Opera,Richard Wagner

私の新国立劇場2011/2012年シーズンは終わってしまいました。

バイロイト音楽祭を楽しむには

さて、次のイベントはバイロイト音楽祭です。もちろん、実際に行くことはできなので、ウェブや放送で楽しむことになりそうです。

バイロイト音楽祭を楽しむ方法は、現在私が知っている限りでは以下の通りです。

  1. 本家バイロイト音楽祭のオンデマンドウェブで観る。
  2. NHKの生放送で観る(本年もあるかどうかは不明)
  3. ウェブラジオで聴く
  4. NHK-FMで聴く

今年は、3.ウェブラジオ を中心に考えてみようと思っています。

パルジファルはガッティが降板しジョルダン。この方は1974年生まれの俊英で、現在はパリ国立オペラの音楽監督です。

タンホイザーとオランダ人は両方ともティーレマンが担当するとは。

というわけで、本日はここまで。明日以降も続きます。

それでは、You have.

2011/2012シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera,Richard Wagner

ラヴリーな新国立劇場の建築。全然飽きないです。色々写真を撮ってみました。

IMG_0160.JPG

さて、今回の実演を聞いて、それ、言っちゃダメだから、という言葉がローエングリンの口から何度が出てきました。

そんな言葉を三つ選びました。

秘密の存在をばらしてしまった。

これは、演出のシュテークマンの前書きに触発されたのです。

曰く、ローエングリンは女心など知らぬうぶな若者で、やってはならないことをしているのである。

その最たるものが、自分には秘密があるんだよ、ということを女の子に言ってしまっていると言うこと。

本当に秘密ならば、秘密の存在すら秘密にしなければならないのに。

 

でも、ローエングリンはたかだかに名前は秘密だから教えられんのだよ、といってしまう。

 

本当にエルザを愛していて、一緒にいたいのならば、エルザに秘密を暴かせるようなことをしてはいけないのだ。

トリスタンが、タントリスと名前を変えてイゾルデの治療を受けたように、あるいは、ジークムントが、本名をかき回したように。

グリーンローエとか、リンローエングとか。

あるいは、ジョン・スミスとかでも良いわけだし。

臣民の前でエルザに最大限のプレッシャーを与えた

第二幕、テルラムントが、ローエングリンに名前をあかせ、と迫るシーンがあります。もちろんローエングリンは名前を言うことはありません。テルラムントのような反逆者に名乗る筋合いなどはないのだ、と一蹴します。

その次に、テルラムントは、じゃあ国王陛下に名乗るべきだ。国王陛下には言う義務があるのだから、と。

そこで、ローエングリンはこういう。いや、国王にさえ言う義務は負わないのだ、という。このときの国王の気分はいったいどうなんだろう、と心配になります。

で、次がひどい。

私に命じられるのは、エルザだけなのだ、というわけです。

政治や主従関係を愛情関係に転換してしまうというわけです。

エルザはここまで言われてしまうと、プレッシャーですよね。

ローエングリンは、事前エルザに名前を聞くな、といっておきながら、みんなの前では、エルザに聞かれたら答えるしかない、と言ってしまいます。

エルザはどうすりゃいいねん、という感じ。

 

秘密があれば、人間はそれを暴きたくなり、さらにそれを暴けるのが自分だけだ、と言われれば逡巡するに決まっているのです。

 

臣民の前でエルザに恥をかかせた。

あとは、最後のシーン。

エルザに名前を聞かれたので、私はローエングリンです、と言ってしまいます。

で、そのあたりでこういうのですよ。

「エルザが約束したことは、みんな知っているよね。名前は決して聞きませんって誓ったよね。でもね、聞かれちゃったんだよ。その硬い誓いを破って。だから僕はここから去るんだ。じゃあね。」

