Classical

DSCH Sym Nos. 7 & 8

Shostakovich: Symphonies Nos. 7 & 8
  • レーベル: Melodiya
  • 発売日: 1998/03/10
  • 売上ランキング: 102105

中学生のころは、ショスタコーヴィチが大好きで、良く聞いていました。当時はたしか「マーラーブームの後はショスタコーヴィチブームがやってくる」みたいなことが言われていたのですが、それは当たらなかったようですね。とはいえ、当時は何も分らずただただショスタコーヴィチの交響曲をNHK-FMでエアチェックしてせっせと聞いておりましたし、お小遣いを貯めて、ハイティンクが振る「バビ・ヤール」のCDを買って毎日のように聞いていましたね。

高校の半ばから、ジャズに浮気をしまして、大学時代はほとんどジャズ・フュージョンしか聴いておりませんでした。あの時もクラシックをもっと聴いていれば、クラヲタになれたと思うのですが、とても残念です。まあ、ジャズの曲をその分聴けましたのでいいと言えばいいのですが。

8番は、たしかムラヴィンスキーの演奏をエアチェックして聴いていましたが、あのテープはどこに消えてしまったのでしょう。しかし、あの鮮烈な演奏は未だに覚えていて、今日もロジェストヴェンスキー盤を聴いて少しずつ思い出すものがあります。

さて、この曲の白眉は、第三楽章のトランペットのソロとティンパニーのソロだと思うのですが、強烈ですね。トランペット、どうしてあんな音が出るのでしょうか? エッジの効いた鋭い音で、中学生の頃は、これこそソヴィエトのオケのトランペットの独特な音色なのだ、と勝手に思っていましたが、本当にそうなのでしょうか? マウスピースでコントロールしているんでしょうか。ただ、僕にとってはショスタコーヴィチといえば、このCDに収められたトランペットの音のイメージなのです。

第三楽章から第四楽章は切れ目なく突入するのですが、冒頭の爆発的音響はなりを潜め、沈思的な風情に。ショスタコーヴィチのこの楽章のこういう弦楽合奏がとても好きですね。聴いているだけでいろいろな物語が想像出来るんですよ。雪の降りしきるクレムリンを毛皮の帽子を被って灰色のコートを着た陸軍士官が軍靴の音を響かせながら歩いている、みたいな。途中から管楽器群が入ってくるあたり、あまりに格好が良くてゾクゾクしますね。第一楽章でも美しい弦楽合奏聴けますし、たしか交響曲第10番にも似たような楽章があったと思います。

第一楽章で言えば、中盤部に出てくる小太鼓の連打が聞こえてくるあたり、本当に時代を感じさせますね。第一楽章の起伏に満ちた楽想は何枚も何枚も鮮烈な絵巻物を見せられ続けるような感があります。よくぞここまで展開するか、という感じです。ロジェストヴェンスキーの破壊的パワーも相俟って、というところですね。

それから、録音場所の音響が好みなのですよ。ドレスデンルカ教会よりも残響時間がすこし長めで、気持の良いリバーブがかかっています。この音も、一連のロジェストヴェンスキーの録音で気に入っていることの一つです。

メロディアレーベルは廃盤になってしまい手に入れるのが難しいようです。たしか、廃盤の噂を聞いて、ロジェストヴェンスキーのショスタコーヴィチを買いあさったのが懐かしいです。

今日は午前中までオーバーワーク気味だったのですが、そうしたときに聴くショスタコーヴィチも意外に良いものですね。


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Italy2007

Italy2007

ヴァポレットの騒擾にくたびれながらも、なんとかザッテルレ地区の宿屋に到着。ヴェネツィアの宿屋は、古くて高い、と言われているけれど、この宿屋は古いと言えば古いし、高いと言えば値段の割には部屋は狭く、シャワーがついていなかったりするのだが、こざっぱりしていて古いヨーロッパの雰囲気を残していたので、まあ良いかなと言う感じ。

チェックインするとき、フロントのお姉さんが英語でなにやらいろいろまくしたてられて、どうやら宿で夕食を全日食べるのなら、一日一人15ユーロで提供できる、云々と、お誘いを受けたりするのだが、こちらは辞退。夕食は地元のスーパーで食材を買って食べた方が安いのである。

