Book,Richard Wagner


また桜。そろそろ散り始めているかしら。。。
ワーグナー関連本を二冊を読み終わりました。いずれも新書です。マンの著作を読む前に参考になるかな、と思い手に取った次第。こっちを先に読み終えてしまいました。

はじめての『指環』―ワーグナー『ニーベルングの指環』聴破への早道 (オン・ブックス21)
山本 一太 / 音楽之友社 (2005-10-01)
本・雑誌
堀内 修 / 講談社 (1990-12)

堀内修さんは、今年(2010年)のNHKニューイヤーオペラコンサートのロビーでお姿をお見かけしました。この本は、ワーグナーを巡る情勢がよく整理されていて大変お勧めです。特に歌手の分類記載がよかった。ヘルデン・テノールとかドラマティック・ソプラノなど、歌手の特性とそれぞれの役柄について記載がなされています。たとえば、ヘルデン・テノールはジークフリートやジークムントを歌いますが、シュピール・テノールはミーメを歌う、などなど。これは別記事で取り上げる予定。大変勉強になりました。私、オペラを見始めてもう8年になりますが基本的な勉強はしておりませんゆえ、いまさらながらでお恥ずかしいのですけれど。
山本一太さんの「はじめての<<リング>>」は、リングを一通り見聞きしている方にとっては少し物足りないかもしれませんが、逆に言うと、これから聴かれる方には必読だと思われます。私の場合、里中真智子さんのマンガであらすじをつかむという邪道な道を歩きましたけれど。すでにリングを聴き通しておられる方にとって興味深いと思われるのは、第五章「<<指環>>こだわり篇」ではないでしょうか。
ちなみに、マンガはこちら。

ニーベルングの指環〈上〉序夜・ラインの黄金、第一夜・ワルキューレ (中公文庫―マンガ名作オペラ)
里中 満智子
中央公論新社
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おすすめ度の平均: 5.0

5 文句なしの5つ星
5 いい本です

ここでは、一つわからなかったことのヒントを見つけることができました。つまり、どうしてジークフリートはブリュンヒルデと分かれて、旅立たなければならなかったのか。別に、二人で引きこもっててもいいんじゃない? みたいな。でも、まあ外界と触れないと生きていけませんので、特に資本主義社会においてはなおさら。それで、この本によれば、英雄たる者、各地の王から貢ぎ物を取り立てなければならないのであるから、ジークフリートは、取り立て屋のごとく、各地の有力者を回って朝貢品を求めていたとは。なるほど。