って書いてしまうと、かなりふざけた感じですが、現代に置き換えるとこうなってしまう。

本当に愛しているのならですよ、エルザをもっとかばわなきゃ、と思うのです。

もちろん神的意味があるんでしょうけれど、そうした神的なものをきちんと開示していないから、エルザも人間の一人として、問いを発したくなるわけです。

気の毒なエルザ。

まとめというか。。。

というわけで、現代の社会に当てはめてみると、ローエングリンは結構いまいちな男なんじゃないか、と思ってしまったりしますね。

ワーグナーはそうではないと思います。なぜなら、エルザを描写できているから、です。

たぶん。

 

本当に人間勉強になりますわ。だから面白いのですよね。

 

というわけで、本日はこの辺で。You have.

2011/2012シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera,Richard Wagner

 

行って参りました、新国立劇場「ローエングリン」。

マエストロ・シュナイダー!

マエストロ・ペーター・シュナイダー、いつも通り素晴らしかったです。

私は、前奏曲の冒頭であまりの透き通るような柔らかい音に涙が溢れました。

(勝手に盛り上がっていただけかもしれないけれど、本当です)

前奏曲の最高潮のところも美しかったなあ。あそこも泣けた。というか、前奏曲終わったところで、顔が涙でベタベタでした。

マエストロの絶妙なテンポコントロールは、ローエングリンとテルラムントの闘いの最後のティンパニーのところがすごかった。あの絶妙な名人芸的テンポコントロールはマエストロシュナイダーを大好きな理由の一つです。

もう一つは、第三幕の前奏曲のテーマの四小節目のところ(たぶん)。あそこも絶妙にもたらせていてすごかったです。その後の弦のレガートの強調も良かったなあ。

あとは、うねるような音量のコントロールがすごいです。歌や息づかいを見計らってオケの音量を微細にコントロールしているところ。こういうところも私が好きなところです。

指を動かしたり、指を指したりして、マエストロがオケを操るのをオペラグラスで観るのも実演ならではの楽しみです。

それにしても、オケの音がこんなに変わってしまうんですね。弦楽器の透明感が本当に良かったです。

金管群には少し苦労しておられたような気もしましたが、私は熱烈に拍手しブラボーを叫びましたですよ。

ブーイングした人がいたのには驚きました。マエストロも動揺されていたというようなこともウェブ上にありましたが、賛否両論あるのがある意味健全なので、仕方がないですね。

マエストロのサインをもらいたくて、楽屋口で待ちましたが、このDVDをもって行ったんですけどね。

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ですが、さすがに別の出口から出られたようです。あのお歳で、五時間指揮棒を振って、サイン攻めに逢うのは少し気の毒なので、仕方がないです。納得。

 

最先端ローエングリン歌手のフォークト

まずはフォークトのこと。

これが最先端のローエングリン歌手! という驚きでした。

初めて実演を聴いたわけですが、録画録音を聴いただけでは分からない驚きです。

本当に、よくぞ日本に来てくださった、という思いですね。

非の打ち所がないというのはこういうことを言うのでしょう。

ピッチ問題なく、声量も素晴らしい。声質はあまりに純粋。スタイルは抜群で舞台映えするかっこよさ。

ヒーローですね。

Herdenというアルバムを出す権利はこの方のためにあるのでしょう。

 

ヘルデン
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で、楽屋口で出待ちして、サインをもらって握手してしまいました。。

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来年もいらっしゃるようなので、聴きに行かなければなりません。

 

しばし

演出も面白かったです。パンフレットにあったシュテークマン氏の文章が面白くて、そう言う見方で観ましたが、納得することばかり。

明日は早起きなので、まずは今日はこのあたりで。明日も書く予定です。

それでは、You have.

