Opera


かなり遅い反応なんですが、ずっと気になっていましたので、現状を調べてみました。もちろん予算審議があるので、どう転ぶのかはこれからなんですが。
昨年の11月に以下の記事を書いておりますので、こちらもご覧ください。
“https://museum.projectmnh.com/2009/11/22003546.php":https://museum.projectmnh.com/2009/11/22003546.php
それで、文部科学省の事業仕分けに対する見解は以下のページで見ることができます。
“http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h22/1288550.htm":http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h22/1288550.htm
少々官僚的な言い回しで、なにを言っているのかわからないところもあるのですが、こういうことが書いてあります。引用します。

2.文化関係事業
「芸術創造・地域文化振興事業」や「子どものための優れた舞台芸術体験事業」など文化関係の事業に関する事業仕分けの結果(予算縮減や国の事業として行わない)に対して、これらの事業が実施できなくなるとの心配の声が多く寄せられました。これらの事業については統合や重点化による効率化を図りますが、新たに、優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業や地域の伝統文化の継承のための事業を創設することとし、文化芸術活動に対する支援については従来以上に充実して参ります。

国会答弁のようでちょっとよくわからないです。

で、こちらの資料。
「事業仕分け結果・国民から寄せられた意見と平成22年度予算(案)における対応状況・詳細」
“http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2010/01/14/1289014_1_2.pdf":http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2010/01/14/1289014_1_2.pdf
34ページに結果が書いてあるのですが、11万件の意見があったそうで、まあ、事業仕分けには反対の意見が多かったようです。当たり前ですけれど。気になるのが「優れた芸術活動への重点的支援については3年で2分の1まで縮減する」という表記。なるほど。
(追記)
以下から先は、私の勇み足。日本芸術文化振興財団は文化庁配下ではなく文部科学省配下でした。金額が合わないからおかしいと思いました。続報は次の記事にて。大変失礼しました。
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で、文化庁のウェブサイトに行ってみましょう。
“http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/sosiki/index.html":http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/sosiki/index.html
上のリンクの右側最下段の「日本芸術文化振興会」配下に新国立劇場がぶら下がっているはず。なので、文化庁の二二年度予算案を観てみればいいわけです。で次のページ。
“http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/index.html":http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/index.html
まず最上段の「平成22年度文化庁予算(案)の概要」を開いてみると、
“http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisan_gaiyou.pdf":http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisan_gaiyou.pdf
全体で、前年比0.5%の伸びとなっていて、「文化芸術創造活動への重点支援」の項目は、6億1600万円の減額となっている。おそらく、ここが、「日本芸術文化振興会」の予算にマッチしているはず。
それで、つぎに「平成22年度予算(案)主要事項説明資料」を開いてみる。
“http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisanyoukyu.pdf":http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisanyoukyu.pdf
再び引用。

(1)優れた芸術活動への重点的支援4,598百万円( 5,017百万円)
我が国の芸術水準向上の直接的な牽引力となる芸術水準の高い、音楽、舞踊、演劇、伝統芸能、大衆芸能の各分野の公演や、優れた劇映画、記録映画の製作に対し支援するとともに、我が国のトップレベルの芸術団体と国内各地の劇場が共同で制作するオペラ等の舞台芸術公演に対して重点的に支援を行う。

①舞台芸術等支援3,886百万円( 4,306百万円)
支援対象:オーケストラの定期公演など基幹的活動や、意欲的な優れた芸術活動への重点的支援 338件
トップレベルの芸術団体と国内各地の劇場が共同で制作する舞台への支援
・舞台芸術共同制作公演(新規) 6事業

②映画製作支援712百万円( 712百万円)
支援対象:2分野(劇映画、記録映画)、60作品

①が日本芸術文化振興会の予算のはずで、4億2000万円の減額。新国に投じられている予算は48億円なので、あまりインパクトはなさそうに見えてしまう。しかし、舞台芸術支援費は38億円。あれ、足らない。。前回の記事の「四八億円」の記載のPDFはネットワークから消えていて、よくわからない。うーむ。

