船便を使って送られます。今回の場合、コンテナ7本半を使って日本に送り出したのだそうです。高さのあるセットなどは、組み立て式にして分解して荷詰めをするそう。だから、立木のセットなどは、幹を分割し、組み立て式にするそうです。

そのほか

コジの舞台美術の話だけではなく、モデナ歌劇場の様子も写真とともに紹介されました。たとえば、昔の名残で舞台裏まで通じる通路は馬車が入れるようになっているとか、舞台上で火災が起こった時に供えて、柄が非常に長い鎌が舞台裏に供えてあって、火災が出たら舞台の幕を切り落として天井への延焼を防ぐのに使うのだ、など、興味深い話がたくさんありました。

Q&A

最後にパオロ・ファンティン氏へのQ&Aがありました。

演出のアイディアは誰が出すのか?

時と場合による。演出家のこともあれば舞台美術家のこともあります。

演出に映像を使うことことについてどう思うか?

すべてのものは、意味あるものでなければならないコストカットのために使うのではだめだ。映像が必然的なものでなければ使うべきではない。

(白石さんの補足)

イタリアでも舞台画家が少なくなってきているそうです。舞台背景を描くときに使う下書き用の木炭も売られなくなり、柳の枝で自作していらっしゃるそうです。また、映像だけではなく、プリントアウトに変わってきてしまっていて、ますます厳しい状況だそうです。

舞台上の音と音楽の関係。水音は邪魔にならないか?

美術に魂がこもっていなければならない。美しいだけではなく意図がなければならないのです。水を使うのには必然性がある時だけ。もちろん指揮者の了解は取っています。歌手も最初は驚きますが、演技演出の意図に合えば、歌手の表現を助けてくれるものになるのです。

終わりに

長々と書き連ねました。全内容をかけたわけではありません。最近仕事が忙しく、平日は家で何も出来なくなってしまいました。推敲するまもなく、電車の中で書き続けて、その都度アップしていました。今後表現は見直すかもしれません。
ネヴィオ・カヴィーナ氏のことも書かなければなりません。当日の主役のお一人である白石さんの旦那様でいらっしゃるネヴィオさんは、物静かな方です。コジのプロダクションに直接参加してはいらっしゃらないですが、白石さんをご家庭にあって支えられたのだそうです。あとは、もう一人の主役であるパオロ・ファンティン氏は、5月28日のお昼頃に日本へ到着したとのことで、時間通りいらっしゃるか分からなかったのだそうです。ファンティン氏が遅れた際には、白石さんとネヴィオさんのトークに差し替えられる予定だったそうです。なるほど。。内助の功です。
あ、それから、面白かったこと。
リハーサル室の前に、小さな子供、4歳ぐらい? がお母さんと一緒に座っていたのです。子供は絵本を読んで屈託がない様子。なんでこんな子がいるんだろう? と思っていたんですが、子供は着物を着ていました。ああ、この子は蝶々夫人の息子役なんだなあ、と得心しました。

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引き続き、5月28日(土)に、東京初台の新国立劇場地下2階リハーサル室Bで催された「「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~」の模様を。長くなってしまいました。。
後半は舞台美術コーディネータの白石さんによる今回のプロダクションの舞台裏のお話でした。

見積もり依頼と取材

最初に。パオロ・ファンティン氏から白石さんに見積もり依頼が昨年の冬にあったのだそうです。そこで、舞台を作る上での材料と技法を考えるのだそうです。そのためには取材研究が必要になります。舞台の標高、どこの国の設定なのか、季節はいつか、など。それから資料写真もたくさん撮ったり入手したりするそうです。木々の樹皮の感じ、コケの月具合、池の水の色、などなど。そこまで取材するのですか、という驚き。

舞台の作成

舞台の作成はモデナで行われたそうです。リナルド・リナルディ社という会社にフリーランスの舞台美術家の方々が結集して作成を始めたのだとか。
今回のコジの舞台は、凹凸のある舞台ですが、そうした起伏は発泡スチロールで作られるそうです。とはいえ、重量を抑えたり、輸送を考慮するなかで、木枠で型を作ったしながら、作るのだそうです。
実際の写真などを見せていただきながら説明していただき本当に興味深かったです。
今回の舞台は、新国立劇場の回り舞台を一回り大きくしたものなのだそうです。新国の回り舞台の大きさでは足らないというパオロ・ファンティン氏の意見があり、予算の関係などで色々調整が大変だったのだそうですが、なんとか大きくできたとのこと。現実と理想の闘いはどの世界にもあります。
もう少し続きます。

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昨日に続いて、5月28日(土)に、東京初台の新国立劇場地下2階リハーサル室Bで催された「「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~」の模様を。今日は前半一時間にお話された舞台美術担当のパオロ・ファンティン氏によるお話を。

