忘れないうちに、この本もご紹介。
いやー、またスケールの大きなストーリーに感涙です。あえてストーリーは書きません。一言で言うと、「斜陽」、ですかね。あまりに縮めすぎかな。
うまくいっている小説の一つの特徴として、余韻というものがあって、それは、謎が謎のまま残され、その後の展開が読者の想像力にゆだねられるというものなのですが、この本で語られたストーリーは謎だらけで、論理的な説明は全くなされない。だが、それが小説の面白さの一つなのでしょう。次々に起きる不可思議な出来事は、オカルト的でもあるけれど、だからといって現実離れした者でもない。もしかしたら、隣の部屋や近所の家で起きていることなのかもしれない、と思わせるほど現実的リアルに満ちた筆致で、ぐいぐいと物語世界に引き込まれてしまいました。
後表紙のストーリー解説なんて、全然役に立ちませんでした。それほどストーリーはある意味霊感に満ちていて、突飛とも言えましょうが、破綻していないので全然許せます。
それから、取材しないとこの小説は書けません。その取材力にも脱帽。私もどんなに小さくてもいいから、どこかのマスコミに入れるもんなら入っておけばよかったです。まあ、入れなかったんですけれどね。というか、受けなかったですが。だから、そもそもだめか。。。
小説巧者ってこういう方のことを言うんですねえ。
篠田節子 「ゴサインタン―神の座」