Johannes Brahms

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秋も深まっていますね。先日行った近所の神社。夕陽がまさに秋の色という感じです。

さて、今日は、いつも使っているヘッドフォンを家においてきてしまいました。

ですので、バックアップで持ち歩いているイヤホンで音楽を聞きました。イヤホンで音楽を聞くというのは、電車に乗っているとなると、聞ける音楽が限られてしまいます。ダイナミックレンジが大きいクラシックのなかでも特にオペラや交響曲などオケ系の音楽はほとんど聞くことができません。

そんな中で、聴くことができるのは、かろうじて、室内楽だとおもいます。

ダイナミックレンジが限られていて、しかも弦楽四重奏などだと音の数も限られますので、周りがうるさくても、音をなんとか聴けますので。

今日聴いたのはこちら。

Piano Quintet in F Min / String Quartets 1 & 2
Emerson Qt
Deutsche Grammophon (2007-05-08)
売り上げランキング: 17,513

ブラームスの弦楽四重奏曲は、かつてはアルバン・ベルク弦楽四重奏団の録音で親しみましたが、Apple Musicで別の音源ということでエマーソン弦楽四重奏団のものを。2007年の録音で、結成30年を記念した盤です。

端正で清浄感のある録音で、本当に好感が持てます。かつてブラームスの室内楽ばかりを聴いていた時代を思い出しました。

私は、この曲の冒頭部分の1分34秒から始まるフレーズ、この拡がりと抱擁感が本当に大好きです。

https://itun.es/jp/r5ran?i=218177109

この部分を聴くと本当に「ああ、ドイツロマン派だなあ」と思うのです。

ナイーブで、涙もろく、友愛を求め、傷つきながらも自己形成をし、そのうちに自壊していく、ヘッセ作品に出てくるような主人公の姿を思い出してしまいます。

もちろん、その後のドイツあるいは今のドイツにおいて、そうしたロマンティシズムにあふれたものはありません。激しい国際関係において敗戦国でありながらも巧みに泳ぎぬいて、欧州の盟主としての地位を築いているのですから。

ですが、以下の写真。余りにナイーブなこのDem lebendigen Geist 「生ける精神のために! 」とでも訳せるような碑銘を大学の正面に掲げているのを見ると、本当に胸に手を当てたくなります。なんだか、失ったものは大きいのか、などと。

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ちなみに、この写真は、2001年にドイツへ行った時の写真です。一人旅でした。

まあ、これももう150年以上も前の話です。なんでもそうですが、夢はすぐに夢になります。
ただ、そうした夢が、楽譜となって現代まで息づいているようにも思えて、なにか胸が熱くなりました。理由もない本当に文学的な追想です。

またながくなりました。みなさま秋の夜長をぜひお楽しみください。おやすみなさい。

Jazz,Miscellaneous

はじめに

10月も半ばにさしかかろうとしています。そういえば、近所のプールで泳ぎ始めてから一年が経ちました。

これも何度か書いていますが、また書いてしまいます。

近所のプールは夜中までやっていますので、仕事場を21時半ごろに出たとしても、少しは泳いで帰れる感じで、仕事がそれ以上に遅くなったり、飲みに付き合っていたりする場合以外は極力泳ぐようにしています。

一年前は、一年経ったら、もっと痩せて、身体も疲れにくくなって、いい感じになっているはず、と思いましたが、ちょっと違う結果が出ています。

まず、前より頭が回るような気がしています。これ、自分だけが思っているだけですが、なんだか昔より判断が早くなったような錯覚を覚えています。それと同時に、スピード感も増したような錯覚も覚えています。主観的なものなので、周りからみたらどう見えるかはわかりません。

もう一つ、安静時心拍数がかなり下がりました。健康診断で「徐脈」と診断されて、「あれ、スポーツ心臓だわ」なんて、軽く思っていました。確かにApple Watchつけて寝ると、夜中は心拍数が35とかになっていました。2秒に一回しか鼓動していないという、なんだか冷凍冬眠(?)みたいな状態。

ですが、先日両親に「それは不整脈の一種で、ヤバイかもしれないから病院に行け!」と脅されて、恐る恐る病院に行って、安くないお金を払ってホルター心電図を16時間付けました。

結果は、平均心拍数65で正常。ただし、最小心拍数は38で、やっぱり徐脈です。ですが、不整脈なんかも全くなく、別途やっていた血液検査も全く正常らしく「治療のアイディアはありません」というコメントがついて結果が帰ってきました。

