Opera

NHKの2月のBSクラシックナビゲーションが見られるようになりました。

私の注目は、2月9日未明(8日深夜)に放映されるカラヤン指揮「カルメン」。主なキャストは以下の通り。1967年のユニテル制作です。ヴィッカーズさんのホセ、見てみたいですね。

 

  • カルメン (ロマの女) グレース・バンブリー
  • ドン・ホセ (竜騎兵の伍長) ジョン・ヴィッカーズ
  • ミカエラ (ホセのいいなずけ) ミレッラ・フレーニ
  • エスカミーリョ (闘牛士) フスティーノ・ディアス
  • 管弦楽:ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

あとは、未定となっている2月16日(15日深夜)枠がどうなるか、だと思います。

 

Classical

遅まきながら、2008年の私的クラシックニュースをまとめることにしました。本当でしたら2008年中に書いておけばよかったのですが。ともかく、まとめて位置づけることが大事かなあ、と思いましてエントリします。

☆ツィンマーマン「軍人たち」

2008年最大の衝撃は新国立劇場でみたツィンマーマンの「軍人たちSoldaten」。もう語ることができないほどの圧倒的な舞台でした。以下のエントリに書き尽くしたでしょうか。おそらくこれから新たに見られる可能性は低そう。あの印象だけはいつまでも大事にしたいです。 

☆ベルク集中漬け

2008年の後半はベルク漬けといってもよいでしょう。ヴォツェック、ルル、ヴァイオリン協奏曲、叙情組曲などを聴き倒していました。 特に印象的な盤は

  • アバド:ルル組曲
  • ムター:ヴァイオリン協奏曲
  • ABQ:叙情組曲
  • アバド歌劇「ヴォツェック」
  • アンドリュース、シェーファー:歌劇「ルル」(DVD)

といったところでしょうか。ベルクの本もいろいろ読みました。謎は深まるばかりです。

☆ニーベルングの指環に開眼

第二四半期は指環ばかり聴いていました。グンドゥラ・ヤノヴィッツさんのジークリンデに感動しつつ、サヴァリッシュ盤の指環をDVD観了しました。ショルティ盤、カラヤン盤、レヴァイン盤、サヴァリッシュ盤(DVD)などを縦横に聴きましたが、やはり今のところはカラヤン盤がもっともしっくりくる演奏だと思いました。傷が少ないうえにカラヤン流の美学で磨き抜かれている印象です。「ヴァルキューレ」のヤノヴィッツさんを起用しているところがもっとも大きな理由だったりするのですが。今年は2月に「ラインの黄金」、3月に「ヴァルキューレ」を観に行く予定です。また指環につかりますか。

☆私的ウェブラジオ元年

2008年末に、ウェブラジオを聴き始めました。最初に聴いた、ロイヤル・アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のクリスマスマチネで、エリーナ・ガランチャさんの歌に5年ぶりに再会して大きな感動を覚えました。ウェブラジオでのクラシックについてはこれからも折に触れて書いていきたいと思います。

☆新国立劇場/プッチーニ「トゥーランドット」

新国立劇場のトゥーランドットは、演出のヘニング・ブロックハウス氏の周到に考え抜かれた舞台に裏打ちされた見事な演目だったと思います。この公演に関して言えば、オペラトークにも出かけまして、ブロックハウス氏の生の声で演出の狙いなどを聴くことができて本当に刺激的な体験をしました。

☆ヴェルディ「アイーダ」

年はローマに旅行に行きました。金融恐慌の前で、ユーロがとても高い時期。ローマ紀行を書いていますがなかなか進みませんね。ローマでは体力的に厳しいなかでなんとかカラカラ浴場跡で催された野外オペラ「アイーダ」を聴きました。ヴェルディのオペラには苦手意識があり、今でもぬぐいきれないのですが、「アイーダ」はもっとも人気のある演目の一つであることもあり、だいぶ理解が進んだ思います。