European Literature,Opera,Richard Wagner


こちらの写真は、2008年に訪れたヴァチカンのサンピエトロ大聖堂にある天才ベルニーニの手になる聖ロンギヌスの彫像。聖ロンギヌスは十字架にかけられたイエス・キリストの脇腹に槍をさしてとどめを刺した人物。キリストの血を浴びて、白内障が治ってしまい、後に列聖されるという人物。とはいえ、実在したかどうかはわからない。
“http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%8C%E3%82%B9":http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%8C%E3%82%B9
もちろん、この彫像の右手で持っているのが聖なる槍。すなわち聖槍。
“http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E6%A7%8D":http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E6%A7%8D
ということは、もちろんパルジファル。
パルジファルまであと三日。予習予習。
っつう感じで、この一週間はパルジファル漬けなんですが、東京春祭のこの以下の4つの記事が予習用として秀逸です。
“http://www.tokyo-harusai.com/news/news_443.html":http://www.tokyo-harusai.com/news/news_443.html
“http://www.tokyo-harusai.com/news/news_449.html":http://www.tokyo-harusai.com/news/news_449.html
“http://www.tokyo-harusai.com/news/news_459.html":http://www.tokyo-harusai.com/news/news_459.html
“http://www.tokyo-harusai.com/news/news_520.html":http://www.tokyo-harusai.com/news/news_520.html
リブレット読んだり、カラヤン盤の解説を読んだりしているんですが、実に興味深い。演奏会形式で見るのはもったいない。演出付きで見てみたい、という思いが強いです。
たとえば、「ダ・ヴィンチ・コード」をお読みになれば、聖杯と聖槍がなんのメタファーなのか、というのはおのずとわかりますし、そうすると、リングにおけるノートゥンクのメタファーとの関連性も見て取れる。
第二幕でクンドリがパルジファルを誘惑する場面は、「ジークフリート」のブリュンヒルデ覚醒の場面のミラーリングにも思えてなりません。クンドリは「私の接吻があなたに叡智をもたらしたのでしょうか?」とか「あなたに神性をもたらすでしょう」という。ブリュンヒルデもやっぱりジークフリートに知識を授けているし、ブリュンヒルデの神性は逆にジークフリート誕生に寄与したために失われていますし。
それから前述のリンク先に指摘されていたんですが、この物語には、キリストその人についての叙述がなく、典礼の言葉もないという不思議さ。おそらくは、ワーグナー自身がそれにあたるものとしているんじゃないか、と。
トーマス・マンの「リヒャルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大」を読んでいるところなんですが(これもめっぽう面白くて、何で今まで読んでいなかったんだ、という自己批判)、その中で愛情についての考察がいろいろ書かれていて、めちゃくちゃ興味深いんです。で、どうも、この愛と美というものが複雑に織り込まれている、あるいは織り込もうとしているのがヴァーグナーなのである、という直観に支配されています。
それと、ナチズムとの関連とか、ドイツ的なものとの関連とか考え出すと、身震いするぐらい面白い。この世界を20年前に知っていれば人生変わっていたと思います。
ちなみに、この「リヒャルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大」の後半に書かれている「リヒャルト・ヴァーグナーの『ニーベルングの指輪』」の結語が、ゲーテの「ファウスト」第二部の最後の一節なのです。
「永遠の女性なるものがわれらを高みに導く」
これ、もうご存知のとおり、マーラーの交響曲第八番の最後ですよね。もう、なんだか、頭の中が興味深い妄念で満ち溢れていて、仕方がありません。
明日からはマンに没入しつつ、パルジファルを聴く予定。マンの前述の本ではクンドリのことが分析されていたりして大変興味深いのです。

Book

さて、昨月の読書実績です。目標9冊に対して8冊ですが、ちと実用本が入っているのが難点であります。雑誌も結構読んだので、まあ目標達成ということで。ただ、もう少し違う趣向の本を読まないと、というところ。

期間 : 2010年03月
読了数 : 8 冊
本・雑誌
福本 和也 / 光文社 (1988-06)
読了日:2010年3月31日
ブラックアウト〈下〉 (新潮文庫)
ジョン・J. ナンス / 新潮社 (2002-04)
読了日:2010年3月23日
ブラックアウト〈上〉 (新潮文庫)
ジョン・J. ナンス / 新潮社 (2002-04)
★★★☆☆ 読了日:2010年3月14日
本・雑誌
ジョン・J. ナンス / 早川書房 (1994-10)
★★★☆☆ 読了日:2010年3月9日
旅客機年鑑 2010-2011 (イカロス・ムック)
イカロス出版 (2010-01-30)
★★★☆☆ 読了日:2010年3月20日
本・雑誌
ジャン・クロード ベルトン / 白水社 (1987-10)
★★★☆☆ 読了日:2010年3月4日
本・雑誌
ギャビン・ライアル / 早川書房 (1976-10)
★☆☆☆☆ 読了日:2010年3月2日
Movable Type 4.x 本格的CMSサイトを構築するためのMTスーパーテクニック クリエイターが身につけておくべき新・100の法則。
加藤 善規 , 平澤 隆 / インプレスジャパン (2008-09-12)
読了日:2010年3月24日