それにしても、先にも触れたように、「3年で2分の1」という表現が非常に気になります。短期的には、契約関係などがあるから、大きな変動はないのかもしれませんが、中長期的には予断を許さないです。
それから、来年度についてもまだよくわからない。あくまで当局の要求なので、国会でどうなるか、というところ、最近のニュースは、小沢氏の問題や、新党結成の問題ばかりで、予算審議がどうなっているのかよくわからんのですが、もうしばらく様子を見てみることにしましょう。

Opera,Richard Strauss

さて、今朝の通勤電車は、シルマー&フレミングの「カプリッチョ」の映像をば。うーむ、また泣いてしまった。で、何でこんなに感動するのか、いろいろ考えてみました。
その秘密はのひとつとしては、おそらくはこの激しい転調にあるのではないか、と。「月光の音楽」の後半部分のところ、弦楽器のフレーズが(おそらく)短三度でどんどん転調上昇していくんですが、ある瞬間でその転調が止まり、そこで、もどかしさを覚え、最後に一挙に開放されたように、さらに和声解決するんです。この開放感に絶えられない。こらえていたものが一気に開放されて、涙腺が緩むという寸法、でしょうか。ちょっと考えないと。ほかにも謎や仕掛けがたくさん隠されているはずなんだが。いい加減ユーロがあがらんうちにスコア買わないと。
昼休みはベーム盤「カプリッチョ」で、ヤノヴィッツの伯爵夫人を楽しみました。この録音も本当にすごいよなあ。先日も書きましたが、ミュンヘンのゾフィーエンザールというところでの録音でして、ハイティンクの「リング」録音と同じ場所です。オケはバイエルン放送管弦楽団。これもハイティンクの「リング」と同じ。ヤノヴィッツ、あまりに清らかで罪のない声で、天使様です。
ではちょっとフレミングDVDの映像をすこしばかり。詳しくは後日。


この方、どなたかわかりますか?

明日は、ドレスデン奇想変奏の第二回の予定です。

Dresden2006,Opera,Richard Strauss

昨日も今日も実に良い天気です。近所の早咲きの桜は、もう満開に近い状態です。あと二週間で4月ですね。近所の学校は今日が卒業式でして、スーツやら袴を着込んだ学生達が街に溢れています。

今日からはしばらく「カプリッチョ」とドレスデンのことを書いていこうと思います。というのも、昨日のフレミングのアルバムの「カプリッチョ」に触発されて、NHK-BSで録画したフレミングの「カプリッチョ」映像をiPodに取り込んだから。今日一日で書き終わる予定でしたが、あまりにもむくむくといろんなものがわき上がってきて止めどがないのです。このオペラ、凄く思い出深いのですよ。

っていうか、来週は新国で「神々のたそがれ」なんで、そっちも考えないといけないんですけど。まあ、とりあえず続けましょう。

「カプリッチョ」を初めて聴いたのは、2006年だったと思います。それまで知らなかったのはお恥ずかしい限り。サヴァリッシュ盤をタワレコ新宿店で買いました。伯爵夫人マドレーヌはシュヴァルツコップ。若き日のフィッシャー=ディースカウやニコライ・ゲッダ、ハンス・ホッター、クリスタ・ルートヴィヒも参加しているEMIの歴史的名演です。ただし、モノラル録音ですけれど。

この曲、最初はよく分からなかった。今なら大泣きしてしまう「月光の音楽」だって、まだよく理解できず、ただただホルンの美しい旋律に心が反応しただけ。

それで、ネットで「シュトラウス&カプリッチョ」と検索してみると、旅行会社のウェブページにたどり着きました。なんでも、ドレスデンでの上演を見るツアーがあるとのこと。なんとまあ。それで、突然ドレスデンに行こうと思い立ちました。

