なんだか入梅してしまったような天気でした。それも寒さと一緒です。入梅というより春雨前線下にあるとでも言ったほうがいいでしょうか。冷たい空気が頬に突き刺さるたびに、ある種の快さを覚えます。
こんな日はブラームスを聞きたくなります。ピアノ五重奏曲を聴きました。 アマデウス弦楽四重奏団とエッシェンバッハの盤です。この演奏をはじめて聞いてからもう15年たっているでしょうか。当時、大学の先生からCDを貸していただいたのがブラームスの室内楽体験の始まりでした。少し間を置いて10年ほど前にブラームスの室内楽を狂ったように聞いていたころを思い出します。
当時はまだBOSEのクワイエットコンフォート(ノイズキャンセリングフォン)など持つこともかないませんでしたので、ダイナミックレンジの広いオケの曲やオペラなどは聴くことができなかったのです。 その点室内楽はある程度ダイナミックレンジに限りがありますので、電車の中でも聞きやすかったのです。ブラームスの室内楽で言うと、ピアノ四重奏曲第1番、ピアノ三重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲、クラリネット五重奏曲などを特に愛聴していました。コンサートにも何度か行ったものです。懐かしいですね。
最近は、オケ曲、オペラが多かったと思います。このブログで室内楽を取り上げた機会もあまりなかったですね。
この演奏、僕のデフォルト盤ですので、良いも悪いもなく体に染みこんでいる感じなのです。室内楽的ダイナミックレンジがきちんと取れています。テンポはあまり動かさず冷静でありながらも、強烈なフォルテを味わうことができる劇的で力強い演奏です。それ以前にテクニックが卓越していて、欠け落ちたところを感じさせません。もちろんレコーディングですので編集はあるにしても、です。
しかし、この哀感に満ちたこの曲は、憂愁感たっぷりで、いろいろな感情が心にかわるがわるわきあがってきます。決して明るい曲とは申せませんが、悲劇を観劇するのと同じように人間の内面を開かせるのに十分な力を持っています。僕の場合は過去の出来事が特に想起させられて、朝から少し気だるい気分になっていました。