American Literature

湾岸戦争終了直後のペルシア湾岸。きわめて強力な生物化学兵器が作られていることをつかんだ米軍は特殊作戦の発動を決定した。ロッキードC-141輸送機を使ってデルタフォースを送り込み、イラクの生物化学兵器工場を急襲し、大量破壊兵器を壊滅させようという大胆な作戦任務にあたるウィル・ウェスターマン大佐とダグ・ハリス大佐の旧友コンビ。二人は、真夜中の道路への強行着陸に成功し、ウィルスの処分を進めるのだが……。
先日読んだ「着陸拒否」と同じく、生物兵器の恐怖を取り扱っていますが、こちらはアメリカ空軍の軍人たちが主人公ということもあって、既読の「着陸拒否」とも「"ファイナル・アプローチ":https://museum.projectmnh.com/2010/02/03171736.php」ともすこし趣が異なります。ただ、前半部分、C-141を強行着陸させるあたりのくだりは、飛行機好きにとっては垂涎でした。後半は、冒険活劇的な趣が強くなっています。構成や登場人物の動かし方はいろいろな意味でとても勉強になりました。
「着陸拒否」も、最終幕で一抹ながらも強い不安を覚える名残がありましたが、やっぱりこの本でも同じ。核兵器や生物化学兵器は冷戦終結以降もその恐怖から逃れることはできないことを痛感しました。誰かの誤りや感情などで、意図せずトリガーがひかれ、世界が壊滅的打撃を受ける可能性は常にあるのだ、ということが良くわかります。特に日本は非常に複雑な外交状況におかれていることもありましょうし。
まあ、普段生きていくうえでは、こうしたことを考えていては前に進めませんので、考えるのは、読書している間や、こういった文章の中だけにとどめておきましょう。
次は同じくナンスの「ブラック・アウト」という本を読み始めました。こちらもまた秀逸。通勤時間が楽しいです。

Book


はやいもので、もう3月になりました。早速先だって立てた"読書計画":https://museum.projectmnh.com/2010/01/19063029.phpの達成状況を。2月は3日少ないので大変でしたが、まあなんとか読めたかなあ、と。冊数は8冊ですが、雑誌を結構読みましたので、9冊の目標達成と言うことにしたいと思います。ふう、なんとかなりました。
読んだ本は難しい本ではありませんので、お恥ずかしい限りなのですけれど。
“http://mediamarker.net/u/shushi/read/fin/date/201002/":http://mediamarker.net/u/shushi/read/fin/date/201002/

期間 : 2010年02月
読了数 : 8 冊
ニーチェ入門 (ちくま新書)
竹田 青嗣 / 筑摩書房 (1994-09)
読了日:2010年2月28日
航空無線のすべて2009 (三才ムック VOL. 215)
ラジオライフ / 三才ブックス (2008-09-20)
読了日:2010年2月21日
着陸拒否 (新潮文庫)
ジョン・J. ナンス / 新潮社 (1997-07)
★★★★☆ 読了日:2010年2月20日
超音速漂流 (文春文庫)
ネルソン デミル , トマス ブロック / 文藝春秋 (2001-12)
★★★☆☆ 読了日:2010年2月16日
本・雑誌
ジョン・J. ナンス / 早川書房 (1995-06)
読了日:2010年2月5日
本・雑誌
ジョン・J. ナンス / 早川書房 (1995-06)
★★★★☆ 読了日:2010年2月14日
拒絶空港
内田 幹樹 / 原書房 (2006-06)
★★★★☆ 読了日:2010年2月17日
機長の三万フィート―グレート・キャプテンへのライセンス (講談社プラスアルファ文庫)
田口 美貴夫 / 講談社 (2004-09)
読了日:2010年2月2日

でも、本当に楽しい本ばかりでした。J.J.ナンスの「着陸拒否」が2月のベストレコメンドです。もちろん、完璧ではありませんけれど、とても参考になりましたし、むさぼるように読むという読書快楽を十全に味わうことが出来ました。
今月も読むべき本は山積してます。あと、辻邦生の本を読まないといけませんね。それから、ニーチェ関連と、ワーグナー関連も。少しは難しい本を混ぜていかないと、いつまで経っても勉強にならないですしね。
今月も頑張りましょう!

