Classical

マーラー:交響曲全集 マーラー:交響曲全集
オムニバス(クラシック)、アルノルト・シェーンベルク合唱団 他 (1995/07/07)
ユニバーサルクラシック

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マーラーのシンフォニー10番をアバドの指揮で聴いてみました。

マーラーを聴き始めたのは、中学生の頃でしたが、大学に入ってからはすこしご無沙汰していました。特に思い入れの強い第8番をのぞいて、マーラーを聴くのは本当に久しぶりです。

この曲を聴くと本当に悲しくなります。生と死の狭間で揺れ動いているかのような気分になるのです。この曲を書いている頃、奥さんのアルマは不倫をしていたわけですが、その不倫相手のグロピウスが、マーラーの山荘を訪れたときに、マーラーは「アルマ、君の好きなようにしなさい」と言ったのですが、この挿話を聞くたびに、マーラーの気持たるやいかなるものだったのか、と考え込まずにはおられません。名家の出身で社交界の花形だったアルマと、ボヘミア生まれのユダヤ人で決してスマートな外見などを持ち合わせていなくても、実力でスターダムにのし上がったマーラーの結婚は、おそらくは本当に難しいものだったに違いないのです。アルマはマーラー自身ではなく、音楽監督としてのマーラーと結婚したのでしょうし、マーラーはマーラーで、アルマに対して負い目を感じていたのではないかと想像するのです。この結婚が順風満帆で幸福のうちに終るわけがない、と思わずにはいられません。

 そんなことを考えていると、CDの4トラック目(全体で言うと12トラック目)で現れるトーンクラスター。あまりにも悲痛な叫びなので、胸が引き裂かれる重いです。12音中9音が同時に慣らされていると言うことで、シェーンベルクはこの箇所を「和声の革新」と見なしたそうです。

 その後、アルマはグロピウスと再婚して、マノンという女の子をもうけるのですが、聡明な美少女でありながらも夭折してしまい、マノンのためにアルバン・ベルグがヴァイオリン協奏曲を書くというストーリーが待っていますからね。 さらに言うと、アルマはグロピウスと別れたのちに、フランツ・ヴェルフェルと結婚します。ナチスから逃れるために、二人はピレネーを越えてスペイン経由でアメリカに亡命するわけですが、このとき亡命に失敗したのがヴァルター・ベンヤミンなんですよ。ほとんど同時期に試みたのですが、ベンヤミンは失敗して自殺するんですね……。何とも言えない悲しみなのですよ、このあたりの話は……。

そんなことを思いながらあっという間に第一楽章を聴き終えてしまったのでした。

ゼンハイザー ヘッドホン ダイナミックオープンエア ハイグレードモデル HD650 ゼンハイザー ヘッドホン ダイナミックオープンエア ハイグレードモデル HD650
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ゼンハイザー

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さて、今日はゼンハイザーのHD600というヘッドフォンで聴いています。いつもはiPodとBOSEのノイズキャンセリングヘッドフォンで聴いていますので、このヘッドフォンで聴くのも久しぶりと言うことになります。今は発売していないようで、改良版と思われるHD650というヘッドフォンがAmazonで出ているようです。 このHD600というヘッドフォンですが、10年ほど前に電気屋で衝動買いしてしまったものです。サンプルに流れていたベートーヴェンの弦楽四重奏があまりに繊細に美しくきこえたので、買ってしまったのです。買った後に気づいたのですが、このヘッドフォンで聴くと、高音域を丁寧に聴かせると同時に低音域も豊かにきこえるのです。シンフォニーを聴くには最適なヘッドフォンだと思います。難点は少々高いことでしょうか。でも、僕は満足なステレオセットは持っていませんし、借家の共同住宅住まいなので大音量で聞くこともままなりません。いい音で聞くにはヘッドフォンにお金をかけるしかなかったのです(と言うことにしておいてください)。

Opera

Strauss: Intermezzo Strauss: Intermezzo
Dietrich Fischer-Dieskau、 他 (1993/11/16)
Angel

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まずは、残念なことに昨日記事を書いたつもりだったのですが、下書きのままだったみたいでした。昨日の記事がなくて、あれれ、ということで気づいてしまいました。やはり疲れ気味なのでしょうか?