☆魅力的な歌手との出会い

オペラ好きですが、まだ数年しか聴いていない状態でして、いろいろと勉強をしなければならない感じ。そんな中で昨年は以下の歌い手の方から感銘を受けました。

  • グンドゥラ・ヤノヴィッツ
    カラヤンの「ヴァルキューレ」でジークリンデを歌っているのに感嘆。クライバー盤「真段の射手」や、ベーム盤「ナクソス島のアリアドネ」、エッシェンバッハ盤「ばらの騎士」、そしてベーム盤「カプリッチョ」で感銘を受けました。また今年もいい盤に巡り会いたいです。
  • アグネス・バルツァ
    カラヤン盤「ドン・ジョヴァンニ」でドンナ・エルヴィーラを歌っているのを聴いてクラリときました。透徹、清冽な歌声。今までも聴いたことがあったはずなのですが、ここまでとは思いませんでした。
  • ニーナ・シュティンメ
    シュティンメさんの実演には、2007年のチューリヒ歌劇場のばらの騎士で接しているはずでしたが、シュティンメさんのCDで感激を新たにしました。この方は、マルシャリンというより、サロメやブリュンヒルデが似合う方なのではないかと思います。ドミンゴとの「トリスタンとイゾルデ」も聴きましたが、イゾルデもなかなかよかったです。ルルとか「ヴォツェック」のマリーを聴いてみたいです。
  • エリーナ・ガランチャ
    2008年の最後にこの方との再会があろうとは思いもよりませんでした。我田引水的かもしれませんが、2003年の新国立劇場「ホフマン物語」で、ニクラウス/ミューズ役で出演されたときから注目していたのですよ。深く味わい深い豊かな歌声は変わらず。すばらしい方です。是非オクタヴィアンを聴いてみたいです。

2008年も実りの多い一年でした。今年は、「ニーベルングの指環」の実演に触れられますし、「ヴォツェック」の実演にも行けそうな予感。昨年よりは実演に触れる機会を増やしていきたいと思っていますが、どうでしょうか。またウェブラジオの魅力にも開眼しましたので、これからいろいろ聴いていくことができると思います。

クラシックを取り巻く環境もやはり厳しくなっていますし、経済情勢は多かれ少なかれ全市民に影響してくるはずです。とはいえ今年もめげずに果敢に聴いていきたいです。

Opera,WebRadio

 

ウェブラジオにて、エマニュエル・クリヴィヌ指揮のリヨン歌劇場公演、ヨハン・シュトラウス二世の喜歌劇「こうもり」を聴きました。

クリヴィヌ氏は、1947年グルノープル生まれ。ご両親はロシア人とポーランド人とのこと。おかかさんのブログで取り上げておられたのもあって、聴くことにした次第。いつも大変感謝しています。

ちなみに、2月には新国立劇場で「こうもり」をみる予定で、予習用にクライバー盤を聴いていましたが、こちらも予習用にもってこいです。

序曲からテンポも音量もかなり動かすアグレッシブな指揮で、聴いていてとても楽しい。つまりある種の驚愕を得られる興味深さです。ウィーン的グルーヴ感がよく出た演奏だと思います。たまにオケが追随できないこともありますが、それは愛嬌でしょう。クライバー盤ではカウンタ・テナーが歌っているオルロフスキー役ですが、この音源では女性が歌っておられます。こっちの方がしっくりくるなあ、という感じです。

オペレッタの楽しい雰囲気は伝わってきて、途中ではアルフレード(と思われる)が、バーンスタインの「トゥナイト」を歌って会場が沸く場面もあって楽しいです。ボエーム、椿姫のアリアやら「オ・ソレ・ミオ」を引用してみたりしておもしろいです。そのほかでも会場が沸いているのですが。フランス語だったりしてわからない。ああ、語学をがんばらねば。 しかし「こうもり」は実際に見に行った方が良いパフォーマンスだと思います。これからDVDを見ようかな。

ちなみに音源は2008年12月19日に録音されたものですが、Operabaseによると、同じキャストで大晦日、元旦にも公演があった模様。ヨーロッパの年末年始は「こうもり」ですね。

  • 指揮者==エマニュエル・クリヴィヌ
  • 管弦楽==リヨン(国立)歌劇場管弦楽団
  • アイゼンシュタイン==テノール==ディートリヒ・ヘンシェル
  • ロザリンデ==ソプラノ==ニコラ・ベラー=カルボーネ
  • アデーレ==ソプラノ==オルガ・ペレチャツコ
  • オルロフスキー公爵==メゾ・ソプラノ==ステファニー・ハウツィール
  • アルフレード==テノール==ベルンハルト・ベルクトルト

登場人物が複雑なので、相関図を作ってみました。ちょっとネタバレもあるかも……。あらすじはウィキペディアを参考にしました。登場人物が多いので、実演に接するか、対訳を見ないときちんと聞けない感覚。がんばりましょう。

 