CD紹介,Opera,Richard Wagner

Wagner: Lohengrin
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はじめに

やっと金曜日に到達。

最近、二三日に一度は走ることにしてます。

とっていっても、一日に二キロぐらいですけれど。

今日も雨が降る前にと、少し走ってきました。

 

痩せるのもありますが、走ると、頭も活性化するらしいですよ。

ひどい物忘れも何とかならんかなあ、と思いますので。

でも、まだ物忘れはよくなりません。

 

でも、この演奏は、しばらくわすれないだろうなあ。

 

というわけで、昨日に引き続きケンペ盤のローエングリンについてです。

 

フィッシャー=ディースカウ!

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最初は、ジェス・トーマスに期待していたのですが、実際に感動したのは悪役ふたりです。

テルラムントを歌うフィッシャー=ディースカウと、オルトルートを歌うクリスタ・ルートヴィヒです。

ディースカウ、格好良すぎですよ。完全に主役を食っています。

第一幕前半のモノローグからして、テンションが高い。

 

鋭さをも感じる激しく男性的な声で、エルザを弾劾する場面の緊張感と完成度は素晴らしいです。

 

フィッシャー=ディースカウがよくやる微妙な上ずり気味のピッチコントロールとか、聞き所満載です。

あの投げやり感が、テルラムントの豪放なな性格を表していて、巧いなあ、と。

初めて聴いたことになにか恥じ入るものすら感じますね。

二幕の後半でローエングリンとやり合うところ、フィッシャー=ディースカウが勝ってます。

っつうか、フィシャー=ディースカウって、あまりに巨大すぎてとらえられないです。

クリスタ・ルートヴィヒ

クリスタ・ルートヴィヒも絶好調です。あまりに激しくて、なんだかもう、という感じです。

昨日も書きましたが、ルートヴィヒは、私にとってはリート歌手のイメージとか、スズキのイメージが強かったので。

ケンペの統率

あとは、きっとケンペの手腕もあるんだろうなあ。

オケのサウンドがキッチリまとまっていて散漫さをあまり感じません。しっかりと束ねられたアンサンブルです。

 

最後に

このCDは、本当に良い買い物でした。フィッシャー=ディースカウのこのパフォーマンスを聴けたのは大満足です。

やはり、積極的に音源を開拓しないとなあ。

 

というわけで、私の予習も大詰めです。

明後日の初台に向けて、もう少しがんばります。

 

それでは。You have.

CD紹介,Opera,Richard Wagner

だんだん暑くなってきました。きょうは、所用で虎ノ門から桜田門まで歩いたんですが、天気が良すぎて少し灼けたかも。

あの界隈は、興味深いことがたくさんです。歩いているだけで、私にとっての非日常に出くわします。経済産業省の一角にテントが張ってあったり、東京高裁の前に陣取る人とか。

それから、桜田門まででると、日比谷方面の視界が開けて、これがまた秀逸です。仕事したくなります。ほんとです。

 

さて、やっとケンペのローエングリンが到着しました。

うれしいです。

ちょっと遅かったけれど。

 

 

 

  • ローエングリン:ジェストーマス
  • エルザ:エリザベート・グリュンマー
  • オルトルート:クリスタ・ルートヴィヒ
  • テルラムント:ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ
  • ハインリヒ王:ゴットロープ・フリック
  • 軍令使:オットー・ヴイナー
  • ウィーン国立歌劇場合唱団
  • ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
  • 指揮:ルドルフ・ケンペ

 

アン・デア・ウィーン劇場にて1962年~1963年に録音です。

フィッシャー=ディースカウのテルラムントは若いですが、後期へと向かう歌い方が徐々に洗われているという感じです。このとき三十七歳。私が持っている1957年~1958年に録音されたシュトラウス「カプリッチョ」に登場するフィッシャー=ディースカウからは明かな変化が聞き取れますね。

あとはルートヴィヒが思いのほか激しくてびっくりしました。なんか、イメージが変わりました。しかも、強烈な歌唱だし。私の中では、ルートヴィヒはスズキだったんですが。

まだまだ日々勉強やな。というか、まだまだ無限に広がる可能性。色々あるけれど。

わたくし的ローエングリンまであと3日。急げヤマト。

それでは、You have。

Richard Wagner

Wagner: Lohengrin
Wagner: Lohengrin

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ローエングリンディスコグラフィーを整備していたところ、こんなものを発見しました。なんと、450円で1953年のカイルベルト指揮によるバイロイトライヴ録音を入手できます。

さしあたりダウンロード中なんですが、いっこうに始まらない。そろそろ眠らないと明日の仕事が。。

 

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早く! 早く!