部屋でしばらく休息して(ヴァポレットの件と、フロントのお姉さんとのやりとりにつかれたのだ)、サンマルコ広場に行ってみようということで、宿屋を飛び出し、ヴァポレットでサンマルコ広場に向かうのだが、ザッテルレ運河を南東に下り、税関の建物の向こうに、鐘楼が姿を現し、ついでドゥカーレ宮殿のバラ色の壁面が光り輝いているのが見えてきた瞬間は我を忘れた。あまりに美しい。もちろんこの風景はカナレットが描いているから、嫌と言うほど見たつもりなのだが、やはり実際に見る美しさは想像を遙かに超えている。青い空にバラ色のコントラスト。夢中でシャッターを切っていた。素晴らしい風景。

広場横の浮き桟橋で上陸。サンマルコ広場は凄い人で、ここは渋谷か? と思うほど。広場に面したカフェでピアノ、クラリネット、アコーディオンのトリオがイパネマの娘を演奏している。照りつける日差しは強く、南国に来たのかと思うほど。ドゥカーレ宮殿はもちろん、サン・マルコ聖堂の複雑な様式、そびえ立つ鐘楼、ああ、これがプルーストが来たがっていたヴェネツィアなのか、と感激するのだが、ヴェネツィアの感激はこれだけにとどまらなかった。滞在した三日間、毎日違った美しさを噛みしめることが出来たのである。

Italy2007
Italy2007

Opera,Richard Strauss

Amazon
Strauss: Ariadne auf Naxos
Strauss: Ariadne auf Naxos
  • レーベル: Deutsche Grammophon
  • 価格: ¥ 4,290
  • 発売日: 2001/09/18
  • 売上ランキング: 66959
タワーレコード


シュトラウス6つめのオペラである「ナクソス島のアリアドネ」を聴いております。と言うのも、1月末に新国立劇場の中ホールで関西二期会の公演があるためです。公演情報はこちらです。

というわけで、予習をしているのですが、ベームが1954年にザルツブルク音楽祭で振ったライブ盤と、シノポリ盤の二枚を聴いてみて、やはりシノポリ盤のほうがいいなあ、と思いそちらを聴いています。ベーム盤はモノラル録音のライブということで、そもそも不利なので、致し方がないですね。

シノポリ盤は、なんといっても、オーケストラはドレスデンシュターツカペレですし、録音場所はやっぱりドレスデンルカ教会です。音が良いのですよ。

このオペラの聴きどころの一つが、ツェルビネッタのコロラトゥーラだと思うのですが、シノポリ盤のナタリー・デセイさんは素晴らしいですね。これだけピッチが安定していて曲芸的なコントロールをするのを見せられると、手放しで拍手をしたくなります。しかも声は透明で美しい。デセイさんのツェルビネッタを聴くだけでもこのCDを聴く価値はあるでしょう。デセイさんのツェルビネッタは以前テレビで放映しているの見たこともあります。ウィキペディアによるとデセイさんは、声帯の手術をうけられたりととても苦労されているようです。

後半の「アリアドネ」の部分はギリシア神話を翻案したものです。アリアドネは、英雄テセウスによってクレタ島から連れ出された王女です。テセウスはクレタ島のクノッソス宮殿の地下迷宮でミノタウロスを倒すわけですが、迷宮で迷わないように、とアリアドネがテセウスにに糸玉を渡して、テセウスのミノタウロス退治に力を貸すわけですが、テセウスと一緒にアテネへ向かう途中にナクソス島に置き去りにされてしまうわけですね。そこで、バッカス(つまりデュオニソス)と結ばれてめでたしめでたし、となるのがオペラのあらすじ。

一説にはアリアドネは悲嘆のあまりに自殺してしまうという別のストーリーもあるらしいです。なぜ、テセウスはアリアドネを置き去りにしたのか、本当によく分からなくて、バッカスがアリアドネに一目惚れしたので、置き去りにするように差配した、という説もあるそうですが、なんだかストーリー的に無理がある気がしてなりません。

他にもう一つ違うバージョンの「ナクソス島のアリアドネ」を聴きたいと思っていますが、何にしようか思案中です。


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Classical,Gustav Mahler


Cheryl
Studer; Soprano I

Sylvia
McNair; Soprano II

Andrea
Rost; Soprano

Annne
Sofie von Otter; Alt

Rosemarie
Lancö Alt

Peter
seiffert; Tenor

Bryn
Terfel; Bariton

Jan-Hendrik
Rootering; Bass

 

