今日はリヒャルト・シュトラウスの名曲《ツァラトゥストラはかく語りき》を、ブロムシュテットで。
もちろん、あの《2001年宇宙の旅》のテーマ曲です。冒頭のファンファーレは有名ですが、実はそれ以降のシュトラウス・サウンドが絶品で、戦争もあればウィナーワルツもあれば、というかんじで、冒頭よりもよっぽど映画音楽なのです。これはニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」をもとにした音楽で、シュトラウス自身はこの「ツァラトゥストラ」から「自由に」イメージをふくらませて作ったということになっています。
ですが、「ツァラトゥストラ」の冒険とも言える探求のイメージは、もしかしたら、映画あるいはかつての神話などと同じ劇があるのでしょう。もっとも、ニーチェはこの本を、聖書のパロディとして書いています。聖書は言うまでもなく劇画調ですので、こうした見方はあながち間違っているともいえないでしょうね。
さて、本当はハイティンクを書くはずでしたが、音源データが見つかりません。
で、ブロムシュテットなんですが、これはもう素晴らしい演奏でした。ブロムシュテットは凄いですねえ。ドレスデン・シュターツカペレをルカ教会で振った、まあそっち系の美的なサウンドです。この夏に聞くと、避暑地の趣さえ感じますね。
音質としては、ハイティンク&コンセルトヘボウの重みとはありませんが、絹を触ったかのようなきめ細かさがあります。私は通勤中にiPod&BOSEクワイエットコンフォートで聴いていましたが、帰宅してから小さなコンポで聴いてみると、途端に清涼感が倍増し、しばらく聞き入ってしまいました。ああ、我が家のコンボが珍しく良く鳴って嬉しい一時。
ですが、音質がユニークなので、好き嫌いがあるかもしれません。ずいぶん高音域が強調された音作りになっていますので。
ちなみにこの《ツァラトゥストラ》は、私がかつてもっとも好きだった曲です。2歳ごろらしいですが。お箸持って指揮していたらしいですよ。で、習いに行ったピアノでは、才能の片鱗などあるわけもなく、というのが悲しき我が音楽人生の始まりというわけです。
夏バテで、身体が辛いです。土曜日はおなかを壊し、今日は眠れず、眠気がまったくとれません。うなぎを食べたので、OKなはずなんですがね。。
それではまた。グーテナハト。
ブロムシュテットの《ツァラトゥストラ》で避暑してます。
チェリビダッケが振るフォーレ《レクイエム》
刻一刻の夏が終わりに近づいています。一週間前の猛暑に比べると随分過ごしやすいです。昨今のウィークデーの過ごし方が巧くいっていなくて、生活が不規則です。しわ寄せはどうしても週末へ。なかなかうまく週末が過ごせません。もう少し身体をきちんと使わないと長続きしないでしょうね。何事も。などと考える今日このごろ。即効性のある答えはありませんが、だからといって手をこまねくわけにも行かないでしょう。
さて、今日も色々聞きましたが、先日読んだ《カラヤンとフルトヴェングラー》に登場したチェリビダッケのCDを聴いています。この本の中で中川右介さんは、このようなことを言っておられます。
カラヤンは、本当はフルトヴェングラーを全てにおいて凌駕したかった。その手法の一つとしてレコード録音があった。だからあんなにもカラヤンは録音を行ったのだ。だが、皮肉なことに、フルトヴェングラーの録音も夜に出回ることになり、フルトヴェングラーの偉大さが永久に残されることとなった。死んだ孔明が仲達を走らせたのと同じように。
そして、もう一つの皮肉がチェリビダッケです。
録音嫌いだったチェリビダッケも、その死後にBOXセットが幾つも登場し、いつの間にか最も充実したCDのラインアップを誇る指揮者になていたというわけです。これをカラヤンがみたらどう思うでしょうか。本来、フルトヴェングラーの次のベルリン・フィルの国王は、フルトヴェングラーと共同統治をしていたチェリビダッケであったかもしれなかったのですが、カラヤンは電撃的にそれを簒奪したのですから。カラヤンにしてみれば完膚なきまでに叩きのめしたチェリビダッケが、その死後、カラヤンとは違うアプローチで影響力を出しはじめたということなのです。
このフォーレの《レクイエム》は、ミュンヘンフィルを1994年に振ったライブ盤で、マーガレット・プライスとアラン・タイタスが歌っています。このアラン・タイタスという方、新国立劇場でファルスタッフとヨカナーンを歌っていたと思います。円熟味のある静謐な歌声。マーガレット・プライスは少し調子悪いかもしれません。
テンポどりもゆっくりではありますが、必然的な遅さです。チェリビダッケ的な遅さというわけではありません。むしろこの程度遅いほうが味わい深くなります。
明日からまた戦場へ。
ではグーテナハト。
《短信》夕暮れと不安な時代
今日は埼玉南部の某アウトレットモールへ行きました。そこで撮った夕方、暮れなずむ時の写真。全く、美しいです。私は特に何も買いませんでしたが、随分楽しみました。