奥さんはたまっていたマイルで行くことにしていたのですが、僕の仕事とあいているフライトの日程が合わなかった。それで、一日早く奥さんだけドレスデン入りしたんですね。

僕は翌日のルフトハンザでミュンヘン経由でドレスデンに向かいました。隣に座った方は僕より少し若い男性で、ドイツ語が堪能な方。コットブスに行くんだ、とおっしゃっていました。ミュンヘンまではエアバスA340にて。長さ的にはA340-300型と思われます。


ミュンヘンでの待ち時間は2時間ほど。で、空港のバーで(医者に禁止されてたけれど)ビール飲んで本を読んでいたんですが、なかなか時間にならない。

いつ見ても18時10分。ちなみにボーディングは18時55分。まだまだ時間あるや、と思っていたんですが、ふと気付いたら、時計が止まっていたんです。。。祖父の形見のロードマーヴェルだったんですが、ねじを巻き忘れていたんですね.

慌てて、Palmの時計を見ると18時55分。危なかった。それで、真っ暗なエプロンに降りて、ドレスデンと書かれたバスに乗せられオープンエプロンへ。4発のイギリス製コミュータージェットのBAe146アヴロRJに乗り込みました。

機体は、ミュンヘンからほとんど変針せずにドレスデンへ一直線へ飛んだのだと思います。おそらくはチェコ領空を通過したはず。シェンゲン条約というか、EU加盟国だからなのか。ジェットルートを調べてみると、やっぱりチェコ領内をかすっているみたい。

(なんで、こんな画像、僕が持ってるんですかねえ。秘密です)

まあ国内線とはいえ国境は関係ないんだなあ、と思った次第。

で、ドレスデンに到着。

なんだか、ドレスデン旅行記になってきました。それはそれでいいか。

それではまた明日。

カプリッチョについては、こちらも。
“https://museum.projectmnh.com/2009/10/19214851.php":https://museum.projectmnh.com/2009/10/19214851.php

Opera,Richard Strauss

わたしは、もうだめっすよ。
今週は「ばらの騎士」聴いて泣きっぱなし。何でこんなことになっちゃったんでしょう。西田敏行化計画は完全に成功しています。
奥さん曰く、「疲れてるんじゃない」。
まあ、この数ヶ月、仕事でいろいろあったし、決算&人事異動を控えて、これからが佳境なのでもいろいろありそうだし。
ともかく、昨日引用した自分のこの記事読みながら、フレミング&ボニー&グラハムの三重唱聴いていたら、あのときのことを思い出して、滂沱。
今朝も、今も。
いかんいかん。
というわけで、写真また載せちゃいます。これは、新国の2010/2011シーズンの案内パンフの表紙です。ここにもニールント様とツィトコーワ様の麗しきお姿が(宣伝しているわけではありませんけれど)。

さて、フレミングの「シュトラウス・ヒロイン」というアルバムには、「ばらの騎士」、「アラベラ」、「カプリッチョ」のそれぞれの主役ソプラノの聴かせどころが収録されています。
1. 「ばらの騎士」第一幕最終部分。
2. 「ばらの騎士」第三幕最終部分
3. 「アラベラ」最終部分
4. 「カプリッチョ」「月光の音楽」以降「ソネット」含め最終部まで
「ばらの騎士」では、フレミングは当然マルシャリンを歌いますが、オクタヴィアンはスーザン・グラハム、ゾフィーはなんとバーバラ・ボニー。指揮はエッシェンバッハで、オケはウィーンフィル、録音場所はウィーン楽友協会大ホールにて1998年収録。いやー、すばらしい。
エッシェンバッハのタクトはかなりたっぷりと歌わせる感じで、比較的遅いテンポ。しかし、こういう歌手名義のアルバムだと、テンポ取りなんかのイニシアティブは誰がとるんだろう? エッシェンバッハなのかフレミングなのか。
フレミングの声は、すごく柔らかく優しさに溢れていて、母性愛を感じます。フェリシティ・ロットがある種貴族的上品さを持っているのに比べて、もうすこし僕らの目線まで降りてきてくれている感じです(ロットがお高くとまっている、ということを言いたいわけでは絶対にないのです。ロットも大好きですよ。でないと映像観ても泣かないですよ)。
フレミングは、ワーグナー歌い的ではないですし、シュトラウスオペラにあっても、エレクトラやサロメは似合わないです。プッチーニオペラでも似合う役があるだろうか?? アマゾンをザッピングしてみても、やっぱり、ヴァーグナーは録音していないみたい。Wikiには、ムゼッタを歌ったことがあると書いてあるけれど、ムゼッタ的じゃないよなあ。もっと大人な女性の役が似合います。
それにしても、このアルバムは僕にとっては本当に理想的です。「ばらの騎士」と「カプリッチョ」を一挙に楽しめるのですから。
ばらの騎士のあらすじも書きたいなあ。。