コジの演出意図について

今回のコジの演出意図としては、舞台上に身近で分かりやすい人間ドラマを作りたい、というコンセプトなのだそうです。これは、演出のダミアーノ・ミキエレットとパオロ・ファンティンが話をしたときに出てきたコンセプトだそうです。
先日も、オペラトークの紹介の際にも書きましたが、四人の若者が夏のバカンスをキャンピング上で過ごすという設定です。
舞台装置は映画の設定に似た回り舞台です。これは、舞台が回ることで、映画のカメラワークのような効果を狙っているのだそうです。歌手は、回り舞台に乗って歌っているのですが、舞台が回ると、視界から去っていくわけです。これが、カメラワークに擬されている、ということと思われます(まだ実際に観たわけではありませんが)。会場の入り口には、舞台装置の模型が置いてありました。写真は撮れませんでしたけれど。
回り舞台にはたくさんのシーンが設えられています。ピクニック場、バール(バーのこと)、ジープ、キャンプ場のレセプションなどです。場面は台本設定に対応づけられていて、たとえば、フィオルディリージどドラベッラの寝室はキャンピングカーになっていたりするようです。

オペラ演出の二つの要素

さて、ファンティン氏によれば、オペラ演出では、二つの考慮点があるとのこと。一つは場所をどうするか、もう一つは人物設定をどうするか、です。
今回の場所はキャンピング場です。自然の中とはいえ、リゾートホテルではありません。より自然環境との距離が近いということです。これは、人間の持っている「自然な部分」を引き出すための設定で、「自然な部分」とは、本能的であったり、動物的であったりするわけです。
登場人物の設定ですが、フィオルディリージ、ドラベッラ、グリエルモ、フェルランドは、都会からやってきた自然に不慣れな四人の若者に置き換えられています。また、狂言回し的な存在であるアルフォンソは過去に恋愛に失敗し傷を負ったキャンピング場のオーナーという設定で、デスピーナはキャンピング場のバールの女給仕という設定です。

今回の演出におけるストーリー

第一幕では、冗談のつもりでアルフォンソのかけにのった男性陣二人ですが、徐々に本気になってきて、嫉妬を抱くようになります。嫉妬こそ人間の本能的な部分のなかでもネガティブで強いもの。
第二幕では日が暮れて夜になるのですが、昼間は明るく楽しげだったキャンピング場も、夜になると真っ暗になり、恐ろしさや不安感を抱くよう環境に様変わりしてしまいます。そこで、ますます嫉妬という本能が助長されて言うという構造になるのだそうです。(このあたりは、まだ観ていないので何とも言えませんけれど)
結局は、冗談のつもりだった賭事の結果、恋人を裏切るという過ちを犯してしまうわけですが、これはもう元に戻せない、ぬぐい去れない過ちです。そういう後味のわるさがあるフィナーレになるようですが、詳しくはあえて不明のままに……。

おわり

ともかく一夏で大人になった四人の若者ということになりそうです。このあたりは今週末を楽しみにしたいと思います。
明日は、舞台美術コーディネータの白石さんのお話。これは本当に興味深いものでしたよ。

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昨日に続いてご報告する、先週5月28日(土)に東京初台の新国立劇場地下2階リハーサル室Bで開催された「「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術」の模様です。

登壇されたのは以下の方々でした。

パオロ・ファンティン氏

パオロ・ファンティン氏は、今回の新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術を担当される方です。私は、今ひとつ演出家と舞台美術の役割分担についての理解が曖昧としたものでしたが、舞台セットのデザインや、大道具から小道具の設定を考えるのだそうです。今回のプロダクションの演出をされたダミアーノ・ミキエレット氏とはこれまでもタッグを組んで舞台を作り上げてきたとのこと。ファンティン氏は、にこやかで、気さくな方でした。

白石恵子氏

白石さんは、モデナ歌劇場の工房で舞台美術を担当される方で、今回のプロダクションでは舞台美術コーディネーターとクレジットされています。そのお仕事は、私の想像を絶するものでした。笑顔が素敵な方でした。

ネヴィオ・カヴィーナ氏

カヴィーナ氏は、ライティング・デザイナーとして有名な方で、神戸の震災後に催されたルミナリエや、丸の内を彩ったミレナリオの監督をされた方。実は白石さんの旦那様でいらっしゃいます。事前には登壇の予定はなかったのだそうですが、この方には隠された使命があったのです!