Miscellaneous

新年も二日目。今日もいろいろ忙しい一日でした。夜になってやっとブログが書けるようになりました。

ともかく、今年も目標を。

  • とあるプロジェクト(A)を完遂する。 →ちょっと秘密です。この歳になって恥ずかしいので。
  • とあるプロジェクト(B)を完遂する。 →これも秘密です。こちらもこの歳になって恥ずかしいので。
  • 本は百冊読む →昨年に引き続き。文学系や音楽系にくわえて、実学系も読みます。
  • 辻邦生師の本を毎月1冊は読む →小説はフーシェ革命暦を読んでほぼ完読。あとは評論や論文をよむばかりです。
  • ブログ更新を毎日する →なんとかリズムを崩さないようにしたいです。
  • オペラ・コンサートに月に一度は出かける →これは自動的に完遂できそう。1月はもう三回も行く予定がありますし。
  • 新しい音源を月に週に一つは聴いてきちんと感想を書く →CDに加えて、DVDやウェブラジオ、iTuneなど
  • 痩せる →体脂肪率を20%未満にする。来年のメタボ判定までに何とかしないと。
  • 健康管理 →風邪をひかないようにがんばります。

なんてことを考えながら、またヴォツェックを聴きまくる。特に第三幕以降を二回も聴いてしまいました。マリーを殺す場面の切迫感とその後のH音のトゥッティが強烈。夢に出てきますよ、これは。

他にも、モーツァルト、べートーヴェンも聴きましたが、BGM的に聴いてしまったので、次の機会に。あ、それからショスタコーヴィチの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」をさわりだけ聴きました。今年新国立劇場で上演予定ですので、予習をしなければ。

明日の夜は、なぜかフュージョンバンドの練習でサックスを吹きます。後輩の結婚式二次会で、10年前にやっていたバンドを復活させるのです。やる曲は、T-SQUARE。とほほ。でもフラジオ音域ばかりで難しいのですよ。おそらくアンブシェアを保つだけの筋肉がないので、厳しい練習になりそう。でも、この曲やろうゼ、と言ったのは僕なのですよね……。がんばります……。

Miscellaneous

2008年初頭に立てた目標。どうなりましたでしょうか……。

  1. 今年も年間100冊本を読む
    → カウントしたところ71冊でした。残念。ただ、昨年よりカウントのハードルをあげていますので、まあまあというところでしょうか。予定外だったのは塩野七生さんの本を10冊ほど読めたことでしょうか。これはなかなか刺激的でした。
  2. 辻邦生師の本を20冊読む
    →こちらは7冊ですので未達です。ただ、今年はフーシェ革命暦の1部と2部を読み終えましたので、その点はよかったと思います。来年は評論・論文系を読まないといかんですね。
  3. 岡本かの子全集を読みはじめる
    →こちらは読み始めたけれど、なかなか続かなかったので未達です。
  4. プルーストを再開する
    →こちらは全く歯が立たず。未達です。
  5. Museumu::Shushi Bisのほぼ毎日更新
    →平均して週に4~5日ほど更新できていたようです。もう一息でした。
  6. 月に一度はコンサートかオペラに行って、感想をきちんと書く
    →あら、10回しか行っていないですね。意外と少なかったです。来年はもっと行けるようにしたいですが、この不況ですのでなかなか厳しいです。
  7. 月に4枚以上は新しいCDを聞いて、感想をきちんと書く
    →新しいCDは全く買えませんでしたので未達。来年はウェブラジオの音源について書き始められればと思います。ですので、来年は未聴の音源について、というふうに変えようと思います。
  8. 3ヶ月に2回(つまり年間8回)は山歩きに出かける
    →だめです。未達です。2回しか行けませんでした。これは時間がないので来年も厳しそうです。
  9. 痩せる!(60キロ台まで痩せよう!)
    →未達です。一時期は73キロまで落としたのですが、この年末で79キロまで太ってしまいました。クリスマス、年末年始と甘い物摂りすぎ。いけません。
  10. 健康管理の重視
    →今年はおかげさまで風邪も引かずに一年間を過ごすことができました。むしろ、寒さが本格的になる来年初頭はもっと気をつけたいところです。もう若くはないので、寒さ対策をきちんとしないと……。

というわけで、あまりに未達すぎる結果でした。しかし、とある本によれば、目標をすべて満たしたと言うことは、そもそも目標自体が甘いのだ、という見方もあるそうです。 ですので、8割ぐらい到達できればいいのかな、と思いました。とはいえ、8割は達していないと思いますが。

来年もがんばります。

 