最近では、ファミマ、ローソン、セブン-イレブンで、無料のWi-Fiスポットが使えるようになっていますね。私も今日はそちらを使いまして、一仕事できました。
夜は近所のピザ屋で痛飲。いや、ボトルサービス券があったので。久々に飲みました。
今日はバレンボイムの《トリスタンとイゾルデ》、NMLで、バーンスタインの交響曲第二番《不安の時代》。第二次大戦の不安な心情を表現した交響曲ですが、私には今がまさに「不安な時代」です。どうすればいいのか、まったくわかりません。ピアノが活躍する交響曲で、ピアノ協奏曲のような趣もあります。
今日はなかなかはかどりませんでしたが、明日はちゃんと出来る予定。そろそろ寝ます。
ドイツ的な指揮者は誰? そして《クラリネット五重奏曲》
やっと週末。今週の通勤電車は空いていましたが、また来週からもとの混み具合になるのですね。先週の金曜日が2,3日前のことのように思えるほど時間が経つのは速いです。
クラリネット五重奏曲進捗状況
今週は随分《クラリネット五重奏曲》をさらえました。随分楽しいです。コードが頻繁に切り替わり、転調も美しく、テンションがカッコイイです。ジャズ的に言うと。リズムも裏と表の入れ替わりが面白いです。《スリー・カルテット》のような面白さです。
今週はちゃんと毎日吹きましたからね。継続は力なり。
なにげに、このブログも6月末から連続更新記録更新中です。こちらも継続は力なり。
ドイツ的な指揮者は誰?
昨日のフルトヴェングラーの続き。
私の中では、今もっともドイツらしい指揮者は、なぜかバレンボイムと思えてしまうのです。粘り強く、芯のある演奏で、時になにかどこにも手がかりがなく拒まれているような気になるからでしょうか。親しみやすさとか、洒脱さはほとんどなく、厳然とそびえ立ち、選ばれたもののみがその世界に入るのを許される、といったような。
ドイツ的と思うバレンボイムがユダヤ系であるというのも皮肉でしょうか。いや、そもそもユダヤ系とかドイツ系とかそういうのはほとんど意味がなく、郷里の文化的背景と才能であるに過ぎないのでしょう。
昨日、フルトヴェングラーを聴いて、バレンボイムと似ていると直感したからですかね。
で、バレンボイムのふる《さまよえるオランダ人》を聴いています。
この盤のゼンタはジェーン・イーグレンですが、このホッホ・ドラマティッシャーなソプラノは、激しく強いゼンタになっています。夢をみる少女ほど怖いもの知らずはありません。そうした感じが特でています。が、アマゾンの英語レビューでは結構やられてますね。「高音域は細く、華やかさがない」だそうです。私は高音域の声質が少し荒れ気味で、ピッチが低くなっているかな、と思いましたけれど。
バレンボイムのオケ裁きは、軍隊調です。雄々しく攻め入る重戦車の体です。私はどうしても新国でみたダン・エッティンガーの《こうもり》を思い出してしまうのです。《オランダ人》ではOK。でも、《ばらの騎士》は難しいかも。なんて。
明日、明後日もお仕事たくさん。
それでは、グーテナハト。
中川右介《カラヤンとフルトヴェングラー》
中川右介さんの《カラヤンとフルトヴェングラー》、そろそろ読み終わります。少し時間が立ってしまいましたけれど。
《カラヤン帝国興亡史》も面白かったですが、こちらは、《カラヤン帝国》をフルトヴェングラーの視点から眺めたものです。天才は天才の苦悩が見えて本当に面白いです。
フルトヴェングラーが優柔不断だった、という言葉が通奏低音のように一貫して描かれていますし、根っからの善き人というところで、さぞ生きるのが辛かっただろうなあ、と思います。そういうところはすごく共感できます。勝負師というより誠実な善きドイツ人。ドイツ的な教養市民。今もこういう方はいらっしゃるのでしょうか。
そういう意味では、ドイツ文化の一端を知る上でも貴重な本だと思いました。カラヤンもドイツ、フルトヴェングラーもドイツ。ヒトラーもワーグナーも、マンもヘッセもドイツ人ですからね。
あとは、チェリビダッケがベルリン・フィルとどうなっていったのかもよくわかります。チェリビダッケのリハーサルビデオを見ると、癇癪を起こしたりしてますが、歳をとってこれですので、若い頃はもっとすごかったということなんでしょうね。
(でも、マーガレット・プライスには気を使っていたのが大人だな、と思いましたけれど。確かブルックナーのミサ曲第三番のリハーサル映像にて)
というわけで、珍しくフルトヴェングラーの音源を聴きました。マーヴィン・ゲイの楽曲をリー・リトナーのアルバムで知って、改めて原典のマーヴィン・ゲイを聴いた時に感じた気分でした。多くの指揮者がその影響を受けているのだなあ、と思います。もう少し聴き続けないと。
ワーグナー研究はなかなか進みません。明日も時間を見つけて書きものをしないと。
ではグーテナハト。
市井のしあわせ
市井のしあわせ、って、かつての私の組織の本部にあった彫刻の題名でした。いかにも迎合的?