 

それから、新国立劇場に今年から開設された、国際連携協力室の室長でいらっしゃる小川さん(漢字は違うかもしれません)という方が司会を務められました。この方、何でも知っていらっしゃる感じで、うまく場をリードされていました。さすがです。

 

明日は講演の内容について。

現在、通勤電車にて執筆(?)中。電車に座れてPC使えるのもあと数ヶ月ですか。。。オフィスの引っ越しにより、3ヶ月後の今頃は満員電車で押しつぶされているんだろうなあ。

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「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~」というイベントが、5月28日(土)に東京初台の新国立劇場の地下2階リハーサル室で開催されました。新国立劇場のウェブサイトにニュースが出たのが4月27日のこと。私はウェブを見ていましたので、そこですぐさまエントリーしました。
当初は、新国立劇場5階のビデオシアターで開催する予定だったそうですが、予想以上の申込者が会ったとのことで、急遽リハーサル室に会場を変更したのだそうです。おかげで、リハーサル室に潜入(?)する機会をいただきました。運が良かったです。
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この写真がリハーサル室の入り口。ちょっと画質が悪くてごめんなさい。
地下の初台駅から階段を上ると、小劇場の入り口がありますが、その右斜め前方にあるのが楽屋口です。少し緊張して入り口に向かうと、守衛さんに用件を聴かれました。一人一人にちゃんと確認をとっているようです。どうやらそれが決まりらしい。で、用向きを伝えると中に通していただけました。
楽屋の入り口を入って真っ先に目に入ったのが神棚でした。神棚の下にはお酒が供えられています。DANCE to the Future 2011の出演者一同からのお供えものでした。5月28日が初日だったのですね。
その横には食堂があります。アルコールもおいてあるのですね。なるほど。
その先には地上から地下二階へと貫く吹き抜けがあって、地下とはいえ自然光を取り込むことが出来るようになっています。階段を下った地下二階が19室のリハーサル室があるフロアです。微かに歌手の方が発声練習をしているのが聞こえてきました。
会場はリハーサル室Bという部屋で、バレエやダンスのリハに使う部屋だそうです。2009年の冬でしたか、NHK教育のイタリア語会話で、新国で上演された「トゥーランドット」のリハーサルの様子が少し紹介されたことがありましたし、会報誌「ジ・アトレ」の写真などで、何となく雰囲気は分かっていましたが、中に入ると、なかなか広々としていましたし、天井も高く、壁面には音響を考慮したと思われる凹凸が設えられていたりと、新鮮です。
入り口には、今回の「コジ・ファン・トゥッテ」のセットと思われる舞台の模型などがおいてあったりして、否応なく気分が高まります。
明日に続きます。

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新国立劇場の写真。通い始めてもう8年近くになりますが、建築的にも大好きです。幾何学的な構造美もありますし、随所に日本的意匠が凝らされているということもあり、いつぞやかは、朝早く、6時半頃に新国に出かけて夢中で写真を撮ったことがありました。
さて、 すっかり頓挫していたオペラトークの模様の最後の回。本日が初日でしたので、かなり遅れてしまいました。仕事にもっとスピード感を持たせないと、と思う今日この頃。

演出に際してのト書きの扱い

演出をする上での発想は、セリフと音楽から考え、ト書きは重要視しません。画家は白いキャンパスを使うが、演出家としても、やはり白いキャンパスを使いたいからです。音楽と台詞は、どこで上演しようとも同じものを使うことになるから、そこから出来るだけ自由な発想を得たいのです。
確かに台詞の真意や意味合いが変わってしまうと言う恐れはあります。ただ、ト書きにただ沿っていくのは、目隠しをした馬に道を示して山を単に登る、ということです。それではおもしろみがありません。山に自由な道を使って登れば違った楽しみを見いだすことが出来るでしょう。

モーツァルトの醍醐味

モーツァルトの醍醐味は、ドラマの構造にあります。対立する複数のドラマが並立して描かれています。とかく人生というものはそう言うものであり、観客誰しもの人生もまたそうなのです。朝起きて悲しいことがあったとしても、夜になれば楽しくなることだってある。
これこそが現実なのです。これが、ダ・ポンテやモーツァルトを現代的たらしめているものなのです。なぜなら、彼らはすでに我々自身のことを書いているのですから。

見えない内面を描き出す素晴らしい演出

アリアやデュエットの時間をクリエイティブなものにするためには、その時々の心情をビジュアル化していくことが重要なのです。たとえば、化粧を濃くしたり、服を変えたりすることで、台詞とは逆の方向を見せたりします。

オペラを見るということは?