Alban Berg,Opera

今日でやっと仕事納めでしたす。今週から通勤客はぐっと減っていて通勤は楽でした。まあ仕事できるだけでもありがたいと思わないといけない時代になりつつあるようですが。

朝の通勤時間でも目が冴えていて、ヴォツェックの本を読んでいました。音楽之友社の名作オペラブックス(26)「ヴォツェック」です。いろいろと興味深くて読み続けて、疲れたら、iPodでヴォツェックを聴きながらリブレットを追っていく感じ。なかなかおもしろです。

ビュヒナーがヴォイツェック事件を救い上げ劇作化し、それをまたベルクが救い上げオペラ化したという構造。ベルクの功績でヴォイツェック事件は時間と空間を越えて東洋の島国にまで伝播している。そしてそのアクチュアリティ。日本でも不幸な事件が相次いでいますが、それが日本だけで発生しているわけはなく、現代に限らず発生しているわけです。もちろん、事件の容疑者や犯人は責めを負わなければならないのですが、はたして当人にだけ原因があったのか、という深く重い問題。コンテキストの中で理解することが求められるのだが、それは辛く厳しい仕事になるのだろう、という予感。

ヴォツェックのアクチュアリティはまさにここに現れているのではないでしょうか。

あるいは、ちょっとずれますが10年ほど前にカミュの「異邦人」を読んだときにも同じことを感じたことがありますし、カフカの「審判」でも似たようなことを考えました。いったい裁かれるものとはなんなのか、という問題。

私は、これは犯罪といった法を犯すという状態についてだけでなく、裏切りや不貞などの、「人倫」に悖る状態にまで拡張できると思っているのですが。

ともかく、問題は、どうしてオペラ化されたのか、ということでして、これは継続調査中です。

Alban Berg,WebRadio

日本時間で 本日未明に、アン・デア・ウィーン劇場でのシュトラウス「インテルメッツォ」の放送がORFであったのですが、録音失敗しましたorz。Net Transportの予約録画がうまくいきませんでした。そもそもNet Transportの操作性の癖が設定ミスを誘うような気がし手いましたので、他に良いものはないか、とググってみると、以下のフリーウェアにたどり着きました。

http://tetora.orz.ne.jp/forum/gasdown/download.cgi

GetASFStreamというソフトです。少しさわってみた感じでは、結構良さそうです。これで今晩NRKで放送されるアバド=ポリーニ=BPOのベートーヴェンのピアノ協奏曲第四番の録音を試みてみます。うまくいくと良いのですが。

今日は少々早起きして、いろいろとやりたかったことを済ませることが出来ました。最近は朝早く起きられるような状態ではなかったので本当に久しぶりでした。食事を済ませてから仕事。すすみが悪いですが……。お昼には年賀状を書きはじめ、1時間ほどで完了。宛名書きもデザインもPC任せです。まったく良い時代になったものです。

少々午睡をとってまた仕事に取りかかったのですが、どうにもこうにも頭が働きません。やはり良質な睡眠が必要です。今日は少々不完全燃焼感があります。

今日はベルクの「ヴォツェック」を聴いた一日。アバド盤でして、マリーはベーレンスさんです。そのほかにもバレンボイム盤やメッツマハー盤がiPodに入っていますが、しっくり来るのがアバド盤。洗練されて、純化された世界で繰り広げられるヴォツェックの悲劇。どうして、ベルクがこの悲劇的な題材を選んだのか、この曲を現代において聞く意味は何か、など考えています。

劇作家のビュヒナーの時代や、ベルクの時代にあっては、貧窮にある人間が力を持ち始める訳で、文化的エリートがようやく目を向け始めた時代だったのだと思います。そういう意味においてある種の啓蒙的な役割を持っていた者と考えられます。

現代においても、未だに貧窮の問題は解決していない。解決どころか悪化しているとも言えます。貧困がもたらす不条理を照明するという意味において現代においてもその価値を失ってはいないのです。

しかしながら、それではこの作品が音楽芸術である理由はありません。啓蒙ならば新聞やテレビ、映画の方が力強い。そうしたチャネルを選択するのではなく、音楽、オペラを選択して、そこに芸術的美的価値をまとわせることにどういう意味があるのか。そこが分からないところで、何とか答えを見つけようともだえている感じです。

このオペラも何年も聞き続けていますが、分からないことだらけ。アドルノがヴォツェックについて書いた論文があるのですが、晦渋なので手こずります。さすがアドルノ、です。アドルノぐらい頭の良い人間が考え抜いて書いたことですので、すぐに理解することなど出来るわけがないのですが。

そもそも最近は小説世界に浸っていますので、いまはちょっと思想系の本には入っていけない感じです。といいながらも、読まなければならない本は多いですので、いつかは立ち向かうことになるのですが。