 

おそらくは報告は木曜日以降になりそうです。申し訳ないです。

 

っつうか、もっとウェブの密林に分け入って音源を探さないと。がんばろう。

 

それでは、You have !

Opera,Richard Wagner

はじめに

昨日が初日だった新国立劇場「ローエングリン」ですが、今は見ざる聞かざる読まざるでシャットダウンしています。

きっとうまくいっていると思います。

映像の予習

さて、今日はDVDで予習中。

私が見ているのは以下の映像。ですが、絶版で、マーケットプレイスでは5万円になっていました。

ワーグナー:歌劇《ローエングリン》全曲 [DVD]
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以下の映像は、キャストを見る限りでは、私の見ているDVDと同じ映像のようですが、リージョンコードが1で、北米専用となっていますのでご注意を。
 
 
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この音源は、1990年1月28日にウィーン国立歌劇場で収録されたライヴ映像。ドイツ、オーストリアでテレビ放送されたものがDVD化されているものです。

演出は、完全な新制作ではないのですが、大幅に手を入れて、プレミエ扱いにして、グレードを上げたそうです。

第一幕実況風

というわけで、第一幕を実況風にお届けしてみたいと思います。

若きアバド。とはいえ、56歳です。はにかむような表情がドミンゴのそれと似ているのは気のせいでしょうか。

この年、アバドはベルリンフィルの芸術監督に就任することになります。まさに絶頂期です。いや、今も絶頂ですね。

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ロバート・ロイドが歌うハインリッヒ国王陛下。かなり重々しい歌い方です。良い感じ。

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ハートゥムート・ウェルカーが歌うフリードリヒ・フォン・テルラムント。かっこいいです。この短髪はローマ貴族のようだ。高音域も割合にのびがあって巧いという印象です。

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新国立劇場にもいらしていたゲオルグ・ティッヒが伝令役です。つうか、すごくパワフル。

私が新国で聞いたのは2004/2005シーズンの「道化師」のトニオ役と2007年「ばらの騎士」ファニナル役で、ずいぶん渋い役を歌ういぶし銀的感覚だったが、ここでのティッヒは実に力強い歌だし、外見も強面でかっこいい。

この方はウィーンで宮廷歌手の称号を持っているはずです。

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そして、エルザ・フォン・ブラバントを歌うシュリル・ステューダー。同じく1990年のバイロイトでもペーター・シュナイダー指揮のもとでエルザを歌っています。

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これは、アイーダトランペット

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そして、ドミンゴの登場!

この場面は何度聞いてもカッコイイ。このシーンはテノールのもっともカッコイイ登場場面の一つでしょう。ソプラノであれば蝶々夫人の登場場面に匹敵するぐらいのもの。きっと感動して泣いてしまうと思います。

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ライナーによるとドミンゴは、当時「悪性の風邪」から回復したばかりだったそうです。このプレミエに出るかでないかでマスコミが大変盛り上がったそうですが、ドミンゴはこのライブ映像にきちんと照準を合わせていたのです。そしてこのパフォーマンス。

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このあと、もったいぶって客席に背を向けて歌うのが良いのですよ。ローエングリンの登場にあっても、聴衆はしばし直接の歌声をお預けにされてしまう感じ。

