Opera

西部の娘、引き続き予習中です。
新国立劇場で催されたオペラトークの模様を読むことが出来ました。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000119.html
演出のホモキ氏のこの言葉がポイントですかね。

現代の我々は映画により西部劇のイメージを持っていますが、このイメージで「西部の娘」を捉えるのは間違っています。100年前のヨーロッパでの大きなテーマは、「移住」、「孤独感」、「故郷からの離別」ということであり、それを私は取り上げようと思いました

なるほど。移民のドラマとしての「西部の娘」、異邦の地で不安に怯えながらも生きようとする男たち、女たちのドラマ、そんなところでしょうか。オペラは、主題をアクチュアルに解釈することが出来るので、常に新鮮ですよね。
ウルフ・シルマーさんは、1959年ブレーメン生まれです。48歳ですね。お若いです。
私、シルマーさんを初めて見たのは、2002年11月のパリにて。このときのことは既に書いたことがあるかもしれません。またカミングアウトします。シルマーさんが「影のない女」を振っておられたのを聴いたのですが、この時、生涯二回目のオペラ体験だったということもあり、影のない女の予習をしきれていなかったのですよ。しかも、パリ到着翌日が公演日。仕事に忙殺されボロ雑巾のようにくたびれきった私には、予習が不十分な状態で影のない女を聴く力は無かったのでした。朦朧としながら聴いたのですが、ほとんど見られず。残念な思い出です。
次にシルマーさんの指揮を見たのは、NHKの芸術劇場で放映された、2002年ブレゲンツ音楽祭の「ボエーム」ですが、この演奏は凄かった! 濃密でスタイリッシュなボエームでした。演出も素敵。詳しくはこちら
次は、新国立劇場2003年シーズン幕開けを飾った「フィガロの結婚」での指揮。これもやはりスタイリッシュで爽やかな感じのフィガロ。演出は、ホモキさんでしたね。真っ白な舞台に白い箱が幾つも幾つもおいてある、抽象的な演出。面白かったです。
演出のホモキさんの演出は、2003年にミュンヘンで見た「マノン・レスコー」もホモキさんの演出。この演出もよかった。舞台はミュンヘンの歌劇場なのですよ。歌劇場の舞台に載った歌劇場、みたいな。メタがかかった状態で観客は見ていることになります。合唱団はオペラを見に来ていた観客で、警官は歌劇場の守衛の制服に身を包んでいる。巨大なシャンデリアも舞台上に再現されているという感じ。巨大な階段があって、それはちょうど歌劇場の入り口の階段を模したもの。そのまま四幕二時間ぶっ通し。素晴らしかったです。
ちなみに、舞台はこんな感じでした。
MANON
次のシルマーさんは、エレクトラでした。この演奏も凄かったです。
そして、今回の西部の娘。いやが応にも盛り上がってきます。楽しみですね。

Opera




西部の娘、予習中です。
ウィキペディアにきちんとしたあらすじが載っていました。こちらです。初演で大成功を収めながらもその後は不遇なこのオペラですが、この記事によると耳に覚えやすいメロディーが少ない、とのこと。しかし、全体にドラマティックで重厚なオペラだと思います。でも弦の美しさも随所に見られます。所々にラグタイムやジャズ的なメロディもきこえてきます。
それにしても、よくぞ日本で演目にかかったな、と言う感じです。日本在住の向きにとっては、一生に一度見られるか見られないかというぐらいレアなのではないでしょうか?

Opera

4月21日は新国立劇場で「西部の娘」を観る予定。指揮はウルフ・シルマー氏ですので、キリッとした演奏を聴かせてくれることと思い期待しています。今週は、スラットキン指揮「西部の娘」を予習しようと思います。少し聴いたのですが、プッチーニらしい清爽とした感じ。これからもっと聞き込みます。DVDも出ているようですね。



今日は思ったより良い天気でした。午前中は光が部屋の中に入ってくるので、家で音楽を聴いて。午後は投票に出かけがてら長い散歩。40分ぐらいアップダウンのあるコースを早足で歩きましたが、おかげで少々体重が減ってきた感じ。
最近忙しさにかまけて、本を読んだり音楽を聴いたりしにくくなってきています。こういうときこそ音楽を聴いてリフレッシュしなければ! 今日もプッチーニを少々聴いただけですが、聴くことができただけ良かったという感じです。

Opera

先週のジャコミーニさん体験から一週間、帰りの電車で蝶々夫人を聴くのが日課のようになってしまいました。聴いているのは、カラヤン盤で、パヴァロッティとフレーニが歌っているもの。仕事でバタバタして疲弊しきった一週間でしたが、なんとか持ちこたえました。プッチーニ様のおかげです。
 
 ですが、ほかの蝶々夫人も聴いてみたい! と思い調査中。
 
音楽之友社「クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲篇」をめくってみました。以下の5枚が推薦されていました。
カラヤン盤

Puccini: Madama Butterfly Puccini: Madama Butterfly
Giacomo Puccini、 他 (1990/10/25)
London
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シノポリ盤
amazonでは取り扱っていないようです。
セラフィン盤

プッチーニ:蝶々夫人 全曲 プッチーニ:蝶々夫人 全曲
デバルディ(レナータ)、ベルゴンツィ(カルロ) 他 (2004/11/26)
ユニバーサルクラシック

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バルビローリ盤

プッチ-ニ:歌劇「蝶々夫人」全曲 プッチ-ニ:歌劇「蝶々夫人」全曲
スコット(レナータ)、ローマ国立歌劇場合唱団 他 (1996/07/17)
東芝EMI

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ファブリティース盤

プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」 プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」
モンテ(トティ・ダル)、ローマ歌劇場合唱団 他 (1996/12/18)
東芝EMI
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さて、どれを買いましょうか?