American Literature

いやあ、これ戦慄です。飛行機に乗る前、絶対に読んではいけません。
悪天候のカンザス・シティ空港で離陸を待つノース・アメリカ航空ボーイング737型機に、着陸を試みる同じくノース・アメリカエアバス320型機が激突し、100人以上の死者がでる大惨事となってしまう。ノース・アメリカ航空の臨床精神医マーク・ワイスの妻子も事故に巻き込まれて命を落としてしまう。国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)の調査官ジョウ・ウォーリングフォードは事故の全容解明に動き出すが、奇妙な圧力がかかり調査が妨害されていることに気づく。一方、マスコミには、事故が仕組まれたものであることをにおわす匿名の電話はファックスが入り始める。人種差別的な言動に走る下院議員が事故機に乗っていたというのだ……。
上巻の途中まで読みましたが、やはり良くできた小説はいいですね。登場人物が多層的で、実に個性的で鮮やかに描かれています。上質なハリウッド映画を観ている気分です。視点がクルクルと変わるのですが、きちんとついて行けますし。やはり英米系文学やミステリの層の厚さはすごい。まあ、英語人口が多いのもありますし、アメリカという超大国の言語でもありますので、層の厚さという観点に加えて、邦訳される率も高いということもあると思います。インターネットの普及でますます英語が世界共通語になってきました。フランスをはじめとしたヨーロッパでは、そうしたアングロ・サクソン系文化に必要以上に傾くことを懸念する向きもあるようです。
ネット時代で、KindleやiPadがリリースされるような世の中ですし、映画やテレビドラマなどの映像文化が隆盛となる時代ですので、非英語圏の小説は実に厳しい状況でしょう。水森美苗さんの「日本語が亡びるとき」でも似たようなことが指摘されていました。この不景気で、単行本なんて売れないでしょうし、1Q84は図書館の予約で何百人待ちで、ブックオフでは長蛇の列でも、一般書店では閑古鳥ですから。
かろうじて「居眠り磐音」シリーズの佐伯泰英さんが文庫書き下ろしで、なんとか、というところでしょうか。佐伯さんは正月の番組で、「価格の安い文庫本は作家にとって武器だ」とおっしゃっていました。逆に言うと、文庫本程度の価格の本誌か売れない、ということでしょう。
音楽も厳しい時代ですが、文学にとっても厳しい時代です。