今日は、またですが、サヴァリッシュさんのインテルメッツォなどを聴いておりました。私は聴く範囲が狭いのでしょうか。他の方々のようにいろいろな演奏を聴いたりしていない気がしています。それにしても部屋はCDで溢れているのですが(本と同居して一部屋つぶれている感じです)……。僕は買ったCDを売ったりしていないからなのではないか、と思っています。聴いてみて、どうしても欲しいもの以外は売って行って、スペースをつくって新しいものを買っていく感じ、循環させていく感じにしないと行けないのかな、と思っています。

それにしても、いつ聴いてもルチア・ポップさんの歌は素晴らしい。聴いているだけで明るい気分になりますね。明瞭な発音で歌詞もはっきり。早いパッセージを気持ちよく歌っています。胸がすっきりしますね。

今日は、会社帰りに図書館に寄ることができたのですが、そこで吉田秀和さんの本を少々立ち読みしました(もう限度一杯借りているので、借りられなかったのですが)。そこには、小澤征爾さんがニューイヤーコンサートを振ったことについて書いておられました。とても良い演奏だと褒めていらして、出自にかかわらずともこうして西洋音楽でよい仕事をすることが可能であることの証左なのだ、ということをおっしゃっていました。そうですね。そういった日本のかた、あるいはアジアの方はたくさんいらっしゃるわけですので、そう言った方にとってはとても勇気づけられる文章だな、と思います。千秋君なんか、とても勇気づけられるのではないでしょうか(笑)?

Classical

Mozart: Symphonies Nos. 35, 36, 38 - 41 Mozart: Symphonies Nos. 35, 36, 38 – 41
Herbert Von Karajan ()
Emi Classics

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今日も会社からの帰りの電車でモーツァルトの40番を聴くことにしました。こちらもiPodに入っていましたので、早速と聴くことが出来ました。
今日はカラヤン盤です。いやあ、これがもう美しくて美しくて。冒頭のフレーズのヴァイオインにテヌートがかかっていて、伸びやかで表情のある演奏。みずみずしいなあ。今の季節にぴったりです。ダイナミックレンジもしっかりとってある。でも、なんだか暗鬱な感じは全く受けないのです。むしろ清々しい感じです。やはりカラヤンは偉大なんですね。


昨夜は早く眠りましたので、今日は昨日に比べて調子も上向きです。やはり睡眠は大事ですね。

今日は、コメントをお二人の方から頂きました。ありがとうございました。このブログのテーマは、辻邦生師のことを書くことと、音楽を聴いた感想を書くというものなのですが(守られていない面はありますが)、ともかく、書いていくことこそが大事な気がしますので、できるだけ続けていこうと思います。

Classical

モーツァルト交響曲第40番&第41番 モーツァルト交響曲第40番&第41番
ベーム(カール) (2005/12/14)
ユニバーサルクラシック

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ブログにあまり「疲れた疲れた」と書くのも良くはないと思うのですが、やはり今日は疲れちゃった一日。昨日の無理がたたったのでしょうね。

そんなときは音楽を聴いて心を休ませようと思うのですが、iPodに入っている曲の中からそうした癒しのアルバムを選ぶのも大変なぐらい。インコグニートを聴いて自分を鼓舞してみようかな、と思ったけれど、かえって疲れちゃう感じ。

 そこで、初心に戻ってモーツァルトを。後期の交響曲がiPod内に常備されているので、その中からベームがベルリンフィルを振った盤を聴いてみることに。 疲れたときは、明るい曲ではなく、マイナーキーの交響曲がいいに決まっています。疲れているときに明るい曲を聴くと、「なんで君だけそんなに元気なの、ヴォルフィー!」と叫びたくなりますから。

それで、マイナーキーの交響曲といえば、25番か40番に限られるわけでして、iPodに入っていたのは 40番。慣れ親しんだ40番を聴いて慰めてもらったというわけです。 ベームの指揮は、重厚で格式のあるスタイル。とても「ピンクの(のだめカンタービレ的形容における)」モーツァルトというわけにはいきませんが、安心して聴くことができました。

 昨日の友人の弁が強烈だったので(というか、音楽を生業にしているのだから当たり前で、こっちはアマチュアなんだから仕方がないけれど)、なおさら音楽を語ることの難しさ、あるいは音楽を語ることの意味、について考えざるを得ません。僕のように独りでクラシックを聴き続けてきた人間にとっては、どういう風に間合いをとりながら音楽について語ることができるのでしょうか? 吉田秀和さんの本を読んで音楽批評の意味について考えなければならないのでしょうか?(そこまでは到達できずとも、ですが……) ベームの演奏を聴きながらそんなことを考えながら家に帰ってきました。すこしお悩み中です。やはり疲れている模様。今日は早く眠ります。