Photo

SAKURA
明日の東京地方は、晴れのち曇り、明後日日曜日は曇り、ということで、天気は今ひとつ。桜の方はと言えば、だんだん散り始めていて葉桜になりかけています。今週末もぎりぎり楽しめるかな、と言う感じでしょうか。
(写真は4月1日に撮った桜です)

American Literature

rosemary

ローズマリーの赤ちゃん ローズマリーの赤ちゃん
アイラ・レヴィン (1972/01)
早川書房

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またヤバイ本を読んでしまった。アイラ・レヴィンの「ローズマリーの赤ちゃん」。ある本で勧められていたので読んでみたのですが、あまりに面白く、興味深く、吸い込まれるようにして読んでしまいました。

ネタバレになるかもしれませんので、フォントの色を変えます。ともかく衝撃的。

  • 計算されつしているなあ、本当に。夫のガイが俳優で、芝居をして、入居住宅を変えるところから、ガイの芝居に結局はだまされ続けるローズマリー。
  • ローズマリーが眠らされて悪魔と交わるシーンは、ローズマリーの夢と言うことになっているんだけれど、最初読んだときは、よくもこんな象徴的な夢を書けるな、と感心していたのだけれど、それが本当にあったことだと分かってゾッとする。思わず、くだんの部分を読み返して再度ゾッとする。しかし、この部分、「ダ・ヴィンチ・コード」の一場面と似ているな……。
  • しかも、その日、ローマ法王がニューヨークを訪れていると言う設定。できすぎている。
  • ローズマリーがカトリックの信仰から離れた女ということも象徴的。最後に「神は死んだ」と叫ぶあたり、現代を象徴している。
  • でも、悪魔信仰が悪かと言われれば、そうではないかもしれない。悪魔といっても、反キリスト教的で異教的なものを指す場合もあるから。
  • これは現代批判なんだろうな、と。悪しき相対主義に陥る現代社会への警鐘でもあるのかな、と。
  • キリスト教(カトリック)が第二ヴァチカン公会議以降、他宗教を認めるなど融和的な方向に向いたことで、ある種の相対主義に陥り、力を失った。そこにあるのは、道徳無き世の中(異論もあると思うけれど)。
  • それで、ニューヨークを訪れるローマ法王の名はパウロ。これは、パウロ六世(在位1963〜1978)のことを指していると思われる。彼は第二ヴァチカン公会議の遂行者。実に象徴的。
  • しかし、最後のシーン、強烈。赤ちゃんにかぎ爪が生えていて、それで身体をひっかかないために手袋をかぶせている、とか、普通思いつかないよなあ。

Classical

Giuseppe Giacomini Giuseppe Giacomini
Georges Bizet、 他 (2000/08/09)
Bongiovanni

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蝶々夫人がひけたあと、いつものように初台から新宿へ国道20号線沿いを歩いていきました。目標は新宿駅の向こう側、フラッグスの8F、つまりタワレコクラシック売り場です。ジャコミーニさんのCDがあるというので、探しに行ったのでした。
ありましたよ、ジャコミーニさんのCD。すかさずゲットして、帰宅。でも土曜日は音楽を聴きませんでした。蝶々夫人の感動が逃げていくような気がしたので。
それで、CDを書けたのは翌日曜日。CDプレーヤーにセットして、プレイボタンを押すと……。そうそうこの声なんですよ。雄々しくてドラマチックで男らしい声。聴いていると勇気が湧いてくるような、そんな声ですね。ロッシーニ、ドニゼッティ、マイヤベーヤ、ヴェルディ、ビゼー、プッチーニ、マスネのオペラから12曲が集められています。どれも良い意味でジャコミーニ色によく染まっています。
それで、他にもジャコミーニさんのCD無いかな、と思い、Amazonで調べてみたら、他にもCDが出ているみたいです。これも買おうと思います。

誰も恐れることはない~ジャコミーニアリア集 誰も恐れることはない~ジャコミーニアリア集
ジャコミーニ(ジュゼッペ) (2002/04/24)
キングインターナショナル

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愛唱曲集 愛唱曲集
ジャコミーニ(ジュゼッペ) (2002/04/24)
キングインターナショナル