Opera,Richard Strauss


ばらの騎士。最近、私がずっと泣いているオペラ。
これまで聞いた実演をまとめてみると…。ちょっとお恥ずかしいのですが。
1. 2003年7月20日:二期会 @東京文化会館
2. 2007年6月9日:新国立劇場@オペラパレス
3. 2007年7月2日:チューリヒ歌劇場@オーチャードホール
4. 2007年11月23日:ドレスデン国立歌劇場@NHKホール
5. 2009年1月25日:ペーター・シュナイダー&東京フィル@オーチャードホール(ばらの騎士組曲)
6. 2010年1月3日:ニューイヤーオペラコンサート@NHKホール(最終部三重唱のみ)
7. 2010年1月10日:尾高忠明&N響@NHKホール(ばらの騎士組曲)
「ばらの騎士組曲」や最終幕三重唱のみも含んでますが、どれも私にとっては重要なのであえて。
一番感激したのは、2007年6月9日の新国立劇場公演です。あれを超える体験をこれからできるかどうかわからない。ないかもしれない。ポイントは4点。
1. ペーター・シュナイダーの絶妙なタクト
2. カミッラ・ニールントの歌唱、演技、容姿
3. エレナ・ツィトコーワの深く濃い声と、ボーイッシュで精悍なオクタヴィアンの演技
4. ジョナサン・ミラーのフェルメールのようなオランダ絵画的淡い色調にまとめられた舞台と演出。
トップの写真は、マルシャリンのカミラ・ニールントと、オクタヴィアンのエレナ・ツィトコーワ。お二人ともすばらしかった。
当時の記事を読み直してみると、
https://museum.projectmnh.com/2007/06/09221553.php
相当感動してます。いま思い出しただけで涙が流れてきた。BGMはフレミングですけど。フレミングについてはまた明日。

Opera,Richard Strauss

このところ食事しながら音楽番組を見る感じになっています。昨夜見たのは、クライバーの振るあの「ばらの騎士」です。ウィーンで振ったほうですね。もうおなじみ。何度取り上げたことか。
* 指揮=カルロス・クライバー
* 管弦楽=ウィーン国立歌劇場管弦楽団
* マルシャリン=フェリシティ・ロット
* オクタヴィアン=アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
* ゾフィー=バーバラ・ボニー
* オックス=クルト・モル
ばらの騎士で私が好きな場面を上げてみると
# 第一幕:序奏部からオクタヴィアンが朗々と歌い上げる場面まで
# 第一幕:マルシャリンが嘆きを見せる最後の場面
# 第二幕:ばらの献呈
# 第二幕:献呈後からオックス登場までの、オクタヴィアンとゾフィーのダイアローグ
# 第二幕:オックスのワルツ
# 第三幕:最終幕の三重唱以降
いまのところはこんな感じでしょうか。もちろん、ここ以外もすばらしいんですがね。
ともかく、「ばらの騎士」は、僕にとっては、何度も観たり聴いたりした大切なオペラです。
今回演奏をつまみ食いして見聞きして発見したこと。なんども思っていることですけれど。
カルロス・クライバーの指揮姿って、すごく格好が良い。もちろんオケを牽引する力は並大抵のものではない。この、豪華絢爛であまりに難易度の高い楽曲を手中に収め、美的価値が極限まで高める力は真の芸術家だなあ、と。洒脱で名状しがたい酩酊感をともなう国宝級の演奏です。
それから、バーバラ・ボニーのすばらしさといったら! 私は何人かゾフィーを聴きましたが、この方ほどのゾフィーはそうそういらっしゃらないのではないでしょうか。そうですね、清らかな若々しい声は、高音域まで豊かな倍音を含んでいて、ばらの献呈の場面の最高音域にあっても音の勢いが減衰することなく高いレベルで持続しています。
それでは、感動的な場面をいくつか。
まずはばらの献呈の場面。シュトラウスの数ある美的極地のひとつに数えても良いでしょう。オッターもボニーもすごい集中力と緊張感で、本当にすばらしい。