ちなみに、ホルター心電図の結果は、東大医学部に送られたらしくそこで検査するんですが、お医者は「東大の判断だ」ということを強調していました。まったく。東大と某医療機器メーカーのビジネスモデルにすぎないんですが。

結論。スポーツ心臓になってしまった、と思うことになりました。確かに最近は20メートルぐらい息継ぎ無しで泳げるようになってます。だからといっていいことが何かあるのかはわかりません。

いまでも、疲れはとれず、週末はダウンしてますし、今日も小一時間散歩して、もっと歩かないとね、と反省したり。

とはいえ、毎日運動をするというのは、スポーツ心臓になるとか、なにかしらのことはあるので、続けないとねと思いました。

今日の一枚

今日はこちら。

マッド・ハッター
マッド・ハッター

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チック・コリア ゲイル・モラン エディ・ゴメス ジョー・ファレル ハービー・ハンコック スティーブ・ガッド
ユニバーサル ミュージック クラシック (2005-03-30)
売り上げランキング: 11,967

1996年ごろに、UNIXマシンのプロファイルに「最近のお勧めはMadhatter」と書いたら先輩に「何言っとるんじゃい! こんな古いアルバム!」と言われました。オリジナルのリリースは1978年。言われたのは18年後の1996年。いまはその19年後の2015年。これは、いわば、1948年に、「ああ、37年前に《ばらの騎士》の初演を観にドレスデンに特別列車に乗って行ったんだが、あれはいい思い出だ」と言っているのと同じです。今となってはクラシックです。

この半年以内にNHK-FMの「世界の快適音楽セレクション」で、このアルバムが紹介されました。この番組は、とあるお題についての音楽を紹介するという趣向の番組で、もう16年ぐらい続いているようですが、あの時のお題は「帽子の音楽」で、ファリャの三角帽子と並んで、このアルバムのなかからThe Madhatter Rhapsodyが紹介されていました。ジャケットのチックが帽子をかぶっているから、というのが選定理由でしたが、きっと選定された人がこのアルバムが好きだったから無理やり入れたに違いない、などと思ったりしました。

この最終曲The Madhatter Rhapsodyは、不思議な事にフロントであるジョー・ファレルがあまり登場しないので、ソロはキーボードのみ。で、ここではチック・コリアとハービー・ハンコックの二人がキーボードでソロを撮っているという寸法。ふたりとも、それぞれの持ち味をだしたソロでバトルしています。まあ、ぶっ飛んでるのはチック・コリアのほうです。

ちなみに、残念ながらこのアルバムはApple MusicにもiTunesストアにも収録されていないです。良いアルバムなんですが。

それではまた。お休みなさい。

Apple Music

さて、昨日の続きです。

こちらのアルバム。まあ、いろいろと背景が複雑なアルバムではあるのですが、チック・コリアの素晴らしいアルバムであることには間違いありません。
(この「背景の複雑さ」が、楽曲における魅力の一つになっているともいえます)

Ultimate Adventure
Ultimate Adventure

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Chick Corea
Stretch Records (2006-02-07)
売り上げランキング: 121,566

このアルバムですが、まず、Apple Musicには存在しません。以下のようにアルバム自体が表示されないのです。

スクリーンショット 2015-10-10 23.17.22

ですが、iTunesストアには存在しています。このアルバム、他のチック・コリアのアルバムが1,600円で売られていますが、ご覧のように価格が2,200円ということで、扱いが違います。2006年に発売されたということで、チック・コリアのアルバムの中でも比較的新しいからでしょうか。とはいえ9年前なんですけどね。

スクリーンショット 2015-10-10 23.17.06

さて、このアルバムですが、私のAppleIDのiCloudミュージックライブラリにおいては、全曲アップロードされていない状況です。楽曲右端の点線の雲のマークは、マッチングもアップロードされていないという意味、空白の部分はアップロードあるいはマッチングされているという意味です。

もし、アルバムがマッチングされていないのであれば、点線雲の楽曲はiCloudミュージックライブラリ経由で再生できないことになります。

スクリーンショット 2015-10-10 23.18.29

スクリーンショット 2015-10-10 23.19.26
ところが、iPhoneを観てみると、このThe Ultimate Adventureが表示されています。しかも、全曲表示されています。先ほどの画像で、アップロードできていない、あるいはマッチングできていないとされていた楽曲も再生できるのです。