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Opera

NNT
テクノラティで検索したりして、いろいろなブログを見て回ると、31日の蝶々夫人、あまり良い評価を受けていない向きもあるみたいですね。おかしいなあ、あんなに感動したのに……、と言う感じ。
そこで、僕の聴き方、見方が悪かったんじゃないか、という不安に苛まれるのがいつものこと。
それで、ちょっと、足掻いてみる。
リズムがバラバラとか、ジャコミーニさんが走っていたとか、そういう評価があるのですが、バラバラなのは分からなかった僕が悪いかな、と。ただ、ジャコミーニさんが走っていたのは、わざと走っていたはず。オケと同じテンポで歌うと歌詞がきこえなくなるから、オケより少し早めに歌うのが良い、と言うのを聴いたことがある。他の歌手もオケとオンタイムで歌っていないことが多いと思うんだけれど……。(ドミンゴとか、サバティーニとか……。具体的じゃないからといって炎上させないで欲しいのですが)。
若杉さんも、序奏ではアンサンブルを掌握していなかったけれど、その後は大丈夫だったんじゃないかな、と。もっとも、そのころ僕は忘我の境地にいたので、細かいところが聴けていなかったのかもしれない。
いつも思うんだけれど、ジャズでもクラシックでも、聞き込み始めると、批判する方が簡単になってきて、評価することを忘れてしまう。もちろん、批判するのは大事だけれど、それは一人の聴き手としては二の次なんじゃないかな、と(批評家的な聴き方をする場合は大事ですが)。評価できる点を見つけるのが、良い聴き手なんじゃないかな、と。
ともかく生理現象を伴った、かつてないほどの感動を覚えたのは事実なのだから、それを大事にしよう。そればっかりは、個人的な体験で事実なんだから、誰から批判されても揺るがないものだし。それに、感動しただけ、あのパフォーマンスから受けたリターンが大きかったと言うことなのだから、感謝しよう。

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天気が良かったので、近所の桜名所系に行ってきました。今年はもう満開を越えて葉桜になっている木もありました。明日からは天気が悪くなるようですので、今日が最後のチャンスかもしれませんね。

Opera

NNTNNT

行ってきました、蝶々夫人。箇条書き形式でレポート。

  • ジャコミーニさん、偉大すぎる。本当はお年を召していると思うのだが、白い米国海軍の軍服を着て、背筋を伸ばして登場する。歳を感じさせない演技とスタイル。かっこよすぎる。若々しい所作が素晴らしい。
  • そして、歌も素晴らしすぎて感歎。柔らかいのだが、剛気があって、張りがある。ドラマティックで甘く雄々しい。低音域の豊かな倍音が、高音域でも持続している。ドミンゴの甘さやパヴァロッティの華やかさとは全く違う魅力。
  • ジャコミーニさんの中に、イタリアオペラの歴史を感じる。きっと本場でもこうやって演技したり歌ったりしているんだなあ、と。それを東京で見られることの幸福といったら、贅沢過ぎる話だ。
  • ジャコミーニさんは、2004年の新公立劇場「道化師」でカニオを歌われたのですが、そのとき以上の感動です。他のブログでは賛否両論あるようですが、私は間違いなく賛の方です。
  • 蝶々夫人の岡崎さんも良かったですよ。国際級の声ですね。声も通っていたし落ち着いた演技も良かったです。
  • 若杉さんの指揮、タメを巧く使って、オケを感動領域までぐいっともちあげる感じ。巧くコントロールしていたと思います。
  • オペラを聴き始めて四年半、内外の劇場で39回見たけれど、今回のパフォーマンスに最大級の感激。僕のクラシック視聴歴最大のパフォーマンスだったと思います。これ以上のパフォーマンスを次に観られるのはいつになるんだろう。
  • というか、私、第一幕ずっと泣いてました。涙が止まらないのですよ。ジャコミーニさんの姿をみてなぜか涙、声を聴いても涙、弦の対旋律に涙、岡崎さん(蝶々さん)が登場するところで涙。そして、ジャコミーニさんと岡崎さんの二重唱で最高潮に涙が滂沱と溢れました。歳のせいかもしれませんが、音楽にここまで泣いたのは、クラシック聴きはじめて25年ぐらいになるけれど、初めて。
  • しかし、誰か一人が若杉さんとオケにブーイング掛けたんだよねえ……。なぜなのか分からない。確かに序奏は、若杉さんとオケのコミュニケーションがとれていなかったのだが、それ以降は、そういう善し悪しを越えた素晴らしい演奏だと思ったのに。人それぞれ受け取り方は違うと思いますので、仕方がないですが。
  • まあ、他の日の公演の様子をブログで見てみると、いろいろと違った意見があるようなので、仕方がないですかね。
  • しかし、プッチーニは偉大だなあ。オーケストレーションも神業だし、メロディ・メーカーと来ている。自分がどれほどプッチーニが好きなのか、よく分かりました。

 劇は悲劇に終りますが、時を忘れた幸せな二時間半でした。プッチーニ様、若杉さん、ジャコミーニさん、岡崎さん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました、と言う感じですね。

指揮
若杉弘
オーケストラ
東京交響楽団
ピンカートン
ジュゼッペ・ジャコミーニ
蝶々夫人
岡崎也加子
シャープレス
クリストファー・ロバートソン
スズキ
大林智子
ゴロー
内山信悟

写真は、終演後の新国立劇場玄関です。


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