Classical

Faure
今日は友人の結婚式。表参道の裏にあるフランスレストランにて。このレストランを結婚式で訪れるのは3回目。今回を含めて2回は大学の友人の結婚式。後の1回は自分の結婚式のときだったりして……。
それで、久々に大学の友人二人と会ったのだが、そのうちの一人は、大学をでてからあらためて某大学院の作曲科に入学したという強者。それで彼と音楽の話をいろいろしたんだが、彼が言うには、フォーレって、はずれがないんだそうである。フォーレの曲はすべて出版されているとか。それで、今まではフォーレの楽譜が高かったんだが、最近版権が切れて(おそらく没後80年の2004年から?)安く手に入れることができたのだ、とか……。
同じテーブルには、初めてお会いする方もいらしたのだが、その方はメシアンが好きなのだとか。知らない方とあって、その人がメシアン好きだ、ということになる確率は相当低いと思うのですが……。よくぞ同じテーブルに固まったものだ、と思う。
ちなみに、のだめの劇中曲「おなら体操」が発売される、というネタでも盛り上がりました。
式が終ってから、大学の友人三人と表参道から西麻布方面へてくてくと歩いて、青山墓地に隣接する公園に陣取って、スタバのテイクアウトを飲みながら、アホな話を繰り広げる。
カミングアウトしますが、僕らは哲学科出身なので、話し好きというか議論好きだったりします。まあ、僕は今は単なるサラリーマンなので、なかなかついていけないのだが、音楽における美と醜の対立関係は、商業音楽(ポップスとかジャズね……)に適用することはできない、なんていう話で熱くなったりして……。端から見てかみ合った議論であるかどうかは疑問ですけれど。
あ、結婚式ではサックス吹きました……(無言)。
6月にも後輩の結婚式でもサックスを吹くのですが(これはカルテット)、夜はリハを二時間ばかり。さすがに疲れました。

Classical



今日は、シュトラウス先生の「死と浄化」をケンペ指揮で聴きました。この曲、繰り返し聞けば聴くほど言い曲だと思います。つくられたのは1888年から1889年ですから、若干24歳の作品と言うことになります。この若さでこの曲か……。天才は違いますね。
シュトラウスの管弦楽曲は、小さい頃から少しずつ聴いていましたが、体系だって押さえているわけではないです。これからも頑張って聴きます。


明日、友人の結婚式でサックスを吹きます。曲は「星に願いを」で、5年ほど前にも会社の同僚の結婚式で吹いた曲。5年前は、マイクにリバーヴを宛てて貰って吹いたので気持ちよかったのですが、明日の会場はレストランなので、PAは望めなさそう。いい音が出ると良いなあ、と思います。今日は自宅にてEWIで練習。フレーズの吹き回しや、コーダの部分のインプロヴァイズを確認。きっと上手くいくでしょう。

ちなみに、YOUTUBEでこの曲を検索したら、素敵な映像を見つけました。この曲で、この映像を見ると、本当に涙が出てきますね。ディズニーは偉大だ!
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Japanese Literature

都おどり殺人事件
都おどり殺人事件
  • 発売元: 徳間書店
  • レーベル: 徳間書店
  • スタジオ: 徳間書店
  • メーカー: 徳間書店
  • 価格: ¥ 580
  • 発売日: 2004/01
  • 売上ランキング: 351044

訳あって手に取ることになったこの本、勢いよく半分読んでしまいました。

山村美紗さんの小説を読むのは(お恥ずかしながら)初めてなのですが、文章は上品に落ち着いています。主人公は沢木という画家と、舞妓の小菊なんですが、祇園花街の風情がよく伝わってきます。季節によって髪飾りを変えるとか、取引事は真夜中にやってわざと日にちを曖昧にするとか。なるほどなるほど、と言う感じです。トリックは少し奇をてらっているような気もしますが、なかなかよく考えられていて、大きな不自然さは感じないです。早速続きを読むことに致しましょう。

American Literature

ケイン号の叛乱
ケイン号の叛乱
  • アーチスト: ハンフリー・ボガート
  • 発売元: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • レーベル: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • スタジオ: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/08/04
  • 売上ランキング: 68043
  • おすすめ度 4.5
ケイン号の叛乱
  • 発売元: フジ出版社
  • レーベル: フジ出版社
  • スタジオ: フジ出版社
  • メーカー: フジ出版社
  • 発売日: 1984/01