Rundfunkchor
Berlin

Prager
Philharmonischer Chor

Tölzer Knabenchor

 

Berliner
Philharmoniker

Claudio
Abbado

最近いろいろな場面でマーラーの交響曲第8番にでくわします。音楽雑記帳さんでも取り上げられていて、シンクロニシティを感じたり。

この曲、人生で初めて買ったCDなんですよね。ショルティ盤でした。以来ショルティ盤がデフォルト盤として僕の中に君臨を続けていたのですが、ようやく別の盤を受け容れることができました。その第一がアバド盤でした。というわけで、アバド盤のご紹介。タワレコのウェブでは単独では販売されておらず、全集盤の画像を張りました。僕が持っているのもやはり全集盤です。

聞き慣れたショルティ盤と比べると、当然ですがアバド盤のほうがテンポは遅いわけですが、ダラダラとした遅さではありません。音の強弱、うねるようなダイナミックレンジの広さを巧く見せてくれますね。それから音の柔らかさ。どうして、こんなに柔らかいのかなあ、と思ったのですが、弦楽器の美しさ、特にヴィオラ、チェロであったり、ホルンの音も美しさなどによりますね。

法悦の教父、バリトンのブリン・ターフェルさんなのですが、ねっとりとした甘い匂いのする暖かい空気に包まれているような幸福感を覚えます。ここにはもう泣くしかありませんね。シェリル・ステューダさんも透き通った美しい声。(ばらの騎士で)聞き慣れたオッターさんの声もいいです。

マリア崇拝の博士(テノール)が、神秘の合唱のまえにJungfrau, Mutter, Königin, Göttin, bleibe gnädig!という歌詞(トラック15の2’25")があります。この曲はアルマに献呈されたわけですが、マーラーの壮大なる愛情の告白としての一面を見ることができるわけです。マーラーにとって、アルマは永遠なる若い女性であり、母であり、女王であり、女神なのです。グレートヒェンは、ファウストを救済するわけですが、マーラーもアルマに救済して欲しかった。フロイトによれば、マーラーは母親の姿をアルマに求めていた、いわゆるマザー・コンプレクスだったということも有名です。けれども、アルマにはもうそんな気はない。今風に言えば、魔性の女というところでしょうか。このギャップにそこはかとない哀れを感じ、神秘の合唱から大きな感動を引き起こすフィナーレをきくにつけ、悲しみを覚えるのです。


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Japanese Literature

岡本かの子全集〈2〉
  • 発売元: 筑摩書房
  • 発売日: 1994/02
  • 売上ランキング: 997025

フランスの海辺の保養地での日本人小田島と、スペインの国際スパイ、イベットの物語。西欧人のしたたかさ、老獪さとが、辻邦生文学とは違う観点で描かれていて面白い。

フランスは、恋愛の国と言う先入観が強いけれど、やはりここで描かれるのも、フランス人における恋愛感情の重要度と、そこに内在する打算的な部分とでもいえる現実主義、リアリズムなのである。そこに異質な人間としての日本人小田島が場に投げ込まれることで、波紋が広がる。小田島の目線を通して、そうしたフランス人の恋愛感情(あえてイデアリズムに分類しよう)と現実主義(リアリズム)のせめぎあいが客観的に描かれるている。

イベットは、 「欧州人というものは理解なしには何事にも肩を入れて呉れない性質の人種よ」「ドーヴィル物語」『岡本かの子全集第2巻」、ちくま文庫、35ページと小田島に語る。小田島は東洋人であるがゆえにそうした性質を持たず、理解なしに自分を受け容れてくれるので、好きになったのだ、と告白するのだった。

イベットに惚れた(かのように振舞う)ドーヴィルの市長は、イベットを連れてカジノに出かけるような男。ほかにもたくさんの男がイベットの虜になっている。イベットはスペインのスパイで、カジノの売り上げを探ることで、フランスの国家財政の状況を推量したところで、スペインへ強制送還となる。これ以上イベットに国家の大事を嗅ぎまわられてはかなわない、と言う判断なのだった。さしもにイベットと遊興にふけっていると思った男たちは、イベットの役割を理解した上で、 遊んでいると言うのだから、恐れ入る。