家飲み禁止からはや一ヶ月を経過しました。どうも飲まないと眠れない体質なのかも。睡眠時間が少なくなり、通勤電車で座れても眠れません。時間は増えましたが、質は低下しているのか。
で、今日は焼肉飲み会でした。焼肉は9ヶ月ぶりかも。すいません。
では、グーテナハト。
ブラームスのクラリネット五重奏曲始めました。
茂木さんの本を読めば読むほど楽器をやりたくなります。
ですが、私はサックスしか持っていません。サックスでクラシックはちょっとね。。
というわけで、昨日からブラームスのクラリネット五重奏曲の練習をはじめました。
もちろん、クラリネットは持ってませんので、EWI4000sで。T-SQUAREごっこ用に買ったウィンド・シンセサイザー。これなら夜中に吹いても気兼ねなく楽しめます。カール・ライスターと一緒に吹けるという幸せ(笑)。
いやー、本当に気分いいですわ。楽器やっている人はこういう世界を見ているのですね。
楽譜見て吹くのは十年ぶりです。あの体育会系プログレバンド以来かも。指回せば、頭の回転ももう少し早くなるはずですし。
毎日練習すると近い将来第一楽章が通しで吹けるようになるはず。楽しみです。
でも、第二楽章はアルペジオ地獄でした。吹けるんだろうか。。
えーと、この曲はA管なんですね。B管で吹こうとしてました。EWIならボタンを押せばすぐにA管になります。
音楽を聴くには楽器演奏が必要なのか?
私の短い三日間の夏休みは今日が最後でした。いろいろと気になることが片付いて、気分よく明日からも仕事に勤しめそうです。
今日は、家での仕事の合間に茂木大輔さんの《こうしろ! 未来のクラシック》を読んでます。
将来、日本に「宮廷ランド」ができたり、個室付きのコンサートホールができたり、コンサートホールでマイレージプログラムができたりなど、近未来のクラシック界を見事に予言してます。ユーモアとともに。本気にとっても面白いかも。読み終わったらまた報告します。
最近茂木さんの本を沢山読んでいますが、どれも面白いですね。
それにしても、最近、よく分からなくなってきましたよ。
茂木さんの本を随分読んでいるのですが、すごく面白い。ありがちな、お高く止まっているところがなく、自然体で現代音楽批評をしています。それも軽妙に。
それも、音楽やる側からやっているから、まったく勝ち目がありません。ラジオから流る「英雄の生涯」を聴いて、アンサンブルもいいけど、オケもいいぞ! と感じいるところなどは、やる側からではないと分からないでしょう。
いずれにせよ、オーボエを吹きたくなるばかりになるです。
音楽やらずに、音楽語りをすることになんの意味があるのか、よくわからない今日このごろです。
つうか、やればいいのか。音楽好きなら、楽器再開すればいいのですね。聴いて書くだけではダメなのだ。
だとするとなにか諦めないといけない。随分諦めたのだけれど、まだ諦めるものがあるのかな。。。
8月12日からの東京オペラ・オケ事情
暑い毎日。家の中でじっと仕事をしています。明日が夏休み最終日ですが、「夏休みの宿題」は少しずつ出来てきています。
東京オペラ・オケ事情です。どこもお休みですね。21日から東京芸術劇場が面白くなりそうですね。
8月12日(月) | |||||
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8月13日(火) | |||||
8月14日(水) | |||||
8月15日(木) | |||||
8月16日(金) | 東京芸術劇場 | 広上淳一(Cond) 小林美樹(Vn) ドミトリー・フェイギン(Vc) 田村響(Pf) | 読売日本交響楽団 | メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 | 18:30 |
8月17日(土) | ミューザ川崎シンフォニーホール | 指揮:大友直人 | 東京交響楽団 |
佐村河内 守:レクイエム・ヒロシマ(弦楽合奏版・世界初演) 佐村河内 守:交響曲第1番《HIROSHIMA》 |
14:00 |