続いて、最後の三重唱。ロット、オッター、ボニーの歌唱と演技には脱帽。ここで私は泣いたわけです。

それで、昼休みに「ばらの献呈」からオックス登場と、最終幕の三重唱以降までをiPodで観ていたんですよ。で、また、涙出てしまった。会社なのに、お恥ずかしい。職場みたいなある種戦場にあって、なんだか、現実と夢の境を超えて、その落差におののいたのかもしれない。
というわけで、また西田敏行状態。2009年末の紅白でも絢香の歌を聴いて泣いてましたよね。奥さんは、西田敏行が泣きキャラだということ知らなくて、感動していたらしいのですが、あとで西田の泣きキャラ具合を聴いてすこし興ざめだったみたいです。最近、男、特に中年男が泣くのがはやってます?? 徳光和夫も、「ボエーム」を観て泣いてたしなあ。

American Literature

湾岸戦争終了直後のペルシア湾岸。きわめて強力な生物化学兵器が作られていることをつかんだ米軍は特殊作戦の発動を決定した。ロッキードC-141輸送機を使ってデルタフォースを送り込み、イラクの生物化学兵器工場を急襲し、大量破壊兵器を壊滅させようという大胆な作戦任務にあたるウィル・ウェスターマン大佐とダグ・ハリス大佐の旧友コンビ。二人は、真夜中の道路への強行着陸に成功し、ウィルスの処分を進めるのだが……。
先日読んだ「着陸拒否」と同じく、生物兵器の恐怖を取り扱っていますが、こちらはアメリカ空軍の軍人たちが主人公ということもあって、既読の「着陸拒否」とも「"ファイナル・アプローチ":https://museum.projectmnh.com/2010/02/03171736.php」ともすこし趣が異なります。ただ、前半部分、C-141を強行着陸させるあたりのくだりは、飛行機好きにとっては垂涎でした。後半は、冒険活劇的な趣が強くなっています。構成や登場人物の動かし方はいろいろな意味でとても勉強になりました。
「着陸拒否」も、最終幕で一抹ながらも強い不安を覚える名残がありましたが、やっぱりこの本でも同じ。核兵器や生物化学兵器は冷戦終結以降もその恐怖から逃れることはできないことを痛感しました。誰かの誤りや感情などで、意図せずトリガーがひかれ、世界が壊滅的打撃を受ける可能性は常にあるのだ、ということが良くわかります。特に日本は非常に複雑な外交状況におかれていることもありましょうし。
まあ、普段生きていくうえでは、こうしたことを考えていては前に進めませんので、考えるのは、読書している間や、こういった文章の中だけにとどめておきましょう。
次は同じくナンスの「ブラック・アウト」という本を読み始めました。こちらもまた秀逸。通勤時間が楽しいです。