つまり、楽曲が一曲でもマッチングされていれば、Apple Musicで提供されていなくとも、iTunesストアにあれば、iCloudミュージックライブラリのスキームで聴くことができるという、iTunesMatchのスペックがちゃんと使えているということが確認できたのです。

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以前より書いていますが、iTunesMatchも(おそらくはApple Musicも)マッチングの最大楽曲数は2万5千曲です。それ以上の楽曲があると、使えないのでは、という恐れもありました。ですが、実際には、必要な楽曲だけを手動でiCloudミュージックライブラリに追加することで、その機能を使うことができるということのようです。

そもそも、この2万5千曲という楽曲数の定義も難しいようです。そちらはまた書くことにします。

それでは取り急ぎ。明日も祝日ですのでお休みの方もいらっしゃるかと思います。どうかよい連休をお過しください。それではグーテナハトです。

Apple Music

引き続きいろいろと検証をしているApple Musicですが、こんな事象を見つけました。

前提としては、iTunesに登録されている曲は25,000曲を超えていますので、全曲マッチングはしていないという状況において、の話です。

ですので、楽曲のマッチングは全て終わっていない状況です。

しかし、アルバムの一部の曲だけが部分的にマッチングされた状況だとどうなるのか、という事件をしてみたのです。

この件のヒントとなったのはこの表示です。一部しかマッチされていないリッピントンズの「キリマンジャロ」です。1989年に発表された古いアルバムですがこのOceansongが本当に気に入っていて、この曲だけマッチングして、iPhoneに入れたのです。

すべての写真-2689

注目していただきたいのは、楽曲の下に表示されている「コンプリートアルバムを表示」です。この部分を選ぶと、「キリマンジャロ」のアルバム全てが表示されて聴くことができるようになります。もちろん、アルバム全体の楽曲はiCloudミュージックライブラリにアップロードされているわけではありません。つまり、アルバムの中の一曲だけでもマッチしていれば、アルバム全体をApple Musicのスキームで聞くことができるのです。

これは便利な機能ですね。全曲マッチングできなくても、一部さえマッチングできていれば、アルバム全部を聴くことができるのですから。

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ですが、この「キリマンジャロ」は、もともとApple Musicでも聴くことができるアルバムです。ですので、iTunesライブラリに含まれていても、含まれていなくても、Apple Musicをサブスクリプションしているだけで聴くことができるアルバムです。

では、(1)自分のiTunesライブラリに含まれているが、(2)Apple Musicに含まれておらず、(3)だがiTunesストアには含まれているアルバムの場合、同様の実験をした場合どうなるでしょうか?

ちなみに、ネタは揃っていますが、そちらは明日、ご報告しようと思います。

それでは今日のところはおやすみなさい。

Music

今日のお昼、仕事場のエレベータに乗っていました。

久々に、昔仕事をしていた10歳ぐらい年下の方とエレベータで一緒になりました。

こちらはイヤホン付けて音楽聴いてたので話しかけてくれたのですね。

何を聴いているんですか? と聴かれました。

で、Incognito聴いてます、と答えました。

Amplified Soul
Amplified Soul

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Incognito
Imports (2014-06-10)
売り上げランキング: 3,047

彼は、こう言いました。

「へー、それって洋楽ですか?」

私は、20年前に流行った洋楽です、と言ってその場を後にしました。

そもそも、音楽のことで仕事場で話しかけられることなどありませんので驚きつつも嬉しかったのです。

もしかすると、Incognitoのことを知っていて話が盛り上がるかもね、などと欲張った妄想を抱いてしまったのですが、なかなかそうは巧く行きませんね。

音楽というのは、本当に栄枯盛衰が激しいものです。

私にとって見れば、昨年発売されたこのAmplified Soulも、なかなか新しい響きだったりするわけですが、それでもやはり最新の時流ではない、ということなんでしょう。

その人のこれまでの音楽体験によって音楽認識というものは変わってくるはずです。

一ヶ月前にも似たようなことを書いていました。

今夜はとあるプロジェクトのこじんまりとした打ち上げを。そこでも少し音楽の話が出ました。やはり音楽体験の違いというのは多分にあります。とはいえ、若い方々と音楽について語るのは本当に刺激的でした。