Japanese Literature

最近はまっているのが内田幹樹さんのエッセイや小説群です。
私は実のところ飛行機好きでしてとくにこの数年間はちょっと単なる好きを通り越してきた感じです。私の場合、音楽も小説にある種仕事的な意味を感じてしまうことが多く、重圧すら感じることもあります。最近はずいぶん楽になりましたが。
まあ、社会人になって初めて行ったドイツ旅行の幸福な思い出もありましょうね。12時間のフライトは、これまでの人生の中でもっとも自由を感じた12時間だったと思います。なにもできない不自由が与える自由とはいささか逆説的ですけれど。
当時のANAのフランクフルト便はがらがらで、ビールやらワインのおかわりもできたし、座席三つを占有して横になることもできました。シベリア上空から北の空に白くうっすらと燃えるオーロラもみました。
そんなANAの欧州線を舞台にしたパイロット・イン・コマンドですが、久々に奥深いミステリを呼んだ感じです。ミステリは謎解きなわけで、推理小説であれば犯人が最大の謎なわけです。ふつうの小説ですと解に至るまでの道筋が単線だったり、あまりに見通しのよい景色に少々物足りなさを感じるのですが、味のある小説、いや、映画やらドラマといった物語的要素をもつもので味わい深いものであれば、線路は当然複線以上で渓谷の中を縦横無尽に走り回り、いくつもの分岐を持つターミナルに何度も何度も停車します。これこそ物語の愉しみ。まあ、最先端の文学ですと、そんなことは歯牙にもかけないのかもしれませんが。
とにかく、パイロット・イン・コマンドはそうした物語の愉楽を十全に味わわせてくれる作品でした。昨日から読み始めて今朝方読み終わりましたが、あまりに最後が気になったので会社のゲートをくぐる時間が50分ほど遅れました。始業は9時ですが、いつもですと7時45分には机についています。今日は8時半過ぎに机についたかんじ。
実は、内田幹樹さんの小説はすでに2冊読んでいます。「査察機長」と「操縦不能」なのですが、いずれもおもしろかった。これらについてはまた別の機会に書きたいと思います。
あらすじ。
ロシアや南米の裏組織とつながりのある男がロンドンで逮捕され日本に移送されることになった。日本インターナショナル航空020便ヒースロー発成田行に護送されることになる。荒くれ個性派の砧(きぬた)機長、朝霧機長、そして主人公の副操縦士の江波の3名のクルーがそれを知ったのは出発直前。離陸したボーイング747-400はバードストライク(鳥との衝突)に見回れながらも無事に離陸するが、キャビンアテンダント達は、クレーマーの機乗や、トイレにいくつも捨てられているライフジャケットを見つけ気が気ではない。護送中の男は、ハイジャックを試みようと心に決める。江波は砧の癇癪に耐えながら半日に及ぶシベリア横断に挑むのだが……。
パイロット・イン・コマンドとは、その時点で決定権を持つパイロットのこと。今回でいうと砧機長がそれに当たりますが、2時間スパンで3名のクルーが二人ずつ操縦を担当しますので、通例はそうなんですけれどね。
張り巡らされた伏線を愉しみながらクルーと一緒にフライトをしている気分で実の爽快です。時にその伏線が袋小路へと導くこともあるのですが、種明かしはフライトが終わってからですね。
一昨年「ハッピー・フライト」という映画がありましたが、内田幹樹さんのこの「パイロットイン・コマンド」と「操縦不能」を下敷きにしているんだなあ、ということがわかりました。もっと早くに読んでおきたかった本でした。
日本の航空小説は内田幹樹さんや福本和也さんなどがいらっしゃいますが、海外にもすばらしい作家がいらっしゃるようなので、これからもまだまだ楽しめそうです。まだまだくたばるわけにはいきません。
しかしなんと言うことでしょう。"wiki":http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E5%B9%B9%E6%A8%B9によれば亡くなっておられるとのこと。本当なら至極残念。パイロットは非常に過酷な職業で、定年後5年ぐらいでなくなる方が多いとのことだそうですので本当かもしれません。ちなみに、うちの会社も定年後寿命が短いそうですが。

Book

最近寝不足でしょうか。夜は23時頃に眠るのですが、朝の4時にはもう目が覚めてしまいます。日曜日の朝はもっと酷くて、22時に眠ったのに、目が覚めたのは2時。もう寝付けなくなりましたので、PCで作業をしてしまいました。とはいえやっぱり眠たくて、午睡ならぬ朝睡を30分ほど。それからいつものカフェに来てまた仕事をしようか、というところです。

久々に本の話。

念頭に、今年こそ年間100冊を読みたいと目標を定めました。一ヶ月に8冊読むと96冊ですので、少々足りません。というわけで、一ヶ月に9冊読むという目標に細分化しました。と言うわけで、このブログの右側に目標達成状況が分かるようになっています。