背中向けて吹いて良いのはマイルスとローエングリンだけなのだろう。

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っつうか、ドミンゴかっこいいぞ。

世界でもっともカッコイイ中年男の一人。

ドミンゴは、ショルティに起用されて1985年にもローエングリンを録音しています。とはいえ、やはりドイツ系ヘルデン・テノールとは一線を画しています。

ドミンゴは生粋のワーグナー歌いではないとしても、この甘美な歌い方は一つの価値の頂点を極めています。。力強い闘士のようなローエングリンではなく、なにかミステリアスで霊的なローエングリンですね。英雄ではなく神の使者です。

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そして、ローエングリンはテルラムントと刃を交えるのですが……。

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ローエングリンは、剣を振り下ろすことはなく……、

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なんと、剣をを頭上にかざすだけで、テルラムントが打ち負かされてしまいます。

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剣がふれあう音はまったくありません。これは神的な力がみなぎる決闘です。決闘に際しては魔法を使ってはならぬと言われていたのだが、これは魔法ではないのです。

 

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プレミエともなると、正装でないと。

 

終わりに

というわけで、イメージは伝わったでしょうか。

やはり、音楽、物語、視覚が混合していますから、切り離すことは出来ません。平日はさすがに映像を見る機会がほとんどありませんので、音楽だけを聞くことになってしまいますが、映像もふくめてもう少し見ないとなあ、と思います。

少し長くなりましたが、今日はこのあたりで。

それでは、You have.

Opera,Richard Wagner

昨日に引き続き、フォークトの音源から。
 
ヘルデン
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今日はペーター・シュナイダーの指揮について。

ペーター・シュナイダーの指揮

 

このアルバムの特筆すべき最大の素晴らしさはなんでしょうか。

フォークトの澄んだ声のバックがペーター・シュナイダーの指揮によるものであるということでしょう。

ペーター・シュナイダーのオケの歌わせ方は、とにかく柔らかく軽やかなのです。この空気のようにも思える絶妙な音作りがたまりません。

 

これだけで終わると、誤解が生じるでしょう。

 

こうした、柔らかさとか軽やかさは、歌の伴奏、あるいはオペラのオケとして、一つの意味ある価値だと思うのです。

とにかく、空間感覚をひたひたと満たしているのですが、きちんと歌手を盛り立てているのですね。

 

この感覚は、私が2007年に新国立劇場で見た「ばらの騎士」の時も感じたことです。

 

そのときは歌に感動しているように思うのですが、思い返すと、オケが絶妙だったり、歌わせ方、テンポの取り方が素晴らしいなあ、と。

で、結局はシュナイダーの掌中にいたんだなあ、と気づかされてしまうという感じです。

 

ここまでのサウンドをいつで味わさせてくれるなんて、すごいと思います。

 

今回の新国立劇場でのシュナイダーの指揮が本当に楽しみでなりません。

付録:シュナイダーのおすすめ公演

ローエングリンも見ました&聴きましたが、私はこの音源が一番好きです。2009年バイロイトの「トリスタンとイゾルデ」ですかね。

私は、この映像をバイロイト音楽祭のオンデマンドで見ました。ブルーレイは見たことはないです。

イゾルデを歌うテオリンがカッコイイですよ。

 

過去記事一覧

そのほかのシュナイダー関連の記事はこちらです。よろしければどうぞ。

また泣かされた──シュナイダー指揮の「ばらの騎士組曲」

またまた涙する──ペーター・シュナイダー/ニーベルングの指環

弛まず倦まず──シュナイダー「トリスタンとイゾルデ」

バイロイト音楽祭/ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」第二幕&第三幕

続 バイロイトの「トリスタンとイゾルデ」を

シュナイダー!!

 

それでは。You have.