というわけで、今日は短く。おやすみなさい。グーテナハトです。

Miscellaneous

Photo

はじめに

最近、写真をとってないなあ、などと。iPhoneでその気になればバチッと撮れるんですが、どうも仕事場と家での往復に終止している感あり、です。これは、たしか先日の中秋の名月です。でも、なんかのCDがジャケットのようです。

いかんいかん。こんなことでは。

喋りが快感

と言いながらも、日々勤労しております。今日は、仕事場で喋りまくって少々バテ気味でした。別に喋りは巧くありませんが、どうも最近人前で喋るのが快感で、困った限りです。

感覚としては、サックス吹いてアドリブしている感じ。もっとも、喋りの内容もアドリブです。

もっとも、人前で喋るのが快感だからといって、外向的かというとそういうわけでもないらしいです。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/01/10-physical-behavior-of-introverts_n_8224686.html

私、文学部でドイツ哲学とか読んでましたので(挫折気味でしたが)、絶対に内向的です。

こちらの記事を読んで更に納得しました。結構合致します。

http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/23/introverts-signs-am-i-introverted_n_3802643.html?

まあ、人それぞれなんで、なんでもいいのです。

しかし、こういうことわかったうえで戦略を立てるのは大事なことかも。

今日の一枚

さて、今日はこちら。っていうか、昨日と同じです。仕事場の最寄り駅について、このアルバム聴きました。めちゃモチベーションが上がりました。

とりとめもないツイートですが、今日はこの辺りで。おやすみなさい。

Opera,Richard Wagner

リヒャルト・ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」序夜「ラインの黄金」[2CDs]
ミヒャエル・ヴォッレ クリスティアン・ファン・ホーン ベンジャミン・ブルンス ブルクハルト・ウルリッヒ エリザベート・クルマン バイエルン放送交響楽団 サイモン・ラトル
BR KLASSIK (2015-10-28)
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現在、新国立劇場では《ラインの黄金》が上演中ですが、理由あり、行けるかどうかわからない状況です。

ですが、そう言っても予習はしておかないと、と思い、Apple Musicで調べたら、あれあれ、こんな音源が。

というか、これって、CDの発売は10月28日ですが、もうApple Musicでは聴けているという。

こちらがハイティンク盤。私の持っている盤とはジャケットが違いますけれど。

Das Rheingold
Das Rheingold

posted with amazlet at 15.10.07
R. Wagner
Warner Classics (2012-10-01)
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バイエルン放送交響楽団のリングといえば、私の大好きなハイティンク盤があります。本当はこれを聞きたくてApple Musicで探したんですが、ラトル盤が出てきてしまったのです。

こちらです。 → https://itun.es/jp/PhJi-

2015年4月24日から25日に録音。録音場所はヘラクレスザールです。ハイティンク盤と同じ。当然。で、やっぱり音はハイティンク盤ととても似ています。本当にクリアでくっきりとした音響です。これは良い音源です! 明日も聴かないと。

フライアを歌うアンネッテ・ダッシュとか、ファーゾルトのペーター・ローズとか、新国立劇場に登場された方も参加されていて、なんだか新国も世界とつながっているなあ、と思ったり。

でも、ああ、やっぱりワーグナー聴くと落ち着くなあ、と思いました。5年前の東京リングであんなに聴き倒した指環ですので、ほとんど身に染み渡っているような感覚を覚えました。

オペラは実演で聴くのが一番。でも、一度実演を観ておくと、いろいろな音源を聴いても、なんとなく場面が想像できて、音源だけでもかなり楽しめます。

さてさて、今年度も折り返していますが、なんだかやらないといけないこと、やりたいことができずじまいな毎日です。少し前にも書いた気がしますが、何かを変えるためには「時間配分を変える、家を変える、付き合う人を変える」しかないそうです。

で、できることといえば、「時間配分を変える」しかないなあ、と思ったり。ふむふむ。前と同じことを書いている。それで一応実践中ですけれど、どうなることやら。もっと変えたりして。

ではおやすみなさい。グーテナハトです。

Music

まったく、本当にスゴイバンドなんですね。Earth Wind & Fire、ってのは。

伝説のライヴ・イン・ヴェルファーレ(CCCD)
アース・ウィンド&ファイアー
カッティング・エッジ (2003-06-25)
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Apple Musicで、EWFのライブ盤「ライブ・イン・ヴェルファーレ」を聴いたんですが、本当にのけぞりまくってます。