Opera,Richard Strauss

今朝も朝から大忙しです。なんだか最近4時ごろに目が覚めちゃう。寝るのは23時前なんですけれどね。もう少し眠らないと体に悪いとわかっているんですが、なんだか起きちゃう。悪夢を見るわけでもないのですが。いや、悪夢ではない現実的な夢だからこそ悪夢より悪夢的で、きっとそこから逃避しようとして起きているに違いない。最近、そう思うようになりました。

さて、年末に注文していたホルスト・シュタインが振るシュトラウスの「カプリッチョ」をiPodに入れましたので、大好きな最終場面をまずは聞いてみましょう。伯爵夫人マドレーヌはアンナ・トモワ=シントウ。カラヤンに多く起用された大歌手でして、私もカラヤン盤「ばらの騎士」や、カラヤン盤「4つの最後の歌」でお世話になりました。

この方の声の特徴としては丸みを帯びた豊かな声なのですが、少々ビブラートが強い感じです。昨年イレーネ・テオリンのビブラートに共鳴して以来、ビブラートへのアレルギーは徐々に薄れていきました。今回聞いたところでは、以前よりもあまり違和感を感じずにすみました。

むしろ、シントウの歌い方は、実に感情的です。ルネ・フレミングの伯爵夫人はすこし気取った、気高い感じでしたし、ヤノヴィッツの伯爵夫人は清らかな感じでしたが、ここでのトモワ=シントウの伯爵夫人は実に情感たっぷりに歌っている。まだ、詩をとるか(つまりオリヴィエ)、音楽をとるか(フラマン)、本当に決め迷っているというふうに聴いて取れます。

そして、最後のソネット。今日もまた泣いちゃおう。なんでこんな曲を書いたんだろう。昨日友人の日記にもコメントしましたが、もう、ほとんど西田敏行的な泣き上戸になってしまっている。っつうか、実演で涙が流せなかったら、元取れてない、と思っちゃうぐらい。

昔から、コンサートの最初で弦楽器がなるたびに背筋がゾクゾクしていたんですが、まだ泣くにはいたらなかった。最初に大泣きしたのは、新国立劇場の2003年の「ラ・ボエームで、有名な「私はミミ」の前にあるロドルフォのアリアのところ。あそこ、本当に泣きました。あれが、初めて。アルフレード・ポルティーヤのテノールでした。

今回のシントウの伯爵夫人もうっとり。伯爵夫人マドレーヌが、詩人オリヴィエからの求婚を受け入れるのか、作曲家フラマンからの求婚を受け入れるのか、本当に迷っていて、どうしようかどうしようか、という切迫感を感じさせます。かなり感情のこもった熱唱です。