昨日に引き続き、ケイン号の叛乱について。

・キファーが離艦するとき、こんなことをいう。

おれはいまクイーグに同情したい気持で一杯なんだよ。(中略)指揮権ということがどんなものなのか、指揮をとってみてからはじめて納得がいく。こんな孤独 な、こんな重圧を感ずる仕事は、世界中どこを捜したってありはしないよ。当人が牛みたいな鈍物でないかぎり、悪夢みたいなものだ。正確な判断と幸運の細道 をいつまでも行きつもどりつするようなもので、この細道たるや、いつ過ちをしでかすかもしれぬという無限の暗鬱さの中を曲がりくねってるんだよ。

564頁

さもありなむ。これ、今のサラリーマンも同じだよなあ。というか、そう思っている時点で負けなのかも。「鈍物」な人はそうは思わないだろうから。ここで言 う「鈍物」って、おおらかで大胆で剛気で包容力のある堂々たる人物のことをさしている。そんな人は指揮官(上長)になっても上手くいくんだろうけれど、そ うじゃない人にとっては、キーファーが語るようなこと、身につまされるような思いなんじゃないかな。
 
 
・やはり指揮官に適任なのは、ド・ブリースのような、鷹揚で、いい意味でいい加減な人物なんだろうね。そうじゃないと勤まらないんだろう。
 
・この小説は、本当にアクチュアルな小説だと思う。組織と、組織の中の上下関係の織り成す葛藤という名のタペストリ。だからこそ、これまでずっと読まれているんだろう。
 
・あらゆる組織はモルトケ以降の軍機構によっている、という話を思い出す。頂上に司令官がいて、軍団があって、軍があって、師団があって、連隊 があって、大隊があって、中隊があって、小隊があって、という具合に、細分化していく組織。その中のあらゆる箇所に指揮官がいるという構造。最近はそうで ない組織もあると思うんだが、やはり大部分はこのような細分化構造に拠っている。
 
・会社組織、特に20世紀からあるようなふるい会社組織って、やっぱり軍隊的だなあ、ついでに、底流するものも軍隊意識なんだろうな、と改めて 認識する。そうじゃないという人もいるだろうけれど、すくなくともうちの会社はそうだ。だからついてこれない人は次々にやめていっちゃう。あるいは体や心 を壊しちゃう。クリーグ艦長のように。
 
・メイ・ウィンのことも触れておかなきゃ。ウィリーはメイにほれるんだけれど、母親の反対にあって、いったんはあきらめる。というより、メイを 捨てちゃう。メイは、貧しいカトリック家庭の娘。一方、ウィリーはおそらくはWASPで、父親は医者で、母親は富豪。ウィリーもプリンストン出身のエリー トなんだけれど、ピアノの才能もあるから、夜の街で気晴らしにピアノなんかを弾いたりしている。メイとウィリーの接点は音楽だけ。でも、やっぱり好きだった。そのことを神風攻撃で死にかけたときに感じる。人間、死を意識すると、愛に目覚めると言うこと、あると思う。どうせ死ぬなら、愛している人間との時間をできるだけ多く持ちたい、とか、そう言う気持なんだと思う。

・でも、メイはウィリーとよりを戻せるんだろうか? 解説では、元に戻ることができるというような示唆があったけれど……。僕は、ウィリーが戻ったら、メイは死んでいるのだ、と思ったんだけれど、それよりも辛いことになっていたのには驚いた。安易じゃない道をちゃんと作者は準備していてくれたのだ。嬉しい限り。

American Literature

ケイン号の叛乱
ケイン号の叛乱
  • アーチスト: ハンフリー・ボガート
  • 発売元: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • レーベル: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • スタジオ: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/08/04
  • 売上ランキング: 68043
  • おすすめ度 4.5
ケイン号の叛乱
  • 発売元: フジ出版社
  • レーベル: フジ出版社
  • スタジオ: フジ出版社
  • メーカー: フジ出版社
  • 発売日: 1984/01

いやあ、面白かったですよ、「ケイン号の叛乱」。第二次大戦中の米海軍の旧式掃海駆逐艦「ケイン号」で起こった叛乱事件をモチーフにした戦争ドラマ。ケイン号という艦は実在しないし、実際に叛乱は起きていないのだが、ハーマン・ウォークが素晴らしい作品に仕立て上げている。

Amazonで調べてみると、なんと映画化されていて、ハンフリー・ボガードだという。これ、見てみたいですね。

二回に分けて感想などを。

・バウンティ号の叛乱や、ホンブロワーシリーズの叛乱も思い出させる。特にホンブロワーの影響は大きいなあ。艦長が強迫的で偏執狂とくれば、ホ ンブロワーの上官ソーヤー艦長をおもいだす。小説も読んだけれど、ドラマでも見ました。軍法会議の場面もホンブロワーの影響受けているなあ。でも、ホンブ ロワーのように単純明快に判決が下るわけではなく、検察側と弁護側の丁々発止のやりとりがあって、判決が下ると言う点は違う。ケイン号のほうがよりリア ル。