いちいちカッコイイホーン・セクション。

いちいちカッコイイアレンジ。

いちいちカッコイイリズム隊

なんだか、スタイリッシュではないカッコよさなんですよねえ。けっしてフュージョンのバンドのようなテクニカルなものではないのです。なにか、一つ間違えると、やり過ぎじゃね、と思わせるような畳み掛けるようなアレンジなのです。

やはり、ムンムンする熱気が漂ってくる、尋常ではない音源です。その場にいたら、絶叫して血が出るほど拍手するに違いないです。

例えば、Apple Musicを聴ける方はこちら。

Boggie Wonderland.

https://itun.es/jp/XjCfA?i=437633947

いやあー、ティンバレスと思われるパーカッションのグルーヴ感がたまりません。中間部は、ストリングスとピアノのソロの掛け合い。その後のシンセベースの懐かしい雰囲気のライン。ホーン・セクションとドラムのユニゾン。

たまらないです。

Amazonのレビュー観ていて、あらためて思いましたが、EWFってIncognitoのルーツとして位置づけられるそうです。私はこのあたりのことちゃんと評価するほど知らないですし、この辺りの批評は一家言あるかたがたくさんいると思いますので、あまり多くは語りません。

ただ、ですね、ほんとこれ、仕事場行く時に元気づけられます。これ聴いて、きっとニヤニヤ笑って歩いているに違いなく、変人あつかいですよ。もっとも、すでに変人で通ってるはずです。

っつうか、オペラブログのはずなんだが。。

というわけで、また明日です。おやすみなさい。グーテナハトです。

Opera,Richard Strauss

Photo

今日も余韻に浸りながらこちらを聴いていました。パンフレットには、《ダナエの愛》は「秘曲」と書いてありましたが、たしかにそうかも。こんなにいい曲が舞台形式では日本初演とは。もったいないです。

今日で東京二期会の公演が終わりましたのでネタバレでも良いですかね。。そして、観た方にしか分からない内容だったりしますが、仕方ないです。

深作健太さんの演出、本当にいろいろな仕掛けがあって面白かったです。

ゼメレ、オイローパ、レダ、アルクメーネの四人ともミダス王のが金に変えたという装飾を持っているのですが、白鳥とか雲とか牛の形をした金色のオブジェを持っているわけです。これは、御存知の通り彼女たちを誘惑した時にユピテルが変身した姿なのですね。

オイローパは牡牛に姿を変えたユピテルに誘惑され、レダは白鳥、アルクメーネは自分に球根していたアムピトリュオーン。ただ、ゼメレは探しましたがよくわかりません。《ダナエの愛》の中では雲だったでしょうか? ですが、雲に姿をかえたのはイオーの時だったという情報もあり。

ともかく、そうしたギリシア神話が取り込まれつつ、昨日も触れたように、この4人はクリムトの文様の服を着て、コミカルな演技をしていました。イケメンモテモテのユピテルは神話の世界よりも楽しそうでしたね。

それにしても、第三幕はいろいろと刺激的な演出でした。えーっと、これは大丈夫? と思うほど。アフタートークでは、「幸い止められなかった」とご本人も言っておられましたが。まあ、こういう心配してしまうというのもなかなか難しい問題ということなんでしょうけれど。

でも、そうした世界のなかにあって、ユピテルとダナエの対話の後に、ダナエが渡した黄金の薔薇が、ユピテルの手で薔薇の花に変わったり、あるいは、ダナエが植えた植木に花が咲いたり、と荒廃した世の中にあって希望が残されているという演出でした。観ていた方の多くが、あの「風の谷のナウシカ」の最終場面で腐海の下で人知れず芽吹いた植物を思い出したのではないでしょうか。

それにしても、面白かったのは一幕で登場し、三幕で本物の薔薇に変わる、あの金の薔薇です。あれは、《ばらの騎士》のパロディのはずで、小さい男の子がでてくるんですが、あれは《ばらの騎士》の小姓なんだろうなあ、と。《ばらの騎士》では銀の薔薇なんですが、《ダナエの愛》は、黄金がモティーフですから、黄金なのです。小さい子が出てくるだけで、会場がドッとわくのはいつものことです。可愛らしい子でした。お母さんにとってもいい思い出になったと思います。