8月18日(日) | ミューザ川崎シンフォニーホール | 指揮:大友直人 | 東京交響楽団 |
佐村河内 守:レクイエム・ヒロシマ(弦楽合奏版・世界初演) 佐村河内 守:交響曲第1番《HIROSHIMA》 |
14:00 |
8月19日(月) | |||||
8月20日(火) | |||||
8月21日(水) | 東京芸術劇場 | 広上淳一 | 読売日本交響楽団 |
読響サマーフェスティバル≪三大交響曲≫ シューベルト/交響曲第7番「未完成」 ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」 ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界から」 |
18:30 |
8月22日(木) | |||||
8月23日(金) | 東京芸術劇場 | 渡辺俊幸(Cond) さだまさし | 日本フィルハーモニー交響楽団 |
シンフォニック エンタテインメントVol.5 サンデーコンサートスペシャル 渡辺俊幸/NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」主題曲、NHK大河ドラマ「利家とまつ」主題曲 ほか |
19:00 |
8月24日(土) | 東京芸術劇場 | リュウ・シャオチャ(Cond) コリヤ・ブラッハー(Vn) | 東京都交響楽団 |
「作曲家の肖像」シリーズVol.93《チャイコフスキー》 チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」より<ポロネーズ>、バイオリン協奏曲、組曲第3番 |
14:00 |
8月25日(日) | 東京芸術劇場 | 第49回日伊声楽コンコルソ 1~3位各入賞者 中丸三千繪(Sop) 樋口達哉(Ten) 現田茂夫(Cond) | 読売日本交響楽団 |
第49回 日伊声楽コンコルソ入賞者披露記念 イタリア・オペラ名曲アリア・コンサート |
14:00 |
新国立劇場オペラ2012年2013年シーズンを振り返る その2
今朝はよく眠りました。起き上がって、溜まっていた仕事をいくつか。予想より時間がかかりましたが、なんとか出来上がりました。もっと速度が上がるといいのですが。
昨日の続きで、新国立劇場の復習を。印象的だった3つのパフォーマンスを。
その1:ピーター・グライムス
まずは、ピーター・グライムスです。私はあまりに感動したので2回行ってしまいました。涙なしには見られないパフォーマンス。今でも脳裏に焼き付いています。
このオペラが生まれてはじめての最前列で、私はもうグシャグシャになるぐらい、心揺り動かされ感動しました。
詳しくは以下のリンクからどうぞ。今読みなおしても、感動が蘇りました。
《ピーターグライムス》レポート集
その2:セヴィリアの理髪師
それから、セヴィリアの理髪師。ほんとうに楽しい舞台でした。ロッシーニの喜劇にどっぷり浸かることが出来ました。レベル高すぎです。
《セヴィリアの理髪師》レポート集
その3:コジ・ファン・トゥッテ
美男美女による青春の甘さと辛さに満ち溢れた楽しい舞台でした。私の記事を読みなおしてみると、少々ふざけてまして、気が引けますが、歌唱も音楽も満足でした。
《コジ・ファン・トゥッテ》レポート集
その4:愛の妙薬
これも徹夜明けで行きました。一番感動的なはずのシラクーザのアリアに心が動かなかったのですが、それは完全に私がつかれていたからです(眠ってはいないのですが)。感動するにも体力がいるのですね。
ともかく、シラクーザの旨さに酔いしれました。ニコル・キャンベルの軽やかな歌いっぷり、レナート・ジローラミの名脇役っぷりとか、本当に楽しい舞台でしたね。
《愛の妙薬》レポート
まとめ
今選んでいて思いましたが、《ピーター・グライムス》意外は全部喜劇。それもイタリア語オペラです。モーツァルトはドイツ音楽と言えるかどうかビミョーですし。
休みぐらいは、喜劇で楽しみたい、という気分だったようです。
次のシーズンはリゴレットから。音楽が聞ける平和が続きますように。