ドーヴィルの風情は、プルーストにおけるバルベックと似ている。この小説で描かれる爛熟した遊興族は、戦間期のフランスにもまだ残っていたことを物語っている。欧州にとって最後の古きよき時代。だが時代はめぐるのだ。それを知っているわれわれは、そこに寂寥感や無常観をも感じるのである。

Richard Strauss

Richard Strauss: Rosenkavalier Waltzes; Burleske; Capriccio Sextet
Richard Strauss: Rosenkavalier Waltzes; Burleske; Capriccio Sextet
  • レーベル: Decca
  • 価格: ¥ 2,144
  • 発売日: 2005/06/14
  • 売上ランキング: 5610

今日は、ブロムシュッテットさんの、ばらの騎士組曲1番、2番と、カプリッチョ冒頭の六重奏を楽しむことができた。

第一幕と第二幕からワルツを集めた、Rosenkavalier Waltzの第一番の冒頭は、当然ばらの騎士のオクタヴィアンの動機とマルシャリンの動機から。ホルンの音がよいのにのっけから驚く。弦楽部も透き通り、コントラバスがよく聞こえる。ブロムシュテットさんは、きちんとテンポをコントロールしている。全権掌握。特に、冒頭から次のテーマに移るあたりやオックスのワルツでははかなり速度を落としている。あまりに遅いと失速するのではないか、と思うのだが、そう言うことは全くなく、推力を維持している。

第三幕からのワルツを集めた第二番だが、冒頭のワルツは、舞台では「特別室Extrazimmmer」の裏でBGMとして流されている設定のワルツ。転調が気持ちよくて、本当なら「××長調から○○長調への優雅な衣替え」などと言ってみたいものだが、残念ながら、そこまで良い耳は持っていない。ウィンナワルツの微妙な拍のずらしかた(二拍目を早めに)がきいていてとても気持がよい。

カプリッチョからの六重奏曲は、ゆったりとした少し遅めのテンポ。 楽譜が読めれば、きっと楽譜の音符一つ一つが浮かび上がってくるはずだが、残念ながら僕の眼前にはまどろむラ・ローシュの姿しか見えこない。きっとラ・ローシュの夢の中に誘われている、ということなのだろう。調性が短調にかわるところ、トレモロがあるのだが、遅いテンポにちゃんと追随しているのがわかる。二つめの動機に付加されている装飾音符とともに、このトレモロが白眉だな、と思う。

昨日のブロムシュテットのCDとともに、このCDは、半年間行くのを我慢していた渋谷のタワレコで買ったもの。ネットでは手に入らないものが、実店舗ではたやすく手に入ってしまうのに驚く。やはり、渋谷や新宿のタワレコに行かないとだめだな、と思った次第。もっとも、「名盤は自宅に眠る」という格言にあるとおり、買う前にきくべきCDがたくさん家にあるのだが。いずれにせよ、良い買い物をした。

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Classical

R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
  • アーチスト: オーマンディ(ユージン)
  • 発売元: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/03/21
  • 売上ランキング: 71235

今日は4時過ぎに起きたのですが、少々眠けがとれず困惑。細々としたことをやるだけで終ってしまう。朝食を取って隣町のカフェへ出掛けて、お昼までお仕事。「クリエイティブ」になれるとどこかのウェブに書いてあったので、iPodでバッハの曲をランダム流して聴いてみる。あら不思議、集中力が高まってなんとか本日のノルマ達成。でも罪悪感に苛まれる音楽の聴き方であった。バッハ先生申し訳ございません。

帰宅後、オーマンディさんの「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴いて、昨日のブロムシュテット盤と比較してみようと躍起になるのだが、どうやら疲れているらしく、なかなか切り口が見つからない。ブロムシュテット盤は、ドレスデン・シュターツカペレの音を出しているからどうしてもオーマンディ盤が普通の演奏に聞こえてしまうのである。それで、カラヤン盤と比べてみると、オーマンディさんの金管楽器がきらきら光る感じとか、分厚い弦楽部とかが際立って聞こえてくる。これがフィラデルフィアサウンドというやつなのだろうか?、とすこし自信がないのは、一枚しか聴いていないから。まだ偉そうなこと書けない。

ただ、ちと録音はよろしくないかもしれない。1979年の録音だからそんなに古くはないと思うのだが。

オーマンディさんの録音を聴こうと思ったのは、葉っぱに埃がついたので水をかけて払ってやったでちブログさんで紹介されていたのがきっかけ。引き続き、オーマンディさんの振るマーラーをタワレコに発注中。到着したらまたレポートしたいと思う。


