Tsuji Kunio

春の風駆けて―パリの時
辻 邦生
中央公論社
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うーむ、本当に赤裸々な感じ。

社会主義が実現するには人間が変質しなければならない。貨幣が鋳直されるように、鋳直される必要がある。それはドストエフスキーの小説の中の人物が願望するような意味で、人間が改造される必要がある。人間が一歩神に近くならなければならないのだ。

辻邦生「春の風駆けて」より

辻邦生は、当時の知識人なら誰しもそうだったように、社会主義へのなにかしらの共感なようなものがあったと思います。それは「ある生涯の七つの場所」において、色濃く現れているように思います。人民戦線の物語となればそうなるでしょう。

ともかく、ここに書いてあることに従うと、社会主義は無理だったということなんでしょうね。

私が読んでいるのは1981年3月のころの様子です。ちょうど、ジスカール=デスタンとミッテランの大統領選挙が行われていた時で、時節柄、政治的な考察も随分と掲載されています。私、テレビで、学生が「ミッテラン」を連呼する映像を見ましたが、いまでもそれを覚えております。

では、グーテナハトです。