となりますと、30÷9=3.33333、ということですので、三日に一冊読まないといけません。

この目標、会社勤めにはちと辛い。それから、読むべき本が、巨大なる世界文学レベルとなると、歯が立たないです。たとえば、トーマス・マンの「ファウスト博士」は岩波文庫ですと上中下の三巻になりますが、これを10日で読まねばならないとなると、すこしハードルが高い。私の場合読書時間の捻出はどうしても通勤中になりますので、疲労困憊な状態で読むのはかなり難しい。年のせいもありましょうか。最近は、疲れて帰宅時には眠ってしまうことが多くなりましたし、先週の金曜日は眠っていて二駅乗り過ごしましたし。。。

まあ、あまり自虐的になったり、どこかの会社のように達成不可能な目標にすると全く意味がありませんので、そういうわけでちょっと緩めます。でも冊数は緩めませんよ。

まず、全部読了しなくてもよしとしましょう。やはり相性の悪い本はありますので、そうした本を最後まで読む時間があれば他の本を読むべきでしょうから。 文学作品に限らなくても良いことにしましょう。それも一応カウントに入れます。

次に、仕事の本(コンピュータとか経済など)もカウントしてもいいですかね? これは今までもしてましたけれど。ちょっと資格試験を受けねばならなくなったので、勉強の本を読むことになりそうですので。

それから、少し迷ったのですが、雑誌も数えても良いでしょうかね? 私は文芸誌は余り読みませんが、その他の趣味系雑誌はよく読みます。それもかなり頻繁に。しかも湯船に浸かりながら読むんですけれどね。これが極上。ですが、すこし罪悪感があるので、雑誌は0.25冊に数えましょう。ただし、これは右がワンカウントには加わりませんので、毎月補正します。

英語文書をいれるのはちょっと迷いました。仕事(?)系で、よく英語のマニュアルを読むんですが、これで通勤時間を費やしてしまうこともありますので。でもまあ、これは読書じゃないのでやめておきましょう。

と言うわけで、こうした感じでやっていきましょう。今週はさしあたり2冊読みました。雑誌は4冊ほど? あと6~7冊を半月で読まなければなりません。今月は達成できるように頑張ります。

Classical,Literature

先だっての戯言の続きです。

現在のクラシック音楽の潮流として中心にあるのは過去の作曲家の音楽を演奏するということですが、当然のことながら旋律、和声、拍節を変えることはおおっぴらには出来ない。細かい譜面の修正や省略などは行われていますけれど。

そこで演奏者に求められるのは主に1)速度、2)音量、3)音色(サウンド)のチューニングです。他にも4)アーティキュレーションの解釈もあったりしますので、まあ主にこの4つでしょうか。

解釈の多様性をもってオリジナル音楽の意味をほぼ無限大に拡張するのが現代のクラシック音楽でして、フレーズを作り出したり、和声を作ったり、リズムを変えたり、という作業は、カデンツァや通奏低音などを除けばほとんどないでしょう。あ、歌手にあわせて転調して演奏することもありましょうかね。

これって、ものごとを質料と形式、あるいは内容と形式、と言う風に古典哲学的に分別して整理してしまうというのが、私の悲しい性。何でも質料形式に分解したくなってしまう挫折学生の悪癖です。

で、旋律、和声、拍節を質料としてとらえ、速度、音量、音色、アーティキュレーションを形式と捉えると、今の音楽のあり方は、素材を解釈して再生産するという過程であると言えましょう。質料=中身よりも、その見せ方、弾き方、解釈の仕方で勝負をしているのが現代クラシック界でしょう。(オペラ演出の問題もありますが、それは音楽の解釈性とはちょっと外れますのでここでは割愛します)

もう、「内容」をどうこうするのは野暮である、という時代なのでしょうか。これって実は文学においても同じで、純文学の世界では「内容」がどうか、という問題よりも、どれほど新しい形式を持っているのか、という方向に進んでいるようです。私は現代思想はさっぱり知りませんので、ここまでしか書けませんけれど、まあ、文芸評論の方々が書いてあることを読むと、物語の中身を楽しむ文学というものは、余りに当たり前すぎて論じる意味がない、というように読めることもありまして少々寂しいですね。

