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9月に頓挫していたハーマン・ウォークの「戦争の嵐」、ようやく読了しました。主人公のヴィクター・ヘンリー、通称パグの一家を軸とした大河ドラマです。

パグという名前は、ヴィクターがフットボールのフォワードで、パグ犬のようにタフだからついたあだ名です。 大艦巨砲主義者のパグが、真珠湾を目撃し、マレー沖海戦のニュースを知って、合理的に航空兵力の優勢を納得するあたりは、合理性を重んじる実直な人柄な現れでしょうか。

パグはルーズベルト大統領の信頼を得て、チャーチル、ヒトラー、ムッソリーニ、スターリンといったキーパーソン達と相まみえることになります。このあたりは歴史の舞台裏を覗いているようで実に興味深い。物語の最終部、真珠湾攻撃の描写はアメリカ側からのものですので、少々新鮮でした。

間に挟まれた「世界帝国の敗北」という、架空の歴史書の記述も面白い。最後になって読んだ下りは実に印象的でして、曰く、三国同盟(ドイツ、日本、イタリア)は、軍事同盟と呼ばれるものではなかったという冷徹な指摘など。もし有効な軍事同盟であったとしたら、ドイツがソ連に侵攻すれば、同時に日本もソ連と戦端を開くべきであったし、アメリカの参戦を招く真珠湾攻撃こそあり得べからぬ作戦だったというもの。緊密に連携した米英に比べ、地理的に隔絶された日独が連携できなかったのもやむを得ないかとも思いますが。

それにしても、戦後になって振り返ると、連合国の勝利は間違いようのないものであったかと思いますが、その中に身を置いてみると、枢軸国の勝利も不可能が不可能である、と断じるのは難しかっただろう、と思います。さまざまな幸運や不運が積み重なって歴史は作られていくものですので。歴史をタラレバで語るのは愚の骨頂かも知れませんけれど。

バイロンとナタリーを巡る物語がスリリングです。特にナタリーはユダヤ人ですので、ナチズムが拡大する東欧や南欧にあって大変な苦労をすることになります。最終部では、なんとか船でイタリアを脱出するのですが、その先はいかに? また、パグが艦長として着任する予定だった戦艦カリフォルニアは、真珠湾攻撃で沈没寸前です。パグはどのように太平洋戦争を戦うのか? 戦闘機乗りの長男ウォレスは? 潜水艦乗りの次男バイロンは、ナタリーと再会できるのか?

続きである"War and Remembrance"は、邦訳がありません。ペーパバック版をebay(というかSekaimon)で格安で入手したのですが、さて少しずつ読まないと。

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