雨の日にはフォーレの室内楽が似合う

朝も起き上がれず。なんということでしょう。関東地方も梅雨入りしたそうですが、今日の雨はそれほどでもない感じ。道も水であふれている何ってこともなく駅につきました。 昨日から面倒なことに巻き込まれていますが、まあいつものようにえいやっと、うっちゃって片付けてしまいましょう。その片づけを今日やる予定です。

昨日のマニャールから時代をくだりフォーレへ。同じフランスの作曲家ですね。ヴァイオリンソナタ第1番、第2番をデュメイのヴァイオリン、コラールのピアノで。 この曲をはじめて聴いたのはもう十年ぐらい前になります。そのころ「フォーレの室内楽は、歳を取ってからじゃないとわからないのである」といった雑誌記事を読んだ記憶があります。確かに、あの若いころには、どうにもなかなか入っていけませんでした。ところが、最近はフォーレの室内楽も徐々にわかるようになってきた感じがします。昔はフォーレの室内楽にはある種の晦渋さのようなものを感じていた記憶があるのですが、いまはそうした渋みよりもむしろソフィスティケイトされた味わいのようなものを感じます。ただ甘く快いだけの音楽ではなく、そこにいくばくかの隠し味がきちんと利いている感じです。

フランス音楽を聴いたからといって、フランスのことを思い出す必然性はないはずなのですが、それでもやはり昔パリに行ったときのことを思い出します。それもオルセーの展示室のこと。19世紀末美術の絵画を順々に回っていくと突然マルセル・プルーストの肖像が突然現れたのです。この絵はここにあったんだ、という驚き。それから懐かしさも。当時、「失われたときを求めて」に取り組んでいたということもあるのだと思いますが、思いがけない邂逅に驚き感謝したのでした。

「失われたときを求めて」まだ読みきっていないのです。「ソドムとゴモラ」の途中で中断しています。この本も死ぬまでに絶対に読みたい本。長いですが、また再開しようかななどと。鈴木道彦さんの訳でまた読み始めないといけないですね。とはいえ、「失われたときを求めて」を読んで、幸せな気分なのか、というわけでもなく、いくばくかの悔悟を念も生じるわけですが。

デュメイさんのヴァイオリンは力強くもあり、優雅でもある。まるで騎士の馬上槍試合を見ているような感覚。着飾った騎士と馬の持つ典雅さと雄雄しさとでもいいましょうか。豊かな音と繊細なテクニック。デュメイさんのヴァイオリンを始めて聴いたのは、フランクのヴァイオリンソナタのCDで、このときはピアノはピリスさんでした。コラールさんのピアノも絶品ですよ。柔らかいタッチを聴くと、水辺の草原で風に吹かれている気分でした。

このCDを聴きながら欧州を旅できたら幸せですよ、きっと。いやいや、旅だなんていわないで、どこか北海に面した小さな漁村に部屋を借りて、静かに住むのですよ。フォーレやフランクを聞きながら、ものを書いたりして過ごせたらどんなにすばらしいでしょう! 夢は努力で実現しましょう。

Classical

Posted by Shushi