・この本もやはりウィリー・キースの成長物語。やはり売れる本である条件の一つは、主人公に感情移入させ、なおかつ主人公の成長を追体 験させるもの、というのはあるだろうなあ。幼い頃繰り返し読んだ「ゆうかんな船長」のハービーもそうだったし、「魔の山」のハンスもそうだったし、ホンブ ロワーシリーズも同じく。
・クリーグ艦長の偏執狂的強迫的行動を読んで、悪役ながらも気の毒になった。艦長と言えば、会社の上司と同じ立場。戦時中の艦長と、現 在のサラリーマン社会を比べるのも愚の骨頂あるいは紋切り型かもしれないけれど、軍隊も会社も個人の前に立ちはだかる厳然とした組織であることには変わり ない。組織のあらゆる上長──社長から始まり、部長、課長、係長、だれもが組織の長であり、それに向いている人もいれば、向いていない人もいる。クリーグ 艦長はおそらく向いていない方だったんだろうけれど、幼い頃のトラウマ──いじめられていたり、成績が悪かったり──を克服するために、無理して海軍のな かで努力してきた。それでも十年以上頑張ったんだけれど、ケイン号の艦長に就任したところでパンクしちゃったに違いないのですよ。いまなら、うつ病などの 精神疾患と診断されてもおかしくないなあ、という感じ。キーファーも文中でそう述べているとおり、本当に気の毒だ。
・沖縄でケイン号が神風攻撃を受けた場面、艦は火災を起こし、弾薬が引火して爆発し始める。キーファは逃げ出すのだが、ウィリーは艦に 残って消火活動をする。結局は、消火活動が功を奏して、大破するものの艦は無事に帰港することができたのだ。何事もそうだけれど、安易にあきらめてはいけ ないのだなあ、という人生訓。戦争においては特にそうだし、そもそも生きるということも戦争と同じく厳しい戦いだ。あきらめちゃあいかんなあ、なんでも絶 対にやりぬくという強い意志で立ち向かわないといけないなあ、という感じ。尻尾を巻いて逃げ出すのは簡単だし傷つかないけれど、立ち向えば、たとえ負けて も傷はついても名誉は失われないし、勝つことができるかもしれない。両者には天と地の差がある。
 
・長編小説だったので、途中で体調を崩したときはもう読めなくなるかと思った。でも、結局最後まで読みきれた。よかった。あきらめちゃあ、いかんなあ、という感じ。

明日に続きます。
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今日のことを少し。
今日は早めに会社を出て図書館へ。今回も借りた本やっぱり全部読めなかったのですが、「ケイン号」を読めてからいいかな、と言う感じです。その後楽器屋さんへ。今週末、友人の結婚式でサックスを吹くのですが、譜面立てを持って行こうと思いまして、購入。税込み1029円でした。ちょっと重いのと嵩張るのが難点ですが、まあ致し方ないでしょう。今週末も頑張ります!

Opera

R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」
R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」
  • アーチスト: クライバー(カルロス)
  • 発売元: ユニバーサルクラシック
  • レーベル: ユニバーサルクラシック
  • スタジオ: ユニバーサルクラシック
  • メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 価格: ¥ 6,825
  • 発売日: 2002/06/26
  • 売上ランキング: 19530
  • おすすめ度 5.0

次のオペラの予定は、6月9日、新国立劇場で「ばらの騎士」を観に行きます。

主なキャストはこちら。

【元帥夫人】カミッラ・ニールント
【オックス男爵】ペーター・ローゼ
【オクタヴィアン】エレナ・ツィトコーワ
【ファーニナル】ゲオルグ・ティッヒ
【ゾフィー】オフェリア・サラ

このうち、一番楽しみにしているのは、エレナ・ツィトコーワさんです。この方が歌うのを初めて聴いたのは2003年10月、新国立劇場でフィガロの結婚を見たとき。ケルビーノを歌われていました。オクタヴィアンとおなじズボン役ですね。この方の声、倍音が非常に豊かなのです。柔らかくのびがあってよい意味で太い声を出されるのです。この時のパフォーマンスのなかで一番光っていたのがこの方でした。今回はオクタヴィアンですから、聞き所満載ですね。楽しみです。