シュタインの指揮もたっぷりとための入った豪華なもの。完全に掌握して放さず、それでいて失速しない、という、私がいつも書いている指揮者への賛辞が当てはまります。

来年のMETでは、「カプリッチョ」があるようです。伯爵夫人はフレミング。2011年4月ですが。これは絶対に落としてはなりません。

Music

たまには、EWFの話を。Earth, WInd & Fireのことです。
まだ若くて元気があった社員だった頃、上司が無類のカラオケ好きで、ずいぶんお供しました。夜中まで働いて、じゃあ、行きますか、みたいな。で、2時ごろまでカラオケ。でも、僕は日本の歌謡音楽はまったく聴かないので、カラオケに行ってもあまり面白くなかった。最初はですよ。
それで、当時、Smooth JazzにアレンジされたEarth, Wind & Fireの曲をよく聴いていたのと、ちょうどその頃、レーザーディスクのカラオケではなく、通信カラオケが続々と入り始めた時分だったこともあって、EWFの歌が結構入り始めていた。それで、Septemberとか絶叫して歌ってました。たまにはカラオケボックスにサックス持ち込んで人が歌っている後ろでバック吹いてみたり。独りよがりでしたが、個人的にはいいストレス解消になっていた感じ。当時の方々、ご迷惑でしたでしょう。。。すいません。
それで、Earth, Wind & Fireをいつ知ったかというと、これもお恥ずかしい話で、1995年頃にとあるライブハウスの対バンの方々が演奏していたのを聞いたのが、それと認識したしだい。もちろん、曲は聴いたことありましたけれどね。
で、その方々、プロだったので、めちゃくちゃ格好良かったし巧かった。ホーンセクションも強力だったし、パーカッションもちゃんといました。すごかったなあ。
で、そのとき、先方のプロのテナーの方に褒められた。当然お世辞とは思いますが、「就職するなんてもったいないよ」なんて、恐れ多いことを言っていただいた。いい思い出です。でも、横には先輩ドラマーのFさんが苦笑いして見てましたけどね。本当はそんなんじゃないことを見抜いておられたんですよ。あはは。
で、昨日思い立って、EWFのDVDをiPodに入れてみました。今朝は、開発していたプログラムが本番環境につながるので、6時ごろに家を出て、本を読みながら電車に乗ってたんですが、そういやあ、久々にEWF聴いてみようか、見たいな感じで、選んでみると。。。
マジですか。。。
ものすごく格好がいい。みんなうまいし、魅せる演奏している。っつうか、ベースの方、あまりに大暴れで、本当に弾いているのか? 的疑惑を持ってしまうほど。
Septemberとか、Fantasyとか、After the love is gone とか、名曲ぞろい。幸せです。
では、私のお気に入りのSeptemberをどうぞ。

私、今朝から仕事関連でブルーだったんですが、この映像見て、元気を取り戻しました。それどころか、September聴いて、なぜか涙出ましたですよ。懐かしくて懐かしくて。もう最近西田敏行化している。「カプリッチョ」とか「ばらの騎士」だけじゃなく、EWFでも泣いちゃうなんて。涙腺緩んでます。歳食ったんですね。
昼休みには、隣の男の子に見せてあげて、二人で盛り上がりました。帰りの電車もiPodみながらニヤニヤ。帰宅して、奥さんと一緒に見て、また元気が出ました。
また明日も頑張ります。