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Miscellaneous

初詣
さて、少し遅れましたが本日初詣に行って参りました。この2年ほどは湯島天神に行っていました。おかげで、いろいろと状況が改善したり、良いことがあったりと、僕たちにとっては良いことが続いていますので、御利益があるということだと思っています。というわけでお礼もかねて今年も初詣へ。昇殿してお払いと祝詞を読んでいただいてから、おみくじを。なんと昨年に続いて大吉でした。大事に運を使おうと思っています。なにより運を使うには努力が必要なのですが。今年も頑張りましょう。お読み頂いてありがとうございました。
Technorati Profile

Classical,Richard Strauss

R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき
R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき
  • アーチスト: ブロムシュテット(ヘルベルト)
  • レーベル: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2002/06/21
  • 売上ランキング: 86
  • おすすめ度 5.0

ブロムシュテットが振るドレスデン・シュターツカペレで「ツァラトゥストラはかく語りき」を。

冒頭の金管の絢爛さに息を呑む。そして弦楽器の透き通った冷たい水で喉を潤すような清涼感。速度は中庸で4曲目「喜びと情熱について」の弦楽器の疾走感と分厚い金管部のコントラスト感がたまらない。6曲目「学問について」はじっとりとした足運びでコントラバスが唸りはじめる。やや抑え気味のテンポを途中で速いテンポに切り替える素早さたるや。手堅いです、ブロムシュテットさん。本当に「流れ」で演奏してないというのが分るんですよね。全権掌握しています、という感じ。

録音も良い感じです。ドレスデンのルカ教会ですので、クライバーの「トリスタンとイゾルデ」と同じ場所ですね。

  1. Einleitung (導入部)
  2. Von den Hinterweltlern (現世に背を向ける人々について)
  3. Von der großen sehnsucht (大いなる憧れについて)
  4. Von der Freuden und Leidenschaften (歓喜と情熱について)
  5. Das Grablied (埋葬の歌)
  6. Von der Wissenschaft (科学について)
  7. Der Genesende (病より癒え行く者)
  8. Das Tanzlied (舞踏の歌)
  9. Nachtwandlerlied (夜の流離い人の歌)

Opera

昨日は、新年の記念に、ということで、 NHKニューイヤー・オペラ・コンサートに行ってまいりました。教育テレビでも生放送されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

全体的な感想ですが、歌のほうはといえば、うまい方もいらっしゃれば、残念ながらそうでない方もいらっしゃる。逆に言うと、うまい方というのがどういう方なのか、どういう歌がうまいと感じるのか、ということを学んだ、と言うことだと思います。ともかく、いろいろな曲を聴けたのはとても楽しかったですし、素晴らしい歌唱を披露された歌手の方も少なくなかったので、思った以上に良かったです。

感じたことですが、うまい方は、大げさなビブラートをかけないでも、ちゃんとピッチが安定しているのがわかります。逆に、ビブラートがかかりすぎている方、つまりビブラートのピッチ幅、つまり音程の高低が大きかったりすると、かえって音が濁ってしまいますし、ロングトーンのピッチコントロールが出来ていないのではないか、という疑いを持ってしまうのです。これは、僕が昔吹いていたサクソフォーンの演奏をしたり、自分の演奏を聴いたりして感じていたことで、もちろんほかの管楽器の方も同じだと思うのです。ビブラートが悪いというわけではなく、かけ方の問題だと思うのです。

ちなみに、森麻季さんも出ておられましたが、僕としては、森さんは本当に巧い方なんだなあ、という印象でした。ピッチのずれもあまり感じませんでしたし、ビブラートもそんなに耳につくこともありませんでした。連れは、すこし声が小さいのでは、という印象を持ったようでしたが、僕はそれはあまり気になりませんでした。

などと、多少つっこんだ意見を書いてしまいました。歌うと言うことがどれほど難しいことなのか、ということは分かっていますし、ステージに立っておられた方々がどんなに優秀な方々なのかと言うことも分かっているのです。ごめんなさい。

昨日の生放送をビデオに撮っておきましたので、今日明日にでも見てみようと思います。また違う発見があるかもしれません。

曲目は、こちらのNHKのページをご覧ください。