イタリア紀行2007 その17
ウフィツィを後にして、アルノ河の対岸に渡る。ヴェッキオ橋にはたくさんの観光客。渡りきってすぐに右折して、暗い通りを東に歩き続ける。目的地は、連れが探してくれた美味しい料理屋さん。地元の人が行くらしく、手頃な値段で楽しめるらしい。ということで、サンスピリト教会の脇を通って、路地に面したトラットリアに入る。奥の部屋の席まで案内されるのだが、地元の男達がたくさん食事をしていて、不思議なことに入ってくる男達と頻繁に挨拶を交わしている。まるで、このレストランのお客全員が知り合い同士なのではないか、と思えるほど。実際にそうなのかもしれないけれど、こういう風景は日本では全く思いつかない。もちろん写真食堂のような限定された食事場所でならあるかもしれないけれど。というか、本当にお互い人なつっこくしゃべっていて、イタリア語で僕らに話しかけてくる男もいて、スリリング。給仕のお姉さんは色黒で男勝りな口調で、お客とやり合っている。みんな食事を心から愉しんでいる感じ。隣の男は、白身魚を頼んで、黄緑色のねっとりとしたオリーブオイルをたっぷりかけて食べている。醤油のような存在なのだ、と聞いたことがある。まさにそう言うことなのだろう。
これは連れが食べたジェノベーゼ。
これは僕が食べたキノコのスパゲティ。
これがデザートにとったケーキ。10月頃だけ味わうことが出来るパイらしく、上には赤い葡萄の実が一面に。食べると、葡萄の甘酸っぱい匂いと共に、葡萄の種のジャリッと言う食感。種なし葡萄ではなく、種ありなのだが、よく焼けているので、種ごと食べられるというわけ。美味なり! 隣のテーブルの親切な男が、ToscanaのTipicoと言ってくる。どうやらトスカナ地方の典型的なデザートなのである、ということを言いたかったらしい。言葉が通じないというのに話しかけてくるなんて言う経験はこれまではなかった。少なくともドイツではなかった(のだが、イタリア旅行の帰り道寄ったドイツで、親切な何人ものドイツ人に出会うことになるのだから、本当に旅行というものは面白いものである)。
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