CD紹介,Opera,Richard Wagner

はじめに

新国立劇場6月のパフォーマンス「ローエングリン」で、ローエングリンを歌うのがクラウス・フローリアン・フォークトです。

https://museum.projectmnh.com/2012/05/21220422.php

先日もご紹介しましたが、この方のアルバムを購入しました。

 

しかし、すごい方です。フォークト。

めちゃ声がきれいですね。若者若者している声です。

最初聴いたときには少し引いたのですよ。ここまで、きれいだと、なんだか箸にも棒にも、という感じで。

ですが、二回目聴き終えたときに、いや、これがいいのだ、と得心しました。

辻邦生理想論

話は少しそれるのですが、1999年に私が敬愛する辻邦生(小説家)が亡くなったとき、追悼記事が出ました。

趣旨としては、「辻文学は理想を求めすぎているからダメだ、という意見があるが、そうではない。今の日本文学には理想がなさ過ぎるのだ」というものでした。

ついつい世の中を泳ぎ渡ると、濁り水にも慣れてくるものですが、こういう清澄な歌声で癒されるのも良いものだと思います。

あるいは、このアルバムで定期的に洗浄しないと、どんどん汚れてしまう気もします。

歌い方など

やはり、ローエングリンが気になりますね。四曲目に、第三幕から「名乗りの歌」が入っていますが、これは本当に良い予習です。、マイスタージンガーかrの「朝はばら色に輝き」も良いですね。

ワルキューレでジークムントが歌う「冬の嵐が過ぎ去り」は、少し違和感がありました。どうもジークムントは、こんなに純粋な声の持ち主だとは思えない気がするのです。人間的にはドロドロで、終いには、妹であるジークリンデを愛してしまう、という英雄ですので。世の芥を知り尽くし疲れ果てているのがジークムント、みたいな。

これは、私の完全な主観ですけれど。

歌い方、入りのところを少し力を抜くのですが、そのあとスッと力をかけて、巧く離陸する感じの歌い方です。これが、なにか柔らかさとかすがすがしさの厳選の一つだな、と思います。

 

明日は、指揮のシュナイダーのことを書きます。

それでは、You have.

2011/2012シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera,Richard Wagner

先だっての5月24日のジャパン・タイムズに「ローエングリン」公演の記事が載っていました。演出のマティアス・フォン・シュテークマン氏の紹介とインタビュー記事です。

http://www.japantimes.co.jp/text/ft20120524a1.html

私は、ほうぼう探し回ったのですが、通勤経路ではジャパンタイムズを探し出すことができず、帰宅してネットでゲットしました。

左がシュテークマン氏です。右はノヴォラツスキー元オペラ芸術監督です。

シュテークマン氏は日系の方です。お母様がバイロイトで歌っておられたとのこと。日本人として初めてバイロイトの合唱に加わった方なのだそうです。

毎日新聞にもそのあたりのことが少し言及されていました。

http://mainichi.jp/enta/news/20120515dde012200011000c.html

これも、随所で紹介されていますが、1997年に新国立劇場で上演された「ローエングリン」の演出にも関わっていました。このときの演出は、ヴォルフガング・ヴァーグナーで、作曲家リヒャルトの孫に当たる方です。シュテークマンがはヴォルフガングの影響を大いに受けたのだそうです。

今回の演出に関しては、私の超意訳だと、以下のようなことをおっしゃっています。

「オペラが意味を持って生き続けるためには、オペラは常に変わり続けるものでなければならないわけです。ワーグナーは神話的ですが、舞台上のオブジェであたり、衣装であったり、最新の照明などを使って、現代的な意味を加えた新たな神話世界を作り上げる必要があるわけです。それは、ワーグナーの作ったオリジナルな世界を妥協し損なうようなこともなく、また、音楽との融合を損なうようなこともなく、現代に生きる我々にとって興味深いものとなるでしょう。」

シュテークマンは、日系人ということですので、毎年のように日本を訪れておられるとのこと。バイロイトで育ったシュテークマンは、最高の音楽的環境に身を置いてきたわけですが、それでも一番の友人は日本人であったりと、日本とのつながりを年々自覚しておられるようです。

というわけで、ますます楽しみになってきた「ローエングリン」です。

公演の詳細はこちらが詳しいですよ。そうか。Ottavaとコラボってるのか。。

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/classic_concierge/2012/201/