もちろん、文学もいろいろでして、SFとか推理小説なんて言うものもあります。ですが、SFもアシモフ的な内容を読ませるSFを脱却した新しいSFもあります。ディレイニーの「ノヴァ」を読んだのですが、私にはさっぱりでした。ほとんどジョイスを読んでいるかのような感覚。あ、私はジョイスも全然読めていません……。

もう少し続きます。つづきはまた。

American Literature

「標的は11人-モサド暗殺チームの記録」を読み終わりました。少々知りたいことがありましたので。

ところが、これがめっぽう面白い。

今年の夏に読んだフレデリック・フォーサイスや、スタンリイ・エリンを思い出しました。

先日スペイン系のイギリス人とお話しました。お父様がスペインの方だったのだそうですが、相当苦労されたとか。スペインの戦後はしばらくはフランコ体制でしたので。それから戦後のヨーロッパの話になりまして、冷戦下のイギリスにあっては、やはり東側の核兵器に恐怖を感じたのか? とたずねてみると、ぜんぜん! との答えが。あれ、と思ったら、核兵器よりもIRAのテロの方が怖かったのだ、とおっしゃる。

身震いをするぐらい驚きました。 現代の日本人にしてみれば、テロが現実として間近に感じられるようになったのは、オウム事件以降だと思いますが、当然それ以前からテロルは存在していたわけですから。

そうしたテロの中でも衝撃的ものの一つと思われるのが、ミュンヘンオリンピック事件です。

アラブ過激派がミュンヘンオリンピックのイスラエル選手たち9名を拉致監禁し、イスラエルに収監中のパレスチナ人234名の釈放と飛行機でカイロへの逃亡を要求する。ヘリコプターで向かった空軍基地で、警察部隊と銃撃戦となったのですが、当時の西ドイツ警察にはテロ即応部隊などはなかったこともあり、人質の解放に失敗し、人質全員がヘリコプターの爆破により命を落とし、西ドイツ警察も一人の殉職者を出してしまいます。犯人グループの8名中5名を射殺してしまうということで、後味の悪い失敗となってしまったわけです。

物語はここから始まるわけですが、コマンド部隊出身のエージェントであるアフナーが、ミュンヘン事件の報復のためにパレスチナ過激派テロ組織「黒い9月」の主要メンバーをリストアップし次々に暗殺するという物語。

暗殺シーンの臨場感とか、当時の欧州の裏社会を見ることができて非常に興味深いのと、最後が実に考えさせられる感じ。

どこの社会でも組織と人は持ちつ持たれつ、ときにそれは悲惨な結末をもたらす。 どんな物語であっても、何かしらの対立軸というものが成立します。そうした対立軸は、男と女であったり、国と国であったりしますが、組織と組織、あるいは組織と人という対立軸も多いですよね。

組織と人、という題材で真っ先に思い出すのは、以前読んだハーマン・ウォークの「ケイン号の叛乱」でしょうか。軍隊組織にあって、無能な上官を持った将校兵士はどうするべきなのか、という問題。これって、ホーンブロワーシリーズでも同じ題材がありました。

時代小説的なら、お家と家臣の関係でしょうし、サラリーマン小説なら会社と社員。もうあまりに使い古された題材ですが。

わき道にそれました。

最近の僕の感じでは、第二次大戦後から冷戦終結までのヨーロッパに大きな関心を持っている気がします。前述のとおりスペインやポルトガルの全体主義体制が残留し、イギリスではIRAが活動し、フランスではOASが活動する。東西冷戦の行方は果て知れず、核戦争の脅威にさらされている。東側諸国では統制社会となり、弾圧や密告がまかり通る。そして、アラブ過激派のテロとモサドの戦い。それでもなお科学技術の発達はとどまることを知らず、アメリカ資本は娯楽を過剰供給していく、というアンビバレンツ。

いろいろ面白いことがわき出てきます。