あのユピテル、演出のなかではさすらい人ヴォータンの姿をしていました、私、あれはほとんど権力の権化としか思えず、おそらくは当時の文脈においてはヒトラーなんだろうなあ、と思いました。これは、演出の読み替えで感じたものなのか、あるいはシュトラウスのスコアからそう感じたのかはわかりません。ですが、権力、経済などをダナエが選ばず、というのは、なにか戦時中にあってシュトラウスが考えたことに合致するのでは、とも思ったのです。

ですが、権力と経済を選ばない、というストーリーを考えたのは、シュトラウスやグレゴールなんですが、当然ふたりとも男ですよ。男が考えた女性の選択です。これ、本当かなあ、と。女性は、まずは子どもの安全を考えるのではないか、と。普通なら、権力と経済を選んで、生まれ来る子どもの安全を確保しようとするはずなんですが、どうでしょうか。数ある芸術は、その多くが男性が作ったものですので、そういう視点を汲み取りにくいのではないか、とも思ったり。

というわけで、今日もなにか思いつきをダラダラと書いてしまいましたが、誰かと話している気分で。もっとも、こんなことをダラダラ話すのは、イマイチです。

ではおやすみなさい。グーテナハトです。

Opera,Richard Strauss

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上の変な写真になってしまいましたが、行ってきました東京二期会公演の《ダナエの愛》。東京二期会は、意欲的な演目をやりますが、今回は本当に運良く行かせていただいた感じです。

いや、本当に面白かったです。演出も最高だったし、なによりオケが素晴らしかった。歌手の方々も。10年以上前にもやはり同じ団体の別のオペラを東京文化会館で観たことがあったんですが、そのときよりも全体に底上げされている!、と本当に思いました。

今日は短信にとどめますが、深作さんの演出は、シュトラウスが指環へのオマージュとして《ダナエの愛》を書いた、と思わせる演出になっています。神々から人間へ世界が渡される、というテーマを色濃く描く演出で、これはもうほとんど指環の世界観でした。第三幕のユピテルは、全くもってさすらい人ヴォータンでした。シュトラウスのパロディ精神をすくい取っているなあ、と感動です。

演出の深作健太さんのアフタートークも聴きましたが、いや、本当にオペラが好きで演出をやりたくて夢を掴んだ、ということだったようです。

というか本当に面白い演出でした。

<ここからさき、ネタバレ&ご覧になった方しかわからないはずです。すいません>

ざっと、思いついたことを書きなぐってみます。ブログじゃないな、これは。本当なら、誰かと話したいところですが、そういう知り合いがいない。。

演出の深作健太さんが登壇したアフタートークでは、深作さんがコンヴィチュニーに影響を受けているというコメントがあり、それを受けて、今回の公演についても聴衆の質問の中からもコンヴィチュニー的な演出だ、というようなコメントが有りました。たしかに、コンヴィチュニーの《ばらの騎士》など、未来の暗い世界が舞台になっているということもありますし。

最初は、第三幕が急激に現代劇になってしまい、あまりの唐突感に驚いたのですが、劇が進むに連れて、第一幕から第二幕がダナエの夢で、第三幕が現実なのだ、という解釈なのか、というところで、なるほど、と思いました。

クリムトはダナエを題材とした絵を描いています。ミダス王は触れたものを黄金に変えるということで、このオペラのなかに通底する黄金のイメージ。ここから、クリムトの「ダナエ」につながり、クリムトが好んでつかった金のイメージに繋がり、ということで、クリムトのデザインが衣装に採用されていました。これも少しやり過ぎもあったんですが、その衣装を着ているのが4人王女で、彼女らは《トゥーランドット》のピン、ポン、パンのような位置づけですので、そうしたパロディ精神も面白いなあ、と思いました。

で、この四人の王女は、実際には三重唱なんだそうです。四人いるのに。私なりの持論はあるのですが、今回は一旦は伏せておきます。

また、第三幕最後において、ダナエが懐胎しているという読み替えなんですが、この衣装とメイクは完全にボッティチェリの「春」をモチーフにしています。これ、辻邦生の「春の戴冠」においては、懐胎しているシモネッタをモデルに描かれたもの、とされていますので、ここもとてもおもしろかったです。

短信になっていませんが、半分メモ的なエントリー。

で、指揮・オケ最高でした。シュトラウスは本当に素晴らしい。明日ももう少し書くかも。

では、おやすみなさい。グーテナハトです。