Opera,Richard Strauss

3月5日金曜日の夜のNHK「芸術劇場」、ごらんになりましたか? 新国立劇場の11月公演「ヴォツェック」が放映されていましたね。番組冒頭で、所々に舞台の様子や音楽が紹介されて、それだけでもう、ゾクゾク来てしまう。いやあ、あれはマジで凄いパフォーマンスでしたからね。一生忘れません。
でもですね、あのおどろおどろしい舞台衣装と、無調の奇々怪々な旋律は、土曜日の夕食のお供にはあわないから、やめてくれ、と奥さんに却下されてしまった。これは違う機会に見ましょう。
関連ページは以下の通り。ちょっと読んでみてください。
“https://museum.projectmnh.com/2010/01/24202937.php":https://museum.projectmnh.com/2010/01/24202937.php
さて、そう言うわけで、昨夜の夕食には、シュトラウスの「インテルメッツォ」を見ていました。先日も紹介しましたが、1983年のグラインドボーンのライヴ収録でして、フェリシティ・ロット主演です。というか、去年の10月にNHKホールで見たとおり上品な方のですが、意外にも少し戯けた、ユーモアのある表情や演技を見せてくれて、ロットの新しい一面をみた気分です。私にとってロットは、「ばらの騎士」のマルシャリンでなければならなかったのですから。
インテルメッツォの筋書きは非常に簡明なものです。作曲家であるロベルト・シュトルヒ(イニシャルはすなわち、R.Sであり、リヒャルト・シュトラウスを意味しています)と夫人の、とある勘違いによる諍いを取り上げたもの。まあある種痴話げんか的な様相も持つものなのですが、そういう日常的で卑近なストーリーにこれほどまでに華麗で重厚な音楽をつけるシュトラウスの才能はいろいろな意味で凄いです。これは「家庭交響曲」とか「英雄の生涯」にも言えることですけれどね。
旦那のシュトルヒは、仕事で家を外すのですが、当然夫人は家政を取り仕切ったりするのだが、まあ、退屈な生活に飽き飽きしている。自分がどんなに悲惨な境遇にあるか、と泣いているんですが、突然電話が。友人にそり滑りに誘われるんですね。すると、夫人はすぐに泣き止んでご機嫌になってそり滑りに出かける。そこで偶然であったのがルンマー男爵という若い男。夫人の知己の貴族の息子とあって、警戒心をすっかり外れてしまい、ルンマーとまあ舞踏会に出たりして遊び回るんですね。ところが、ルンマーは遊びたい盛りでお金に困っている。ですので、シュトルヒ夫人に1000マルクの支援をお願いする。結局金目当てなんだ、というところ。
ところが、そこに思いも掛けない手紙が舞い込んでくる。それはミッツェ・マイヤーという女性からロベルト・シュトルヒ宛のラヴレター。シュトルヒ夫人は怒り心頭に達し、離婚まで考える。ところが、真相は、シュトルヒの音楽家仲間が、シュトルヒの名前を勝手に使って女を口説いていたというわけ。シュトルヒが浮気をしていた訳じゃなかったわけですね。シュトルヒ夫人は公証人のところに行って、離婚の手続きまでしようとするんですが、この公証人は実は密かにシュトルヒ夫人のことを見張っていというわけ。
ロベルト・シュトルヒが帰宅して、夫人とまあ仲直り。それにもまして、ロベルトは夫人がルンマーとよろしくやっていて、なおも1000マルクの援助をさせられそうになったことをちゃんと知っていて、逆にとっちめてしまう。
まあ、最後は、お互いの愛情を確認し合ってめでたしめでたし。
実は私は2004年の夏に実演に触れているんですよ。指揮は故若杉弘さんで、夫人は釜洞さん。新国の中劇場でした。実に楽しい演奏会でした。シュトラウスの濃厚な音楽とユーモアある喜劇を見るという本当の贅沢でした。良い思い出です。実は釜洞さんと私は高校が同じです。彼女の方がずっと先輩ですけれど。あのときのパンフレットにはリブレットの邦訳が載せられていて、日本語盤が発売されていない現在の状況においては、大変貴重なものなのですが、今朝探しても見あたらない。ちゃんと探さないと。
初演は1924年にドレスデンにて。主役のシュトルヒ夫人はロッテ・レーマンが歌いました。どこで読んだのか思い出せないのですが、確かこんなエピソードが。初演が終わって、シュトラウスと、シュトラウスの奥さんのパウリーネ夫人、それからレーマンがエレベータだかで一緒になったときに、レーマンがパウリーネ夫人に「これはご主人からの素晴らしい贈り物ですね」とはなしかけたのですが、パウリーネ夫人は無言だったとか。恐ろしい。でも、シュトラウスはきっと内心笑っていたはずです(笑)。
先日も書きましたが、このDVDは歌詞が英語です。所々でドイツ語が混ざるんですが。さすがに聴いているだけでは意味が分からないので(お恥ずかしい)、英語の字幕出しながら見ています。それでも難しいです(お恥ずかしい)。でも、英語版も思ったより良い感じ。
でも、サヴァリッシュ盤のルチア・ポップの歌唱が時々頭をよぎりました。あそこでのポップの歌は、ほとんどアクロバット的ともいえる正確で、ピッチが良すぎて怖いぐらい。第一幕最終部の手紙を読んで怒るあたりは、相当な緊張感で、あそこだけでもこのCDを聴けば、買って良かったと思います。ポップの声は鋭角な感じですので、こういうキツイ感じの役柄によくあいますね。
そうそう、先日、METの「ボエーム」を録音して聴いていました。とある方のピッチが意外にも少々フラット気味で少々興ざめな感じでした。ちょっとびっくり。人気のある方なんですけれどね。