オペラに行くということは、知っていること、知っているはずのこと見に行くということです。
ですが、本当に知っているか? という疑いを持って、心を空っぽにしてプロダクションに行って欲しいのです。
オペラは考える装置なのです。

まとめ

ミキエレット氏は、怜悧な頭脳を持った若きやり手演出家、という印象でした。ジーンズに白いシャツというすっきりとした出で立ちで登場して、冷静に話しておられました。このファッションセンスは、私らが若い頃のものではないかなあ。
ダミアーノ・ミキエレット氏は、昨日のワークショップで話をうかがった舞台美術のパオロ・ファンティン氏とタッグを組んで欧州オペラ界に衝撃を与えているようですが、昨日この二人の手による演出の映像を少し見ることができました。
めちゃくちゃカッコイイですよ。水が張られた舞台に、燃えさかる紙を落とすと、一気に火が広がったり、巨大な鏡を舞台奥に斜めに置いて、観客が舞台を上から見ることができるとか。
たとえば、こちらに写真があります。
“http://www.scenesmagazine.com/spip.php?article1970":http://www.scenesmagazine.com/spip.php?article1970
“http://colleghi.blog.so-net.ne.jp/2009-11-23":http://colleghi.blog.so-net.ne.jp/2009-11-23
本当に本当に楽しみです。
「コジ・ファン・トゥッテ」。まだ間に合いますよ → チケットぴあ

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!https://lh4.googleusercontent.com/-GpxPSOqMcpY/TeEEBPqKAWI/AAAAAAAAFKs/7U2XpaOEPSo/s400/IMG_6078.JPG!
東京も入梅しました。ご覧のようにオペラシティの高層階部分は雲の中に入りかかっています。
今日、新国立劇場にて開催された「「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~ 」に行ってきました! 今回のコジの舞台美術を担当されたパオロ・ファンティンさんと、舞台美術コーディネーターを勤めておられる白石恵子さんのお話をうかがう充実の2時間半でした。
前半の一時間はパオロ・ファンティンさんが今回のコジ・ファン・トゥッテの舞台美術の意図を説明してくださり、後半の一時間は、白石恵子さんが、今回の舞台の大道具をモデナで作ってこられたエピソードなどを話してくださいました。
もう、興味深いことや目から鱗が落ちることがたくさんで、充実しすぎです。しかも無料ですから。これはもう素晴らしいの一言に尽きます。今後もこうしたイベントが開催されるようです。なぜなら今回のタイトルは「国際連携プロジェクトⅠ」なんですから。きっとⅡとかⅢもあるはず。
今日はさわりだけ。もう、書かねばならないことがたくさんあります。またシリーズがふえてしまう。。
ともかく、20年前に、こんな世界があることを知っていたら人生変わっていただろうなあ。

Jazz

ブレッカー兄弟による「サム・スカンク・ファンク」の映像。先日も取り上げましたね。

この映像こそ、私がマイケル・ブレッカーを初めて目にした映像です。1992年の夏のこと。マウント・フジ・ジャズフェスティバルというものがあった時代です。これで、コロッとブレッカーいかれになってしまいました。
この音源におけるマイケル・ブレッカーによるサム・スカンク・ファンクのインプロヴァイズは、私が聴いたことのあるマイケルのサムスカインプロヴァイズのなかで、もっとも素晴らしいものと思います。
今日はこのあたりで。最近帰宅時間が遅い。若返った気がします。っていうか、また忙しくなっただけだが。。。

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新企画「数字で見る新国立劇場」。いままでの数ある企画は終わっていませんが、かなり前から調べたいことでしたので、今回アップいたします。
新国立劇場がオープンしたのは1997年10月10日の「建・TAKERU」ですので、はや14年が経とうとしています。私が新国に行き始めたのは2002年ですが、演目の傾向などをまとめたら面白いだろうな、と準備を進めていました。最近やっとデータの確保が出来ましたので、今後徐々に分析していきます(最近、仕事でこういう作業が多い。。。)
第一回は、どんな作曲家が取り上げられているのか、について。
1 ヴェルディ  26回
2 プッチーニ     19回
3 モーツァルト 15回
4 ワーグナー 13回
5 リヒャルト・シュトラウス 12回
6 ロッシーニ 6回
7 ビゼー 5回
8 團伊玖磨 3回
9 マスネ 3回
10 ヨハン・シュトラウス二世 3回
11 以外 34回
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1位、2位は、イタリアの両巨頭であるヴェルディとプッチーニが占めています。これは、これまでの新国立劇場の本公演139回のうち、おおよそ45%を占めるという高占有率です。なるほど。やはり、日本にとってのオペラというものは、イタリアオペラの比重が高いと言うことでしょう。あとで国別でも集計してみます。
つづいて、3位から5位までは、ドイツ=オーストリア系の作曲家であるモーツァルト、ワーグナー、リヒャルト・シュトラウスが占めています。オペラと言えばワーグナー、という向きもあると思いますので、それはまったくうべなうことが出来ます。
シュトラウスファンとしては、ワーグナーに1本次いでリヒャルト・シュトラウスが続いていると言うのがうれしいです。リヒャルト・シュトラウスの上演回数は12回。第6位のロッシーニが6回です。なるほど。
※ データは、1998年から2010・2011シーズンまでを、新国立劇場のウェブサイトの「過去の公演から」を参照して、分析してみました。
つづきます。