 

Tsuji Kunio

辻邦生師の「フーシェ革命暦」第二部を読了しました。熱に浮かされたように通勤時間に読み続けていました。

国家破綻寸前のフランスを立て直そうと、財務大臣のネッケルが貴族の免税特権を剥奪し税収を増やそうとするわけですが、当然貴族たちは黙ってはいないわけです。そこで三部会を開催し、税制を変えようとします。三部会は、僧侶階級、貴族階級、平民階級の三つの階級が合同する会議なのですが、貴族は当然議事の進行に協力するわけがありません。一方で平民階級の議員たちは、独自に議事を進めようとするわけです。

当時の平民階級、特に農民や労働者たちの置かれている状況は大変厳しかったわけです。穀物の不作にも関わらず徴税請負人の厳しい取り立てに種籾さえも供出しなければ行けない状態。食うや食わずの状況を強いられていました。もちろん都市労働者も同じです。小麦は貴族階級に買い占められており、パンの値段は上がる一方でした。 平民階級の不満は爆発寸前でした。

そんな折の三部会の開催で、平民階級はそうした状況が是正される最後の切り札として三部会を捉えていたわけです。 貴族階級、僧侶階級の不参加で、三部会の存立自体が危うくなったところで、アベ・シエースの提案により、平民階級のみで三部会を存立させることとし、議会の名称を三部会から国民議会に変更し議事を進めていきます。

一方、貴族階級も反撃を進めようと、傭兵部隊をパリ近郊に配置。治安状況の悪化していたパリに圧力を加えます。パリの民衆の不満・不安は頂点に達し、民兵が組織され、火薬を求めてバスチーユ要塞へ進撃し、これを陥落させるのでした。

民衆の理性を失い凶暴化した様相が強調されていて、「春の戴冠」のサヴォナローラ訴追の場面を思い出しました。フランス革命はテルミドール反動で幕を閉じるわけですが、フーシェ革命暦」は本来ならそこまで書かれるはずでした。つまり「改革」の破綻で幕切れとなる予定だったわけです。そういう意味では、私の持論である「性急な改革への警鐘」という、辻邦生文学の一つのスキームに合致すると考えています。

未完成に終わったのは実にもったいなくて、大枠のあらすじは、歴史が教えてくれるわけですが、魅力的すぎるミュリエルというキャラクターの誘拐事件を巡る顛末についてはわからないままです。いろいろと示唆は与えられているのですが、どこに落としどころがあるのかは謎のままかもしれません。 もちろん、未完成に終わった第三部の途中まで全集第十二巻に所収されていますので、引き続き読んでいこうと思っています。

Classical,Concert,WebRadio

昨日、アムステルダムのコンセルトヘボウにて開催されたマチネ演奏会ライヴをウェブラジオで録音しまして、早速iPodに入れて聴いています。

どうしてこの放送を録音しようと思ったかと申しますと、メゾソプラノのエリーナ・ガランチャが登場するからです。ガランチャさんはラトヴィアはリガのご出身。2003年の新国立劇場公演「ホフマン物語」でミューズを歌われまして、あのときの深く豊かな声に魅せられたからです。もう5年も前ですか……。

ガランチャさんのその声はまだ健在でした。モーツァルトのアリアと、カルメンから数曲歌われたのですが、すばらしく豊かでやわらかい歌声に感動です。 マリス・ヤンソンスも元気そうでした。ヤンソンスの指揮は極端にテンポをいじらずに、音量のコントロールで曲の表情を作り上げていく感じです。テンポは緩めで歌わせています。

曲はモーツァルトのアリア、ビゼー「カルメン」から「ハバネラ」など。詳細はウェブにも出ていませんし、オランダ語のヒアリングもできませんので、ウェブに乗っていた概要を掲載します。

  • Aria’s van Mozart, Rossini en Bizet
  • Mascagni Intermezzo uit 'Cavaleria rusticana’
  • Rossini Ouverture 'Guillaume Tell’
  • Verdi Ouverture 'La forza del destino’
  • Chapí Prelude 'La Revoltosa’ (KCO-première)

生放送ライヴならではの瑕も少々感じられますが、そういう目的で聴いているわけではありませんので、問題ないです。

しかし、時代も変わりました。日本時間の21時にオランダで催されたコンサートを、翌朝すぐにiPodで聴くことができるだなんて、すごい世の中になったものです。 さすがに、iPodにたどり着くまでに、asf→wma→AACと三回もコーディングを変えましたので少々手間はかかりましたけれど。